山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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マック「トレーナーさんの代理を探しますわよ!!」ゴルシ「ウマ娘からか!!?」

 

 

 

 

 

 一月が始まり、トレセン学園の始業式から既に一週間が経った今日この頃。真冬の寒さから若干はマシになった季節です。

 私。メジロマックイーンは今日こそ。今日こそはと意気込みを胸に、チームルームの扉を横に開きました。

 

 

タキオン「おや、マックイーンくん。おはよう」グデェ

 

 

マック「.........ええっ、おはようございますっ」

 

 

 目の前に広がる光景。そしてタキオンさんのいつにも増してぐったりとした姿と声を聞き、顔と声を引き攣らせながら返事を返しました。

 トレーナーさんが居なくなってからというもの、皆さん最初こそやる気はあったのですが、何故かデジタルさん以外練習に参加していないのです。

 

 

マック「.........東さん。このままで本当によろしいんですの?」

 

 

東「しょうがないだろ.........やる気がない中無理やりやらせられる程お前達のトレーニングはヤワじゃないんだ。怪我でもさせたら俺が桜木の奴に顔向け出来ない」

 

 

ブルボン「だいひょうふえふ。みほほふうおん。いふえおほえーいんんおうういあえいえいあふ」

 

 

二人「.........」

 

 

 トレーニングへのやる気は十分だと返事を返してくれるブルボンさん。しかし、その様子はお菓子を口に詰め込みながら、背を床にして移動する横着ぶりを見せています。

 その姿に溜息を吐くことすら出来ず、私と東さんは顔を見合せました。確かにこの状況でトレーニングを行った日には、怪我をしてしまう可能性が高いです。

 一体どうしてこんなことに.........

 

 

『お困りの様ね』

 

 

マック(あら、随分と久しぶりですね)

 

 

『もう貴女に触られたくないもの。それにちょっと出掛けてたから』

 

 

マック(.........?)

 

 

 触れられたくない。そう言われた時私は未来の世界に居た時のことを反省しました.........激高していたとはいえ、感情に任せて自分の半身.........いえ、自分の元ともなる彼女にあんな事を.........

 しかし、それより気になる事がありました。[出掛ける]、とは一体.........?そう思ったのもつかの間、彼女は目の前に現れ、そっと私の手に触れました。

 

 

マック(い、一体何を)

 

 

『これであの子達を見なさい。そうしたら直ぐに分かるから』

 

 

マック(え.........?)

 

 

 彼女に促され、チームメイト達の姿を見ます。それが彼女の力なのかどうなのか分かりませんが、皆さんのやる気とそれに付随する力が見えるようになりました。

 

 

 アグネスデジタル

 やる気MAX

 

 [尊みラストスパ――(゚∀゚)――!]

 Lv1

 

 

 アグネスタキオン

 やる気MAX

 

 [U=ma2]

 Lv0

 

 

 ハルウララ

 やる気MAX

 

 [ワクワククライマックス]

 Lv0

 

 

 ライスシャワー

 やる気MAX

 

 [ブルーローズチェイサー]

 Lv0

 

 

 ミホノブルボン

 やる気MAX

 

 [Goo 1st.F∞;]

 Lv0

 

 

マック(こ、これは.........!!?)

 

 

『今の彼女達は彼に対する信頼を取り戻したわ。でも、力を取り戻したわけじゃない』

 

 

『壊れたから新しくエンジンを積み替えたけど、ガソリンが入ってないような物よ』

 

 

 彼女は分かりやすい比喩で私に説明してくれました。確かに、いくら新しい部品や装置を詰め込んだり取り替えたりしたとしても、肝心の動力源。燃料を投下しなければ動く事はありません。

 どうしたものでしょう.........こんな時、[彼]が居てくれたなら.........

 

 

マック(っ、ダメよマックイーン。今まであの人に頼り切りだったじゃない)

 

 

マック(どう頑張ってももう、彼はここに居ないんだから.........ん?)

 

 

マック「.........そうよ。彼は居ないんだから.........!!!」

 

 

全員「?」

 

 

 彼は居ない。その事実を自分に改めて着きつけようと心の中で言っていると、不意に妙案を思い付いてしまいました。もし仮にここに彼が、トレーナーさんが居てくれたのなら。トレーナーさんが、その意見を聞いてくれたのなら、きっと驚きながらもいいアイディアだと言ってくれる物が浮かび上がりました。

 

 

マック「トレーナーさんが居ないのですから!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼の代わりを連れてくれば良いんですわっっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たづな「ま、待って下さい!せめて私のお話を―――」

 

 

「要らねぇだろんなもん。五年間海外遠征行ってたからって流石に自分の寮部屋忘れる程じゃねぇ」

 

 

