山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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トレーナー「今日からスピカの一員か」

 

 

 

 

「「「「かんぱーーーい!!」」」」

 

 

 日は沈みきり、夜の街は街頭や店の明かりで人々を安心させる時間になる。

 メジロマックイーンが正式に担当になった夜。お祝いとして親友達と[美味美味(ウマウマ)肉天国]で酒を飲みながら肉を焼いていた。

 

 

白銀「俺の為にありがとう!!」

 

 

桜木「え?お前なんかやったっけ?」

 

 

神威「コイツは日本大会で勝っただろ」

 

 

黒津木「お前なんでここにいんの?」

 

 

神威「ひっでーお前!!」

 

 

 ゲラゲラとした笑いが座敷の個室に響き渡る。最近居ないと思ったら試合だったのかコイツ。

 神威に関しては、実際日本中渡り歩いてるコイツが参加するなんて思っても見なかった。どうやらここ最近はここら辺に住んでいるらしい。今何で生計を立てて居るのかはちっとも教えてくれないが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「メジロマックイーンが最強だから!!必ず天皇賞連覇してみせるから!!!」

 

 

白銀「うるせェ!!!俺様が世界一位だからひれ伏せゴンザレスッッ!!!」

 

 

黒津木「俺達はからあげ!!」

 

 

二人「ピクミンフィールド!!!!!」

 

 

神威「」

 

 

 宴会会場は正に混沌を極めていた。桜木は酒に酔い、叫びながら宣言をあげ、白銀は一位になる事を宣言し、黒津木はゴロゴロと転がりながら二人に突撃し、神威は酷いアルコールの匂いで酔い潰れ、意識を失っている所を盾にされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桐生院「あ、あの.........大丈夫ですか?」

 

 

 次の日の朝。職員室の机で二日酔いで突っ伏していると、桐生院さんから心配された。なんであんなに飲んだんだ?最初に白銀が酔ってストッパーの神威が潰れたんだっけか?じゃあもう終わりだ。仕方あるまい。

 突っ伏した衝撃でポテッと俺の頭にぬいぐるみのマックイーンが身体を預ける。可愛い。ぬいぐるみのアグネスタキオンは微動だにしない。可愛い。

 

 

桜木「飲み過ぎたんだ.........久々の友達との飲みだったから、ハメを外し過ぎたんだ.........」

 

 

桐生院「と、友達ですか」

 

 

 なんだい?もしかして俺に友達が居ないとでも思っていたのかい?心外ですな.........

 いつまでも突っ伏している訳にもいかない。あそこまで飲んだのも初めてだし、二日酔いになったのも初めてだ。こんなに辛いものなのか?そう思いつつも、ドラッグストアで買ってきた二日酔いの薬を口に入れ、天然水で身体の奥へと流し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、四時間目の授業も終わり、いつも通り昼食を貰って三女神の噴水に行こうとしている最中でした。

 

 

ゴルシ「よっ!マックイーン!」

 

 

マック「あら、ゴールドシップさん。こんにちは」

 

 

 廊下の曲がり角から左半身を出しながら挨拶をする長身で綺麗な芦毛のウマ娘。ゴールドシップさんが目の端から現れました。最近ではこうして、休み時間に顔を合わせる機会が増えた気がします。

 

 

ゴルシ「そだ!!マックイーンも来いよ!!歓迎するぜ?」

 

 

マック「え?一体何の話をしていらっしゃるのですか?」

 

 

 と言うより、どうして半身を隠しているのでしょうか?そう思っていると、その全身が見えてきました。

 

 

マック「.........あの、その人は一体.........?」

 

 

ゴルシ「ああ!桜木のおっちゃんだ!!休憩室でダウンしてたからかっさらって来たんだぜ!!」

 

 

マック「貴方は何をしてるんですの!?」

 

 

 なんと、目の前のゴールドシップさんにずた袋を被せられ、肩に担がれている方は、先日、私と正式に契約を結んだトレーナーさん本人でした。

 あまりに動かないので、安否を心配している私を後目に、ゴールドシップさんはずいずいと、何処かも分からない目的地へと進んでいきました。

 仕方が無いので、それについて行きますわ。

 

