山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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黄金達の行方

 

 

 

 

 

 墓参り。というのは何ともつまらん物だ。この世に存在していない過去の人間の為だけに時間と金と労力を消費する。何ともまぁ無駄な事が好きな人間らしい行動だ。

 

 

「.........」

 

 

 晴天の空の下。一人留守番を食らったロボのする事など無いに等しい。お家には俺より超高性能なメイドロボがあくせくと部屋中を綺麗にし、それを指揮する人間メイドも家主の居ない屋敷を警備している。

 俺は見た目的に屋敷の景観を損ねてしまう。誰が生めと頼んだ?誰が創れと願った?なんて言う程には恨んじゃいないが、メモリー越しに映る憎たらしい主人の顔を思い浮かべる。

 

 

 そんな事をしても埒はあかない。手に持った指先を酒の栓に突き立ててモーターを使ってねじり込む。

 

 

「トップバリュのウイスキーだ。嬉しいだろ?」

 

 

 その中身を墓に掛ける。アルコールの匂いが辺りに充満するが、嗅覚センサーを切ったので俺に被害は無い。

 

 

「なぁ、[白銀 翔也]?テメェの親友は元気にやってんぞ?」

 

 

「あ、あと[黒津木]も居たっけ。忘れてたわ。まぁ半分掛けりゃいっか」

 

 

 何故か仲良く隣同士の墓石に骨を埋めている奴ら。移動するのも面倒な為に腕の伸縮機能を使い墓に酒を掛ける。

 

 

「おお飲め飲め。飲んであの世でも死ねぇ」

 

 

 空っぽになった事を確認した後、そのボトルを思い切り白銀の墓に叩き付けて割った。持って帰るの面倒だし。別に良いだろ。墓に落書きされてるし。〇〇コ大好きって。

 

 

「凱旋門賞だとよぉ。ロボ爺やも行きたかったぜ。ロボは飛行機に乗れないんだとよ」

 

 

「ひっでぇ話だよなぁ?別に良いだろ?身体ん中に花火埋め込んでるだけだぜ?六万発分の威力のある花火」

 

 

 どうやら法に引っかかるらしい。日本じゃなくて国際の。俺だって行きたかった。けどあのオワご主人がビビって同行拒否してきやがった。

 自分の孫を過去に送って歴史を改変したっつうのにミジンコの排泄物並にちいせぇ肝っ玉だ。殺してやろうかと思ったわ。あのおいぼれクソご主人。

 

 

「.........やべ。サイレンの音が聞こえてきやがった。誰か通報しやがったな」

 

 

「じゃあなッ!!ハーフバカオリジナルとその愚かな愚友よ!!!あの世で誰にも望まれない[ピ―――(この世で最もド汚い下ネタ)]してじじいを待ってな!!!」

 

 

 響き渡るサイレンの音。それも既に地上の物でしかない。頭に収納されたプロペラを展開して空を飛ぶ。

 このまま海の向こうまで行けたなら.........残念ながら燃料とエンジンが耐えられない。世界初のクリーンでエコなスーパーハムスターエンジンの稼働時間は長くて三時間程度だ。ひまわりの種も尽きるからな。

 

 

 だが一目でも見ておきたかった。俺の辿り着けなかった境地に足を踏み入れた者達の姿を。夢に、希望に殺される事無く生き抜いた若き[夢追い人達]を.........

 

 

 彼女達が果たしてこの先、どこへ向かうのかを.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 山あり谷ありウマ娘 外伝

 

 

 黄金達の行方

 

 

 最終話 行方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人々が賑わいを見せるロンシャン競馬場。しかしそのざわめきの奥には確かに、どこか恐れのようなものを感じている。それはどの人種も同じ事だ。

 あちらの方からしてみれば、今回来た日本のウマ娘は正に海外キラーと言っても差し支えないだろう。その名を海外のレースで刻み付けているウマ娘。しかしその中でも異端極まりない存在の[キンイロリョテイ]の娘達だ。無意識にでも警戒はする。

 そしてこちらからしてみれば.........これが恐らく[最後のチャンス]だ。ここで誰も手が届かなければ、もう二度と日本のウマ娘が凱旋門賞を取る姿は見れないだろう。

 少なくとも、俺が生きている内は.........

 

 

桜木「.........難儀な物だな」

 

 

リョテイ「.........ほーあな」

 

 

 最終コーナーが見える特等席。そんな場所の最前列で陣取っている俺達だが、皆俺とリョテイの姿を気まずそうに見ている。

 それはそうだろう。リョテイは兎も角として、二人揃ってチュッパチャプスを口に入れている様子は異様に見える筈だ。

 

 

 .........そして何故かジェンティルドンナが一生俺の袖を引いている。驚愕した表情で顔を固めながら。

 

 

ジャス「あの、どこから突っ込めば良いです?」

 

 

シオン「ひ、ひとまず落ち着こう?ジェンティル?」

 

 

ドンナ「お、落ち着くですって.........!!?そんなの無理に決まってるじゃない!!!だって.........」

 

 

ジャニ「.........ん?なんだ。オレ様の顔に何か付いているか?」

 

 

 .........ああ、そうだったそうだった。ここには彼女の[弱みそのもの]である存在のドリームジャーニーが居たんだった。すっかり忘れていた。

 

 

桜木「紹介しよう。俺の孫のドリームジャーニーだ。通名は」

 

 

ドンナ「[ジャーニークイーン]!!そうでしょう!!?マスクが無くても分かるわよ!!」

 

 

ジャニ「なんだ。オレ様のファンか」

 

 

 さも当たり前だと言わんばかりの反応を示すジャーニー。その言葉で完全に正体が確定してしまい、ジェンティルの表情はまるで幼き少年の様なキラキラとした目をしていた。

 

 

ジャス「う、ウマプロレスラーのジャーニークイーンって、最近世界統一戦を勝ったってニュースで見たよ!!?」

 

 

シオン「それにしても、ジェンティルがウマプロファンだったなんて知らなかったっす」

 

 

ドンナ「ウマプロレスラーは日々己の肉体を鍛え上げる存在よ。その弛まぬ研鑽によって作り上げた肉体美をプロレスというスポーツで披露する.........レースと同じ程に熱い物よ」

 

 

ジャニ「じじい。プロレスの方が良いよな?」

 

 

桜木「辞めてくれ。今の俺の立場じゃ何も言えん」

 

 

 かつての俺だったのなら孫である彼女を全肯定していただろう。初孫だったのでかなり甘やかしてしまい、彼女が大きくなった後もその調子で居続けた結果だ。身から出た錆とも言える。

