〜ハイスクールD×Dに転生したらしい〜 特典は『市丸ギン』…ってはぁ!?   作:四木シロ

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ええ、皆さん大変長らくお待たせいたしました。お久しぶりの四木シロです。
今話はかなりオリジナル要素が多く、かーなーり悩みました。
・・・長々と話してもアレですね。ではどうぞお楽しみくださいm( _ _ )m



なかなかヘタレ発言やったと思うんやけど?

side:バイザー

 

私は今、一本道の真ん中に立っている。意識がどこかフワフワしてかろうじて自分が道の上にいることだけはわかった。周りは暗闇に包まれており、ただ延々と道が続いている。前を向けば光が射し逆光となり、振り返るとただただ闇が広がっていた。…とりあえず、光の方に向かおうか?

 

 

 

 

 

 

かれこれ結構歩いたと思うが光が大きくなることもなく、近づいているような気もしない…。そして歩いているうちに少しだけ意識がはっきりしてきて、自分のことを思い出してきた…。私は確かあの青年に斬られ、死んだはず…。ということはここは天国か地獄かの分かれ道だろうか?日本(ジャパン)では閻魔様が生前の罪を裁くというが、実際はそんなこともないらしい。まだまだ、天国は遠そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩き始めてから体感的にかなり経ち、光も最初に比べ近くなったようにも感じる。しかし、まだ夢心地のように感じながらも少し気がかりなことがある。それは妹のことだ。あの青年は任せておけ、と言っていたがあの子は私が死んだことで沈んではいないだろうか…。いや、おそらく悲しみに暮れるだろう。それくらいは姉として分かる。一番困るのは私の後を追うことだが、それはあの青年が防いでくれると思いたい。そんなことを考えていると、急にグイっと後ろに引っ張られる。目を向けると一本の手が私の腕をガシッと掴んでいた。その力は強く、かなりの勢いで後ろに引きずられていく。その恐怖感は一気に私の頭を冷えさせて、夢心地からパニックに陥る。

 

「い、いや!離して!!」

 

悲鳴を上げようと、暴れて体をよじろうともその手は離されることもなく、むしろ引きずるスピードがさらに上がる。

 

(もう少し…!もう少しで楽になれるのに…!!)

 

あぁ、やはり私は天国には行けないんだ…。悪魔が天国に、というのもおかしい話だが、何もこんな仕打ちをしなくともいいだろう。それなら、気が付いたあの時点で地獄に落とされた方がよかった。目の前に餌を吊るしておいて、

届くのではないかと希望を持たせておいて、

道半ばで奪わずともいいだろう…!恐怖と絶望からその視界を滲ませながら光が遠のいて行くのをジッと見ることしかできず、自分の無力さが嫌になる。心がその絶望に染まりかけた時、腕を掴んでいた手とはまた別の手が私の右手を握ってきた。

ーーーあぁ、本格的に地獄が私を捕らえに来たのか

そう一瞬考えがよぎるが、その手は今までとは大きく違った点があった。()()()()()()()()()()()()()()()()。その手には生きているもの特有の温かさがあった。そしておぼろげに懐かしいような、見覚えがあるように感じた。そしてそれはすぐに確信に変わる。

 

(そうだ、そうだ…!そうだった!!)

 

この手は、長年繋いできた、ずっと離さなかった手だ!大切にしたい、守り抜きたいと思っていた手だ!どうしてすぐに気づけなかったんだろうか、この手を忘れるはずなんかないのに…この妹の手を!!その手にじぶんの手を添え、強く握る。先程とはまた違った意味で視界が滲んでくる。ふと、では自分が見ていた光とは何だったんだろうか?

と光の方を見るとヒュッと息をのむ。私がさっきまで天国だと思っていた光はその姿を変えていた。あんなに明るかったはずの光が打って変わって闇すらも飲み込むようなドス黒さと禍々しさを放ち、こちらを飲み込もうとじわじわとにじり寄って来ていた。迫りくる恐怖に取り乱しかける。

 

ー--…てよ

 

しかしその時、いつもよく聞いたあの子の声が私の耳朶を打つ。その声は私の恐怖を抑え込み、もはや闇と変わらない光に向けて生唾をのみながらも言う。

 

「私は…まだ…そちらに行くわけにはいかない」

 

あの子(あの青年)に任せたけど、一度は諦めてしまったけれど、あの子の姉は私だけなのだ。それにさっきの声…

 

