この素晴らしい天彗龍に祝福を!   作:剣崎 誠

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 ポテチを貪りながら今度はどこからかライトノベルを取り出し始めたミラルーツを見ながらエリスはふとこっそり見ていたその祖母と孫の会話を思い返し

「そういえば先輩嘘つきましたよね?」

「なんの話だ?」

「あのお孫さんを送る理由ですよ、大きく何個か分けたって言うあの」

「あー、別によくないか?それっぽい理由でちあげて士気上げるのいいだろう?ほら俺は特別なんだ感ださせてさ」

「いや、えぇ……」

 呆れたとも失望したとも取れる表情を滲ませそしてそういった視線を送るエリス。対してそんなもの痛くも痒くもないと言うように欠伸をかきながらポテチを貪りラノベを読み進めるミラルーツ。

「別に全部嘘と言うわけではなかろう?それにエリス、お前には関係の無いことだ」

「いやいや私下界に正体隠してますけど普通に行ってますからね?正体バレた挙げ句嘘だってことが知れたらどうするんです!?」

「嘘だからなんだと言うんだ、それで孫が死ぬ訳でも怒る訳でも……いや怒りはするかもな」

「ほらぁ!!」

 ワーキャー喚くエリスを前にそう言えばとバルファルクの前にあちらの世界から転生させたハンターのことを思い出してミラルーツはポテチを貪る手を止めた。そして狙ったかのようにその事に気づいたエリスは

「先輩、最近ハンター送りましたよね?しかもG級の」

「あー……そう言えばそんなの送ったような送って無いようなぁ……」

「いやいや送りましたよね!?ちょミラルーツ先輩!」


この異界からの天彗龍に仲間を!

 光に包まれる直前に聞こえた言葉、もう一度空へ飛べるな。少女は自分の最期に願ったことを知っていたのかまた知らずにそう言ったのか、今となってはそれを知る術はない。

 

 バルファルクは神……かと静かに呟くと辺りを見回した。そこには先ほどのような暗黒空間はなく何度か上空から見た人間達の町に似た光景があった。石や木で作られた様々な建物に活気づく人々、そして町並みを駆ける馬車。

 

 これが人々の町か、と感動にも似た感情が込み上げてくる。別に人の生活に憧れていた訳ではないが近くでその光景は見てみたいと密かに思っていた。

 

 だが元々自然世界で生きてきたバルファルクにとってはそもそも人間の町その物が異世界なため、いまいち別の世界に来たと言う実感が持てなかった。あるのはここが人間の住む町かというものだけである。

 

 とここで周りの人間や通りすぎていく者達が自分を好奇な眼差しで見ていることに気づく。ふむと近くにあった川で自分の格好や容姿を見てみる。

 

 容姿は整った中性的な顔立ち、髪型はボサッとしたような感じで色は青みがかった銀、格好は黒いジャージに左手には自分の鱗やら甲殻やらで出来た太刀、この世界の一般人とはかなりかけ離れた格好をしている。と言うかこのジャージ自体また別の世界の服(知識参照)な為なんだか情報過多となり若干混乱してきたバルファルク。

 

 とりあえず今自分は変な格好をしていると思考をまとめ知識にしたがってギルドに行こうと足を進めた。人間の町、ましてや異世界であるが故にバルファルクは興味があるのか町並みや人々をじっくり眺めながら歩く。

 

 その目に写る光景はどれも初めての物で、龍で超高度の空や場所でしか過ごさなかったが好奇心は強く目を輝かせて眺めていた。

 

 しかしそんなじっくり眺めている事よりも目的を果たすべく人に道を聞きながらなんとか知識の目的地であるギルドに到着したバルファルク。ほう、と目の前のギルドであろう建物を見上げて他の民家などに比べやはり大きいなと呟く。龍としての自分よりか少し大きい位か、なんてことを考えながら入るかとその扉を開いた。

 

 瞬間、中にいた人間達からの視線の殆どが自分に向いた。しかし道中死ぬほどの視線を受けていたため特に気にする様子もなく周りを見渡していると赤毛のウェイトレスがいらっしゃませと声をかけてきた。

 

