千里の果てにあるものは 作:匿名
言峰神父が来るのがあと四日後になったある日、先に唐辛子や辛味成分を多く含む材料を買おうと外に出掛けた時の話だった。よく見た事のある赤銅色の髪の青年と千里眼で見た記憶のあるサーヴァントらしき金髪の少女が歩いていた。
「こんにちは、衛宮」
「ん?おお、薄明か。こんにちは」
「ふぅん…何だ、なにか願い事でもあって聖杯戦争に参加したのか?」
「ッ!?」
金髪の少女が魔力を解放しようとしたので慌てて魔術結界を張る。危ない危ない、言峰神父に迷惑をかける前に止められてよかった。
「落ち着いていただきたい、騎士王。俺はただ特殊な眼…貴方の時代に居た花の魔術師と同じ眼を持ってるだけの一般人ですから」
「私のことを…いえ、マーリンと同じ眼を持っているのでしたら知っていて当然でしょうか。私の名はアルトリア・ペンドラゴン。貴方の名を問いたい」
「俺は薄明悠人…まあ、ちょっと特殊な一般人ですよ。衛宮と同じく一般人の家系に生まれた魔術師です。魔術師が嫌いなので関わってきたことは無いですが」
そう言うと、それは嘘ではないと判断されたのか警戒を解く騎士王――もといセイバー。あまり真名が分かるようなことを言いふらす必要も無いだろう。てか、セイバー陣営が不利になるだけなので言うだけ迷惑がかかる。
「さて、衛宮にはなにか願いがあるのか?」
「いや、願いなんてないよ。ただ、誰かを傷つけてまで願いを叶えるなんて間違ってると思った」
「だからこの戦争を止めるために参加したと?」
「ああ、そうだ」
なんとも衛宮らしい理由だった。軽く見た未来では正義の味方となり、疲弊しきり、摩耗した挙句世界との契約で英霊──とは名ばかりの掃除屋として働かされさらに摩耗してなおも正義の味方を目指す男の今現在の姿。凄まじい理想…もはや執念だろう、ここまで来ると。心優しい青年であるといえばそこまでなのだが、空寒さすら感じる。言ってしまえば恐ろしい。その、自分の命をかけてまで理想を叶えんと動けるその精神性が俺は恐ろしくて堪らない。…だが、それでも友人に対して助言をすることくらいは許されるかな?
「そうか…なら俺は何も言わない。元より他の人間の願いに口出す権利なんて無いからな…ただ、忠告だ。金色のサーヴァントには気をつけろ。あの人は文字通り格が違うからな」
大事なところは暈してさっさとその場を退散する。ギルガメッシュ王には何か言われるかもしれないが、戦いを面白くするためだとか言っておけば許されるだろう。遠坂もサーヴァントを呼び出しているようだし、言峰神父も動いているようだ。あのランサーは…これまた高名なサーヴァントを呼んだものだと苦笑する。セイバーは騎士王、アーチャーは人理の守護者、ランサーはクランの猛犬、ライダーは石化の目を持つ怪物、キャスターは裏切りの魔女、アサシンは無名の剣士、バーサーカーはギリシャの大英雄…そして、イレギュラーの英雄王。錚々たる面々も良いところだ。それぞれがトップサーヴァントかつ、一騎当千の力を持つ英雄だ。まあこの中だとギリシャの大英雄と英雄王、騎士王、クランの猛犬が頭一つ抜けているか?…まあマスターの戦略次第では分からないか。ともあれ、俺は巻き込まれないように程々に生きていこう。なにせ、2016年にも面倒事があるのだ。なぜか、2016年より先の未来が見えない──つまり、未来が消失しているのだ。恐らくそれに関係してくるのは人類悪だろう。俺に何か出来るとは思えないが…死ぬ気は無いので動くとしようかな。とりあえず目指すはカルデアとかいう天文台だ。
薄明悠斗/千里眼EX持ち
なし崩し的にアーサー王と知り合いになった人。人理焼却に気がついており、死にたくないので行動を開始。千里眼EXがマスターとして参加するとかそれなんてチート?多分呼び出して最初に来るサーヴァントはあの人だと感じている。