私はストライカーユニットの開発がしたい   作:社畜新兵

15 / 15
また作戦会議です。


勝利と栄光は輸出できる。

「始まりはオストマルクの小さな勝利でした」

ヘルムートはそう話し出すと、静かに食事を始めた。

「ああ、ネウロイの根拠地はオストマルクだったな」

アンドリューが黒パンをちぎりながら言う。

「ええ、1939年にネウロイはオストマルクを踏みにじり、そして欧州全土に疫病のように勢力を拡大し、今に至ります」

ヘルムートが淡々と説明を始める。

「私とヨアヒムはオストマルクで東部国境の監視軍にいたんですが、そこから独立して特殊作戦に従事していたんですよ。司令部からの命令ってやつです」

ヘルムートが葡萄酒を傾けながら話す。そして時は、1939年に巻き戻る。

「ムート!ヘルムート!呼んでいるのよ!ヘルムート・ヴィッツ!」

ヨアヒムがヘルムートを呼ぶ。

「なんだ?聞こえてるよ!」

ヘルムートが作業してうぃたてを止め、振り返る。

「またユニットの整備?整備兵にやらせればいいでしょう。そんなこと」

ヨアヒムが油まみれの作業着に身を包んだヘルムートを見下ろしながら、ため息交じりに言った。

「好きでやってるんだ!ほっといてくれ。で?何の用だ?」

油まみれの手をふきながら、ヘルムートは聞き返す。

「新しい指令よ!早く司令部に出頭してちょうだい」

ヨアヒムが短く、明確に言った。

「あいあい、わかったよ」

ヘルムートはけだるそうに返事をした。

「ああ、ちゃんと着替えてから来てね。その汚い格好で来ないでよね」

ヨアヒムはヘルムートを指さし、口をとがらせながら言った。

「へいへい」

ヘルムートが短く言った。

「ヨアヒム・ベルリッヒ、ヘルムート・ヴィッツ!出頭しました」

二人が司令部に出頭する。

「二人ともよく来てくれた、長い話になる。着席したまえ」

口にひげを蓄えた、初老の男性が二人に言った。どうやら彼が指揮官のようだ。

「で?新しい指令は?大将?」

ヘルムートが軽口をたたく。

「まったく、すみません、大佐殿」

あきれながらヨアヒムが言う。

「いやいや、かまわないよ。さて、今の戦況についてだが、これを見てくれ」

大佐が戦略地図を指す。

「現在、オストマルクはネウロイの抑え込みに失敗し、カルパチア山脈に築いた防衛線も崩壊、散り散りになった陸軍は、各地で敗走を続けている」

「あたしたちがこの間までいた、ネウロイ監視軍の奴らはどうしたんだ?まさか墜とされたわけじゃないだろう?」

だらしなく椅子に腰かけていた、ヘルムートが言った。

「無論、彼女たちは今も善戦している。だがこのままではいけない、とても手が足りない」

大佐が疲れ切った様子で言った。

「もはやオストマルクの陥落は決定事項でしょう。その前に、私たちにはできることがある、そうでしょう?大佐殿?」ヨアヒムが落ち着いた様子で言った。

「そうだ、今の我々にできること、いや!必要なのは!ささやかな勝利だ!」

大佐は興奮した様子で、立ち上がりながら言った。

「勝利?この戦況で?」ヨアヒムが首をかしげながら言った。

「どんなささやかの勝利でもいいんだ!故国を踏みにじられ、難民になりさまよう国民の希望になるような勝利が!私たちオストマルク人には必要なんだ!」

大佐が机を大きくたたきながら叫ぶ。

「そんなこと言われてもな。どうするよ?ヨアヒム?」

ヘルムートが後ろ手を組みながら言った。

「わかりました、引き受けましょう。勝利と栄光はカールスラントの主要輸出品目に入っていますから。ただ、確認しておきたいことが一つ」

ヨアヒムが指をすっと一つ立てながら言う。

「なんだね?ヨアヒム少佐?」大佐が短く尋ねる。

「仮に私たちがここ、オストマルクで小さな勝利を得たとしても、私たちの名前が新聞の見出しを飾ることはない。そうでしょう?」ヨアヒムが頬杖を突きながら、いじわるそうな笑みを浮かべていった。