 バルファルクはウェイトレスに冒険者になりに来たと伝え、でしたらあちらにある受付け窓口からどうぞと案内される。それなりに人がいたので適当な列に並びその順番を待った。待っている間ただ立っているのもつまらないのでギルドの中を観察することにした。

 

 ジョッキで酒を呷る者やクエストボードを眺める者、ただ食事を楽しんでいる者やこちらを物珍しそうにじっと見ている者、テーブルで項垂れている者などここにいる者たちの様子はそれぞれ。ふと今までの自身の食事を思い返す。海に泳ぐ海竜種を巣に持ち帰って吠えながら貪っている、そんな自分の姿を。

 

 見られるは慣れたが別に注目を集めたい訳ではないので人間の食事の取り方をしないといけないなと考えた。というか人間と自分とは物事の価値観や生活観などいろいろ確実にズレているので諸々生活の仕方を改めねばと決意を固めた。

 

 幸い、自分は人間の事を見下している訳でも悪だとも思っていないので別段そう言ったことへの抵抗はない、戦った経験があるのは単純に巣に侵入したからと言うだけ。故に今もこうして適応するべくして冒険者になろうと言うのだ。

 

 と考え込んでいると自分に順番が回ってきたのか気がつくと窓口の前来ていて、目の前にはブロンドの髪色をした胸が豊かなお姉さんが。こういう場合胸は見ないのが好感触と知識にあったので胸に視線を送ることなく冒険者に成りに来たとウェイトレスに言った言葉と同じ事を言う。すると

 

「では登録手数料の1000エリスを頂きますがよろしいですか?」

 

「トウロクテスウリョウ?」

 

 おうむ返しのように言葉を返し、なんだそれは、と頭の中呟き困惑する。そんなものがあるなど聞いてないぞと内心焦り始めたバルファルク。言葉通り登録手数料とはなにかを登録する際に発生する金銭の事を差し、エリスとは金のことを差しているのだろうがそんなものを持っているわけがない。

 

 しばらく悩んだ後に仕方ない、どこかで調達するかと手持ちがないのでまた来ると言いその場を離れようとした時、ふと神からの頼まれ事を思い出した。

 

「そうだ、少し聞きたいのだが全体的に青っぽいアクアという女を知らないか?ここに来る際友人にそいつを訪ねるように言われていてな」

 

「アクア様ですか?でしたらあちらにいる方がそうですね」

 

「うん?あの項垂れているのがアクアか?」

 

「はい」

 

「……そう、か……ありがとう」

 

 先ほど中を観察していたとき目に入ったテーブルで項垂れている者がアクアだったとは……とどう見ても神とかそう言った神々しい存在には見えず、バルファルクは驚いたらいいのか悲しんだらいいのか残念がったらいいのか分からないまま受付けを離れた。

 

 そういえばと神との会話のシーンを脳内で再生する。ぎこちない、明らかにぎこちない表情でアクアと言う人物について話している。付け加えなんなら最後のほうであれはなんと言うかとか口走ってらっしゃる。

 

 もしやこれは面倒事を押し付けられたのではないのか、はたまた奴の娯楽でアクアとか言うのは神などではなくただの面倒な人間ではないのだろうかと考え始めた。

 

 しかし、神に二度目の生を貰ったのは事実であり快くそれを自分は了承している。なんかヤバそうな女という面倒事を抱えて生きていくよりか神との約束事を破ったなどという罪を背負ってこれからを生きるほうが面倒だな、と考えバルファルクはアクアなる人物のもとへと近づいた。

 

 よく見るとそのテーブルには二人いて一人は神の言うとおり全体的に青っぽいアクアと言う少女、もう一人は緑のジャージを着た冴えない少年が……ジャージ!?と内心で驚いた。けれど表情にはそれを出さずバルファルクはアクアなる人物にすまないと声を掛けた。

 

「項垂れているところすまないがアクアというのは君であってるか?」

 

「はい、そうですけどってあなたもしかしてパーティー加入の希望に来たの?ほらカズマ見なさい!やっぱり来たじゃない!!」

 

「いやその人ここ入ってから受付けに直行してたから多分関係ないぞ。単純にお前に用があってきたんだろって……」

 

 カズマと呼ばれた少年はバルファルクの事を良くは見ていなかったのか、近くに来たことによりその服装に気づいたのか目を見開いた。その様子に気づいたのかバルファルクは頷きそう言うことだと言う。