 自分の記憶だけを頼りに前へと歩く。後ろに着いてくる理事長の秘書は何故か焦った表情で私の後に着いてくる。

 全く、ここは本当に変わる気配がねぇ。五年も離れてたってのに、学園の構造一つ所か、空気も、周りも、苛烈さの裏に嫌になる程の甘ったるい匂いが充満してやがる。

 

 

「ああそうだ。生徒会長殿に後で勝負しに行くと伝えておけ。せいぜい堕落した学園生活を送っていたその姿勢に、私が喝を入れてやるってな」

 

 

たづな「へぇ!!?あ、あの、それはちょっと.........って!待ってください!!今貴方の寮部屋は―――」

 

 

「.........あ?」

 

 

 後ろに着いてきた秘書の停滞を良い事に、私はこの手で、かつての自分の部屋の扉を開けた。基本この学生寮は相部屋だが、私は一人の方が性に合っている。だから入ってから遠征に行くまでその部屋には誰も居なかった。

 

 

 居なかった.........筈だ。

 

 

フェスタ「.........?」

 

 

「お前、部屋間違えてねぇか?」

 

 

フェスタ「間違えてねぇよ。部屋がもう空いてねぇってんで今は居ない奴の部屋を借りてんだ」

 

 

「.........」

 

 

 トレセン学園ってのは、どうにもこうにも、私の感性とはズレる。普通こういうのは家主に一言告げるべきだ。

 私は後ろに居る秘書の方を一睨みする。申し訳なさそうな表情が神経を逆撫でてきやがる。

 

 

たづな「すみません。シリウスさんに連絡するつもりだったのですが、まさか急に帰ってきてるとは.........」

 

 

シリウス「.........チッ」

 

 

フェスタ「あんまそう邪険にすんなよ。アンタのベッドの方は汚してねぇぜ?連れにも言ってるからよ」

 

 

シリウス「あ?連れ?」

 

 

 本来ならば二人一部屋が制限の寮部屋。そこに連れという言葉を聞き、どういう意味か察せないでいると、私の寮部屋相手になるであろうウマ娘が手招きして入る様に促してくる。

 それに乗り、私は部屋の中へ入った。確かに自分のベッド。そしてそれがある半分だけは遠征に出発したままの状態で残されている。もう半分は菓子だの雑誌だの、乱雑な状態。逆に良く私の陣地にまで行き渡らないなと感心する程だった。

 そしてそんな中、まだ名前も知らないウマ娘が自分が寝ているであろうベッドを指さす。

 

 

シリウス「.........誰も居ねぇじゃねえか。まさかアレか?今流行りのイマジナリーフレンドって奴か?」

 

 

フェスタ「下」

 

 

シリウス「.........へ?」

 

 

フェスタ「下」

 

 

 誰もいないベッドを指さすウマ娘に対して、私は挑発するように煽った。だがそれをものとはせずにコイツはただ淡々と、無表情で[下]と言った。

 まさか.........そう思い、私はベッドの下を覗き込んだ.........

 

 

 するとそこには.........私を見つめる目があっ―――

 

 

「ぎゃぁぁぁああぁぁぁ!!!!!???」

 

 

シリウス「ぬおっ!!?ってぇ!!?」ドコッ!!!

 

 

フェスタ「コイツはアタシの妹のオルフェーヴル。ベッドの占領権はジャンケンに勝ったアタシ。コイツはその下の住民だ」

 

 

 本来ならば私が上げるはずの絶叫をあげられ、その声に驚いた私は後退し、散乱したゴミの中からペットボトルを踏み締めバランスを崩し、そしてベッドに足を引っ掛けて後頭部を壁に激突させた。

 意識が朦朧としている間にベッドの下のオルフェーヴルと呼ばれたウマ娘がいそいそとそこから出てきた。

 

 

オルフェ「いや〜びっくりしたっス」

 

 

シリウス「それはこっちのセリフだっ.........」

 

 

オルフェ「あっ!!でもこれでお友達っスね!!よろしくっス!!」

 

 

シリウス(何言ってんだこいつ)

 

 

フェスタ「気にしない方が良い。アイツは人と距離感作るのがド下手くそだ。無視して良いぞ」

 

 

シリウス「言われるまでもねぇ.........クソ」

 

 

 ぶつけた頭を擦りながら起き上がる。めの前にある握手を促す手を払い除けると、マスクを着けたオルフェーヴルとか言うウマ娘が目をウルウルさせて姉のウマ娘を見る。

 さて、これからどうコイツらを追い出そうか.........そう考えていると、廊下の方からドタドタと騒がしい足音が聞こえて来た。

 

 

シリウス「今度はな―――」

 

 

ゴルシ「姉ちゃん大変だ!!!マックイーンが暴走した!!!」

 

 

二人「な、なんだってー!!?」

 

 

ゴルシ「おっちゃんが居なくなっちまってもう収集がつかねぇんだよ!!!兎に角おっちゃんの代わりを見つけて来いってさ!!!」

 

 

ゴルシ「というわけでそこの荒んでそうだけど実は優しくて面倒見も良さそうなお前!!!晴れてこのゴルシちゃんレーダーに選ばれたぞ!!!豪華景品はチームレグルスのトレーナー体験(期限不明)だ!!!」ダキィ!