 

マック「それで、何処に向かっていらっしゃるのかしら?」

 

 

ゴルシ「どこって、お前らのチームルームに決まってんじゃん!!」

 

 

ゴルシ「トレーナーに伝言頼まれててさぁ、伝えようとしたらこいつ伸びてたんだよー。起きるまでまーた昆布を水にふやかして、伸ばしながら待たなきゃ行けねえのかなって思ってたから、マックちゃんが居てくれて助かったぜ!!」

 

 

 そう言うと、ゴールドシップさんは前を歩きながら鼻歌を上機嫌に歌い始めました。他の生徒から奇怪な目で見られるのでやめて欲しいと思いましたが、彼女の性格を考えれば、期限を損ねる方こそ周囲の目を集めてしまうと思い、指摘するのを止めました。

 そんな周囲の目を無視し続け、歩いていると、ゴールドシップさんはその歩みを止めました。

 

 

ゴルシ「うぃーっす、邪魔するぞ〜」

 

 

 その片手に持った鍵で扉を開けると、そこには新品のソファーとテーブル。そして冷蔵庫と簡単な料理くらいなら出来るキッチンが備わっていました。

 

 

マック「ど、どういう事ですの.........?」

 

 

ゴルシ「じゃ、あとよろしく♪」

 

 

マック「ゴールドシップさん!?」

 

 

ゴルシ「アタシは増えるワカメがどれくらい増えるのか統計取らなきゃ行けねえんだ!!」

 

 

 そう言うとゴールドシップさんは、トレーナーさんをソファーに、鍵を私に投げ渡し、そのまま逃走していきました。

 

 

マック「な、なんだったんですの.........?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴールドシップさんが去り、お昼ご飯を食べ終え、何もすることが無く、手持ち無沙汰になっていると。

 

 

桜木「.........ん.........ぁ?」

 

 

マック「あら、目を覚ましたのですね」

 

 

 ソファーの上で毛布を掛けて寝かした彼が目を覚ましました。最初よりかは顔色も良くなっており、体調が回復した事が見て取れました。

 

 

マック「おはようございます、トレーナーさん」

 

 

桜木「マックイーン...............?」

 

 

 まだ意識は夢から覚めていないのでしょうか?いつもと違い、目がトロンとしていて可愛いです。そんな風に思っていると、何かを頭に乗せられました。

 

 

桜木「おはよう...............」

 

 

マック「ト、トレーナー.........さん.........?」

 

 

 手です。トレーナーさんの、毛布の下で暖められた手が私の頭を撫でています。冷静になりましょう。そう、寝ぼけているだけです。

 だから頬を熱くしないでください。お願いですから。

 

 

桜木「なんか飲む.........?」

 

 

マック「い、いえ。結構ですわ............」

 

 

桜木「そう.........」

 

 

 そう言いながら、彼はソファーからゆっくりと起き上がり、私の横を通っていきました。何処へ行くのでしょう?そう思って見守っていると、彼はなんと壁に激突してしまいました。

 

 

マック「トレーナーさん!?」

 

 

 反応はありません。膝をぺたっと折り、その場に正座して痛みに震えています。近くまで行った方がいいのでしょうか?そんな風に考えあぐねていると、彼の震えは治まりました。

 

 

桜木「...............マックイーン.........」

 

 

マック「はい.........?」

 

 

桜木「俺は今.........君に何をした?」

 

 

 体制はそのままに、顔だけをこちらに向けるトレーナーさん。彼の目はもう、しっかりと目覚めていらっしゃいました。

 何をされたか、そう言われると同時に、頭に残る暖かさが強調され、頬を熱くしてしまいます。そして、それがどうやらトレーナーさんが何をしたかと言う問いかけへの答えになってしまったようでした。

 

 

桜木「最低だ.........俺って.........」

 

 

マック「だ、大丈夫ですわ!!あ、頭を撫でられただけです!!」

 

 

桜木「セクハラだぁ.........」

 

 

 その大きな両手で顔を覆い隠してしまいました。そこまで気にする必要なんて無いですのに.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 迂闊だった。目に飛び込んでくる家具や物の配置が見事に家と同じだったせいで、冷蔵庫に行こうと無い廊下を目指し、激突してしまった。