 しかし今の俺はトレセン学園のトレーナー。おいそれとレースと他のスポーツに優劣を付けることなどは出来ない。

 

 

 ジャーニーはそんな俺の言葉に対して甘える様な不慣れな上目遣いをしてくる。辞めてくれ。妻も見ているんだぞ。

 

 

マック「その辺にして置きなさい。ドリームジャーニーさん」

 

 

ジャニ「チッ」

 

 

 呆れた様子を見せながらも事態を収束させようとするマックイーン。流石に我が家のトップティアである彼女には流石の狂犬ジャーニークイーンも分が悪いか。

 

 

タキオン「ほら、そろそろレースが始まるよ。雑談はまた後にでもしないかい?」

 

 

桜木「.........ああ」

 

 

 最後にまとめたのはこのチームで一番の保護者役になっていたタキオンであった。彼女の一言でウマ娘達。そしてトレーナー達も一気に気が引き締まる。

 

 

 [凱旋門賞]。未だに日本のウマ娘がその頂点に立ったことの無い場所。そのレースに今、俺の孫達が立っている.........

 

 

 彼女達が走っていた時、俺はただの[亡霊]であった。その情報は得ていたが、この目でそのレースを見る事をせず、ただただ長時間を跳躍する研究を続けていた.........

 テレビを付ければ連日のニュースが情報を流してくる。ラジオを付ければ有識者からの細かい見解が聞こえて来る。

 それらを全てシャットアウトして.........俺はただ目的を果たそうとしていた。

 

 

 だが今はもう[亡霊]では無い。[面]を被る必要も無い。

 

 

 今の俺はただの.........[桜木 玲皇]だ。

 

 

 [凱旋門賞]が始まる。

 

 

 [夢]にすら見なかった頂きが今.........俺の目の前で.........始まろうとしていた.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――ガコンッッッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゲートが開く音が聞こえ、ウマ娘達の目の前に景色が一気に広がる。それを合図に皆一斉に走り出した。

 

 

 最初は順調であった。皆予想通りの展開。そして自分の位置に付けることが出来た。

 

 

 .........しかし、それを[ぶち壊す者]が居たのを、失念している者達ばかりであった。

 

 

 

 

 

トレヴ(よし。良い位置に着いた.........ここからなら、どんな事があっても最終的に抜く事が出来る.........っ)

 

 

 ―――絶好の差し位置。バ群の広がり方に対応しながらも、後ろ過ぎないこの位置ならいつも通りのレース展開に持って行く事が出来る.........

 [ヴェニュスパーク先生]に教えて貰った事を全部活かす事が出来る場所。これで日本のウマ娘達も想像通りに走ってくれるなら私の勝利は固かった。

 

 

 けれど、私の目の前。視界の奥の奥で一人。予想して居なかった[芦毛]が存在している。

 

 

 それを見て私は、息を呑んだ.........

 

 

 

 

 

フェスタ(.........ゴルシの奴。本気だな.........)

 

 

 ―――憎いトレヴの背中が目の前にある。そしてその遥か前方の先行集団の中に、アイツの姿があった。

 アタシら以外のウマ娘は予想もしてなかっただろう。普段追い込みをしていたアイツがこの時点で前に躍り出てきた。それだけでもうアイツらの[データ]は宛にならなくなる。

 

 

フェスタ(さぁて.........アタシらはいつも通りやっていくとするか.........!!)

 

 

 

 

 

 ―――レースはいつも絶え間なく進んで行く。どんな事が起こったとしても、アタシの目の前ではいつも多くの背中がゴールという一つの目標に向かって走っていた。

 

 

 それが今、アタシが前に居ることで[停滞]した。突然の出来事で、予測不能の事態で思考を停止させ、様子を伺う奴らが大勢居た。

 

 

ゴルシ(けっ、なんだよ。良い子ちゃんぶって[データレース]吹っかけて来てる癖して、予想外が起きたらこれかよ)

 

 

ゴルシ(.........ゴルシちゃんも、[良い子ちゃん]をお手本にしたんだけどよぉ。まさか[通用]しちまうのかぁ?)

 

 

 冷や汗が頬に流れる。身体はイメージの通りに動いて展開すらも想像通り。周りの反応はちと違ぇけど、アタシの思う予想は外れていなかった。

 

 

 アタシは[先行策]が嫌いだった。面白みも何にもねぇ、ただ勝った負けたを見せるだけの作戦。そこにはなんの付随も無い。自分の力量だけでレースを面白くする事が出来ない作戦だ。そう思っていた。

 

 

 けど最初はそれを練習してたんだ.........[婆ちゃん]のレースを見て、研究して。これが勝つ為の走り方なんだってのは理解出来た。

 でもどうにも、アタシには向いてねぇ気がした。ただ勝つだけじゃ、アタシの心は満たされない。そう思っていた.........

 

 

 あの[レース]を、見るまでは.........

 

 

ゴルシ(付け焼き刃のアタシの先行策がこれなら.........[マジもん]が走ったらどうなっちまうんだろうなぁ.........!!!)

 

 

 記憶の中にある姿。それは正面から向き合って見たものでも無く、隣で歩いている姿でも無い。

 ただアタシに[背中を向けている]。ただ前に行っているだけの姿。その隣に並んだ事は無い。

 

 

 並走していた時。[アイツ]は決まって文句を垂れた。本気で走れって。けどアタシにとっちゃアレが全力だったんだ。

 アタシのレースは言わば[エンターテインメント]。だからこその[追い込み策]。

 誰かを楽しませたり喜ばせる為のもの。勝ち負けなんかどうだって良い。そんな思いで走ってきた。そうしてれば気付けば勝ちってのは積み上がってきたからだ。

 けれどアイツは違った。[勝ちにこだわった]からこその[先行策].........自分の体の力を隅々まで探し尽くして辿り着いて勝ちに行く奴には流石に勝てねぇ。

 

 

 .........でも、それも[覆った]。[アイツ]に、[あの男]に。あの[二人]に.........大きく覆されちまった。

 

 

 勝ち負けなんかどうだって良い。アタシを見て楽しんでくれりゃそれで良い。

 

 

 そんな[思い]じゃ.........届かない場所がある.........

 

 

 本当の、[人の心の奥底]には、届きやしないんだって.........