ーーーきてよ。早く起きてよぉ…お姉ちゃん…

 

あんな嗚咽交じりの声を、妹の声を聴いてしまったなら、姉として、なにがなんでも起きなくてはならないではないか…。そう自嘲気味に笑いながら、私は意識が本当の意味で浮上するのを感じた。

 

バイザー視点:sideout

 

side:第三者視点

 

現実ではさっきまでいた外から場所を移して元の廃工場に戻り、どこからか持ってきた毛布の上にバイザーを寝かす形で一同は見守っていた。

 

「そない睨まんといてや?」

「う"う"う"う"…」

「これに関しては全面的にギンが悪いにゃ。」

 

…なにやらひと悶着はあったようだが、それはバイザーを運ぼうとした時ーーー

 

「な、何するんですか!!」

「何って…こんまんま目ぇ覚ますまで外に放置するんも不味いやろ?段々冷えてきとるし」

 

ギンはバイザーを抱えようと傍にしゃがむが、妹に警戒させる結果となった。

 

「???何がアカンの?」

「ギンにしては珍しいプレミにゃあ?」

「プレミ?」

「黒歌クーーイズ!今のバイザーの()()()()()()()()()()()()()()()にゃ?」

「格好?……あー、そう言えばそうか。うん、これは確かにプレミやなぁ」

 

そう、今のバイザーはリアスたちの攻撃を、さらにはギンの鬼道を受けてボロボロになってしまっている。つまりはほぼ裸のような状態である。

 

「ほらほら、男子は先にお姫様のためにベッドメイクでもしてるにゃ♪」

「はいはい…。妹さんも配慮がたらんでゴメンな?」

「……」プイッ

「たははは…」

 

ーーーということもあり、バイザーのそばにいながらも絶賛威嚇中である。

そしてついに、移動中も片時も離さなかった彼女の手にピクッと反応を見せた。

 

「!!お姉ちゃん!?」

 

姉の手をさらに強く握り呼びかける。その声に反応するようにバイザーの瞼がゆっくりと開かれた。

 

「んんっ…」

「おはようさん。いや、時間的にはおそようさん、かいな?」

「よかった、あんまり起きないもんだから何かミスしたかと思ったにゃ!」

「よかった…姉さん。本当によかった…」

「私は…死んだんじゃ…」

「あ~()()()()()言った手前、格好がつかへんねんけどな?」

 

『あないな事』とは…

 

ーーー恨んでええ、許さんでええ、君にはその資格がある。ただ、あとのことは任しとき

 

「あそこでああでも言わんと大人しくしてもらえへんかったやろ?」

「っ!!まさか()()()()私たちを!!ぐっ!」

 

バイザーが起き上がろうとしたが、体に力が入らず尻もちをつくだけとなってしまう。

 

「こらこら、傷は治っても体力は戻ってないんだから、じっとしてなきゃダメにゃん」

「勘違いせんといてほしいんやけど、別にボクらは君らを改造したやつらの仲間やないよ?」

 

バイザーの肩を抑え、改めて寝かせる黒歌。

 

「…そうじゃないという証拠は?」

「もしボクが仲間やったら、横の彼女(ヘタレ)を差し出さなあかんくなるなぁ」

「横の……あ、」

「なんか今不名誉な謂れを受けた気がするにゃ…。」

「言われたなかったら、早よ塔城さんに会いいや?で、分かってもらえたみたいやね」

「私も有名になったもんにゃあ」

「妹さんの方はわかってへんみたいやけどね」

「ん?んん??」

 

バイザーは納得顔をしていたがその妹は意味が分からず、頭上に?(クエスチョンマーク)を浮かべていた。

 

「確かにギンがアイツらとグルだったら今頃私は実験台に逆戻りにゃ」

「黒歌は君のお姉さんと同じはぐれ悪魔なんよ」

「同じなんてそんな!黒歌さんは私よりも上の上、S級じゃないですか!」

「まぁまぁ、等級なんて今はどうでもいいじゃにゃい。さっさと本題に入るにゃ」

 

ギンに話すように少し照れながら促す。

 

「そうやね…本題言うのは君たちの今後についてや」

「今後…?」

「君は死んだことになっとる。バイザー、君はもう自由や」

 

ただ、とギンは続け

 

「それも向こうさんが気付かん限り、って言う期間限定のもんや…君らはこれからどうするん?何か当ては…」

「……」

「その様子から察するになさそうやね…。なら君らに提案や

1つ、このまま今まで通り二人で生きていく

これはあんまり建設的ではないなぁ。さっきも言うたけど、また追手が出されるのが関の山やろうしね。

2つ、悪魔側に保護してもらう

木の葉を隠すなら森の中みたいにバレるん可能性は低い。一応、ボクの伝手で信頼できる人に君らを任せることもできるんやけど…」

 

ギン曰はく、狙っている奴らが奴らなだけに権力で出られた場合面倒だ、と

 

嫌だ!!

