side桜木咲子
咲子「……あ、ここだ」ポチッ
ピンポーン。
………ガチャッ。
??「おお、いらっしゃい、咲子さん」
咲子「こんにちは、平尾さん」
この人は坂田平尾(さかたひらお)さん。日花先生の夫だ。ボサボサの黒髪で、眼鏡をかけている。
今日は日花さんに呼ばれて彼女の家に来た。
平尾「さあ、入って入って」
咲子「失礼します」
ーリビングー
未例「あ、咲子じゃないか」
日和「一緒にゲーム、する?」
咲子「いや、遠慮しときます。日花先生はどこですか?」
未例「………ブッ」じー
日和「はははっ、母さんはアンタの後ろにいるのよ」
咲子「………ふぇ?」クルッ
そう言われてあわてて振り返ると、マジで日花先生がいた。
日花「……よっ」
咲子「よっ、じゃないですよ!いつからいたんですか!?」
日花「日和がゲームするか誘って来た時からいたわね」
咲子「全く気付かなかった…」
日花「まあ、気付いてたら逆にすごいんだけどね。こんなに気配を消すのは天……これ以上は言わないでおくわ」
咲子「は、はぁ…。今日は何で呼び出したんですか?」
日花「ちょっとアンタに見せたいものがあるのよ」
未例「……ああ、あれね」
日和「咲子ちゃん、びっくりするわよ〜♪」
咲子「何を、ですか?」
日花「正確には、私が飼い始めた鳥ね」
咲子「鳥?」
日花「そう、鳥。とりあえずついてきなさい、鳥だけに」
テテッチー。
未例「……ブッ」
日和「はははははっ、いいダジャレね、母さん」
平尾「………」カチーン
咲子「あ、はは…」
私は苦笑い、未例さんは笑いをこらえ、日和さんは大笑いし、平尾さんは何故か物理的に凍っている。なにこの変な状況。
日花「…ま、それは置いといて、ついてきなさい」スタスタ
咲子「え、あ、はい」スタスタ
ー倉庫ー
咲子「広い倉庫ですね」
日花「まあね。さてと」
日花は指をくわえると、
ピーッ!
口笛を吹いた。
すると…
「ピェェェェェェ!」
バサバサッ!
咲子「……………え?」
烏ぐらいの大きさの鳥が飛んできて、先生の肩に乗った。しかし、ただの鳥じゃない。
火を纏った鳥、不死鳥だった。
日花「どう?驚いたでしょ?」
咲子「いやいやいやいやいやいやいやいや!驚くどころじゃないですよ!なんで不死鳥を飼ってるんですか!?」
日花「この子、朱雀っていうのよ。可愛いでしょ」ナデナデ
朱雀「クルルルル…」
咲子「名前は聞いてません!」
日花「はいはい、飼い始めた経緯ね。…ゴールデンウィークのから少し過ぎた頃の話なんだけど、有美先生が赤い卵を渡してきたのよ。なんの卵か聞いてみると、不死鳥の卵って言われて、相変わらずこの人ぶっ飛んだもの渡してくるな、なんて思ったわ」
…有美さんって、ぶっ飛んだもの渡してくるのね、脳内にメモっとこ。
日花「私も最初は遠慮したんだけど、その時に卵が孵化して、刷り込みで私を親と認識してしまったのよ」
咲子「あらら…」
日花「それで先生は、天界で不死鳥から『この卵を坂田日花に渡しなさい、いつか絶対に役に立つでしょう』なんで言われたらしくて…あ、テレパシーでね」
不死鳥ってテレパシー使えるんだ。
日花「だからしょうがなく飼うことにしたのよ。でもこの子すっごく可愛くて…めんどくさい気持ちなんて吹っ飛んでしまったわ」ナデナデ
朱雀「クルルルル♪」
咲子「朱雀って、主になにを食べるんですか?」
日花「鶏肉ね。好物は唐揚げね」
咲子「唐揚げ食べるんだ…」
朱雀「ピェェ!」バサッ!
朱雀は先生の肩から離れ、今度は私の肩に乗った。
咲子「え?えっと…」
日花「頭を優しく撫でてやりなさい」
咲子「あ、はい。よしよし…」ナデナデ
朱雀「クルルルル♪」パァァ
私は朱雀の頭を優しく撫でると、朱雀は気持ちよさそうに鳴く。確かに可愛い。
咲子「…なんだか癒されますね」
日花「そうね。ちなみに、朱雀はまだ生まれてから2週間しか経ってないのに、もう火が出せるのよ」
咲子「それって珍しいんですか?」
日花「ええ、普通は1ヶ月ほどかかるわね」
咲子「うわ、早いですね…」
朱雀「ピェェェェ!」ボォォォ!
日花「ほら、そんなふうに」
咲子「おお、凄いですね!」
その後しばらく朱雀と遊んだ。めっちゃ癒された。
キャラクター紹介
坂田平尾
日花の夫。眼鏡をかけている。
坂田朱雀
不死鳥。唐揚げが好物。
次回もよろしくお願いします。