私はストライカーユニットの開発がしたい   作:社畜新兵

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今回は会話劇、ヘルムートが終始演説して終わりりますw


モスクワに迫る影、今私たちにできることは

「最大外径が200mmよし!サイズは問題ありません!後はこのエンジンがちゃんと動くかですね」

ヘルムートは鉄尺で組み上がったエンジン試作3号機のサイズを計り微笑む。

「おう!ここまで小さくするのには苦労したぜ!部品も小いせえし、組み立ても自作の工具を使わなくちゃできねぇ!お前さんが持ってきた特製の工具がなかったらできなかった!」

エンジンを試作したアレクセイが誇らしげに言った。

「うん、欲を言えばもっとたくさんの試作したかったのですが、今の戦況ではこれ以上エンジンの開発には時間をかけられません。残念ですがね」

ヘルムートは少し悲しそうな笑顔を浮かべ、そう言った。工房内の皆がざわつき始める。

「戦況?ネウロイはどこまで来ているんですか?」

設計者のロイが聞く。彼らは何も知らないのだ。

「落ち着いて聞いてください。ドニエプル川を越え、ここに来ます」

ヘルムートがそう言うと、皆一斉に騒ぎ出す。お互いに顔を見合わせ、呆然とする者もいれば、ふざけるなと大声で癇癪を上げるものもいた。急いで工房から逃げ出そうとする者が何人か出始めたころ、工房の出口から大きな声で叫ぶ大男がいた。

「ストーイ!!!皆動くな!動けばこの兵士たちが貴様らを機関銃で撃ち殺す!」

ペトリャコフ中佐が来たのだ。彼はモシン・ナガンやDP28軽機関銃で武装した、屈強な兵士たちを引き連れている。

「これがオラーシャ軍のやり方ですか?」

集団の先頭にいたヘルムートが言う。

「そうだ。やってくれたなヘルムート中尉。もし今の事実がモスクワの市民に広まったら、どうなるか想像はできなかったのか?」

ペトリャコフはシガレットを取り出しながら言う。

「市内は大混乱、皆がモスクワから逃げ出そうとして、死者も出るでしょうね」

落ち着いた様子でヘルムートは言う。

「ではなぜ!こいつらに話した!ここには30人の作業員がいるんだぞ!」

ペトリャコフが激怒する。確かに狭い工房内は設計担当と試作担当の作業員であふれていた。

「何も知らずネウロイに焼き殺されるよりは!逃げようと必死に、あがいて死んだほうがましだからです!」

ヘルムートは銀色の義手を振りかざしながら、演説を始めた。

「私の故郷と父がネウロイに焼かれたのは、カースラント政府が住民に避難を呼びかけなかったからです!今のオラーシャ政府と同じように!意図的に情報を隠したからです!私がミュンヘンを守ろうとネウロイと戦っていたころ!故郷は焼かれていた!マンネハイム町の人たちはネウロイになぶり殺しにされた!父は一人でも多くの住民を逃がそうと戦い、その最中に瓦礫に足をつぶされ、動くこともできず、火事でゆっくりと焼き殺された!父とともに戦ったクルツ中尉が教えてくれました。父はあの日からずっと故郷のマンハイムで、がれきの山に埋もれたまま。モスクワに住むあなたたちは、その地獄を味わいたいのですか?」

皆ヘルムートの演説に引き込まれ、聞き入っていた。銃を向けていた兵士も、立ち尽くしていたロイも、騒ぎを鎮圧しようとしたペトリャコフも、かんしゃくを起こし、暴れていたアレクセイでさえ、皆沈黙している。火の海となるモスクワ、何もできず殺されていく自分たちと家族、その光景を想像すらしたくないのだ。

「で?あなたたちはどうするんです?どうしたいのですか?父と同じように、子供たちを逃がすために銃を取り戦って死んでくれるんですか?」

見かねてヘルムートが聞く。だが皆下をうつむいてすすり泣くことしかしない。

「ペトリャコフ中佐、例の計画を皆に説明してください。そのために来たのでしょう?」

場を完全に支配したヘルムートがペトリャコフに言った。

「そうだったな、皆よく聞いてくれ!司令部はモスクワの放棄を決定した!すぐに持てるだけのものを持って汽車に乗る準備をしてくれ!このストライカーユニットの開発は、ウラルに新しく作った工場都市で行われる。そこなら量産も問題ない!」

ペトリャコフが命令を出すと、皆が一斉にまた騒ぎ出す。

「アハテゥンク!!今騒いでもどうにもなりません!皆さん落ち着いて逃げる準備をしてください。避難指示はちゃんと政府が出してくれますから!不確かな情報をばら撒いて混乱を招くことだけはしないように!一秒たりとも時間はありません!設計図!工具!工作機械!持っていけるものはすべて持っていきます!はい!動いて!」

ヘルムートが正確な指示を素早く飛ばすと、皆が正確にきびきびと動きはじめた。自分たちがすべきことをようやく理解したのだ。

「ヘルムート中尉、君に合わせたい人がいる。来てくれ」

ペトリャコフがそう言うと、兵士たちを引き連れて工房を後にする。

「ああ、お孫さんですね、確か面倒を見る約束でした」

ヘルムートは手を打ち、言う。

「孫ともう一人、ウィッチだよ」

工房を後にした二人は、コンクリートでできた、武骨な建物に入ってゆく、いつの間にか兵士たちはいなくなっていた。

「ここだ、この扉の奥にいる」

そう言うと、赤い鉄扉の前でペトリャコフが止まる。

「誰なんです?もう一人のウィッチは?」

ヘルムートが聞く。

「会えばわかるさ」

ペトリャコフがそっけなく答える。

「私をこっそりここで撃ち殺すつもりですか?」

ヘルムートが低い声で言った。

「早く入ってきなさい!扉の前でやいのやいのしないで!」

扉の向こう側で懐かしい声が聞こえた。忘れようもない、彼女の大切な人の声だ。

 




次回からはモスクワ撤退編、私が描く撤退戦は、しょぼいです。BEAの建物よりしょぼいです。
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