山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜 作:ギノっち@カマタラル
照りつける日差し。肌を焼く程の熱を持つ太陽光。それに晒される事を自覚しながらも、素肌をさらけ出さなければ生きていけない。
そう思ってしまうほどに暑さによって汗を垂れ流し、ゆっくりと乱れた呼吸を整える。
季節はまだ五月。だと言うのにテレビは既に夏が来たと騒いでいる。そんな物まだ来なくていいと心の中で呪詛を吐いても時代は止まらずに俺達の歩みの下を前へ前へと広げていく。
ゆっくりと熱の篭った空気を肺に取り込んでいると、俺と同じ様に。いやそれ以上に汗だくなウマ娘が目の前へとやって来た。
「はーっ!はーっ!!どうでしょうか!!何か掴む事は出来ましたか?」
ビール「はぁ、はぁ.........ごめん。もっかい」
「ちょわ!!?も、もう三回目ですよ!!?これ以上はビールさんと言えども倒れてしまいます!!」
いや、どちらかと言えば倒れそうなのは貴女だ。学級委員長。
俺は今、自己強化の為に並走を行っていた。より実戦形式に近い物だ。相手は[サクラバクシンオー]。事短距離のスピードに置いては彼女の右に出る者など居ない。
そんな[バケモノ]と何故走っているのか?理由は簡単。俺は練習する時はいきなりレベルMAXのCPUとやる派だからだ。段階とかは一切踏む気は無い。
しかし、三回目だと言うのに何も掴めずにいる。流石に差があり過ぎただろうか?しかし、しかしもう一回だけやれば或いは.........
そこまで考えて肩に手を置かれる。その方向を見ると、タキオンが立っていた。
タキオン「止めておきたまえ。これ以上得られる物は無い。データとしても感覚としてもね」
ビール「リーダーじゃない方のアグネス.........」
タキオン「おい。元はと言えば君が参加書類のチームリーダー枠に[アグネス]とだけ書いて提出したのが原因だろう。傍から見れば私はリーダー気質じゃない」
淡々とした口調をしているが、その表情は酷く冷たい物だった。当たり前だろう。この件に関しては俺が100:0で悪い。
今朝方。[アオハル杯]に正式に参加するチーム申請書の提出期限だったという事を来た時初めて聞かされた。俺はその日黒津木に手渡された(忘れていたらしい。死ね)書類を寝ぼけ眼で書いた。
本来であるならばリーダー欄にマックイーンの名前を書くのだが、特別移籍で不在。そこで彼女にチームを任されたタキオンが相応しいと思い、彼女の名前を書いたと[思い込んだ]。
実際は[アグネス]の部分だけ書いて終わっていたらしい。提出後、理事長代理に無事受理したと報告を受けた後、書類は必ず書き切る様にと桐生院さんが説教された。
そしてリーダー欄には、[アグネスデジタル]の名前で登録されてしまったのだ。
ビール「ねぇこれ改めて考えても悪いの宗也じゃね?」
タキオン「だからこうして君の代わりに私のトレーニングに付き合ってもらってるのだろう?」
黒津木「ぜェ!ぜェ!創ェ!!?後何キロォ!!?」
神威「え?あっごめん。ニンテンドーダイレクト見てた」
黒津木「いつの!!?」
何をやってるんだアイツら.........そんな訝しげな目で二人を見るが、俺の目など気付かずに奴らはお互い罵りあいながらトレーニングを再開する。傍から見るとマジで意味ないなと思うが、タキオンが怖いので口を閉じた。
先程の話に戻るが、チームとしてはデジタルがリーダーとなり少しまとまった様に思える。それもそうだろう。[ウマ娘]に関して彼女の右に出る者はそう居ない。仲間の体調や変化にいち早く気付き、直ぐに情報を共有してくれる。
それは[戦略面]でもそうだ。試しに昼休みにチームの子と並走させてみると、主観とレース全体の傾向から考えて作戦を立案して見せた。
その手腕はこれまでの[チームマネージャー]としての賜物だろう。彼女は相当リーダー向きだ。
そして、変わった事はもう一つある.........
『むぅ、中々上手く行きませんわね.........』
ビール(そうだね.........流石に短距離相手に君の戦法はかなり苦しいよ.........)