 

「ただ用があるのはそこのアクアという女性で俺はここに送り込んだ神様に手を貸してやってくれと頼まれてな」

 

 バルファルクは続けてアクアの先ほどの発言からパーティーを募集しているんだろう?と聞くと二人は頷く。アクアはなにこの女神アクア様の入りたいの?とドヤ顔で少し上から目線で聞きしょうがないわねと言ったところでカズマがそれをバッカお前そんな上から言うんじゃねえ!?とまるでこのチャンスを逃すかと言わんばかりにアクアへ掴み掛かった。すると二人は背を向け小さな声でこそこそと話し始め、無論その様子に少々訝しげに眉を潜めた。

 

「いいか?これはチャンスだ。このままだと俺達はジャイアントトードにおとりを使わなきゃ勝てない下っ端冒険者のままだ。そしてそれを脱却するにはあの人の持ってるあのチート特典におんぶにだっこしてもうっきゃない、もう粘液まみれになるのは嫌だろ?」

 

「頼りきりなのが癪だけどええ、分かったわ!もう粘液まみれになるのはこりごりだもの」

 

 人の姿をしているとはいえ、その身体能力は龍。当然人よりも聴力は上な訳で、バルファルクはとりあえず今目の前にいる二人はジャイアントトードと言う恐らく初級のモンスターにさえまともに勝てないほど弱いと。

 

 カズマと言う少年はともかく、アクアという少女については女神だ、だからそれなりには強いのだろうと思っていたが先の考察が若干当たりかけてるような気がしてあぁ自分は間違いなく厄介事を任されたんだなと察した。

 

 そんなことを他所にこそこそとした会話を終えた二人はバルファルクの方へと向き直る。そして向き直るなりまるで土下座するかのようにテーブルに頭を擦り付けお願いしますパーティーに入ってくださいと懇願して見せた。

 

 そんな二人の様子に、えぇ……と引き気味になるバルファルク。カズマはともかく女神であるアクアはこんなことをしても良いのだろうか、と言うか本当に女神なのかこいつはと混乱してきた。いやまぁ自称していた事とあの神……と言うか女神か、のことから女神なんだろうが。

 

 とりあえず顔を上げてくれと声を掛け、元より入るつもりだったからそんなことをする必要はないと言った。カズマは顔を上げるなり本当ですか!?と迫り、バルファルクはあぁと返答し付け足してタメ口でいいと言って共に歓喜するアクアへ何だかんだまだ信じきれないのか疑念の視線を向ける。

 

 容姿は確かに周りにいる女性が霞むほど美しく、顔体共にその美貌は人間離れしているといえるだろう……だがその表情や態度そして姿勢がその全てを打ち消しもはや女神というよりはめんどくさそうな女、この印象に尽きるだろう。

 

 ただその容姿がそれを物語っているので頼まれたアクアと言う彼女の友人はもう目の前の少女で間違いないだろう。バルファルクは内心ため息を尽きながらもそれを態度に出すことはなく軽く自己紹介を始める。

 

「天……バルファルクだ、よろしく頼む」

 

「俺はカズマ、サトウカズマだ。これからよろしくな!」

 

「私は女神アクア、アクシズ興の御神体その本人よ!」

 

 それぞれの自己紹介を終えて、とりあえず冒険者にならないことには始まらないのでバルファルクはカズマ達に1000エリスを借り再び受付へと向かった。

 

 カズマ達に見守れながら受付けのお姉さんに登録手数料の1000エリスを支払うと冒険者カードというものの簡単な説明を聞き差し出された書類に自身の身長や体重と言った個人情報を書き込む。と言っても今まで龍として生きてきた自分がそれを把握しているわけがないので頭に入っている情報をそのまま書き込んだ。

 

 愚問だが読み書きが出来るのも与えられた知識によるもので書いている最中、人間とは面倒なことをするとバルファルクは少し不満を内心垂れながら書いていたことは余談である。

 

「それではこちらの水晶に手をかざして頂いても宜しいですか?」

 

「分かった……これでいいのか?」 

 

 言われた通りに手を水晶にかざすバルファルク。しばらくすると、受付けのお姉さんは目を見開いて水晶によって書き出された冒険者カードを凝視し始める。そしてな、な、とやがて震え出し……絶叫した。