 

突然バイザー妹から拒絶の声が上がる。

 

「まぁそうなるわなぁ…。君らからしたら悪魔を信頼できるわけあらへんし無理にとは言わへん。なら、

3つ、堕天使側に保護してもらう

これが一番無難やない?聞いた話によればはぐれ悪魔の保護もやってるみたいやし、こっちにも伝手もあるから割かし待遇はいいと思うで?」

 

さぁ、どないする?、そう言いギンは二人を見やる。

 

…つ目の

「ん?」

4つ目の選択肢は駄目ですか?」

「「4つ目?」」

貴方の下に降ることはできないでしょうか?

 

・・・

 

「「「はぁ!?!?」」」

 

「いえ、考えたのですが…

まず1つ目は問題の先送りで根本的な解決にはなっていません。

次に2つ目は私も妹もあいつらに振り回されるのはもううんざりです。

最後に3つ目については比較的安全かもしれませんが以前…」

 

~それは二人が駒王町にくる少し前~

 

「ねぇ、あいつは!?」

「まだ追ってきてる!!」

 

バイザーは妹を俵のように担ぎ屋根の上を激走していた。そしてその数メートル後ろから

 

???「おい待てって!ちょっと体を診(見)させてほしいだけなんだよ!!」

 

明らかな不審者が追いかけていた。声からして男性であることは確かだがボロボロの服装やサングラスを掛けているため年まではわからない。さらにはその男の発言が二人の恐怖感をさらに駆り立てた。

 

「そんなの信じられないわけないでしょ!?」

「発言が変態おやじのそれじゃないの!!」

 

背筋に走る悪寒と立った鳥肌を無視しながら走る二人(一人)は思いを馳せる。

なんでこうなったのか、と

 

事の始まりは路地裏で二人が寄り添って蹲っているところに男が足を止め近づいていき、

 

「お前…はぐれか」

 

その一言を聞いた瞬間バイザーはすぐさま妹の首根っこを掴みながら男との距離を開けるように後方に飛び退く。なぜバレたのか、どこの追手なのか、などの驚きや疑問を頭の隅に追いやり相手をうかがうバイザーであったが、その背に嫌な汗が伝う。それもそのはず…

 

(……わからない?)

 

相手の力量がわからないのだ。今まで二人を狙ってきた者達は大きく分けて2種類いた。

一つははぐれ悪魔を討伐しようとする者。

そしてもう一つ、過去にはぐれ悪魔の被害を被った一般人。

後者は大抵、記憶処理によって被害自体をすり替えられるので可能性は低い。ので、おそらくこの男はカタギではないのだろう。しかし過去に二人を追ってきた者たちはその自分の大なり小なりの力を隠すことなくひけらかしていた。にもかかわらず、目の前の男は侮りもせず、かと言ってこちらにビビっているわけでもない。そんな不気味とも取れる男が再度口を開く。

 

「あー、そんなに警戒しなさんな。別にオレは悪魔陣営関係者じゃねえから」

「…ハッ!それを鵜吞みにできるわけないでしょ」

「それもそうか…」

「………」

 

そうして二人の間に数舜の静寂が流れ、男がそれを破った。

 

「その術式、○○○のか…」

「……ッ!?なぜそれを!!!」

「わー!待て待て!!オレは技術屋なんだよ!だからそーいう事にも詳しいんだ!」

「……こだ」

「あん?」

「どこの技術屋なんだ、と聞いている!」

「んー、別に言ってもいいか?堕天使陣営だよ。これで満足か?」

 

男が口にしたのはバイザーたちがこうなった原因である奴らの名。やはり奴らの仲間か!?と敵意をむき出しにするバイザーたちに慌てたように、少しばかりの諦めも含んだ弁解を伝える。これは言うつもりなかったんだがなぁ、と付け加えて。

 

「診てやろうか?」

「ッ!!」

「オレも技術屋の端くれだ、何かできるかもしれねぇ。何より…」

 

ーーー興味がある。

 