 

 

ゴルシ(へっ、まぁでも勝ちに来てねぇってのは嘘じゃねぇ。アタシのやり残しはただ一つ―――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(―――マジになったゴールドシップ様がどんだけすげぇのか.........アタシが見てぇ.........!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからこその[先行策]。封印していた戦略を手にし、一体この場所でどんだけ通用すんのか.........アタシが通用するんだったら.........或いは。

 そんな焦りにも似た期待に思考を鈍らせている事に気付いたアタシは目を細めて視界を狭めた。絞るべきは思考だ。そうじゃなきゃ[マジ]とは言えねぇ。

 

 

 今はただ.........走り抜けるだけだ.........!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場内は唖然としていました。予想もして居なかったゴールドシップさんの先行策。公式レースで一度やっていたとは言え、付け焼き刃に近いそれをこのレースで見せたのは完全に予想外でした。

 

 

桜木「フっ.........中々良い荒らし方だ。全員度肝を抜かれている」

 

 

マック「ええ.........それにしても、あの先行策、まるで―――」

 

 

 そこまで言い掛けて口を噤む。その言葉を出してしまえば、既に捨てた筈の[思い]をまた拾い直してしまう。そう思ってしまったから。

 そんな自分に嫌気が差して胸に拳を置きました。既に何十年も前に決着をつけたのです。今更出てきて貰っても困ります。

 

 

 しかし、そんな私の様子を見て隣に居る彼は頬を緩ませました。

 

 

桜木「.........[君の様だ]。と思ったのかい?」

 

 

マック「っ、はい。細部や身体の動かし方は違えど、あの位置であのスピードの先行策。アレは正しく[メジロマックイーン]の物ですわ」

 

 

桜木「.........無駄の無い動き。極限まで削ぎ落とした予備動作がスタミナを節約しながらも、前へと進む推進力と加速力は十分に保っている」

 

 

桜木「ククク、如何にも[あの男]が考えそうな強欲な走法だな」

 

 

 顎に手を当てながら彼女の走りを見る夫。棘のある言葉とは裏腹に、その感心が見えていました。

 

 

 その姿を見ながらも、耳にはやはり他の観客達の声が聞こえてきます。皆それぞれ手に持った[デバイス]を見て表情を驚愕に変えていました。

 

 

ジャス「.........[確率]が変わったんでしょうね」

 

 

シオン「そうみたいっすね。日本も評論家さん達があたしらの出立前に色々言ってたから、そっちも大変な事になってそ〜」

 

 

ドンナ「.........[データ]で解決するなら、最初からレースなんてしないわよ」

 

 

 俯きながら鉄柵を強く握り締めるジェンティルドンナさん。彼女の強い握力によってメキメキと音を立てていますが、彼女の普段は見せない感情を顕にした様子のせいで誰も気には止めません。

 

 

 [確率]。[データ]。[勝率]。今やそれがレース前に出る事が当たり前となった時代。[人工知能]の急速な発展の中で人々の娯楽もより効率良く、そして間違いの無い物へと変わって行きました。

 年々、レース界にその身を投じるウマ娘。並びにトレーナーは数を減らしています。数十年前から人材不足だったトレーナー側は更にその人数が少なくなり、今や単なる物好きな人間がなる職業と成り下がってしまっています。

 

 

 真剣にレースに取り組んでいる人達からしてみれば、勝手に勝率を計算され、有名になればなるほどそれがテレビやインターネットで拡散されてしまう。

 例え気にしないとしても、無意識にそれが影響してしまうことも有り得てしまうのです。

 

 

桜木「.........くだらんな」

 

 

マック「ええ。本当に」

 

 

 気が滅入る話を一旦区切り、もう一度レースの方へと目を向けます。

 日本のウマ娘。私達の孫は一人を除いて後方集団。特にナカヤマフェスタさんは常に良い位置をキープし続けていつでも抜け出せる準備が整っています。

 

 

 しかし.........オルフェーヴルさんのこの位置は.........かなりまずいです.........

 

 

マック(11番と7番.........走り方的に外へ膨らむ事はまずありません。だとするならば外へ行くならば自分)

 

 

マック(ですがそれでは距離的な問題からして集団には兎も角、先頭に立つ事すら厳しいはず.........一体、何を狙っているのかしら.........)

 

 

 鬼気迫る表情を見せる彼女。マスク越しからでも分かる程に切羽詰まっているのがよく分かります。

 一体あそこで何を―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――いえ、もしかして.........?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レースが中盤戦に入った。走るヤツらの中にはもう[立直]を賭けて位置キープをする者も現れている。

 だがアタシからしてみれば.........

 

 

フェスタ(.........[ぬるい]な)

 

 

 一発逆転。振り込んじまえば一気に捲られる可能性がある。その代わりにそれ以外のアガりを見せることは無い。一か八かの賭け。

 勝負の分からねぇ奴が見りゃ度胸のある行動だと思うだろう。だが、勝負という物を知り尽くした者からしてみりゃあ.........[楽になりたい]だけの[捨て賭け]に他ならねぇ。

 

 

 狙い時は今じゃねぇ。普段だったら良い子ちゃんの連中だってそんくらい分かりきってるはずだ。

 そうさせてんのは言うまでも無く.........[トレヴ]の存在がでけぇんだろう。

 

 

フェスタ(ったく、存在感で言っちまえば一番でけぇな。少し前に居るが.........肌がひりついてやがる)

 

 

 自己研鑽の賜物か。はたまた才能の成れの果てか。いずれにしろあのウマ娘の力は侮れない。侮れないからこそ、勝負所はしっかり見極める必要がある。

 

 

 頭の中に形成される[卓]。川に打たれていく手牌はレースの展開。可能性はどんどん消えて行く。

 中には焦って[立直]を賭けた奴らの物もある。アガれねぇのはつまり.........それを切ったのはどうでも良い相手だってだけの話だ。

 アタシはまだ立直は掛けねぇ。次にどんな牌が来るのか分かんねぇ中でアガり1000点だけの立直は賭ける価値も無い。

 

 

 それにここで賭けるなら.........[勝利]じゃなく、[展開]だ。

 

 

フェスタ(.........5番。アイツ。さっきから内側を気にしてやがる。ゴールドシップが怖ぇんだろうが.........そのタイミング。便乗させて貰うぜ?)