『.........あァ?何見てンだ。アドバイスなンかやらねェよ』
一人。見えざる者が増えた。[メジロマックイーン]。[俺の知っている]方の彼女だ。
バクシンオーとのレースが終わる度に助言をしてくれるが、長距離専攻の彼女にとってはやはり専門外である短距離はあまり見聞が深くない。
しかし、自分の力不足を嘆きながらも彼女は俺に尽くそうとしてくれている。それがとても嬉しいし、凄く好きだ。
『.........///その、バレてますからね?』
ビール(え、あぁごめんね?好きだよマックイーン)
『っ!!もう!!分かっててやってますよね!!?』
『うえェ.........胸がムカムカしてきやがる.........』
俺とマックイーンとのやり取りを見てサンちゃんは舌を出した表情を見せる。それには流石のマックイーンもご立腹の様で彼?に近付くが、直ぐに俺の身体の主導権を奪って行った。
そして代わりに俺が外側へと弾き出される。
ビール(ったく、テメェら揃いも揃って盛り過ぎなンだよォ。ちっとは自重しろ)
『さ、盛.........!!?そそそそんな訳無いでしょう!!?私はただトレーナーさんの事が』
『ストップストップ!!ごめんねサンちゃんっ。今度から気を付けるね?』
ビール「.........チッ」
―――下らねェ。人間ってのは本当にどうかしてやがる。[血]の繋がりも無い赤の他人をどうやって好きになるってンだ?意味が分からねェ。
.........それで済ませられるンなら、オレはイライラしない筈だ。何がオレをそうさせてやがる.........考えても答えは出やしねェ。
信じられンのは[血]だけだ。これだけがオレの[誇り]だ。誰にも[目を向けられなかった]この[遺伝子]だけが.........オレをオレたらしめている。
タキオン「.........?何かなビールくん?もしや先日の事を謝りたくなったのかい?」
ビール「あァ?ァァ.........違ェよ。そこのバカには後で言っとくから」
タキオン「っ、まさか君は.........!!?」
背中に伸ばされた手。それをするりと抜けて俺はベンチに座って水分補給をしている[ヤツ]に向かって歩く。
ソイツはオレの方を見てキョトンとした顔をしやがった。その脳天気な顔が何だか.........[アイツ]を思い出してイラついた。
ビール「おい。バクシンオー、だったかァ?」
バク「?ビールさん?先程と少し雰囲気が違うような.........」
ビール「あァ。違ェ奴だ。オレ様ちゃんと走れ」
バク「.........はっ!もしやビールさんの双子の[妹]さんでしょうか!!!」
ビール「馬っっっ鹿オマエッッ!!!何でオレが[妹]なンだよッッッ!!!!!」
こうして、コイツとのファーストコンタクトは[最悪]という印象で始まり―――
―――レースは[惨敗]という形で幕を閉じた.........
ーーー
デジ「[ウマソウル].........にわかには信じられませんね」
タキオン「そうだね。だがカフェの[お友達]の言う事だ。信憑性は感じられる」
彼がバクシンオーくんとの並走練習をしてから一日が経った。彼は何度走ってもその攻略法の糸口すら終始掴む事が出来ずに居た。
そしてそれは、あのばったり出くわして以来の[お友達]と入れ替わった状態でも変わらず、彼女から[五バ身]ものリードを付けられて完敗した。短距離でその差を付けられたら目も当てられないだろう。
そんな傷心状態で彼女は語った。自らは[ウマソウル]なのだと。御伽噺。神話とも呼べるそれが単なる作り話ではなく本当に存在するとは思っていなかったが、彼女も[その名]で[異世界]に居たらしい。
最も、肝心の[名前]はどんなに頼んでも口を開いてくれなかったが.........
