千里の果てにあるものは 作:匿名
俺の家に着き、工房へと案内する。俺の工房を興味深そうに眺めている藤丸立香──立香と呼べと言われた──とマシュ。オルガマリーは興味と言うより吟味とも言うべき目線で見ていたが、魔術師というのは大抵そういうものなので気にしない。
「ほら、ここに盾を置けば召喚出来るだろう…お前からやるか?立香」
「いいの?じゃあお言葉に甘えてー!」
盾の上に三つの虹色の石──聖晶石と呼ばれる魔力の塊の宝石がひび割れ、砕け散ると共に三つの光の輪が形成される。
「ほぉ、これがサーヴァント召喚か」
「カルデア式ではありますが…っと、来たな」
光の輪が収縮し、現れたのライダーが描かれた銀色のカード。カードが光の粒となって消えるとそこには紫の髪の女性が立っていた。…なるほど、今回は本物か。
「サーヴァント、ライダー。真名をメドゥーサと言います。よろしくお願いします、マスター」
「あっ!さっきハルトと戦ってた人じゃない!?」
「いえ、それはおそらく私の別側面、言うなれば別の私ですので厳密に言えば私では無いかと」
そうこう話している間に、俺やクーフーリン、マシュ、オルガマリーとも自己紹介を終える。そして次は俺の番になる。俺は聖晶石を投げ入れると、その瞬間光の輪が虹色に輝き回転する。これは…?
『な、なんなんだこの魔力反応は!?大英雄クラスの魔力反応だぞ!?』
光の輪が収縮して現れたカードに描かれているのはランサーのマーク。そのカードが消えるとそこには緑の髪を持った麗しき人が立っていた。
「まさか貴方は…!?」
「──サーヴァント、ランサー。真名をエルキドゥという。ボクの親友がお世話になったようだからね。キミにお礼を言いたくて来たんだ」
本来ならば呼び出すことすら出来ないはずの英霊が目の前に立っていた。英雄王ギルガメッシュの永遠の友にして、好敵手。神々に作られた兵器としての面も持つ正真正銘最強格の英霊だった。
『エルキドゥだって!?かの英雄王の親友のあのエルキドゥかい!?』
「おや、不思議だね。誰もいないところから声が聞こえる」
「通信ですよ、エルキドゥ…様?」
「ふふ、敬語なんて必要無いさ。キミには返せないほどの感謝をしているからね」
そんなことしたら英雄王に殺されそうなんだけど大丈夫か…?まあその時はその時か。
「わかった。じゃあよろしく頼む、エルキドゥ」
「うん、よろしく。キミたちもね」
「えっ、あっ、うん!よろしくね、エルキドゥ!」
「メソポタミア神話のエルキドゥですって…?いえ、戦力として見れば最高峰ね。見た感じ性格にも難は無さそうだし…うん、当たりね」
ブツブツとオルガマリーが何かを呟いているが、こうなると面倒なので放置する。さて、冬木の聖杯を回収しに行かなければ。
「とりあえず、一日休んで聖杯を回収しに行くってことでいいか?」
「…ええ、あなたが仕切るのは気に食わないけれどそれで行きましょう。ロマニ!」
『うん?なんだい?』
「なんだい?じゃないわよ!今すぐに聖杯の位置を調べなさい!良いわね!?」
「んにゃ、その必要は無いぜ。俺が場所を知ってっからな。そっちの坊主もどこにあるか分かってる見てぇだしな」
「そういうことだ。今はとりあえず全員休むことだ。恐らくここに襲撃出来るやつはそうそういない。襲撃出来たとしても…」
英雄王の仕掛けた罠に殺されることになるがな。あの魔術師たちと同じように。
「それじゃあこの家は好きに使ってくれ。以上」
そういうとそれぞれがバラバラに別れていく。さて、俺はやることがある──っと。
「何の用でしょうか、キャスター」
「ああ、俺に対しても敬語なんざいらねーよ。聞きてぇことはたった一つだ。──お前、千里眼持ちだな?」
「──さあ、なんのことだろうな」
「ハッ、そうかよ。…何かあるんだな?」
「そういうことだ。北欧の賢者」
「…やっぱそういうことかよ。やめだやめ。お前さんとの腹の探り合いほど無駄なことはねぇ」
「同意見だ。…まあ、貴方の持つルーンは気になるがな」
「へぇ?なら教えてやろうか?」
「ぜひ頼む」
「ははは!良いぜ。そういう知識に飢えた奴は嫌いじゃねぇ。まずはここをこうして──」
そんなこんなで夜を過ごし…そして、決戦の朝となった。あらゆるものが俺たちを阻むだろう。まあ、それでも。
「なんとでもなるか」
何せ、心強すぎる味方たちがいるんだしな。
ということで立香のファーストサーヴァントはメドゥーサ、ハルトのファーストサーヴァントはエルキドゥになりました。