私はストライカーユニットの開発がしたい   作:社畜新兵

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今回は箸休め、離陸して会話するだけのお話です。


テイクオフとタックネーム

「魔法力チェックよし!滑走路もオールクリア!後は~」

ヘルムートは指さし確認をしながら、発進の準備を一人で始める。

「ヘルムートさん!私も行きます!待ってください!」

息を切らして、ナタリアが走ってきた。

「おう!待っていたぞ!そこに私が整備しておいた、イシャクがあるから、それ使いな!」

エンジンをアイドリングさせながら、大きな声でヘルムートがナタリアに言った。

「わかりました!」

そう言うとナタリアはストライカーユニットに足を通しす。

「一発だ!」

ヘルムートが親指を立てる。それを見てナタリアは首をかしげると、エンジンを回す。すると、エンジンは息をつかずに素早く回転数を上げていく。

「すごい、こんなに性能がいいイシャク初めてです」

ナタリアは自分の装備していたストライカーユニットが「最高の仕上がり」になっていたことに」ようやく気付いたのだ。

「それは良かった。先に離陸してくれ、私は後から」

ヘルムートがナタリアに道を譲る。

「わかりました!先に上がります!」

威勢よくナタリアが返事をする。

「よし、滑走路への進入は問題ないな。さて、お手並み拝見だ」

滑走路わきに待機している、ヘルムートがナタリアの離陸を見守る。

「よし、行け、行け、行け!飛べ!」

ヘルムートが思わずナタリアのテイクオフを応援する。

「よ~し、ちゃんと離陸はできるようだな、安心したよ。もう少し滑走距離が短いともっといいんだがな」

ヘルムートがナタリアの離陸をインカム越しに評価する。

「ありがとうございます!」

素直に喜ぶナターシャ。嫌味を言われていることに気づいていない。

「そのままの高度を維持しろ」

ヘルムートが指示する。

「ダー、現在の高度を維持します」

ナターシャが命令を復唱する。

「さて、私の番だな。クリストファー「最大魔力追従制御」を実行するぞ」

ヘルムートがそう言うと、愛機のマーリンエンジンがうなりはじめ、排気筒からボン!ボン!ボン!とやかましい音がする。やがてマーリンエンジンがうなるのをやめパイプオルガンのように、美しく続くエンジン音のハーモニーを奏で始めると、ヘルムートは微笑んだ。

「離陸する!周囲の状況を確認!滑走路!上空!後方!前方!すべてクリア!離陸する!」

そう言うとヘルムートは矢弓のように飛び立つ。滑走距離はわずか25m、素早く離陸し、すぐにハイGターンを決めると、一瞬でロールし姿勢を水平に戻した。そしてすぐに滑走路上空200mを旋回していたナタリアに追いつく。

「何ぼさっとしてんの!編隊を組むぞ!」

パイロットグラスとマフラーを付けたヘルムートがナタリアの肩をたたき言った。

「はい!」

はっとしたナターシャがヘルムートと編隊飛行を始める。

「すごいです!あんな離陸はじめてみました!」

興奮した様子で、ナターシャがヘルムートに言った。

「ああ、あれはマンネハイム式スクランブルと言ってな、私の故郷で流行った離陸のやり方だ。かなり危険だから、お前さんはマネするなよ」

ナタリアがインカムで話す。

「わかりました。ヘルムートさん」

ナタリアが返事をする。

「ナタリア、私のことは空では「クルーゲル」と呼んでくれ。私のタックネームだ」

ヘルムートがインカムで言った。

「え?何ですかそれ?」

ナターシャが間の抜けた返事をする。

「こちらクルーゲル!モスクワ上空を抜け、廃村に向けて飛行中!アテナイ!聞こえるか!」

ヘルムートは無線でモスクワにいるヨアヒムに呼びかける。

「こちらアテナイ。感度良好。アテナイからクルーゲルへ、そのままの高度を維持し、廃村に向かってください。アウト」

ヨアヒムが応答する。彼女のタックネームは「アテナイ」だ。

「こちらクルーゲル、了解した、現在の高度を維持、廃村に向かう、アウト」

そう言うとヘルムートは声帯マイクから指を放した。

「こうやって、無線の交信に使う「空の名前」だ。便利だろう?」

ヘルムートはインカムでナターシャに話しかける。

「すごいです!」

ナターシャは驚くばかりだ。

「君はすごいしか言わないね。ナターシャのタックネームは、どうするかな、そうだ!」

ナターシャの装備していたシモノフ対戦車ライフルを見て、ヘルムートがひらめく。

「ナターシャ、君のタックネームはシモノフにしよう。かなり気に入っているだろう、それ」

ヘルムートがナターシャのタップネームを決めた。

「シモノフ!いいですね!」

ナタリアは嬉しそう返事をした。

「こちらクルーゲル、シモノフ飛んでいるか?」

「こちらシモノフ!問題なく飛んでいます!」

「クルーゲルからシモノフへ、ネウロイは怖いか?」

「シモノフからクルーゲルへ、怖くなんかありません!」

「そうか。君はいいウィッチになる気がするよ。シモノフ」

ふたりの「空の会話」はしばらく続いた。公式記録には残らない、二人だけの秘密の、ささやかな平和を楽しむ会話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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