SCAPEGOAT~他者の命を踏みにじることでしか能力を使えない~   作:アフロマリモ

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1-5はカレンの視点で、1-6からはトカゲの業魔の視点です。分かりにくくてすみません。


1-5 カレンの視界 1-6 蝘蜓(カメレオン)の眼孔

1-6 カレンの視界

 

「ライアン!」

 私は叫んだ。私の弟であるライアンが、体を貫かれた投げ飛ばされる。その様子が目から離れなかった。また失うのか。強烈な喪失感に一瞬、体が硬直してしまう中、巨大な火球がトカゲのような業魔を襲った。強烈な爆音とともに、私は吹き飛ばされ、屋根から転げ落ちる。

「あ"づい"い"い"あ"あ"あ"あ"あ"ううう"あ"あ"あ"あ"あ"」

 業魔の断末魔が響く。

 激痛で透明化が解除されているようで、見るなアアア !とも聞き取れる叫びを繰り返しながらもまだ再生しようと肉体を修復している。そこへ容赦なく2発目の火球が命中し、業魔は崩れ去った。

 

 朦朧とする意識の中、私はライアンを探す。

 

「ライアン……ライアンまで…… 失いたく……」

 私は思うように動かない体を引きずりながら、ライアンが吹き飛ばされたであろうところに向かった。

(まだ……助かるはず…… あの怪我なら……すぐに、大司教様に見せて…治療魔法さえ……)

 そうきっと助かる。そしたらめいっぱい怒って、めいっぱい抱きしめるの。心配したんだからと、よくやったと。

 何とか辿り着いた。そこには、血まみれのライアンと知らない男がいた。

「ライ……アン」

 私はただ眺めることしか出来なかった。ライアンは溶け、その男を包んだ。

 瞬く間に、黒ヤギのような業魔に変貌する。

 私は一瞬理解出来なかった。その状況を、希望が目の前で打ち砕かれたこと

 

 

 

1-6 蝘蜓(カメレオン)の眼孔

 

 

火炎に焼かれ、肉体の再生限界を超えた俺は、業魔化を保てなくなり人間の状態に戻ってしまった。

 

「ぢぐじょお! なんでだよぉ! あとすごじだったのにぃ!」

 

 俺は吠えた。

 クソ異端審問官が取り抑えようと近づいてくるのが見える。

「クッソ! クソクソクソクソ!」

 材料として使ってやった女が、一瞬人の形に戻るがすぐにドロドロに溶ける。業魔化のために使った人間は、どいつもこいつもこうなる。

 まぁ、二度と俺を視界に入れない点に関しては最高だが、この状況は最悪だった。

「こっち見るんじゃねぇ! こっちに来るんじゃねぇ!」

 いくら叫ぼうと容赦なくこのクソ共は近づき、この俺を捕まえようとしてくる。だが俺は叫ぶ。1つの可能性に賭けて…

「"黒ヤギ"! 近くにいるんだろ! 倍額はらう! 助けろ! 俺が死んだら仕事全部の報酬は無くなるぞ!」

 虚しい叫びが無人の街にこだまする。誰もが無意味な行為、異常な行動だと思っただろう。

 だがその叫びに呼応するかのように、少し離れた場所で巨大な肉風船が膨れ上がった。

 巨大な肉風船は一瞬で、形を作り出した。

 漆黒の毛で覆われた二足歩行の巨人。その顔はヤギを連想させ、漆黒の角が渦を巻いていた。腰からは丸太のように太い尾が生え、胸と背中には円錐状の黒い骨が突き出ていた。

「 "黒ヤギィ!”」

 俺は叫ぶ。呼ばれた業魔は躊躇いなく突っ込み、迷わず俺を掴み上げる。

 

 周りにいた異端審問官は突然のことに驚き、避けることに全力を尽くす。

 業魔は外壁を軽々飛び越え森の中へと消えていく。誰もが満身創痍だった。

 

 

 

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