私はストライカーユニットの開発がしたい   作:社畜新兵

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今回は感情的なお話

ヘルムート・ビッツ
元カールスラント軍所属の傷病軍人。オラーシャの設計局で開発主任を非公式に勤める。一度撃墜された彼女は、このユニットの開発を成功させ、再起を図る。
年齢16歳

ヴラジミール・ミハイル・ペトリャコフ
表向きの開発主任
おおらかな性格だが、仕事には厳しい。
ヘルムートの上司にあたる。
年齢54歳
ナタリアという10歳の孫がいる


感情的な戦争とロシア的な人事

「主翼部分はちゃんとDボックス構造にして下さい。強度が欲しいので」

ナタリアが若い作業員たちに細かく指示を出している。アレクセイの部下たちだ。

「ナタリアさん、ここはリベット止めですか?それともねじ止め?」

作業員の一人がナタリアに質問する。

「M3の皿リベットでお願いします。緩んではダメなので、基本的な作り方は飛行機と同じ。できるだけネジは使わないで、溶接とビス止めで作りましょう」

ナタリアは立て板に水のように指示を飛ばす。

「わかりました、すぐに始めます」

作業員が答える。

「おお!やっているな、ナターシャ」

ペトリャコフ中佐が大きな体をノッシノッシと揺らしながら工房に入ってきた。

「中佐、何しに来たんですか?その巨体で入られては邪魔です」

ナタリアが嫌味を言った。

「開発に励んでいる君たちを激励!と言いたいこところだが、悪い知らせだ」

ペトリャコフ中佐が眉間にしわを寄せ言う。

「聞きたくありません。皆さん!作業を再開してください」

ナタリアがわざと大きな声を上げて、作業員たちに指示を出す。

「この奥の部屋で話そう、あまり若いのに聞かせたくない話だ」

鉄の扉を開け、ペトリャコフがナタリアを招く。

「ネウロイがドニエプル川に到達した、この意味が分かるな?」

ペトリャコフがナタリアに現実を告げる。

「ドニエプル川はライン川と同様、防衛の要であることは理解しています」

ナタリアが短く答える。

「先の大戦のネウロイが相手であれば、ドニエプル川で侵攻は止まるだろう」

ペトリャコフが言う

「今のネウロイはまさに空飛ぶ戦艦、マンハイムは、私の故郷は一瞬で火の海です。ファーターも奴らに焼き殺された」

ヘルムートは歯を食いしばりながら、瞳に憎しみの炎を宿していた。

「その空飛ぶ戦艦からしたら、陸軍1個師団もアリの群れに等しい。戦況は芳しくない」

ペトリャコフが一枚の写真をヘルムートに渡す。空を覆う巨大なネウロイの写真だ。

「私にどうしろと?」

ヘルムートは写真を突き返しながらそう言った。

「もし君が負傷していなければ、今すぐ空に上がれと言っただろう。君はこの化け物を38機も撃墜している。単独でだ!君の力があれば、戦局はこちら側に傾く!多くの将兵を救える!君は奇跡を起こせる!ミュンヘンやダンケルクで起こしたように!」

ペトリャコフは興奮した様子でナタリアの肩をつかみ、そう叫んだ。

「そうしてまた、あなた達は私を使いつぶすつもりなのですね」

ヘルムートが冷たく言うと、ガタリと音を立てて、左肩にはめていた義手が落ちる。

「すまない、孫がな、ウィッチになったんだよ、ナタリアが、あの子が死んだらと思うと、君のようにネウロイに身を焼かれると思うと、何にでもすがりつきたくなる」

ペトリャコフはいつの間にか取り出したタバコをくわえ、吸い始める。

「ここは禁煙です」

ヘルムートが短く言った。

「今は吸わせてくれ。君はストライカーユニットの開発を急げ。司令部はモスクワの放棄を考えている」

煙草をふかしながらペトリャコフは言った。

「モスクワを放棄してどこに行くんですか?この町の200万人の人々は」

ヘルムートが淡々と聞く。

「ウラル山脈の向こう側に、リベリオンと扶桑の支援を受けながら、ウラジオストックに楽園を作るそうだ」

ペトリャコフがあきれて笑いながら言った。

「狂っていますね。お偉いさんの頭には脳みその代わりに、雪でも詰まっているんですか?」

ヘルムートがため息をつくとそう言った。

「お孫さん、ナタリアちゃん、おじさんの言い方だとまだ訓練兵でしょう。配属が決まってないなら、テストパイロットとして、ここに受け入れては?」

ヘルムートが提案する。

「いいのか?確かに訓練兵だが」

ペトリャコフが驚いた様子で聞き返す。

「今の私はネウロイを怖がっているだけの臆病者で、戦うことはできません。ですが訓練兵の面倒を見ることはできます。訓練を終えた後は、ヨアヒムの護衛部隊にでも預ければ、ドニエプル川に送られるよりは、生存率は高いでしょうね。どうします?」

ヘルムートは義手をいじくりながら言う。

「頼む!孫を是非使ってくれ!一人前のウィッチの育ててくれ!君に育てられたウィッチは皆エースになると評判だろう!クルピンスキーやロスマンいように!」

ペトリャコフはヘルムートの手を握り激しく上下に、振りながら言った。

「クルピンスキーはガランドの部下で、ロスマンはラルの部下です。私とのかかわりは全くありませんよ。私が育てたウィッチは皆、ネウロイに焼き殺されましたから。それでもいいんですね?私にナタリアを預けても」

ヘルムートが脅すように言った。

「そうだったのか、だがよろしく頼む。君以上のウィッチを、私は知らないからな」

真っ直ぐとヘルムートの目を見てペトリャコフは言った。

「では引き受けましょう」

ゆっくりとヘルムートが言った。

「明後日でもここに来させよう!よろしく頼むよ!」

そう言うとペトリャコフは軍帽をかぶり直し、ゆっくりと工房を後にするのだった。

「良かった、そろそろ一人ではきつくなってきたところだし、何とかお孫さんのおみ足をふっ飛ばさないエンジンを作らないと」

そう言うとヘルムートは大きく伸びをし、また作業員に指示を出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで、教官を安請け合いする。ヘルムートなのでした。
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