 いや、それだけでは無い。それだけでは飽きたりなかった。どうやら俺は、寝ぼけてマックイーンの頭を撫でてしまったらしい。本当にデリカシーが無い。

 

 

桜木「.........」

 

 

マック「.........」

 

 

 重い.........訳では無い。ただ、どう謝れば良いのかとずっと問答している状況だ。何度も何度も目を合わせるが、その度に視線を外されるし、頬を赤くされる。そんな反応されれば溜まったものじゃない。クリーク歯ブラシの効果は薄まっているのかもしれない。

 

 

桜木「その、悪かった。寝惚けていたとはいえ、頭を撫でるなんて」

 

 

マック「き、気にしていませんわ.........」

 

 

 いやいや、嘘でしょうよそれは.........だったらなんでそんな両手を振って否定してるのよ.........

 時間は刻一刻と時を刻んで行く。今は動けない。それが定めだけど、などと、心の中で無理矢理余裕を作っていると、マックイーンの方から切り出してきた。

 

 

マック「あの、普段からあのようなスキンシップを.........?」

 

 

桜木「いやいや、家族以外にあんな事はしないよ.........恋仲でもあるまいし」

 

 

マック「そ、そうですわよね.........」

 

 

 なんでちょっと嬉しそうにしているんだ君は.........いや、これは夢だ。そう思おう。そうじゃなきゃやってられない。

 

 

桜木「あー、なんかごめんな。貴重な昼休みをこんなおじさんの昼寝に付き合わせちゃって」

 

 

マック「ふふっ、構いませんわ。それに、トレーナーさんはそれほど老けておりませんわよ?」

 

 

桜木「ははは、お世辞として受け取っておくよ」

 

 

 そう言うと、マックイーンは「お世辞ではありませんのに」と、小さく呟いた。ありがとうマックイーン。けどお世辞だと思わないとダメなんだよ。それを本気にすると夜の店に入り浸るハメになるからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後を知らせるチャイムはトレーニング開始のチャイムと同じだ。今日はチームとして初めて活動する為、スピカに顔を出そうとしていた。

 

 

マック「入らないのですか?」

 

 

桜木「き、緊張するぜ.........」

 

 

タキオン「何をしているんだトレーナー君。君らしくもない」

 

 

 いやいや、人間なんだから一丁前に俺だって緊張くらいはしますよ。

 そんな俺の様子にはぁっと息を吐き、アグネスタキオンはその手で強引にドアノブを回した。

 

 

タキオン「失礼するよ」

 

 

「え!?」

 

 

「誰だ!?」

 

 

ゴルシ「お!ようやく来たかーお前らー♪」

 

 

 中に入ると、ただ座っている沖野さんに、講和会で質問してくれたウオッカとダイワスカーレット。そして増えるワカメを10個の皿に入れてノートを取っているゴールドシップがそこには居た。

 

 

沖野「おう、自己紹介してくれ」

 

 

桜木「え、えーっと、桜木玲皇です。今日からスピカのサブトレーナーとして所属します。よろしくお願いします」

 

 

沖野「まぁ、サブトレーナーつっても、コイツは新人で二人も担当したいって言う欲張りを叶える為に入ったんだ。是非とも仲良くしてやってくれ」

 

 

 本当にいい性格してるぜ沖野さん。しっかりと古賀さんの嫌な部分を受け継いでる。その様子にげんなりしていると、まばらに拍手が聞こえてくる。ゴールドシップとタキオン以外は皆苦笑い気味だった。

 

 

マック「メジロマックイーンと申します。目標は、天皇賞の制覇を目指しております。よろしくお願いいたしますわ」

 

 

ゴルシ「よっ!!マックちゃん!!!」

 

 

マック「その呼び方は止めてくださいまし!!」

 

 

 いつの間に仲良くなったんだろうな、あの二人は。先程までの優雅な自己紹介との落差で笑いが漏れてしまう。

 

 

タキオン「アグネスタキオンだ。諸事情でトレーニングに顔を出さない事もあるが、代わりにトレーナー君がトレーニングしてくれる事になっている」

 

 