 

 

 目星は付けた。後はタイミングを待つだけだ。ここは[鳴かせてもらう]。

 

 

 思考に余裕が出来たアタシは、後方に意識をやる。少し離れた位置にオルフェーヴルが居るが.........どうにも前に出切れないで居やがる。

 

 

フェスタ(.........[錆]はまだ落ちねぇか)

 

 

 [鞘ごと錆び付いた剣]。今のオルフェーヴルを表現するならそれだ。抜くべき場所で剣を引き出せない状態。スランプだ。

 まぁ当たり前だろう。アタシと違って完全に勝負事から離れていた時期がかなり長い。半年近くトレーニングや並走はしていたとはいえ、本物の勝負から得られる物はそれの比じゃない。

 

 

フェスタ(.........まぁ、[多面張]が[両面待ち]になっただけだ。まだ焦る時じゃねぇな)

 

 

 上がってくる可能性は低い。アタシの手牌を考えりゃまだアガれる可能性はある。

 

 

 その瞬間を見逃さないよう、目の前のレースにもう一度意識を集中し直した.........

 

 

 

 

 

オル(くっ、前に出切れ無い.........!!!)

 

 

 ―――完全にブロックされてしまっている。目の前のウマ娘に阻まれてしまって、抜けるには大きくアタシが逸れるしかない。

 

 

 やってしまった。後悔っていう奴だ。それも勝負が決まる場所じゃない。序盤の序盤で積もり積もって中盤で最大値に達してしまった。[今のアタシ]じゃ.........これは超えられない.........

 

 

オル(なんで.........!なんでなんでなんで.........!!!)

 

 

 悔しさが滲んで歯を食いしばる。ギチギチと奥歯を噛み締めて今の自分を蔑む。もっとあの時練習していれば。トレーニングだけでも継続していたら.........そんな思いが今更になって溢れ出してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 .........でも、[諦めきれない]。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [あの子の思い描くアタシ]は、絶対に[諦めない].........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 必死に勝利に届き得る何かを探して、それに手を伸ばし続ける。

 

 

 誰でも良い。その[答え]を求めてアタシはただ、目を瞑った―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――なんで走るの?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オル「.........っ!!?ここ、どこ.........?」

 

 

 意識が目覚める。目の前には広大な草原が広がっていてアタシの情緒をおかしくさせる。さっきまで本気のレースをしていた筈なのに.........身体も心も、すっかり疲れが無くなってしまっている。

 

 

 そんな空間に呆気に取られていると、視界の端っこから綺麗な[蝶々]が現れる。見た事もない配色。[金色に輝く羽]をはためかせながらヒラヒラと飛んで行く。

 

 

オル「っ!待って!!!」

 

 

 それに導かれた訳じゃない。ただ一人になるのが怖かった。目の前で遠のいて行く蝶に追いつこうと走ってみるけど.........その差は一向に縮まらない。

 やがて蝶は小さい[苗木]に止まった。止まって.........何故かそこから[蛹]になった。普通だったら有り得ない事なのに、アタシはそれを見て恐怖を感じる事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――なんで走るの?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まただ。ここに来る直前、自分の中に響いた声が聞こえて来た。でもやっぱり、怖くは無い。

 そしてその声はその[苗木]から聞こえて来た。一体誰のものなのか。なんでそんな事を聞くのか。一切疑問に思う事なんて無く、アタシは口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.........アタシね。イジメられてたんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 口に出したのは、過去の事。何を話そうか迷っている内に自然とその事が口から出てきてしまっていた。

 それを否定する事も止める事も出来ない。アタシはただ過去の出来事を口から垂れ流す事しか出来なかった。

 

 

オル「一番上のお姉ちゃん。乱暴者でさ。フェスタちゃんは喧嘩もレースも強かったけど.........アタシは弱かったから、仕返しの相手にされた」

 

 

オル「でも、そんなアタシを助けてくれたのがじいじだったんだ。情けなくて弱くて.........本当に[ダメ娘]だったアタシを、助けてくれた」

 

 

オル「それが何だか.........[王様]みたいでね。それで―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――アタシも。[王様]になりたかったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰からも頼られる[王様]。人の話や相談を聞いて解決したり、困っている人が居れば助ける。そんな[王様]になりたかった。

 そんな気持ちが大きくなって、アタシは[三冠]を意識し始めた.........

 

 

 [三冠バ]になれば、きっと皆認めてくれる。弱虫で泣き虫な[オルフェーヴル]じゃ無くなる.........そう思って、我武者羅に走り続けた。

 

 

 けれど結局変わったのは[世間の評価]だけ。アタシの力だけを見て、その中身は知らんぷりだった。

 そしてアタシも.........自分の内面を変える事は出来なかった.........

 

 

 そんなアタシを、[あの子]は[王様]だって言ってくれたんだ.........

 

 

オル「もう、皆の[王様]になれなくてもいい」

 

 

オル「でも責めて.........!アタシはあの子にとっての[王様]になりたいッッ!!!」

 

 

オル「だからアタシは―――ッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「[あの子]と[勝ちたい]―――ッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 胸に下げた[王冠のネックレス]。あの子が残してくれた大切な贈り物。それを握り締めながら、アタシはその声に伝えた。

 

 

 そして、風が吹いたんだ。何かの始まりを乗せて世界を渡る風。そんな風が.........アタシの頬を撫でて行った。

 

 

『.........そっか』

 

 

『[僕と同じ]だね』

 

 

オル「.........え?」

 

 

 その声は言った。自分と同じだと。アタシの[夢]が、同じ物であると。

 

 

 それがどういう意味なのか、それを聞こうとした瞬間。蛹の止まった苗木が強い光を放ち始めた。

 そのあまりの眩しさに思わず手で顔を覆った。

 

 

 そして、徐々に明るさが瞼の上から抑えられていくのを感じたアタシは光を遮る手を退け、その苗木のあった場所を見て、驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには.........[一振りの聖剣]が突き刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕も、[王様]になりたかった』

 

 

『でも本当の僕は弱くて泣き虫で、兄さん達や弟達みたいにはなれなかった』

 

 

『.........でもね。君と同じ様に、沢山[大切な人]が出来たんだよ』

 

 

 その声は、今度は[聖剣]から聞こえて来た。沢山の大切な人が出来たというその言葉と共に、アタシとそれの周りを多くの人が囲んでいる。

 

 

 知っている人が沢山居る。そんな中で一度も会ったことない人。でも何故か、[どこかで会った]事のあるような人達が.........アタシ達を見守るように囲んでくれていた。

 

 

『[王様]は、[一人]じゃ成り立たないんだ』

 

 

『色んな人が居て、その人達に支えられて初めて[王様]になれるんだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それを.........忘れないで―――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オル「―――!」

 

 