 

 

シリウス「.........?」

 

 

 .........なに、 この、なに!!?い、今この状況はなんだ!!?コイツは何者だ!!?何を言っている!!?なんで私を担いだ!!?チームレグルスってなんだ!!?しかもトレーナー体験!!?

 そんな押し潰されそうな情報の濁流に脳みそがショートしているうちに、私は初対面であるはずの芦毛のウマ娘に乱暴に担がれ、ろくな抵抗も出来ずに連れ出されてしまった.........

 

 

フェスタ「.........行くか?」

 

 

オルフェ「行くっスよもちろん!!お友達が沢山出来そうな予感っス!!」

 

 

フェスタ(お前には一生出来ねぇよ.........)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後のトレセン学園。いつもであるならば、皆さんトレーニングに励んでいるところですが、今回は私の提案に乗る形で今、このレグルスのチームルームに集まって貰っています。

 若干名、この場に居るはずの無い[ウマ娘]の方々を加えて.........

 

 

マック「この度はお集まり頂き誠にありがとうございます」

 

 

オペ「ハーッハッハ!!ボクは先生のファンだからね!!先生の担当が困っているのならこの位お安い御用さ!!」

 

 

シャカ「おい!!オレはそこの奴にこのチームの研究データが貰えるって聞いたから来てやっただけだ!!!」

 

 

タキオン「ああ貰えるとも!!トレーナーくんの代わりが出来るのならね!!」

 

 

 げんなり。とした表情をするエアシャカールさん。その恨めしい目でタキオンさんを見ていましたが、最終的にその言葉に二つ返事で乗ってしまった自分の浅はかさに嫌気が差して頭を抱えてしまいました。

 そして私達は椅子の上に座らされ、ずた袋をかぶされていた人物に視線を集めます。

 

 

 彼女はシリウスシンボリさん。トレーナーさんがここ、トレセン学園に就くタイミングで海外遠征へと行っていた方です。

 私もその時はトレセン入学前でしたが、彼女とは何度か、シンボリ家とのパーティで顔を合わせており、一応知人ではあります。

 

 

シリウス「.........それで、コレはなんの集まりだ?メジロのお嬢様?」

 

 

マック「端的に言えば今は居ないトレーナーさんの代わりが欲しいのです」

 

 

シャカ「.........それならオレらの目の前にもう居るじゃねェか」

 

 

東「いや。俺はトレーナー業を代わりにやってるだけであってアイツの代わりをしてる訳じゃない。そもそも無理」

 

 

神威「まぁ、俺らのノリに着いてこれる訳ねぇよな」

 

 

シリウス「誰だアンタ」

 

 

神威「.........うん。いや、そうだよな。その言葉は真っ当な物だよな.........」

 

 

 一瞬怒りに拳を握りしめましたが、それがいつもの彼らの悪ノリではなく、純粋な疑問の声だと感じ取り、それを何とか収める神威さん。そして何故か呼んでいないのにここに居てそれを傍から見て笑いを堪える他お二人.........前回トレーナーさんが居なくなった時から何も変わっておりません。

 彼に追い払われて部屋から出て行くお二人の姿にため息を吐いていると、不意に肩をつつかれました。誰かと思いその方向を見ると、最近トレセン学園に編入してきた未来の私の孫。ナカヤマフェスタさんとオルフェーヴルさんがそこに居ました。

 最初こそ何故二人が?と言った様子で参加者の方々は疑問を抱いてましたが、彼の遠い親戚だと嘘.........まぁ、嘘だと言うのは遠い。という部分ですが、それを伝えると納得した様子で二人を迎えました。

 

 

フェスタ「んで、じい.........じゃなかった。おっさんの代わり探しってどうするん.........ですか?レースでもすんの.........ですか?」

 

 

オルフェ「あっ!!じゃあウチが審査員やるっス!!皆ウチとレースで勝負っス!!」

 

 

ゴルシ「やめろォ!!!姉貴は砂場でも走ってろォ!!!」

 

 

オルフェ「わーい!!ダートっスー!!お姉ちゃんダート好きっスー!!」

 

 

マック(.........ダートも走れる三冠バ?一体どうなってるのですが私達の孫は.........)

