私はストライカーユニットの開発がしたい   作:社畜新兵

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薄暗い会議室で、二人が延々と会議するお話です。
「どんな判断や!金どぶに捨てる気か!」
みたいなやり取りを、二人がしていると思ってください。


登場人物

ヘルムート・ビッツ
元カールスラント軍所属の傷病軍人。オラーシャの設計局で開発主任を非公式に勤める。一度撃墜された彼女は、このユニットの開発を成功させ、再起を図る。
年齢16歳

ヴラジミール・ミハイル・ペトリャコフ
表向きの開発主任
おおらかな性格だが、仕事には厳しい。
ヘルムートの上司にあたる。
年齢60代

場所
会議室


会議

「以上の理由から、開発期間の延長と、予算の追加投入をお願いします」

締め切った薄暗い会議室で一人の銀髪の女性が、黒板に書いた細かい数値や、大きく広げられて貼られたブループリントを、物差しで指しながら何かを説明しおえた。

「無理だな、荒唐無稽な話だ。君はカールスラント人だろ?だったら与えられた期限と予算は守るべきだ、最初からそう言う約束だったはずだ」

向かい側の席に深々と腰掛けるでっぷりと太った男が、彼女の要求を鼻で笑いながら返す。

「しかし、今のままでは!」

「おい、少し熱いな、暖房を弱くできないか?」

銀髪の女の反論を太った男は軽く遮り、部下に暖房の温度を下げるように言った、真冬だというのに、この部屋は相当暑い。主な原因は彼の吐く暖かな息が部屋を徐々にあたためているからだが。

「今のままでは、当初の計画にあった「究極のストライカーユニット」は開発できません」

銀髪の女性がゆっくりと椅子に座りながら太った男の目をまっすぐ見ながら淡々と語る。

「ヴィッツ中尉。ヘルムート・ヴィッツ特務中尉。もういいんじゃないか?君は十分やった」

太った男がゆっくりと、銀髪の女性をたしなめる。

太った男はどうやら名のある将校のようで、かなりの年をとっていて、表情は柔らかく、落ち着いた雰囲気を漂わせている。

「ペトリャコフ中佐!ここで諦めては全てが水泡に帰しますよ!あなたは責任を取らさ..」

銀髪の女は興奮した様子でまくし立ようとする。彼女の名はヘルムート・ヴィッツ、かつては、誰もが彼女の名前を知っていた。だが今は皆に忘れられ、名前がない亡霊と同じ。

「君の戦争は終わった。終わったんだよ」

興奮し、再び立ち上がったヘルムートに残酷な事実を突きつけるペトリャコフ。

「この鏡で今の君の姿を見なさい、中尉、左腕と左目を無くし、不具の体だ」

ペトリャコフは懐から手鏡を取り出しヘルムートに向ける。

「不愉快です、その目は、気に入りません」

ヘルムートは鏡を見ようともせず、老兵の憐みにあふれた目を刺すように睨む。

「そうかい、開発を延長するにしろ、司令部を説得する材料がないとな。何もないだろ今は」

ペトリャコフは感情的になるヘルムートを軽くあしらいつつ、淡々と言った。

「試作機は、完成しています。ですがあれでは不十分です。性能が、不十分なんです」

少し落ち着きを取り戻したヘルムートが、目線を床の端にそらし、悔しそうにつぶやく。

「試作機?初めて聞いたぞ?性能は?どれくらいだ?」

ペトリャコフが、目を見開き驚きながらヘルムートに問い詰める。

「これくらいです」

恥ずかしそうに、試作機のスペック表をペトリャコフに渡すヘルムートは、まるで教師に遅れた宿題を提出する小学生のようだった。

「ふむ、なかなかいい数値だな、司令部の要求した値をわずかに下回っているが」

渡されたスペック表に軽く目を通し、少し嬉しそうにペトリャコフは言った。

それを聞いたヘルムートは、弱々しく返す。

「下回っていたら駄目じゃないですかぁ」

「ふむ、このユニットは初飛行したのか?」

ペトリャコフがヘルムート顔をのぞきながら聞く。

「はい、私が直接試しました。10回ほど」

ヘルムートは唇を尖らせながら、恥ずかしそうに答えた。

「10回!!君はまだ飛べたのか!!」

ペトリャコフが驚いて椅子から崩れ落ちそうになりながら、聞く。

「私をまだ16歳です!魔力減衰まだしていません!」

ヘルムートが噛みつかん勢いで返す。

「そういえばそうだったな、忘れていたよ」

ペトリャコフは、噴出した汗をハンカチで拭きながら言う。

「それで、耐久試験はしたのかい?」

ペトリャコフはずれた眼鏡をかけ直しつつ聞く。

それに対してヘルムートはうつむきながら答える。

「10時間の耐久試験を5回行い、うち3回は成功、何とかもちました。ですが2回は」

「2回は?」

ペトリャコフが聞く。

「オーバーヒートで、稼働時間を8時間、過ぎた後で出力が急激に低下し、停止しました」

ヘルムートが悔しそうに、早口で一気に答える

「十分だ、十分すぎるよ、ムート、よくやったじゃないか」

ペトリャコフは様子で腕を組みながら感心した様子だ。

「そのあだ名、気に入りません」

ぽつりとヘルムートがつぶやく。

「ハハハ!そうかい!とにかく、コンペティションはこの試作機を出そう!これでいける」

心底嬉しそうに、ペトリャコフはまくし立てた。

「嫌です!こんな駄作機!!!認められません!!!!」

ムートは机をバンバンと、2回たたき叫ぶ。

「ふーん、そうかい?君は羽の生えたティーゲルでも作るつもりかい?」

ペトリャコフは頬杖を突きながらムートに聞き返した。

 

「羽の生えた重戦車?そんな物を作ってどうするのです?」

キョトンとした様子でムートは聞き返す。

それを聞いたペトリャコフは自分の髭を触りながら言う。

「君は今ティーゲルの様な高級車を作ろうとしているが、司令部が欲しいのは」

「欲しいのは?」

ムートが聞き返し。

「T-34の様な国民車だ、誰でも使える、丈夫なユニットだ」

へルームとも前にビッシっと人差し指を突き出しながらペトリャコフは言ったのだった。

「納得いきません」

ヘルムートは頬を膨らませながら言う。

「コンペティションの準備、頼んだよ。あと図面も部品表もすべて提出するように」

そう言うとペトリャコフは、上機嫌で会議室を後にする。

「いつまでも私を子ども扱いしないで、ペシュカおじさん」

誰もいなくなった、会議室でヘルムートは長い溜息をつく。二人の付き合いは長いようだ。

 

 

 

 

 




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