 ほのかに現れた人影。それはどこか、[以前までのアタシ]を思わせる姿形をしていた。

 

 

 でもその姿も一瞬だけだった。それからもう、声もその気配も無くなった.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 .........ううん、違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 確かに感じる。この[聖剣]に.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オル「.........ありがとう」

 

 

 きっとあの声は.........アタシなんだろう。そして、[アタシじゃない]。上手くは言えないんだけど、多分そういう事なんだと思う。

 

 

 多くの人がアタシを支えてくれている。その思いに応えたい。その一心で、アタシは地面に突き刺さっている聖剣の柄を両手で握りしめた。

 

 

オル「アタシは、[オルフェーヴル]だ」

 

 

オル「[金色に輝く未来]に向かう為に、今こそ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――[力]を示せッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレヴ(.........[そろそろ]ですね)

 

 

 レースは終盤に差し掛かっている。フォルスストレートは下り坂。ここで速度を出してしまえば足が持たない。だから皆スピードを少し抑えて走っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからこそ、ここでスパートを掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 焦って勝負を決めに行く訳じゃない。これは最初から決めていたこと。もしこの偽りの直線でスピードを出しながら、最後の直線でも足を残せるなら、誰も追い付いて来ない。

 だから私は.........私の強さを。[外の世界]を甘く見ている[身の程知らず]に、[世界の厳しさ]を教える為に.........

 

 

 そこで、スパートを掛けた.........

 

 

 

 

 

フェスタ(っ!!?アイツ、マジか.........!!!)

 

 

 ―――ここに来て勝負の流れを変える一手を一番面倒臭い相手に切られた。普通の相手ならば[立直]クラス。だがトレヴにとっては.........これは[(カン)]と言っても差し支えない。

 手をこまねき過ぎた。その停滞した保留。安直な打牌を逆手に取られ、数ある内の一牌。[安牌]だと思われていた牌が鳴かれてしまった。

 

 

 だが、そうではない可能性も充分有り得る。

 

 

フェスタ([麻雀]だったら分かるんだが.........レースじゃ[暗槓]かどうか分かったもんじゃねぇ.........!!!)

 

 

 自分の手牌で四つの絵柄を揃えた[槓]なら、その後[立直]を宣言する事が出来る。誰かの打牌から一個取った[槓]。所謂[明槓]ならば[立直]は掛けられない。

 

 

 だがそれは[麻雀]ならばと言うこと。これはレース。ハッキリとはして来ない。もしかしたらこの作戦を最初から決めていたのかもしれないが.........アタシらの心理的ピンチには差して影響は与えない。

 

 

 [王牌(ワンパイ)]はめくられた。アタシの脳内じゃそれは[婆さんの絵]。安定を重ねて勝利を目指すが吉。という暗示の絵柄だ。

 

 

フェスタ(けっ、何が安定だ.........!!!テメェが一番危ねぇ橋渡ってんじゃねぇか!!!)

 

 

 グングンと前へと出て行こうとするトレヴ。それを止めれる者は誰一人として居ない。

 もしこのままフォルスストレートを抜けちまえば、奴はそのままのスピードで走り抜けて行く事だろう。そんなの、百も承知だ。

 

 

 .........[立直]を賭けるしかない。幸い手札は揃っている。[対々和]。次のターンで兎に角点棒を賭けることは出来る.........!

 

 

フェスタ(仕方ねェ!!!勝負だ―――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――頭の中で引いた[牌]。それに触れた瞬間。何かを感じ取った.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オル「―――ッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 周りの気配が無くなった。いや、[潰された]と言った方が正しいだろう。肌がひりつく程の一人の威圧すらも、たった[一人]のそれに潰された。

 皆、察している。この場で走っている者達が全員。その気配の主に気付いている.........

 

 

フェスタ(.........[槓])

 

 

 引いたのは.........[オルフェーヴル]。四枚目だ。ここで宣言しない選択肢は無い。頭の中の卓の隅に、四つの絵柄が揃えられる。

 [王牌]からめくられたのは[ジャスタウェイ]。愚直に前に進むが良しというアタシの中の暗示だ。

 

 

 [槓]をした奴はもう一度牌を引くことが出来る。さっきのは本当に偶然だ。もう一度は有り得ない。

 

 

 アタシは.........[牌]を引いた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「―――ッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 引いたのは[ゴールドシップ]。それも三枚揃っていた。

 

 

 有り得ない確率。だが生きている内に勝負事を続けて居れば拝む事は出来るだろう。自分では無いにしろ、そんな事が起きても不思議じゃない。

 

 

フェスタ([槓].........!!!)

 

 

 卓の隅に四つ。また牌が追加される。心臓が吠える程の興奮。その熱に身体を焦がしながらまた[王牌]に手が触れる。

 めくられたのは[ウインバリアシオン]。友を信じて走り抜ける。という勝手に付けた暗示。

 

 

 槓をしたから.........もう一度アタシは、牌を引く事が出来る.........

 

 

フェスタ(.........もう、分かってるよ。[奇跡]ってのは、そう何度も起こるもんじゃねェって)

 

 

 自嘲する様にアタシは心の中で笑った。もしそんな姿を誰かが見りゃ、[諦めた]って言われてもおかしくは無い。

 確かにアタシは今、[諦めた]。でもそれは[勝負]なんかじゃない。アタシが諦めたのは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――[奇跡]が起きる事に対しての[期待]にだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェスタ(そう何度も起こる事じゃねェから、これは―――ッッッ!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

([奇跡を超えた何か]だッッッ!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後に引いた牌。それは紛れも無く[アタシ]だ。それも.........三枚まで揃っていた。

 

 

 四枚目。[槓]が三つ。しかも全て[暗槓]と来た。こうなればする事はたった一つ.........

 

 

フェスタ([槓]ッッッ!!!!!)

 

 

 自分の顔を四つ隅へ追いやる。[王牌]から一枚めくって現れたのは[ジェンティルドンナ]。全力でやれ。という何とも安直な暗示。

 

 

 [槓]を三回。それだけでも驚く程に低い確率だ。その上全て自分で引いていると来た。ならばもう既にその先は決まっている。

 頭の中で最後の牌。それを引いて[立直]を賭けて待つ。どうせ[裸単騎]だ。なるべく縁起の良い奴に来てもらいたい.........

 

 

フェスタ(.........へっ、んだよ。これじゃあアタシの勝負運使い切っちまったようなもんじゃねェか.........!!!)