 

 

 目をキラキラと輝かせながらウォーミングアップを始めるオルフェーヴルさん。その目はレースをすると言った時よりも一際輝いているようにすら思えました。これが未来の三冠バなのだと考えると、何故彼女が三冠を取ろうとしたのか疑問が湧いてきます。

 ですが助かりました。正直彼女の実力は未知数ですが、今目の前にいる方々が脱落する可能性は高いです。レースはやめましょう。レースは。

 

 

マック「やって頂くことは簡単です。私達のトレーナーさん[らしい]方が、この企画の優勝となりますわ」

 

 

シリウス「優勝したら?」

 

 

マック「トレーナーさんが帰ってくるまで彼の代わりをやって貰います」

 

 

シリウス「帰る。じゃあな」

 

 

 ぶっきらぼうにそう言い捨て、彼女はそのままこの教室から出て行こうとしました.........むぅ、これは減点対象です。彼は優しいですから、こんな事にも絶対付き合ってくれます。

 そんな無意識に膨らませた頬をウララさんにつつかれながらシリウスさんの後ろ姿を見届けていると、オルフェーヴルさんがニヤニヤとした顔付きで彼女に近付き、その肩に手を乗せました。

 

 

シリウス「.........なんだ鬱陶し「逃げるんスか?」.........あ?」

 

 

オルフェ「いや〜仕方ないっスよ!おじじの代わりなんてだ〜れも勤まらないっスからね〜!!ここに居るみんな!!」

 

 

オルフェ「だから、諦めても仕方ないっス!!」

 

 

シリウス「.........テンメェ.........!!!」ピキピキ

 

 

 彼女は屈託の無い笑顔でシリウスさんを煽りました。きっとそこにそんなつもりは一切無かったのだとは思いますが、流石に目に余ります。コチラにいる間はちゃんと振る舞えるように指導した方が良いのでしょうか.........

 そう思っていると、部屋を出ようとしたシリウスさんが俯いたまま踵を返し、先程まで座っていた場所に座り直します。

 

 

シリウス「.........」

 

 

マック「.........参加、という事でよろしいですか?」

 

 

シリウス「チッ、あそこで帰ったら、そこのバカに逃げたと思われるからな」

 

 

オルフェ「てへへ〜、照れるっス〜」

 

 

全員(褒めてない.........)

 

 

 空気が読めないのか、言葉の意味を理解出来ないのか、オルフェーヴルさんは片手で頭をかきながら照れた表情を浮かべていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「まず最初の試験です。それぞれに分かりやすく走法の改善要点を説明して下さい」

 

 

シャカ「あァ?それこそそこにいる奴の仕事だろ」

 

 

東「まぁそれはそうなんだが.........どうにも桜木の奴みたいには行かなくてなぁ.........」

 

 

 気まずそうにポリポリと頬をかく東さん。実際彼は良くやっている方です。トレーナーさんは私達の個性や性格を矯正、或いは潰す事は一切しないような指導をしてくださいます。それは、このトレセン学園に居るトレーナーには難しい事です。

 

 

タキオン「それでは早速始めようか。この五本のビデオ。それを君達に見てもらう」

 

 

デジ「中身はマックイーンさん達がデビューする前のレース映像です!!それを見て改善点を[本人]に分かり易く説明して下さい!!」

 

 

シリウス「.........そんな程度の事で良いのか?」

 

 

マック「.........そんな程度、だったら良かったですわね」

 

 

ウララ「?」

 

 

 勝利を確信したような顔で余裕ぶる彼女の言葉に対し、私はそれを不安視する声を上げました。 そしてそれを言い終え、私は一人のウマ娘。ハルウララさんの方をちらりと見ます。

 

 

ライス「じ、じゃあまず!ライスのから見てもらうね!」

 

 

 大きなタブレットを手に持ち、企画参加者の方々に自分の選抜レースの映像を見せるライスさん。その姿を確認して、私は隣に立つフェスタさんに声を掛けました。

 

 

マック「いかがですか?この時代のトレセン学園は」

 

 

フェスタ「悪くはねえ.........ないです。とてもレースしがいのあるいい所だ.........です」

 

 

マック「?ふふ♪喋り方に気を付けなくても良いですわ。私は貴方の知らない[メジロマックイーン]ですから」

 

 

フェスタ「.........はぁ、ありがとうよ。じいさんはともかく、ばあさんの方は礼儀作法に厳しくてな。好いては居るんだけどよ」

 

 

 肩の荷がおりたと言ったようにほっと息をつくフェスタさん。言葉遣い程度でしたら私も多目に見てあげましょう。相手に対する敬意や忖度があるのなら構いません。

 そう、問題があるとするならば.........