タキオン「しかしアレが彼の[演技]では無い事は確信に変わった。身体の使い方が違いすぎる。言うなれば[慣れてない]。別の存在だと言われた方が説明つく」
デジ「う〜ん。もし慣れたらどうです?ひょっとするとチームを助けてくれるんじゃ.........」
タキオン「そうだね。本人は[ダート]を走っていたと言っていたし、君の出走ローテを完全に固定する事が出来るだろう」
デジ「あっ、でもそうなると今度は短距離が.........チームの運営って難しいんですね」
自身の顎に手を当てながらあれこれ思案をするデジタルくん。その様子を見るに、やはり私よりかはチームリーダーとして最適だと思えた。
マックイーンくんから頼まれた手前少し悔しく思うが、チームの存続。[彼らの帰る場所]を守れるのなら私はそれで良い。
今後のチームについて話し合いながら廊下を歩き、私達はチームルームへと辿り着いた。
タキオン「失礼するよ.........ん?」
デジ「え!!?ききき、桐生院さん!!?」
チームルームの扉を開けた。いつも通りであるならば[彼]が我がもの顔でチームトレーナーのデスクに座っているのだが、姿は見えない。
代わりに何故か桐生院くんがソファの上で仰向けで意識を失っており、氷枕で頭を冷やしていた。
タキオン「こ、これは一体.........!!?」
シリウス「お前ら何も聞いてないんだな.........」
デジ「な、何をです?」
シャカ「コイツがテーブルの上に置いてあった。読んでみろ」
彼女を看病していた二人が私達の方へと振り返り、シャカールくんは一枚の紙を手渡してきた。
.........嫌な予感がする。こんな展開、以前にもあった。だがそれは、飽くまでも危機的状況に追いやられ、どうしようも無くなった時だけに限っていた。今はそれほどまで追い詰められてはいない。
そう心の中で自分を安心させようとさせてみるものの、しかし一向に思いは重く、濁って行く。
意を決して私はその紙を開いた.........
修行の旅に出ます。
探さないでください。
桜木 玲皇
お友達
二人「な、ァ.........ガ.........」
最悪だ。まさかここに来て一番大切なはずの存在が抜けるとは.........
デジ「ふ、ふ、ふざけてる.........!!バクシンオーさんに挑んで負けて修行の旅って.........!!!そんなの短距離ウマ娘全員修行行きになりますよ!!!」ビリビリ!!!
タキオン「あ!おいっ!!これが無いと他の皆に説明が!!!」
シャカ「安心しろ。もう撮ってあっから。後でグループに送っておいてやる」
シリウス「シャカール。前から思ってたけど結構人の事考えられるんだな」
シャカ「お前にだけは言われたくねェ」
コミカルなやり取りをする二人を見た後にもう一度桐生院くんの方を見る。目をグルグルと回し意識を失っている姿を見ると、こうなっても仕方がないと思った。
私も彼女の様に意識を失ってしまえば楽になるだろう。だが最早この滅茶苦茶さに耐性がついてしまったのか、少し気が滅入る位で収まってしまっている。
タキオン(どうやら、このチームは彼の[滅茶苦茶さ]と彼女の[退屈さ]でバランスが取れていた様だね.........)
今になってようやく悟る。このチームは彼と彼女でバランスを取っていたのだと。
彼の突拍子も無い行動力と発想。彼女の圧倒的強さと安心感。その二つで成り立っていたチームなのだと。
その片方が居なくなり、チームとしては綻びが生じている。この点に関して言えば私達ではどうにも出来ないだろう。それくらい彼は.........その、頭がおかしい。
溜息をつきつつも、私はこれからどう他の皆。特にポッケくんとカフェに説明し、落ち着いて貰うかを考えていくのであった。
ーーー
ビール「.........」
不規則に揺れる車内。普段は乗ることの無いバスに乗りながら俺は景色を眺めつつも、何故こうなったのか考え続けていた。
この現状。かなりマズイ。チームの事を考えるならば止めておくべきだ。焦ったところで成果は出ない。俺のやり方はコツコツ堅実に。が大原則だ。無茶なレベル上げは肌に合わない。
しかし、俺とサンちゃんがバクシンオーに大惨敗した後、ミーティングも終わって帰る為に外靴を取ろうとした時だった。下駄箱に一通の 手紙が入っているのを確認した。
貴女の[魅力]を引き出します。
明日、この場所に来て下さい。
........いや怪しいのは分かっている。分かっているのだが、気のたっていたサンちゃんはそれを何故か[宣戦布告]と見なし、殴り込みに行くよう指示してきた。
助け舟を貰おうにも、マックイーンも何かレースに活かせるかもしれないとかいうトレーナー特有の直感をどうしてか発揮して、ここに居る次第なのだ.........
「次は〜浅間山前。浅間山前です」
ビール(.........ねぇ〜本当に行かなきゃダメ〜?)
『ったりめェだろッッ!!!舐めたマネしやがって.........オレが叩き潰してやる.........!!!』
『落ち着いて下さいましっ!良いですかトレーナーさん?もしこれがレースに関する事でなかった場合は直ぐに帰りましょう?』
ビール(関することだった場合は?)
