「犬コロが風邪ひいただと~!!」
それは突然のことだった。ワタシが珍しく城下町に出かけていて、3日ほどして帰ってくるとビスコが寝込んでいったのだ。というより、そんなに大事なことは晩飯の途中ではなくもっと早く報告できんのか!このポンコツは!
「リカ様が王都に観光......いえ、お仕事に向かわれた直後にビスコ様はお身体の調子が悪くなりました。おそらく、毎晩夜遅くに森に行かれて訓練をされていたのが原因ではないかと。はい」
「メ タ リ カだ!」
とりあえずコイツにはいつも以上にきつい蹴りを¥$〇#に食らわせておいた。効果があるのかは知らんが。
アイツはどうやら毎晩ウーズの森にまで行き訓練なるものをしていたらしい。まったく、犬コロらしく運動するのはいいことだが、もう少し自分の体調にも気を配れんのか。
それよりも百騎兵!オマエはいつも家の前に居座っているだろう。ワタシの忠実なる部下としては、家の出入りする者の報告くらいしてくれんと困るぞ。
「もきゅ?」
......まったく、どれだけ強くなろうがコイツに門番は任せられんな。あの日から百騎兵はデカくなったりちっこいままだったりで自由に体を変形できるようになったらしいが、相変わらず何を考えてるのかはさっぱりわからん。
それよりも早く犬コロの様子を見てやらんとな、渡したいものもあるんだ。アイツは家主がいないことをいいことに、ワタシのベッドで寝ているらしい。(おそらくこの家で一番大きなベッドにアルレッキーノが寝かしつけたのだろう)
「おーい、ビスコ生きてるか~」
そんな半分冷やかしに、半分は本気で心配した気持ちでワタシの部屋を開けるとビスコは汗だくのベッドに横たわっていた。起こすのも悪いし様子だけ見ようと思っていたのだが、ビスコはワタシが入ったのに反応して目を覚ましたようだった。
「...んっ、メタリカか...。もう王都での仕事の方は終わったのか?」
「しんどいなら無理して話すなよ。体調の方はどうだ?」
「ああ、アルレッキーノが色々世話してくれたおかげでだいぶ楽になったよ」
...ワタシが風邪をひいたときに世話になったビスコには恩を返すチャンスだと思ったんだがな。まあ、よくなったというのならそれに越したことはないだろう。
「キヒヒ、その様子なら大丈夫そうだな。だが気を緩めるなよ、犬風邪は下手したら人間よりも症状が悪くなることだってあるんだからな」
「?? どうしてお前がそんなことを知っているんだ?」
「っっ!!うるさい!犬コロは犬コロらしくワタシの言うことを聞いておけばいいんだ!」
こいつは相変わらず細かい事にも気が付くんだんな。犬コロのくせに、流石は王宮で育っただけはあるな。
...まあ、体調は良さそうで正直安心したよ。
▽ ▽ ▽
メタリカが3日ぶりに帰ってきたようだ。そういえば、あいつがウツシにかかった時は私が看病をしてあげてたっけな。あいつは普段から生意気な態度をとる割に、寝顔だけは子供みたいでかわいいんだよな。
それにしても様子が少し変だな。さっき怒鳴ったっきり何もしゃべらないし、何故か口をもごもごさせているし一体どうしたんだ?しかもよく見れば馬鹿でかい袋を持ってるじゃないか。
「メタリカ、そのぱんぱんに膨らんだ袋はいったい何なんだ?」
「ん?あー、これか?これが気になるのか?キヒヒ!」
「どうせまた何か企んでいるんだろう?私を驚かせようとしても、もうめったなことでは驚かないぞ?大体のイタズラはお前にされてきたからな!」
「どうだかな~。それに、オマエならこれの中身はとっくに分かっているものかと思ったぞ。やはり風邪のせいで犬の鼻の調子も悪いんじゃないのか」
なんだ、においで気づくだって?くんくん、くんくん。私はベッドから起き上がってメタリカに近づいたが、なんだか甘い匂いがするような... って、これはもしかして!
「そうだ!今日はメタリカ様の帰還パーティ!ついでに犬コロの回復祝いもかねてぱぁっとやろうじゃないか!!」
そう言うとメタリカは袋を思いっきり私に投げつけてきた。その中には、やはりというべきか碧ノ実の砂糖漬けが大量に入っていた。今は魔女も少なくなってきて碧ノ実を売っている店も少なくなっているのに、本当にたくさん買ってきたな。
「リカ様はビスコ様がまた勝手に出ていかぬよう、ビスコ様の好物である碧ノ実の砂糖漬けを町中探し回って買ってきたのです、はい」
「うるさい!!オマエは早く宴会の準備でもしてろ!あとメタリカだ!」
それにしても、私の体調も完全に治ったとはいえんのに宴会とは、メタリカらしいな。私のことを心配してくれているのかどうかわからんな。...いいや、こいつなりに私を元気づけてくれているのだろうな。アルレッキーノもキッチンの方に行ったし、私も何か手伝いに行こうかな。
「ビスコ、ちょっと待て」
「...? どうしたメタリカ?」
「あの、よかったな、体調良くなって。...正直私も安心したよ」
「もしかして、本当に私のことを心配してくれてたのか?」
「!! いや、心配というよりだな!ペットのオマエに何かあればワタシの責任になるのであってそれで...」
「ありがとうメタリカ。私も魔女であるお前が城下町に行ったことは心配していたのだが、いつも通り元気そうで嬉しいよ」
メタリカはそっぽを向いて私から顔を背けてしまった。なんだ、寝顔以外でもかわいい表情ができるんじゃないか。本当にありがとうな、メタリカ。
それから私たちは朝まで飲んで食べてで騒ぎまくった。思えば、こんなにゆっくりと私たちでともに語り合うのもメタリカが魔女になった祝いの時以来かもしれないな。
...私も、メタリカ達を守れるようにさらに強くならないとな。メタリカには注意されたが、また明日から訓練も再開しよう。
▽ ▽ ▽
次の日の夕方、リビングで寝落ちしたメタリカとビスコは2人仲良く風邪をひいて1週間寝込んだとさ。
なんと今更魔女と百騎兵をプレイしたんですけど本当に楽しすぎて1週間ぶっ続けでやってました... 反応良ければアイデア思いつき次第続けるかも!