今回はだいぶ短い。
今日は霊術院の卒業生が新しく入ってくる日だ。寝覚めは良好。準備よし。
だがしかし、小鳥のさえずりが聞こえてきてウフフなんてことはなく、他の隊から酔っ払いが大量に運び込まれているので男共のいびきが響くのみ。
そんな男共(主に十一番隊)以外に、実は唯一人女性が居る。
十番隊副隊長、松本乱菊だ。
乱菊さんが四番隊隊舎に来るときは大体酔っ払っている。修兵が思いを寄せているようだが、アレはグラマラスな見た目に引き寄せられているだけだ。オスの習性だな。
実際は酒癖に留まらずサボりぐせもひどい。最近入ってきた天才とか言われてる奴も、さんざん振り回されているみたいだ。
まあ一応いい人ではあるけど。実を言うと一緒にサボったこともある。サボりの大先輩だ。
この酔っぱらい共を介抱したら、皆で集まって卒業生もとい新人死神の紹介だな。
取り敢えずさっさとやってしまおう。
○ × ○ × ○
俺は五席なわけで、当然部下はそれなりにいる。
大体は回道を習ったばかりの新人は二桁代の席官の元につくんだが、今回は俺のところにも一人来た。
名前は山田花太郎。何かいそうないなさそうな名前をしているが、回道の才能はたっぷりだ。
俺のときの成長速度の3倍くらいはいってると思う。
まあ兄が山田清之助らしいし才能家族なのかな。会ったことないけど。
性格は天然ドジ。気弱かと言われたら微妙で、変なところで勢いがすごい。
何故俺に面倒を見るように言ったのか。
卯ノ花隊長によれば、俺が暇そうだったかららしい。まあ元々一桁代の席官の元に花太郎がつくよう考えていたようだが。
回道は別に教えなくてもいいから、主に花太郎のドジな部分の面倒を見てほしいと言っていた。
そして現在。
「花太郎クン?これは何だね?」
俺の目の前に座っているのは例の山田花太郎張本人。
そして俺の手にあるのは、花太郎が取り違えてきた他隊の資料。
「うっ、、十一番隊の資料です!!」
俺が初めて十一番隊に行ったときからだいぶ月日が経ったわけで、自然と一角や弓親とは名前で呼び合うぐらいには親しくなり、十一番隊にもイヤイヤながら喧嘩しに遊びに行ったりとしていた。
だがな、ある日森の中の剣八さんと遭遇してから、俺の命を賭けた鬼ごっこがスタートしてしまった。
そう、あの日からは十一番隊(主に隊長副隊長)にはなるべく近寄らないと決めたんだ。
なのに!!なのにお前ってヤツは!!!
「よし。一人で彼処まで届けてこい」
「嫌です!」
「俺だって嫌だぞ!自分のミスは自分でカバーしてこい!」
「嫌です!!!僕死んじゃいますよ!」
「むっ」
本来なら、ここで押し負けるのは甘ちゃんだろう。
だがな、俺は知っている。確かに最初に彼処の隊に行くときは俺も内心ビビりまくった。結果としてブチギレたが。
そして花太郎の今の顔。物凄く必死な形相だ。此奴の今の気持ちはよーくわかるのだ。
「今回だけは俺が行ってやる。だけどお前のことだからまた同じことをやらかすだろうし、お前もついてこいよ。彼奴等には一回でも会って慣れるのみだ」
「ひえぇ…ありがどうございまずうぅぅ」
花太郎、号泣。
何だかんだ言って憎めないヤツだ。
○ × ○ × ○
「よし。俺はここまで一緒に来たから、後は一人で行け」
「そんなーー!隊舎の門までなんてひどいですよ!!」
「俺はここで待っててやるから速く行って来い。戻るのが遅ければ先に帰るぞ」
「うわぁぁぁぁそれだけは嫌です!行ってきますうぅぅぅ……」
悪いが俺だって今は隊舎の中に入るわけにはいかんのだ。
一度隊舎に入れば、ピンク頭の無駄に力の強いギャップ副隊長に見つけられ、追いかけられる。
たまたま戦闘狂隊長にでも会ったりしたら俺の死神生はおしまいだ。
別に実際にそんな事はないけれど、起こりそうな気迫は十分にあるのだ。何より地獄の鬼ごっこであることに変わりはない。
しばらくして、膝小僧を怪我した花太郎が戻ってきた。
急いで走って戻ろうとしたが、途中でコケて散々だったそうだ。ドジだな。
何より走って戻るのに夢中で回道で治そうとか考えなかったところがドジだ。
ちなみに資料はおかっぱの怖くなさそうな人に渡してきたらしい。弓親だな。アイツは他の奴らとは違う意味で怖い。ナルシスト怖い。
「じゃあさっさとずらかるぞ」
「はい!」
そして俺たちは無事に帰還した。
「花太郎。前に俺は言ったからな、次はないって。今回は一人で行けよ」
「うぅぅ…すみませんーーー!」
二話連続でくだらない落ちを入れてしまった。
今回は取り敢えず花太郎を出したかったのです。