 

 

オルフェ「ふぅ〜♪久々に走ったっスけど、やっぱ楽しいっスね〜♪」

 

 

シリウス「.........あんな奴が私らのレースの相手をしようとしてたのか?正直拍子抜けだな」

 

 

シャカ「ああ、あン位のレベルならシニア級にゴロゴロと居るぜ?精々オープン位だな」

 

 

オペ「いや!!彼女は素晴らしい!!あの光に当たった髪の色.........まるで、太陽の様だ.........!!!」

 

 

 ライスさんへの指摘を終えた三人はタキオンさんの映像を準備待ちしている間、オルフェさんの走行を眺めていました。その姿を見て私も、その実力に疑いを持ってしまいます。

 彼女は本当に未来で三冠を.........?それをこっそり聞こうとフェスタさんの方に視線を流しましたが、私のその目を見て察した様で、歯切れの悪い解答が帰ってきました。

 

 

フェスタ「.........[錆び付いて]んだ。鞘が着いたままな。今のアイツに三冠取った頃の力はこれっぽっちも引き出せねぇよ」

 

 

フェスタ「まぁ、それはアタシも同じだけどな。闘争心だけじゃこの世界はやって行けねぇ.........だけど」

 

 

マック「.........?だけど?」

 

 

 彼女はそれを否定する言葉を言い、大きく肺に息を入れ始めました。その行動に対し私は直ぐにその次を連想し、両耳を手で押さえ付けました。

 

 

フェスタ「オルフェーヴルゥゥゥゥ―――ッッ!!!」

 

 

フェスタ「お前のじいさん―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――うんこったれェェェェッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オルフェ「.........―――」

 

 

 ビリビリとした感覚が全身を襲います。少し離れていた皆さんもそれを感じ取り、直ぐに両耳を押さえてそれに耐えます。

 しかし、一人だけ。一人だけその声を真っ向から受け取り、その顔の影を濃くしていきました。

 

 

 そして次の瞬間。まるで[鞘]が外された真剣の様に先程まで無個性だった走りが一気に力強くなって行きました。

 彼女が今いる場所はダート。力強く蹴り抜き、足裏と地面の接地時の足運び。そしてその勢いを殺すこと無く走り抜ける様は正に、一線級のダート競走バに他なりません。

 そして彼女はそのまま芝のコースへと横断を図りましたが、なんとその勢いを保持したまま、走り方を器用に変えてコチラへと迫って行きます。

 

 

 最終的に彼女は、ここに居る人達全員の視線を釘付けにしたまま、ナカヤマフェスタさんの胸倉をゆっくりと掴みました。

 

 

オルフェ「.........ねぇ、フェスタちゃん?どうしてそんな事言ったの?」

 

 

フェスタ「あ?あー.........エイプリルフール?」

 

 

全員「.........」

 

 

 一触即発。空気は正にその一言で片付けられてしまうほどの緊迫感が有ります。フェスタさんはそれを直接受け取っている筈なのですが、あっけらかんと言った様子で苦しい言い訳を口にしました。

 未だに顔を見せず、俯いているオルフェさんに冷や汗を流します。今の彼女は普段の温厚さとは程遠い.........本当に鋭い刃の様な状態です。

 ですが.........

 

 

オルフェ「な〜んだ〜!エイプリルフールっスか〜!!」

 

 

オルフェ「もう!フェスタちゃんも人が悪いっス!!去年嘘ついてないからってこんな所であんな嘘つくなんて!!」

 

 

フェスタ「でもこれで騙されたらアタシにチュッパチャップス一年分奢る賭けは成立したな」

 

 

オルフェ「いいっスよ〜それくらい!フェスタちゃんには沢山お世話になってるっスから!」

 

 

全員「.........はぁ」

 

 

 彼女は持ち前のポジティブさなのか、それとも思慮不足のせいかは分かりかねますが、フェスタさんのエイプリルフールという言い訳を飲み込みました。今は4月にはまだ程遠い季節だと言うのに.........

 ですがこれで一触即発の事態は無くなりました。それを察した皆さんは胸を撫で下ろします。

 

 

シリウス「.........ヤバかったな、あの速さ」

 

 

シャカ「あれはG1級.........しかもトップクラスだ.........あンな逸材がトレセン学園に居なかったなンてな.........今まで一体どこで何してやがった.........?」

 

 

オペ「あの強さ.........この覇王であるボクをも凌ぐかもしれない.........勇者、と言うには少し暴君地味ているけどね」

 

 

 三者三様の言葉と視線が、またダートの方へ鼻歌を歌いながら戻っていくオルフェさんの背中に投げ掛けられます。

 驚愕。疑問。そして期待。そんな視線を浴びながらも、もう一度走り出したダートの上の彼女はまた、その刃を[鞘]へと納めていました.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トレーナーさんの代わりを用意する企画はその後、着々と進んで行きました。

 

 

 当時の走法の問題点を本人に分かるように伝える最初のテストの難関。それはウララさんでした。

 

 

シャカ「良いかッ!!?こうズバァーッて行ってッ!!!コーナーをキュッとして最後にドンッ!!だ!!!」

 

 

ウララ「う〜ん、最後って本当にドン?」

 

 

シャカ「.........ドドドドン」

 

 

ウララ「あー!!それだー!!」

 

 

シャカ「.........オレ降りていいか?」

 

 

 それに見事合格したのはなんとエアシャカールさん。いつもの堅実的な理論をかなぐり捨て、ウララさんに教える為に細かい事を全て統合し、それを擬音で伝える方法は正に私達のトレーナーさんそのものでした。

 

 

 二つ目のテストは振る舞い。彼が私達を引っ張って先導する際、どのようにしてそれをするのかを想像し、それを実行してもらうテスト。これは.........