 

「なんですかこれぇええええええ!!」

 

「うわびっくりした!?な、なんだ!何かやってしまったか?」

 

 お姉さんが絶叫したことにより一気に再び視線がバルファルクに集められる。だがそれよりも何故絶叫されたのか分からないバルファルクは何かミスをしたのかと気が気では無かった為お姉さんを問い質した。するとい、いえと何か問題があったわけではないことを伝え

 

「ステータスの平均値を大幅に越えてるんです!!筋力と俊敏性が特に高く魔力や運も先ほどの二つには劣りますが高く知力はやや高いほどですが、それでもこのステータス……それにスキルも見たこと無いのが幾つもありますしあなた一体何者なんですか!?」

 

 なるほど、どうしたものかとバルファルク。後ろの方に視線を少しやるとカズマは羨ましそうに、アクアは特にこれと言った反応を見せず、他の冒険者達は様々な反応を見せていた。と、その中に気になる話が聞こえたのでそちらに少し集中する。

 

「あそこのアークプリーストともうここにはいねぇけど全身鎧のソードマスターと合わせて3人目だよなぁ」

 

「あぁ、こんな大型新人が3人も参入するなんて近々なにか起こるんじゃないのか?」

 

「魔王幹部とか来たりしてな?」

 

 3人?とバルファルクは眉を潜めた。一人目はアクア3人目は自分だがならば二人目は何者なのか、それも全身鎧ときた。脳裏に過る鎧に身を包み得物を手にする強者達、それと対峙する自身の姿。

 

 あの神が言っていた事が本当ならそんなことはないはず、彼らがこちらに来る、また来ていることはない……だが嫌な予感が頭から離れることはない。とは言っても今の自分は龍でもモンスターでもなく人だ、故に争うと合うと言うことはないのだろうが、それでもなんだか嫌な予感は残る。

 

 バルファルクはとりあえずこの件は一度頭の片隅に止めて置くとして職業を選ぶとしようと目の前のお姉さんに集中する。先ほどの彼らの反応からもそうだが特にその異様な自身のステータスによって咎められるなることもなく、それどころかお姉さんは少し興奮気味で職業を何に決めるか迫って掛かかった。

 

「うーむ、悩むな」

 

「これなら最初から上級職どころかほとんどの職業になれますよ!やはりその手にお持ちになっている剣をお使いになられるのでしたらやはりソードマスターに」

 

 正直、貰った太刀はありがたく使わせて貰うがそれのみを基本に立ち回る気は無かった。魔王討伐を目標としているので後々翼も胸の龍気器官も使うことになる上にそれを基本に立ち回らねば自身の持ち味を生かした力は出せない。

 

 故に龍気器官や自在に変形する翼脚、これらも生かせる職業を選ばねばならないのだ。無難なのが冒険者辺りだろうか、最弱職ではあるが臨機応変に様々な戦い方のできるいわゆるオールラウンダー。スキルも他の職業と違いポイントは多く消費するが全て会得できる。

 

 その他であればルーンナイトやランサー、紹介されたソードマスターもなんだかんだ候補として上げられるのだがこれらは何か違うような気がして首をかしげてうーむと唸る。そしてしばらく考えた後にバルファルクが悩み選んだ職業は

 

「冒険者でお願いする」

 

「え、ぼ、冒険者ですか?」

 

 お姉さんのえ、と言ったように顔が少しだけひきつる。考え直した方がいいと他の職業をお勧めされるがバルファルクの答えは変わらなかった。

 

 理由としてはやはりスキルである。確かに他の職業に比べ別段攻撃力や防御力などのステータスが上昇したものになるわけでもなく、また魔力が高くなるわけでもないがやはりスキルを全て覚えられると言うことはそれだけ自身の力に大きく応用できる能力が得られると言うこと。

 

 付け加え元々自身には堅い鱗や甲殻に並外れた高い筋力があるのでそれ以上にこれらを強化する必要性はないと考えた上で冒険者を選択したのである。無論ポイントの消費が激しいと言うデメリットはカバーできないのだが。

 

「冒険者ですね……はい、登録が完了いたしました。冒険者ギルドへようこそ、バルファルク様!スタッフ一同、今後の活躍を期待してます!」

 