その目をバイザーは()()()()()。奴らの目だ。何かに魅せられ、それに手を伸ばす。どこか純粋で、無邪気で…()()()()()()()()()目だった。そしてその目はバイザー達にとってトラウマであった。そんな目の先にいるバイザーは恐怖で身が竦み、金縛りにあったかのように動けずにいた。

 

「ん?おーい?」

 

恐がらせちまったかな?と男が声をかけるがバイザー達に反応はない。男の声など耳にも入らないバイザーはふと、足元の妹が目に入る。妹もバイザー同様に恐怖に蝕まれていた。体を小刻みに震わせ、呼吸も少し過呼吸気味で顔色など死人のように悪いと言っていい。それに気づいたバイザーは自分を鼓舞し、体の支配権を恐怖から奪い返して妹を抱え壁を蹴り逃亡を謀った。

その結果、上記のようになったのだが…。

 

 

 

余談だが、この追いかけっこは男が別にやって来た大柄な男とその取り巻きに抑えられている間に二人が逃げ切る、という結果に終わった。

 

 

 

「と、言う事がありまして」

「あぁ~、まさか…」

「それって…」

 

ギンと黒歌は同時に同じ人物を思い浮かべていた。

どちらも思い浮かべたのは堕天使のトップであり、変人としても知られている人物。二人は顔に出していたが幸いにしてバイザー達はそれに気付くことはなかった。

 

「…まぁ堕天使側に行きたないんはわかったわ。でもなんでボクに拘るん?自分で言うのもなんやけど大したもんやないで?」

「端的に言えば恩を返したいのです。貴方達のおかげで私は今もこうして妹と居られます。そうでなければ、今頃私は妹一人残してあの世行き…。妹が無事の保証もなかったでしょう」

「いや、だとs「それに!!」……」

「それに、貴方自身は大したことないとおっしゃられましたが、貴方の力は私が身をもって知っています。

 

どうか、私に仕えさせていただけませんか?」

「んぐっ…」

「ギーン?負けにゃ、負け。即否定できない時点で詰みにゃよ。というかギンも渋るほどデメリットにゃいにゃんね?」

「え、それは?」

「そもそもうちらがギンの家に入り浸ってる時点で隠蔽性はお墨付きにゃし、確か部屋も余ってたから広さもモーマンタイにゃ!

にゃんにゃらこのまま見捨てる方が目覚めが悪いんじゃにゃいかにゃ?」

「見捨てるて…言い方」

「今更一人二人増えたところで……ねぇ?」

「そら自分らが勝手に入ってくるからやろ。……ハァ、ええよ認めたる。で、さっきから蚊帳の外やった妹さんはそれでええの?」

「気付いてたなら入れてほしかったんだけど。…そんなのいいわけないでしょ、姉を傷つけた相手の世話になるなんて。でも、認めるしかないじゃない私達に頼る当てなんてないし、自衛する強さもない。なら、貴方の方がいくらかマシよ」

 

苦虫を嚙み潰したような顔でそう答えるバイザー妹。

 

「というか、どこでそんな信頼を得たんか…」

「ギンは一人っ子だからピンと来ないかもしれにゃいけど、姉にとって妹はにゃによりも大事にゃのよ?」

「ええそうですね。貴方は何のメリットもないのに私の妹を庇ってくれた…。それだけで十分です」

「わ、私は別に信頼はしてないわよ!?信用はしてもいいかもだけど…

「ほんなら二人ともウチで面倒見る、で本当にええんやな?」

 

「ええ、妹共々よろしくお願いいたします」

「まぁ仕方なくよ、仕方なく」

 

憮然としている妹の頭をバイザーに押さえられながら頭を下げる二人。話がまとまってきたところで、黒歌がふと

 

「そう言えば妹ちゃんの名前はなんて言うにゃ?」

「確かに聞いてへんかったな。なら、丁度ええし簡単に各々自己紹介でもしよか?」

「はいはーい!にゃら私から!皆さんご存じ!美少女はぐれ悪魔の黒歌ちゃんにゃ!!」

「「「・・・」」」

 

四人の間に流れるのは少しの沈黙。ちょっと吹いた風が肌寒く感じたのはきっと季節の変わり目のせいだろう…。そうと言ったらそうなのだ(念押し)。

 