 

 

オペ「良いかい?君達は皆すべからく美しい!!まるで夜空に散らばる星々のような煌めきを持っている!!」

 

 

オペ「だからこんな所で燻って居ても始まらない!!どうだろう?このボク。テイエムオペラサクラギと一緒に、ターフという舞台の上で踊り明かそうじゃないか!!」

 

 

ブルボン「.........方向性は違いますが、マスターに良く似た何かを感じられます」

 

 

マック「では、合格。という事でよろしいですか?」

 

 

タキオン「構わないよ。テンションもバッチリだ」

 

 

 言い方や身体の動きは彼とは程遠いですが、テンションの高さからは彼らしさが感じられたオペラオーさんが見事合格。正直これは他二人の方には少々酷だったかも知れません。お二人ともゲンナリとしていましたもの。

 

 

 そして最後は.........

 

 

マック「[奇跡]。この言葉に対して何を思いますか?」

 

 

三人「.........」

 

 

 最後のテストは、[奇跡]とは何か。それに対してどう向き合うのかという物。多くの人々は恐らく、[奇跡]という物は偶発的に起きる物であり、それを起こそうとする事も、それに対して何かをすることも想像した事は無いと思います。

 正直ここが一番の難関です。逆に言ってしまえば、ここさえ乗り越えられたのなら全てを認められます。彼と同じ答えと行かなくとも、それに近しい、或いはそのインパクトがある答えを導き出せるのなら万々歳です。

 そんな中で一人、重々しいながらもその口を開いた者が居ました。

 

 

オペ「.........ボクにとって、[奇跡]は」

 

 

オペ「目の前に舞い降りたそれを、[奇跡]を抱き締める。そういう物だと考えている」

 

 

デジ「ふぉぉ.........!!流石オペラオーさん.........!!素敵な考え方です!!」

 

 

ウララ「オペちゃんかっこいいね!!」

 

 

 二人に褒められ、自信良く短い髪をかきあげるオペラオーさん。その[奇跡]に対する姿勢は、確かに彼女の現状を受け入れ、全ての物事、人物に対して敬意を表する態度を端的に現しています。

 ですが.........

 

 

オルフェ「う〜ん.........おじじはもう少し捻くれ者っスからねぇ」

 

 

フェスタ「だな。あの人は目の前にぶら下げられた物をそのまま受け取る程能天気って訳じゃねぇ」

 

 

オペ「そうか.........やはり、先生の美学にはまだ届かないか」

 

 

 少し寂しそうな表情を見せ、いつもの彼女でしたら感じさせない落胆を私達は察してしまいます。それほどまでに彼女は、役を演じ切る者としての彼を尊敬し、その背中を追っているのでしょう。

 その姿を見ていたゴールドシップさんがゆっくりと彼女に近付き、その肩に手を優しく置きました。

 

 

ゴルシ「気にすんなよ。オメーの言葉は確かにおっちゃんの物とは少し違ったけど、それでもアタシは好きだぜ?」

 

 

マック「ええ。結局この問いに正しさなど最初から存在しませんから、気を落とさないでくださいませ。私も貴女のその姿勢、とても感心いたしましたわ」

 

 

オペ「!.........そうか!ありがとう!!」

 

 

 自信を喪失.........という程では無いにしろ、少々落ち込んでいた彼女でしたが、私達の言葉で直ぐに立ち直ってくださいました。彼もこれくらい、すぐに私達の言葉を受け入れてくれたら助かるのですが.........

 そしてそんな中でまた一人、口を開く人が居ました。

 

 

シャカ「.........導き出す」

 

 

シャカ「偶然だとか運命だとか、そンなもンはロジカルじゃねェ。そういうもンをひっくり返して、自分の手で[奇跡]を作り出す」

 

 

シャカ「まァ、こんなもンか?」

 

 

 少し恥ずかしそうに視線を逸らしながら頭を搔くエアシャカールさん。しかしその言葉は先程のオペラオーさんの言葉より、彼に近いものを感じました。

 

 

タキオン「やるじゃないかシャカールくん。それにしても中々君もロマンチストだね」

 

 

シャカ「チッ、勝手に言ってろ。オレが欲しいのはデータだ。それさえ貰えりゃお前らと馴れ合う気はねぇよ」

 

 

ウララ「えー!!?シャカールちゃん教えるのとっても上手だったよー?」

 

 

シャカ「いや上手い下手とかじゃなくて.........だァークソっ!!なんでこのチームはこんな調子狂わせてきやがるんだ!!」

 

 

