惑星デザトン──
「ふむ、あれがヴィランの基地のようだな」
俺は今地表のほとんどが砂に覆われた惑星のデザトンに来ていた。
目的は諜報部からもたらされたヴィランの基地の所在地の調査及び破壊。
メンバーはヒーロー側の中でも手の空いていた隠密が可能な者が選ばれ、今回は俺とネームレスレッドが向かうことになった。
俺達は敵の監視の目を潜り抜けて基地の中心部へと侵入していく。
今回はいつもXがやっているように破壊すれば良いわけではない。
それが緊張させていた。
何せこのタイプのミッションははじめてなのだ。
まあ、そんなだから凡ミスで敵に見つかってしまうのだが。
「侵入者だ!」
「やっべぇ!」
ミスといっても簡単なもの。
転がってた石を蹴っ飛ばすとか言うベタなやつだ。
「しょうがない、撤退だ!」
「了解!」
「おっと、私がそんな簡単に逃がすわけがないだろう?」
俺達を追ってきたのはいつぞやのデミ・フェット。
「また、お前かよ!」
「なんだ、知り合いかね」
「宿命のようなものだネームレスレッド」
フェットはそう言うと両手の銃剣のトリガーを引いた
「あー、やられた。完全に時間稼がれたな」
「ああ、噂には聞いていたが、デミ・フェット、恐ろしく強い男だったな。ふたりがかりでもあれだけ時間を稼がれるとはね」
俺とネームレスレッドはデミ・フェットとの戦闘に時間を費やされ、お互いが疲弊した辺りで基地の警備兵に捕まってしまった。
今は独房にそれぞれ入れられている。
なんでもキャプテンニコラに連絡したとかなんとかでキャプテンニコラが来るまでしばし待たされるとのことらしい。
要するに暇なのだ。
「・・・そういえばこんな機会ないんで聞くんですけど」
「なんだね?」
「ネームレスレッドってクローンサーヴァントだったりしますか?」
「・・・何故そう思う?」
「単純に投影魔術と顔」
前々から気になってはいたのだ。
出自が一切不明な上よく似たデミ・フェットとかいうサーヴァントが存在しているのだ。
俺という前例がある以上彼もそうではないかと思ったのだが、
「答えとしては是だ。私はかつてとあるヴィランの研究所で誕生したデミ・フェットのクローンの第一世代だ。元々サーヴァントは外部から霊基を成長させることができる。故に違法に作り出されたサーヴァントを成長させることは奴らにとっては簡単なことだったのだろうな」
「俺と同じってことか」
「君の場合は私と違って強制的な成長はまだ最低レベルしかされていなかったようだがね」
俺では知り得ない情報を持っている辺りネームレスレッドもかなり苦労したのだろうとは思う。
キリツグの話では発見したのも破壊したのも俺を拾った研究所一つだけとのことだった。
つまり、ネームレスレッドは後ろ楯も庇護してくれる存在も無しに俺と同じだけの年月を生き抜いてきたことになる。
「まあ、君も知っての通り私は私なりに努力して今の場所にいる。
私たちはヴィランの兵器として作り出されたが今はヒーローとしてヴィランと戦っている。
どう生まれたかではなくどう生きたかが重要だと私は思うしね。
君が失われた兄弟達のことを気に病むことはないということだ。
君は君らしく君自身のために生きると良い」
どうやらネームレスレッドには俺が研究所から生還してしまったことを重石に感じていることはお見通しだったようだった。
「さて、やることはやった。さっさと逃げるぞ」
「そうですね。こんなところに居座る理由はないですからね」
実は俺たちもこの雑談の間にコンピューターウイルスを施設のメインコンピューターに侵入させ自爆プロトコルを作動させようとしていたのだ。
そして、ちょうど今全ての段階をクリアしたのだ。
「ふむ、まんまとしてやられたようだな」
と、逃げ出した俺達の前にデミ・フェットが再び現れる。
「てめえしつこいぞ!」
「全くこちらは急いでいるのだがな」
「それはこちらも同じだ。あまり、時間をかけすぎると私も死んでしまうのでね。本気で行かせてもらう」
デミ・フェットが魔力を高める。
しかし、それを許すネームレスレッドではない。
「シロウ、見ていろ。私の全身全霊を!」
『体は剣で出来ている
I am the bone of my sword.
血潮は鉄で心は硝子
Steel is my body,and fire is my blood.
幾たびの戦場を越えて不敗
I have created over a thousand blades.
ただ一度の敗走もなく、
Unaware of loss.
ただ一度の勝利もなし
Nor aware of gain.
担い手はここに孤り。
Withstood pain to create weapons,
剣の丘で鉄を鍛つ
waiting for one's arrival.
ならば、我が生涯に意味は不要ず
I have no regrets.This is the only path.
この体は、
My whole life was
無限の剣で出来ていた
"unlimited blade works"』
景色が変わる。
荒野に無限に存在する剣、剣、剣。
そのどれもが贋作だったがその全てが真作だった。
彼は到達していた。
彼は解っていた。
彼は終わってなどいなかった。
「──これが私の答えだ。これが私にたった一つ許された魔術だ。」
結局、彼はデミ・フェットを行動不能にとどめた。
彼もきっと俺と同じ場所を見たのだろう。
俺は彼の背中にそれを感じながら帰途に着いた。
というわけでお久しぶりです。
取り敢えずテスト終わるまで待ってクレメンス・・・
今回はネームレスレッドとシロウの関係です。
まあ、無関係ではないですね。
それと、ネームレスレッドの宝具の固有結界の詠唱や最後のセリフは彼がエミヤではなく士郎に近い精神や考えを持っていることを表現してみました。
ギャグ時空でくらい夢見て欲しいんや・・・
彼は作者の中では言動と技術はエミヤ、芯は士郎という感じなのでこんな感じになりました。
ではまた!
感想評価クレメンス