 受付嬢は渋々と言った感じで要求した冒険者で職業を登録をし、無事に冒険者になることのできたバルファルクはその場に居たギルド職員達や冒険者達に今後の活躍を期待していると祝福されながらカズマとアクアのテーブルへと戻っていくのだった。

 

 

****

 

 

 始まりの町アクセル、冒険者志願の駆け出し達が集まる場所。そこから少し離れたところに位置する草原にてバルファルク、カズマ、アクアの三人は居た。

 

 吹く風に草が揺れ、バルファルクはそれを見ながら気持ち良さそうに軽く伸びをし、では依頼をこなすかと草原のあちらこちらにいる巨大なそれを見据える。

 

 それはギルドでカズマ達の言っていた、おとりを使わなければまともに戦えないと言うジャイアントトード、その名の通り巨大な蛙である。

 

 そう言えば自身が暴れていた場所に似たようなモンスターが居たようなと記憶を遡りつつ太刀を構え、大きく飛躍しながらこちらに向かってくるジャイアントトード姿にいやあそこにいたやつは歩いていた、飛んでなどいなかったなと思いながらそろそろ動こうとカズマ達に声をかける……がなぜか返事がない。

 

「おい、カズマ!!アクア!!もう来るぞ……って」

 

「助けてぇええええええ!!」

 

「カジュマしゃぁああああんバルグしゃぁあああああん助けてぇえええええええええ!!」

 

「喰わ、え!?」

 

 振りかえるとそこにはカズマを追いかけ回すジャイアントトードと既にアクアを補食しているジャイアントトードの姿が。どうやら記憶を遡るとかやってるのに夢中でカズマとアクアの声が聞こえていなかったようだ。ちなみにバルクと言うのはここに来るまでに名前が長いとアクアが付けたあだ名である。

 

 ともかく助けなくてはとまずは近くにいたアクアを補食中のジャイアントトードからと太刀を抜こうとしたが謝ってアクアごと切りかねないので拳で頭を殴り潰すことにしたバルファルク。

 

「少し大人しくしていろ……はッ!」

 

 補食中で動けないジャイアントトードの頭部に拳を捩じ込む。頭蓋が砕ける音を立て、バルファルクはアクアを引き抜きジャイアントトードが絶命するのを確認すると今度はカズマの方かと追いかけっこをしている方へ視線を向ける。

 

 ありがとうと粘液まみれて寄ってくるアクアを無視してこっちならば太刀を使うことが出来ると鞘からその刀身を抜き払い、カズマを追うジャイアントトードへと駆け出す……ただ先ほど殴った時にも感じていたがやはり身体はまだ馴染んでいないようでどうも力の入りが弱いように感じた。ともあれただのカエルごときそこまて力を入れずとも倒せると思い、そのままカズマの前に立ち太刀でその巨大な腹を一閃してみせる。

 

 強度がなく柔らかいジャイアントトードの腹は打撃には強くとも斬撃には弱いため、そのまま赤黒い電流のようなものが流れると共に真っ二つに切り裂かれ血飛沫を上げ倒れる。バルファルクは振り返ることなく背後から迫り来るジャイアントトードに向かって飛躍すると太刀の柄で頭部を殴り絶命させた。

 

 ふう、と一息付き自身の力量を把握したのかまぁこんなものかと呟きながら顔にかかった血飛沫を片手で拭い、空いた手で尻餅を付いていたカズマに手を差しのべる。

 

「ありがとう、助かったよバルク」

 

「いや、むしろ背後から近づいてくる来る奴らに気づけなかった俺の落ち度が招いたことだ。謝らせてくれ……すまない」

 

「え……いやいや足引っ張ったの俺達だし素直に礼を受け取ってくれると助かるんだが」 

 

 申し訳ないはこっちだとカズマがバルファルクの謝罪を突っぱねるとそうかと何処か納得がいかないような様子で答えた。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない、もう一つ謝らなくてはならない。俺はこのパーティーにはまだ入れそうにない」

 

「え」

 

 そうカズマ達に言いつ残してその場からバルファルクは去っていった。




イヤー遅くなり申し訳ない!更新頻度はかなり遅めになりますがエタる気はないので気を長くして読んでくれると幸いです!
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