 

 

 最後に引いたのは.........[血の宿命]。手牌だけを見りゃそれだけの意味の牌。

 だが周りを見れば違う。川に一つ。一番最初にめくられていた[王配]に一つ。残るは[牌山]か、誰かの手牌.........

 

 

 こうなれば違ってくる。逆境に竦むな。逆風に負けるな。勝つまでやるなら負けじゃない。

 引いた牌はそんな意味を伴ってくる。アタシは手元に引いていた元々の牌。[ドリームジャーニー]を横にして川に打ち込んだ。

 

 

フェスタ([立直]だ―――ッッッ!!!!!)

 

 

 これでもう手牌は変えられない。勝ち方を変える事は出来ない。そんな中でアタシは今までに無いほどに生きた心地を感じていた。

 やはりアタシは.........こう言った[勝負事]の中でしか生きられないらしい。

 

 

 アタシの選択した[待ち]は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [キンイロリョテイ地獄単騎待ち]だ.........!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「フォルスストレートを.........」

 

 

リョテイ「全力で.........走り抜けてやがる.........」

 

 

 場は騒然としていた。勿論、自分達も.........今走っている彼女達の親御さん達。そして桜木さんまでも、その姿を見て唖然としていた。

 

 

 やっては行けない。破ってはならないタブー。[偽りの直線]の後は下り坂。スピードを出して走ってしまえば[スタミナ]が切れる。

 だけど、彼女達は.........!!!

 

 

([メジロマックイーン]の孫達だ.........!!!そう簡単に潰れる訳ないッッッ!!!!!)

 

 

 [僕]は知っている。彼女の走りを。学校の[教科書]に載せられる程の強さを。

 類まれなるスタミナ。スパートを掛け続けているのかと疑いたくなるハイスピードな先行策。そして、その他と比較しても比べ物にならない程の心肺機能を持ち合わせている。

 

 

 そんな凄い[存在]の力を.........彼女達は受け継いで生まれて来ている.........!!!

 

 

ジャニ「.........どうだ。オレ様の妹は」

 

 

「!うん。やっぱり凄いよ.........」

 

 

「見に来れて、傍に居れて.........良かった」

 

 

 今までこの目で見る事が出来なかった。彼女の.........オルフェーヴルの[凱旋門賞]を。それが今こうして、最高の状態で見る事が出来ている。

 

 

(.........きっと、[あの子]も見てくれているよ。オルフェーヴル)

 

 

(だから.........[勝つんだ])

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――最終コーナーに足が踏み込んだ。周りはもう気にしなくていい。後はただ、真っ直ぐ走り抜けるだけだ。

 

 

ゴルシ(くそっ!マックイーンの真似したせいでロングスパートの場所わかんなくなっちまったのが痛ェ!!!)

 

 

 いつもだったらある程度の場所で、停泊させていた船を[抜錨]させるように前に出ていた。

 けど今回は既にゲート開き切った瞬間から錨は引き上げちまってる。ロングスパートの掛けどころも練習すりゃ良かったと考え直した。

 

 

 .........けど。

 

 

ゴルシ(でもよォ.........![抜錨]した勢いの代わりにッッッ!!!!!)

 

 

ゴルシ(この錨をどっかに引っ掛けて力一杯引き込みゃあッッ!!!同じ位のスピードは出んだろッッッ!!!!!)

 

 

 

 

 

 ―――一番前を走るのはゴールドシップだ。アイツ、久方振りの先行策だってのに飛ばしてやがる。

 .........だが大抵、コイツが勝負をする時は良い手牌の時かクソみたいなアガり点数の時だ。今回は.........恐らく後者だろう。

 

 

フェスタ(へっ、良いぜゴールドシップ.........!!!もう[賭け残し]は何にもねェッッッ!!!!!)

 

 

フェスタ(テメェが前に突っ走るってんなら、その後ろできっちり支えてやらァッッッ!!!!!)

 

 

 最初は.........ああそうさ。自分だけに賭けていた。でも気付けばアタシは、自分の勝利だけじゃなく、アタシらが勝つ方に賭けていた。

 

 

 [誰か]が生きている瞬間。その瞬間に共に[生きている]。

 

 

 今回のレースでようやく分かった。アタシは.........誰かが生きてなきゃ、[生きられない]。

 

 

フェスタ(だからよォ!!!オルフェーヴルッッ!!!)

 

 

フェスタ(そんな所で[ソイツ]に構ってないでさっさと前に来やがれッッッ!!!!!)

 

 

 

 

 

トレヴ「くっ.........!!!」

 

 

 ―――計算が違った。誤算も誤算。大誤算だ。

 

 

 前に出た時と同じだと思ってしまった。考えれば分かる。この姉妹達が走ると知った時点で、考えを改めるべきだった。もっと堅実に行くべきだった.........!!!

 

 

トレヴ(ここまで手こずらされるなんて.........!でもまだここから―――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――その瞬間。視界の端から[金色]に靡く[髪の毛]が前へと出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気が付かなかった。いや、違う。気が付かせ無いようにされていた。

 

 

 余りにも大きい存在感に包み込まれて、正確な位置を把握する事が出来なかった.........!!!

 

 

 最終コーナーの曲がり角。抜ければ直線の場所で作戦への後悔を募らせた結果.........私はスピードコントロールを崩してしまった.........

 

 

 [内側]から.........来る―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――もしも、この世界に[運命]って物が本当にあるのだとしたら、アタシはきっと、それに抗う事なく縛り付けられる存在だろう。

 

 

 どんなに頑張っても、結果を出しても報われる事は無い。きっと誰かの二番煎じで、誰かの後追いで.........アタシはきっと、そんな風に認識される運命だ。

 

 

 でも、それでも。もし誰かが.........[アタシ]の事を、[オルフェーヴル]の名を呼んでくれるなら―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お姉ちゃん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アタシはいつだって.........[王様]になれるんだ.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――一人の少女が駆け抜けて行った。

 

 

 まるで、[翼が生えた様に]。

 

 

 トップスピードに辿り着いた筈の強豪達を短い直線で、一気に抜いて行った。

 

 

「.........やっぱり、[言ってた通り]だ」

 

 

「あの子は.........[2400mでなら世界一強い].........って」

 

 

桜木「.........誰の言葉だ?」

 

 

「.........知り合いです。遠い、知り合い」

 

 

 果たしてそれは、[誰のものなのか]。答えはそれを口にした者しか分からない。

 男は嬉しそうにしつつも、何とも寂しげな表情でターフに立つ少女を見る。

 

 