「にゃにか言えにゃ!!」

「自分で美少女言うてたら()()()()()()…」

「真似るにゃ!」

「まぁ、自称美少女は置いといて…。ボクは市丸ギン…一般人や」

「逸般人(笑)の間違いじゃにゃいかにゃ?」

「オーケー、黒歌後で覚えときや。ほい、お次は?」

「では、私が。私はバイザー、知っていると思いますがはぐれです。ところで、お二人は私達の能力についてはご存じですか?」

「確か身体を変化させてへんかったっけ?それのことかいな?」

 

リアス達との戦いを思い出しながら指摘したギンに対して感心したように頷くバイザー。ギンの言う通りバイザーはさっきの戦いでは最初自身の足を変化させケンタウロスの様にし、そして今は妹よりも少し小さな姿をとっている。

 

「流石ですね()()()。私は自身の身体を他の動物に変化させることができます。」

 

(((様?)))

 

バイザーの説明(途中引っかかるワードがあったが)を他のメンバーは大人しく聞いていた。

 

「ただ自由に変化できるかと言えばそうではなくて、変化する動物は今まで私が食べた生物に依ります」

 

この様に、と声に合わせて彼女の右手がみるみる変わっていき、鳥の翼にタコの触手が絡まったように変化した。これにはギンも黒歌も驚き、少し目を見張る。

 

「って、ギンは見てたんじゃにゃいの?」

「いやいやあん時は土煙とかで変わる瞬間のとこはよう見えんかったんよ。っていうか複数種類同時にできるんや?」

「ええ、工場内でのケンタウロスもどきは四足類のを何種類か掛け合わせて作りました」

「なるほどなぁ…んで?最後は?」

「あたしよね?

あたしはシェス

バイザーお姉ちゃんと同じくはぐれよ。そして能力は、これ」

 

そう言うとバイザー妹改め、シェスは両手を胸の前で祈るように組み、なにやら力を込めると手の隙間から光がこぼれた。シェスが手を開くとそこから小ぶりなウサギがぴょこんと飛び出し…

 

いったぁ!!

 

ギンに後ろ回し蹴りを喰らわせた。

 

「私の能力はお姉ちゃんと少し似てて、私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

おいで、とウサギを呼び手の中に収めるシェスの胸元を見るとそこには不自然な孔ができており、黒い靄が丁度シェスの心臓の上あたりを覆っていた。

 

「私が作り出した生物の基になっているのは私の魔力でもなく私の身体自身…。だからあまり大きなものも作れないし数も出せない。しかもお姉ちゃんと一緒で今まで口にした生物限定って言う制約付き」

 

そうぼやきながら手に乗せたウサギをシェスが撫でるとウサギは黒い霧となり、シェスの空いている孔へと戻りそこにはもう孔はなくなっていた。

 

「ボクに蹴り喰らわせたんはノーコメントかいな?」

「ハンッ!」

「鼻で笑うんやけどこの小娘」

「私が生み出した生物は私の心理状況に大きく影響されるの…。つまりはそういうことよ。私からは以上よ」

 

もう話すことはない、と言うようにそっぽを向くシェスにバイザーは苦笑いしながら再度頭を下げる。

 

「改めまして市丸様、妹共々よろしくお願いします。」

「さっきから言おう言おうと思うっとったんやけど、その『様』って何なん?」

 

別に敬称はいらへんで?と肩をすくめながらギンが指摘するが、バイザーはいたって当たり前のようにキョトンとした顔で

 

「???いえ、これからは市丸様に仕えるのですからそれに相応(ふさわ)しい態度でなければなりません」

「…マジ?」

「マジのマジ、本気と書いてマジと読むくらいには本気ですよ」

「えぇ…」

 

困惑を隠せないギンは額に手を当てて天を仰いでしまった。助けを求めるようにチラリと横を見れば顔を背けプルプル震えている駄猫が見えたので軽くはたく。消去法で残った一人に視線をやるとため息をつきながらも答えてくれた。

 

「私たちのご主人様になったんだから‟そう”命令すればいいじゃない」

「それ採用。バイザー、あとシェスにもいらんと思うけど言うとくわ。面倒を見る言うたけどあくまで関係は対等や。これは絶対に譲らんd、ってあからさまに悲しそうな顔をするんやないよバイザー。あと、なんでキミはそない驚いとるん?シェス」

 

いや、だって…と口ごもるシェスの顔には困惑の色がありありと出ている。それほどに先程のギンの言葉は彼女にとって意外なものだったようだ。その彼女にギンは目線で以て言葉の続きを促した。

 

「だって、今までの男たちだったら調子に乗ってさっきの言葉は絶対に出てこないもの。『対等』だなんて…というか少なからずシモみたいな命令が出されるんだって思ってたし…」

 

まぁそうしたらあんたを蹴っ飛ばして姉さんを引きずってでも逃げてたけど…と続けるシェスに対し黒歌が肩に手を置きながら言う。

 

「ギンにそういうのを期待しちゃダメにゃん。そっち方面に走らにゃいことにおいては信頼してもいいんだけど」

 

瞬間、ギンの背筋に悪寒が走り、嫌な汗が流れた。

 

!?!?!?