「ん?それはどういう意味だ?」ヘルムートが眉をひそめる。

「そ、それは」大佐が言いよどんだ。

「筋書きはこうです。このオストマルクを支配しているハプスブルク家、この名門貴族から排出された二人の優秀なウィッチが、オストマルクを救うため、華々しく戦う。新聞各社はこう書きたてるでしょうね。「ハプスブルクの双頭の鷲!!戦場に奇跡か!」と。そしてオストマルクが陥落するタイミングで戦死したことにして、「この死を無駄にしてはならない!」と叫び、国民の愛国心を煽り、ハプスブルク家に人々の心を繋ぎ止めたい。ありふれたプロパガンダ、英雄商法ってやつです。どうです?当たってるでしょう?」

ヨアヒムはその場でワルツを踊るように演説する。

「ひどい話だな、くせぇよ、お前さん。ベルリンの下水道のほうがまだましな匂いがするぜ」

いつの間にかタバコをふかしていたヘルムートがそう言い放つ。

「汚いと言われようが、これが我々の戦い方だ!それで!引き受けてくれるのか!?」

大佐は興奮した様子で言った。

「見返りは?それ次第です」ヨアヒムが自分の爪を眺めながら言う。

「報奨金は十分な額を用意している。もちろん前払いだ!あと、作戦行動に必要な物資と人員は可能な限り用意させる」焦った様子で大佐は答える。

「爆撃機一個飛行隊が欲しいです」ヨアヒムが聞く。

「温存していた部隊を回そう!カールスラント製の最新型だ!」反射的に大佐が答える。

「ウィッチ隊は?」ヘルムートが聞いた。

「それだけはだめだ、君たち二人以外のウィッチはかかわらせるのはまずい」大佐が気後れした様子で言った。

「チッ!使えないな!」ヘルムートが毒づいた。

「問題ないでしょう、最新の情報が欲しいですね、諜報員は?」ヨアヒムが聞いた。

「わが軍が使用している諜報網が使えるように指示しよう!オストマルクに展開しているすべての軍の状況が、手に取るようにわかるぞ!」嬉々として大佐が説明する。

「いいでしょう、引き受けましょう。すぐにそちらが持っている情報をこちらに渡してください。手配リストを作成しますから、すぐに必要なものを送ってください」

得意げにヨアヒムが言う。

「そうか!その返事を持っていたよ!すぐに行動を開始しなければ!ネウロイは待ってはくれないからね!」大佐は無邪気な子供のように、指令室から飛び出していった。

「おい!私はやるって言ってないぞ!」ヘルムートが激昂する。

「あら、戦闘狂のあなたならどんな厳しい戦いでも、やるんでしょう?私と一緒なら」

ヨアヒムがいたずらっぽく、笑いながらいう。

「そんなわけないだろう!こんな汚い戦争に加担するつもりはない!」ヘルムートが叫ぶ。

「リストに最新式のストライカーユニットを追加しておくわ。それでどう?」

ヘルムートの口先にそっと人差し指を添えると、ヨアヒムが甘くささやく。

「新型のメッサーかスピットファイアがいい」ヘルムートがプレゼントをねだる子供のように言った。

「決まりね!じゃあ始めましょう!私たちの戦争を!」ヨアヒムが叫ぶ。その姿は荘厳な音楽を奏でる指揮者のようであった。

 

 




さてさて、いかがだったでしょうか?
いきなりですが、私はここいらで筆を折りたいと思います。
というのも、ストライクウィッチーズの世界観は、ウィッチ隊についての掘り下げはすごいのですが、戦史や戦略について、全然描かれておらず、大きく改変されているんですよね。だから私が描こうとしている物語と相性が悪く。書いていてどんどん苦しくなってしまいます。なのでいっそのこと、一からオリジナルの世界観と物語を自分で作ろうと思います。つまらないと思いますが、そのほうが楽しいんですよ。私が。てなわけでこの物語はここで終わりです。今までありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。