 その目の奥に.........[かつての姿]の陽炎を写して.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――頭が割れるほど凄い歓声。掲示板にはアタシに与えられた番号が一番上に表示されている。

 

 

オル(.........勝ったんだ。アタシ)

 

 

オル(勝ったから.........[約束]、ちゃんとしなくちゃだよね.........)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お姉ちゃんの顔、見たいな〜』

 

 

『ええ!!?そ、それは恥ずかしいって言うか.........普通の顔、だよ?』

 

 

『だって!見た事ないんだもん!三冠バなのに皆お姉ちゃんの顔知らないの、もったいないよ!!』

 

 

『う、う〜ん.........じ、じゃあ、もっと[凄いウマ娘]になったら、見せてあげるね!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 口元に付けた[マスク]に手を掛ける。これは.........アタシがアタシを[偽る]為に着けた物。

 喋り方を変えて、一人称を変えて、髪まで染めて.........誰も、イジメられていた頃のアタシだって気付かないようにしていた。

 

 

 でももう、それも必要無い。

 

 

 アタシは[強くなった]。

 

 

 強くなったから.........[約束]を果たしたい。

 

 

 

 

 

「っ、まさか、マスクを.........?」

 

 

 ―――隣で、彼女のその行動を見て驚きの声を上げるトレーナー。無理も無いだろう。トレセン学園に入ってから一度もそれを外した事は無い。

 

 

 オルフェーヴルは、[いじめられっ子]だった。身体の小ささとその気の弱さから、彼女の姉が行った仕打ちへの仕返しの対象とされ続けていた。

 

 

 俺はそんな彼女に、自分を[偽る]事でその身を守る方法を教えた。

 

 

桜木(.........そうか。もう、要らないか)

 

 

桜木(.........なれたじゃないか。オルフェーヴル)

 

 

桜木(誰よりも強くて、[優しい王様]に.........)

 

 

 

 

 

 ―――紙吹雪が舞うレース場。その宙に1枚のマスクが混ざった。アタシを偽る物はもう.........何にも無い。

 

 

 これで約束は果たした.........けれど、まだ[足りない]。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トレーナーーーッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アタシは自分のトレーナーを呼んだ。この人が居てくれたから、アタシはここまで来る事が出来た。

 そして今日.........この世界の舞台で勝ち切る事が出来た。そのお礼と.........[あの子]への[贈り物]がしたい。

 

 

 アタシの声に反応して少し迷った様子を見せたけど、じいじがその背中を叩いて気合を入れさせた。覚悟が決まった様な顔を見せて、レース場と観客席とを隔てる鉄柵に足を掛ける。

 かなり高い場所だけど、トレーナーは下に居るアタシに向かってダイブした。きっと受け止めてくれるって信じていたから、飛んでくれた。アタシもしっかりその思いに応える。

 

 

オル「勝った!!アタシ勝ったよ!!!」

 

 

「ああ!!誰がどう見ても君の勝ちだった!!!誰にも文句なんて言わせるもんか!!!」

 

 

 気持ちが高まって、抱きしめたままダンスを踊るみたいにクルクルと回る。その様子を見ていた人達からヒューヒューって声が聞こえて来て恥ずかしかったけど、嬉しくもあった。

 

 

オル「トレーナー.........こんなアタシを、今まで育ててくれてありがとう.........!」

 

 

「!.........オルフェーヴル」

 

 

オル「色んな事を、色んな人に言われて.........でも、それでもアタシを強くしてくれて.........!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、[投げる]ね!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.........へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 驚いた顔をアタシに向けるトレーナー。それを知りつつも知らんぷりをして、両手で襟を掴む。

 

 

 そのまま身体を後ろに落として行き、なるべくトレーナーが怪我をしないようアタシ主体で重心をコントロールしてゴロゴロと転がる。

 

 

「ちょ!!!オルフェーヴル!!?凱旋門賞でそれは流石に不味いってッッ!!!」

 

 

オル(ねぇ、見えてるかな?)

 

 

「菊花賞の時理事長に怒られたんだぞ!!?これやったら僕クビ!!!絶対クビになるから!!!」

 

 

オル(これがお姉ちゃんが[君]に贈る―――)

 

 

「い、今からでも遅くないから止め―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――一人の男が宙を舞った。

 

 

 紙吹雪と混ざり合う様に。

 

 

 その顔は最初こそ驚愕一色であったが.........

 

 

 自らを投げ飛ばしたウマ娘の、悲しげな.........まるで誰かにお別れを告げる様な表情を見て、それを穏やかに、優しくして行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(最初で最後の.........[お別れ会]だよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人々の歓声と驚きに包まれながら、[この世界]に置いて初の日本ウマ娘の凱旋門優勝が達成された。

 

 

 [凱旋門賞]。それは多くの人々にとって夢となり、希望となる。

 

 

 それと同時に呪いとなり、絶望とすらなり得る。

 

 

 生きてさえいれば、人類は夢を抱き、呪いを育む。それとどう向き合い、付き合っていくのかは己が手で探り当てる他ない。

 

 

 それを見つけた時。呪いや絶望を恐れず、隣人として認識した時.........人はやがて、[大人]となる。

 

 

 そして誰よりもそれを理解した者だけが.........[王]となるのだ。

 

 

 [ウマ娘]は走り続ける。

 

 

 例え[運命]が定められたとしても、[確率]で全てが見透かされようとも。

 

 

 [本能]の赴くまま、前に進み続ける。

 

 

 その先を知る者は.........誰も居ないだろう。

 

 

 

 

 

 [彼女達]の物語は終わりを告げる。

 

 

 これから先、何が起こるのか.........それは、彼女達にしか体験出来ない。

 

 

 だがきっと、どんな苦難も乗り越える事が出来るだろう。

 

 

 だって彼女達は.........誰よりも光輝く―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――[黄金達]なのだから.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 山あり谷ありウマ娘

 

 

 外伝 黄金達の行方

 

 

 ―――Fin―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「じいちゃん!!早く早くっ!!」

 

 

桜木「ええい、引っ張るな。そう急かさんでも着いて行く.........はぁ」

 

 

 [凱旋門賞]。そのレースを我が孫達の三連着で決着を着けて直ぐにゴールドシップは家族と俺を連れて[過去]へと来ていた。

 世話になったのだから報告する。と、普段の傍若無人ぷりからは考えられない恩情を見せる彼女に、俺は振り回されている。

 

 

 過去のトレセン学園。記憶よりも綺麗な校門を通り、彼女が先導するのをため息を吐きながら着いて行く。

 