 

 

 

…なんなんその目ぇは」

「この通り()()()としては困ったもんにゃのよねぇ」

 

黒歌の目は【野生】のそれであり、捕食者の顔をしていたのは見なかったことにしよう。

 

「とまぁ話は逸れたけどそっちの面は気にしにゃくてもいいわよ。私が保証してあげる」

「ふーん、それならいいんだけど」

 

まだシェスの不信感は拭えていないようだったがとりあえずは納得したっようだ。ひと段落着いた、と思いきや未だに不満の色が濃いバイザーが重い口を開くー-

 

「力、ですか?」

「ん?」

「私の力が足りないから。貴方様に仕えるに値しないということですか?!」

「ん-?何を曲解しとるしらんけどそういうつもりで言うたんやないで?」

「ならなんで!」

()()()()()()()()

 

はっきりと、取り付く島もなくギンは断言した。そしてさらにギンは続ける。

 

「そもそも、ボクは王と家臣みたいな上下関係がそない好きやないんよ。まぁ一般人には従者とかは荷が重い」

 

自嘲するように言葉を連ねるギン。

 

「つまるところ、ボクにとっては後ろで(かしず)かれるよか隣で一緒に笑っとる方が好みっちゅうだけの話や」

 

そう言いながら先程の自嘲とはまた別の笑みを浮かべるギン。丁度そこに月明かりが後光の様に射し、そこだけどこかの絵画を切り抜いたような美しい光景が広がっており…

黒歌は目を抑え直視できず、

バイザーは胸を押さえ、

シェスはそっぽを向いているがその耳はどこか赤い。

 

「ちょっ!?皆どないしたん?!」

「ギンは自分の容姿についてもっと知った方がいいにゃん」

「…こればっかりは黒歌さんに賛成ね」

 

「やはり私の判断は間違いじゃなかった」

 

ギンの話に三者三様の反応を見せた女性陣。……しかし、約一名には逆効果であったようだ。

 

「市丸様、申し訳ございません。先程のお話をお聞きした上でなお伏してお願いいたします。どうか私に貴方様に仕えさせてはいただけませんか?」

 

そう言いながらバイザーがとった行動はまさかのDO☆GE☆ZA。

 

「ちょちょちょっ!なに土下座なんかしてるん!?頭上げぇや!」

「いいえ!!市丸様が良いと言うまでこの頭、上げるわけにはいきません!」

「いったい今のどこに君の琴線に触れる部分があったんや…」

 

今のなかなかなヘタレ発言やったと思うんやけど?と肩をすくめながら呆れるギンに対し、バイザーは微動だにせず一向に頭を上げる気配はない。

 

「だぁぁぁ!!ええよ!根負けや、好きにしたらええ!」

 

その言葉に勢い良く顔を上げたバイザー。その目は少女のようにキラキラと輝いていた。そんな嬉しそうなバイザーにギンは、ただし!と一言断りを入れ、

 

「ただし!ちゃんと理由は聞かせてもらうで?それと、敬語とかの言葉遣いにとやかくは言わへんけど…けどやな!?

 

 

 

 

せめて…せめて『様』付けだけは堪忍してくれへん?」




お楽しみいただけましたでしょうか?どうも皆さん、お久しぶりの四木シロです。
本当に今回は長らくお待たせして申し訳ございません。実際エタリかけましたが、なんとか続けることができております。これも全ては評価や感想、そしてなにより読んでくださる読者様方のおかげです。以後、今回の様に空けることがないよう精進していく所存なので、何卒宜しくお願い致します。



感想や評価と誤字指摘、心よりお待ちしております!!

活動報告にも記載したのですが、大変身勝手ながら本作品をリメイクしようと思っています。なのでリメイクの仕方をアンケートさせてください!方法は以下の通りです!

  • 作品は削除せず、再編集をしていく
  • 作品を削除して、1からスタート!!
  • はよ続き書けやオラァん!!!!
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