 純粋な疑問を投げかけるウララさんにタジタジになってしまうシャカールさん。その頭を両手で激しくかいて悪態をぶつけて来ます。

 その姿に、少しだけ彼の姿が重なります。彼もこうして収集がつかなくなった時は、立場や体裁を顧みずにこういう行動を取ります。

 

 

『だァー!!!もう分かった!!!実験も好きにしていい!!!プラモも好きなだけ作れ!!!俺はもう何も言わん!!!後片付けするんならな!!!』

 

 

マック(.........本当、彼の様です)

 

 

 トレーナーさん。思い出の中に居る彼を想起し、胸が少し縛られます。最初はこれを求めていたはずなのに、何故か今では苦しい思いをしています。

 それはきっと、ここに居るチームの皆さんも同じです。笑ってシャカールさんを見ていますが、その表情はどこか寂しげで、物足りなさを感じている事を察します。

 

 

マック「.........どうです?これなら満足でしょう?」

 

 

フェスタ「.........んん」

 

 

オルフェ「な〜んか.........従順っスねぇ.........」

 

 

ゴルシ「おいおい!!姉ちゃん欲張り魔人かよ!!!これ以上はおっちゃんしか無理だって!!!」

 

 

 しかしやはり、彼の孫である彼女達は納得しません。彼に憧れを抱き成長してきたので理解はできますが、流石にこれ以上を求めるのは酷だと思います。

 そんな二人をなだめようと思い声を出そうとしましたが、それはため息で遮られました。

 

 

シリウス「.........くだらねぇ」

 

 

全員「?」

 

 

 彼女は短く言い捨て、廊下に続く扉に手を掛けました。ここまで付き合ってくれましたが、興が冷めたのでしょう。彼女の性格を考えると、よく付き合ってくれた方です。

 そんな彼女に礼を言おうと車椅子の車輪に手を掛け、回しました。しかし彼女が冷たい、それでいて思いの籠った強い目で私の姿を見ているのを見て、私の車椅子は少し前進をしただけで止まりました。

 

 

 シンと静まり返る空間。それを目で確認した彼女はその視線を横にズラし、自分の思いを探るようにして、言葉を発しました

 

 

シリウス「.........[奇跡]だの[運命]だの。結局は誰かの手で彩られて、勝手に付け足されて行った物だ」

 

 

シリウス「その道を歩くヤツらにとってそれは結局、ただの道でしかねぇ。そこにレッドカーペットも豪華な廊下も、ありはしねぇんだよ」

 

 

シリウス「テメェらが本当に、真の意味で[唯一]になりてぇんだったら.........その道だけを見せて、勝手に付け足されねぇ位の足跡を残すしかねぇ」

 

 

シリウス「そう、誰にも。勿論神様って奴にも後から彩られる事が無いように。私の道を、偶然が重なっただけの[奇跡]だと言われないように―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――[奇跡]は[超える]べき物だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員「.........!!!」

 

 

 その言葉を聞いて、その意味を聞いて、その目を見て.........私達は確信しました。

 

 

 この人しか、居ない.........と。

 

 

 無意識の内に手は車輪から離れ、その両手を静かに叩きます。それを聞いたチームメイト達は私に釣られるように同じく手を叩き、拍手を起こしました。

 

 

シリウス「な、なんだ.........!!?」

 

 

マック「―――合格です♪」

 

 

シリウス「.........はァ!!?」

 

 

 私のその一言で先程までの無表情が一転、その顔に隙間が無いほどの驚愕が敷き詰められました。

 そして右側に手を引くウララさん。左側に肩の方に手を置くタキオンさんに振り回され、慌てふためきながらも私に疑問をぶつけてきました。

 

 

シリウス「ふざけんな!!!私は敢えてこの勝負を降りたんだ!!!お前ら名家様が大切にしている三女神だってこき下ろしただろ!!!」

 

 

マック「ですが嘘は言っていません。貴女の本心はしっかりと伝わりました。ですよね?東さん、司書さん」

 

 

東「ああ、今の言葉。桜木の奴にも聞かせてやりたかったぜ」

 

 

神威「あっ、俺忘れられてなかったのね。良いんじゃない?玲皇なんていくら居ても足りないくらいだし」

 

 

オルフェ「ふおおおー!!!おじじ大量生産っスー!!!」

 

 

マック「因みに今逃げようとしているシャカールさんも採用ですわ」

 

 

シャカ「なにィ!!?」

 

 

オペ「で、ではこの僕も!!!」

 

 

マック「勿論!全員トレーナーさんの代わりですわ!!!」

 

 

 大いに盛り上がりを見せるチームの教室。こんなに騒がしいのは本当、久々です。でもさっきの様に、寂しさは湧いてきません。

 騒がしさの中、不意に隣に現れた存在に気が付きます。彼女は今のこの状況に気を使い、私に声を掛けることなく、その手で私の手を握りました。

 もしや.........そう思い、見事トレーナーさん代理となった三人を囲むチームメンバーの姿を視界に収めます。

 するとそこには、先程まで0だった物が、1へと繰り上がって居ました.........