 

オル「じいじ、やっぱり来たくなかった.........?」

 

 

桜木「そういう訳では無いが.........何だか自慢するようで気が引けるな」

 

 

フェスタ「良いじゃねえか。おっさんだったら火が着いてやる気が出るだろうよ」

 

 

 そんなに真っ直ぐな男だろうか.........少なくとも俺は性根が捻じ曲がっていると自負している。誰かの成功は喜べても、それに自分が続こうとは思えんタイプだ。

 しかしそうは言っても来てしまった以上、顔を合わせる事はしなければ行けないだろう。

 

 

 彼女達に案内されながら校内を歩く。一応ゴールドシップ達の保護者。という形で通されており、不審者的な目で見られる事はあってもその都度孫達が弁明してくれているので助かっている。

 

 

桜木(.........ふ、だがあの男がこの話を聞いて、どんな[ハッピーエンド]を作り上げるのか、見物ではあるな.........)

 

 

ゴルシ「着いたぜじいちゃん!!ここが[レグルス]のチームルームだ!!!」

 

 

桜木「.........何の変哲もない[教室]だが?」

 

 

 俺に向かって高らかに宣言するゴールドシップではあるが、その部屋に表札は存在していなかった。

 その言葉に驚いて彼女はもう一度部屋の方へ身体を向ける。表札が有ったであろう場所を睨み続け、何かを考え込み始める。

 

 

オル「い、移動したのかな?」

 

 

フェスタ「有り得るな。あんなすげェレースして見せたんだ。もっと大きい場所に異動することだって有り得る」

 

 

ゴルシ「面倒くさがりなおっちゃんに限ってそんな事しねー!!!」

 

 

桜木「止めてくれゴールドシップ。その言葉は俺に効く」

 

 

 どうしたものか。そう思っているとふとその教室の中に[誰か]が居るのが目に映った。

 仕方あるまい。ここはその人物に現在の[レグルス]の所在について聞いてまた歩くしかなかろう。

 

 

 そう考えてそのドアに触れる。

 

 

 .........何かを察した様に手に重さが加わったが、俺はそれを気にせずその扉を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――誰だ?テメェら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人「―――っ?」

 

 

 そこに立っていたのは一人の[ウマ娘]であった。机が並べられた教室の窓際で一人、何をしていたかも分からないが、確かに立っていた。

 艶のある[黒髪]。毒々しいながらも大きくギョロついた[真朱の瞳]。一度会ったのであれば忘れる事は無いであろう出で立ちの少女ではあるが.........残念ながら俺も、そして孫達も誰かは分かっていない。

 

 

桜木「.........っと、すまない。実はあるチームを探していてね。[レグルス]と言うんだが」

 

 

「知らねェ。他を当たりな。老いぼれ」

 

 

ゴルシ「っ、おい!!!初めましてで悪口言うなんて良い度胸だなッ!!!」

 

 

桜木「良い。では質問を変えよう。[桜木 玲皇]はどこにいる?」

 

 

「それも知らねェな。[聞いた事も無い]」

 

 

 少女は悪びれる様子すら見せずにそう言って返す。そしてまた、何かを探す様に窓の外の空へ顔を向けていた。

 .........からかっている。と思えばどれほどに気が楽か。時間の制約を無視した為に、俺達には常識のバリアは機能してくれない。

 

 

 もしやどこか違う[時間軸]へと移動してしまったのか?可能性としては十分有り得る。

 ここは一度タイムマシンに戻って状況を―――

 

 

「.........なんだ?この手」

 

 

桜木「?.........!!?ゴールドシップっ!!!」

 

 

ゴルシ「知らねェだって?嘘言ってんじゃねェよ」

 

 

「はァ?オレ様ちゃんがいつ、どこで嘘ついた?あんま頭悪ィ事言ってんじゃねェよ[クソガキ]」

 

 

 少し目を離していた。その隙にゴールドシップは名も知らぬ少女の襟を掴んで持ち上げていた。

 彼女は普段温厚ではあるが、それが無くなればドリームジャーニーにすら引けを取らない程の凶暴さを持っている。

 

 

 それを止めようと前に出ようとしたが、それを他二人の孫達に止められる。

 何故、という言葉が出る前に、ゴールドシップがその少女に問い質した。

 

 

ゴルシ「.........テメェの匂い。何でか知らねェが[ゾクゾク]して来やがる。姉ちゃん達にも[似てる]し、スペとかスズカっぽさもある」

 

 

「.........ヘェ?」

 

 

ゴルシ「けどよォ、そんな中でなんで―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっちゃんの匂いが[一番強ェ]んだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「な、ぁ.........!!?」

 

 

 .........ウマ娘は鼻が良い。俺達人間とは桁が違う程に。犬程では無いにしろその嗅覚で様々な物を感知する事が出来る。

 そんなウマ娘である彼女が.........あの男の匂いを強くあの少女から感じている.........その事実に俺は酷く混乱した。

 

 

 そして、そんな俺に追い打ちを掛けるようにケタケタと笑い始めた。

 

 

「嫌ァ、負けた負けた.........流石は[ゴールドシップ]。頭良いなァ?」

 

 

ゴルシ「っ、アタシの質問に応えろッッ!!!おっちゃんはどこにいんだよッッ!!!」

 

 

「チッ、うっせェなァ。オレ様ちゃんの機嫌を損ねさせんな―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――[噛み殺す]ぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「っ!!?」

 

 

 たった一言。その一言に込められた[圧]だけでゴールドシップは手を引いた。掴んでいた手を庇うようにして後ずさる姿を見て、少女はまた笑う。

 異様な光景だった。まるで真夏のホラーを体験しているかの様な時間。夕暮れの光が教室に広がり、更に演出を彩らせる。

 

 

 やがて、少女は人差し指を俺に向けた。

 

 

「テメェらの言う[桜木 玲皇]は、ソイツの事か?」

 

 

全員「なっ.........!!?」

 

 

「.........キヒッ、それとも―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――少女は指差した手を、今度は自分の胸へと持ってくる。まるで見せ付けるように。今、目の前に居る存在達に、絶望を与えるように.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この[身体]の、[宿主]の事かァ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真夏の夕暮れ。一人の少女は薄ら笑う。

 

 

 物語に[新たな波乱]の訪れを、告げるかのように.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次回、山あり谷ありウマ娘

 

 

 第七部

 

 

 [夢繋ぎ人編]

 

 

 

 

 

......coming soon

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