桜木「は?そんな約束して無いが?」

 

 

タキオン「?何を言ってるんだ?約束などしていないのだから当たり前じゃないか」

 

 

 何を言ってるんだコイツはと言うような顔でこっちを見てくる。いや、お前が何を言ってるんだ。どうやら、俺がトレーニングするのは決定事項らしい。

 しかもご丁寧に持ってきたカバンの中からジャージを取りだし、渡してきやがった。用意周到が過ぎるぜ全く。

 

 

ダスカ「ダイワスカーレットです!新しくトレーナーさんが来てくれるなんて思ってませんでした!!よろしくお願いします!!」

 

 

ウオッカ「.........」

 

 

 元気ハツラツに挨拶をしてくれる栗毛のダイワスカーレット。その様子をうわーっという目で見る。うーん。あの目は本性を知ってる人が猫を被った時にする目だな。俺も良くするよその目。

 

 

ウオッカ「ウオッカだっ!夢は一番カッコイイウマ娘になる事っ!!よろしくな!!」

 

 

ダスカ「.........」

 

 

 こちらも負けじと元気に自己紹介をしてくる。隣のスカーレットはその暑苦しさに若干参っていたようだった。

 

 

桜木「さて、自己紹介も終わった事だし、トレーニングに.........」

 

 

沖野「いや待ってくれ。もう一人来るはずなんだが.........」

 

 

 そう言って腕時計を確認する沖野さん。もしかしてここの場所を教えてないんじゃないか?

 

 

桜木「案内とかってしたんですか?」

 

 

沖野「ああ、この前職員室に来た時にな。オグリキャップに頼んだんだ」

 

 

 あ、ふーん(察し)成程、道理でねぇ。いつまで経ったって来ない訳ですよ。

 

 

桜木「ちょっと迎えに行ってきますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サイレンススズカと言います。よろしくお願いします」

 

 

 ぺこりとお辞儀をする栗毛のウマ娘。サイレンススズカ。以前、二人以上担当したいと悩んでいた時に出会ったウマ娘だ。

 先程オグリさんとぐるぐる同じ所を回っていたのを発見し、俺が案内してきたのだ。

 

 

沖野「おっし、これで全員揃ったな。それじゃあ早速トレーニングと行くか」

 

 

タキオン「あー待ちたまえ。モルモット君はこれに着替えてからだよ」

 

 

桜木「あ、結局俺がトレーニングするんすね.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつもの仕事着からジャージへと着替えが終わり、外に出る。アグネスタキオンを沖野さんと挟むようにして立つと、タキオンは顎で「お前はあっちだ」という様に指示される。

 仕方が無いので、前に並んでいるマックイーン達の隣に渋々移動した。これではどちらがトレーナーなのか分からないが、タキオンが満足するなら仕方が無い。

 目の前に居る沖野さんはテキパキと指示を出している。俺も隣にいるマックイーンへと話しかけた。

 

 

桜木「とりあえず、柔軟をしてからスタミナトレーニングと筋力トレーニング。余裕が出来たら脚力を鍛えよう」

 

 

マック「分かりましたわ!トレーナーさん!」

 

 

タキオン「いい指示を出すね。流石はトレーナー君」

 

 

 パチパチと拍手をするアグネスタキオン。俺が持つはずのクリップ付きのボードを腕に抱えている。

 

 

タキオン「では私からも指示を出そう。これを飲んで、マックイーンと同じトレーニングをしてくれ」

 

 

桜木「えー?」

 

 

タキオン「別にいいじゃないか。君の為を思ってマックイーン君の指導も出来るように、私は背に腹を変えて君にこの指示を出したのだよ?本当だったら1400mを2分半で走ってもらう所だったんだからね」

 

 

 おいおい、軽く人間の世界記録を超えさせようするんじゃないよ。まぁ、マックイーンのトレーニングを見れるのは幸いだ。

 

 

桜木「うっし、それじゃあ始めますか.........」

 

 

マック「頑張りますわよ!トレーナーさん!」

 

 

 こうして、チームスピカの端くれとして、まずは二人のメイクデビューを目標にトレーニングを始めるのであった.........

 

 

 

 

 

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ......To be continued

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