 

 

マック「.........さぁ!今日はトレーナーさんの代理が決まった事ですし!!明日からはビシバシと!トレーニングをしていきますわよ!!」

 

 

チーム「はーい!!」

 

 

シリウス「クソ.........なんでこんな事に.........」

 

 

ゴルシ「まぁそう言うなよ[シンボリシリウス]!!!」

 

 

シリウス「[シリウスシンボリ]だ!!!」

 

 

 

 

 

フェスタ「.........」

 

 

 ―――騒がしい日常。目の前の光景は正に、そう言っても差し支えない程に、じいさんのチームの連中にとっては慣れた様な空気だった。

 

 

オルフェ「.........羨ましいっスね。フェスタちゃん」

 

 

フェスタ「まぁ.........な」

 

 

 ここに居る奴らは誰もが笑顔だった。あっちじゃあまりレースに対して楽しそうな顔を見せなかったアタシらの妹も、随分いい顔をしている。

 

 

 もし、アタシらにも、こんな場所があったら.........

 

 

 もしもアタシらの時代に、こっちのじいさんが作ったチームが、あったなら.........

 

 

フェスタ(.........たらればは止めろ。アタシらは勝ち取れ無かった。それだけだ)

 

 

フェスタ(勝ち取りたかった栄光も.........覆したかった運命も.........)

 

 

 闘争心は錆び付いた。アタシもコイツも、この錆が落ちるかどうかすら分からない。だが元に戻る事は、[決して無い]。それほどまでに、アタシらが得ようとして失った物は、果てしないくらいに大きかった。

 

 

 アタシは栄光を掴む事は出来なかった。

 

 

『ナカヤマフェスタ!!!頑張れナカヤマフェスタ!!!』

 

 

 けれど、欲しかった物は掴めた。

 

 

『ありがとうフェスタ。あなたのお陰よ』

 

 

 コイツは栄光を掴む事が出来た。

 

 

『これがオルフェーヴルだ!!!これがオルフェーヴルだ!!!』

 

 

 けれど、欲しかった物は手から零れ落ちた.........

 

 

『フェスタちゃん.........この前来てたウチのファンの子.........亡くなっちゃった.........って.........っっ』

 

 

フェスタ([奇跡]を超える。確かにいい響きだ.........でも―――)

 

 

フェスタ(―――まだアタシらは、[奇跡]の意味すら分かってない)

 

 

 掴んでいたものが手からすり抜ける。手を離した物が逆に握り返してくる。そんな連続の中、[奇跡]が何かを知る暇すらなく、アタシらは駆け抜け、勝ちを望み、そして燃え尽きた。

 

 

フェスタ(なぁ.........アンタなら、その意味を教えてくれんのか?)

 

 

フェスタ(アタシらにしかない。アタシらだけの[奇跡]の意味を.........)

 

 

フェスタ(.........じいさん)

 

 

 喧騒から意識を外し、窓の外の空を見上げる。夕焼けの空に染み渡る夕日の中に、一本の飛行機雲。

 手が届くかも分からない。手を伸ばせるのかも定かでは無い。それでもアンタは、その手を伸ばすんだろう?知ってるさ。アンタの孫だからな。

 

 

 その雲の先にはもう居ない。けれどこの夕焼けの空を、いつかのどこかできっと見ていると思い、アタシは小さくなった飴玉を奥歯でゆっくり噛み砕いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「んー.........疲れましたわ」

 

 

 屋敷から持ってきた荷物をイクノさんと協力してまとめ、私は休学していた分の授業の復習をしていました。その点はそれぞれ先生から個別に補習をして下さるとお話を伺っていましたが、やっておいて損は無いと思い、同室の彼女の寝息を背景音にノートを書き進めていました。

 

 

 備え付けられた時計を見ると、時刻は既に9時を回っており、流石にノートを閉じて机の電気を消し、ベッドへと移動しました。

 既に眠っているイクノさんに小さく就寝の挨拶をしてから、私もその瞳を閉じました。

 

 

『.........ねぇ。良い夢を見ない?』

 

 

マック(んん.........?なんですか.........これから寝ますと言うのに.........)

 

 

『良いから♪きっと、喜ぶわよ?』

 

 

 そう言われてまた、彼女の手が私の手に触れました。不思議な事にいつも以上の眠気が私を襲い、一分も持たずに眠りの世界へと誘われてしまいます.........

 

 

 そして、その時見た夢は.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木[.........!!?マックイーンっっ!!?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寝起きのトレーナーさんとナリタブライアンさん.........そして、メジロ家の従者である爺やと主治医の夢でした.........

 

 

 

 

 

......To be continued

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