『予定通り[修行]ですわ』
.........とまぁ、こんな感じで何故か乗り気なのだ。心做しか目もキラキラとさせている。なんなのだ。君は何を求めているんだ俺に。
先程のアナウンスから少し経ち、バスが停車する。指定された場所は浅間山の中。何やらそこに[道場]なるものがあるらしい。何のものかは定かでは無いが.........
席から立って乗車料金を払い、バスから降りる。目の前にそびえるは浅間山。久々に大きな山をマジマジと見ている。
ビール(道場までの道のりは.........これも遠いね)
『い、いざとなれば私が変わって差し上げます!』
ビール(え?そんなことできるの?)
『そこの変な人でも出来るんですから。貴方と一心同体である私が出来ないなんて有り得ません』
『おい』
一触即発。普段の彼女だったら誰とでも仲良く出来るはずだと言うのに、何故かサンちゃんに対しては終始当たりが強い。
[ウマが合わない]。のだろうか?しかしその割には距離を置く事はしていない。彼女の性格を考えるならば、嫌な相手の近い距離に居るという事はしないはずだ。
考えていても仕方無い。俺は彼女達の言い争いをBGMに気を紛らわせながら、山奥へと足を進めて行った.........
ーーー
ビール「.........ここか」
『そのよう、ですわね.........』
『な、何だこりゃ.........』
山奥の気が生い茂る中で、一部分だけ拓けた場所があった。人の手が定期的に加えられているのか、雑草などが生い茂っていることは無い。
そこには建物があった。古い和式の作り。正に[道場]と言っても過言では無い。
.........しかし、ここに来て俺達は面を食らっていた。
その理由は.........
「はっ!はっ!!はっ!!!」
建物の向う側から聞こえてくる声。気迫の籠った声だ。確かに修行していると言われればそう思うだろう。
しかし、それは声だけであり、建物の隙間からその内容を一部分だけ見れば、皆何かよく分からないポーズを取っている。武道.........とは明らかに違う。
「あっ!!やっと来てくれたんだ♪」
ビール「のわっ!!?き、君は.........!!?」
突然、後ろから掛けられた声。その声に驚いて振り向いたが、その彼女の姿を見て更に驚いた。
「ふっふ〜ん。何で私がここに居るのか不思議?」
ビール「いや、あの.........」
「じゃあ折角来てくれたんだしっ♪貴女も一緒に修行しよっか♪」
ビール「え!!?あの、ちょっと!!?」
彼女は結局、俺に対して特に説明する事は無く、その手を無理やり引いて奇っ怪なポーズを取る集団へと引き入れて行ったのであった.........
ーーー
「は〜いっ!それじゃあまずは[ウマスタ映えポーズ]を100回っ!!ちゃ〜んと私が教えたこと意識してね〜♪」
「はいっ!!はっ!はっ!!はっ!!!」
ビール「はっ!はっ!!はっ!!!」
「ビールちゃんっ!腰が曲がってるよ!!それじゃ[カワイくなれない]よっ!!!」
ビール「っ!はいっ!!!」
「カワイイは一日にして成らず!!頭の先からつま先までブレないように!!!」
「う、う〜〜〜.........」プルプル
ビール(腰下げて腕伸ばして.........終いにはその上に水入りのコップって、ジャッキーチェンかよ.........)
「ビールちゃんっ!!!顔がカワイくないよ!!!それじゃウマスタフォロワー三人も増えない!!!」
ビール「は、はい〜!!!」
「皆おはよう〜♪今日の修行の前にまず、私が送ったメッセージは見てくれたかな〜?」
「え?なっ!!?わ、私の寝顔が!!?」
「カワイイはいついかなる時も。例え寝ていても発揮されなきゃダメなんだよ!!!」
ビール「.........」ピッ
「ビールちゃん!!!今写真消したでしょ!!!後寝る時間遅いよ!!?夜更かしはカワイイの天敵なんだからね!!!」
ビール「ひィ!!?ご、ごめんなさいィィィィィィ!!!」
ーーー
ビール「失礼します」
「あれ?どうしたのビールちゃん?もう寝る時間だよ?」
.........ここに来てから五日が経った。最初こそ困惑しとても疲弊していたが、今では彼女から出される修行メニューも余力を残してこなせる様になってきた。
それでも分からない事は多い。それを解明するために、俺はこうしてここに来たのだ。
ビール「[カレンチャン]さん。その、何でアタシをここに呼んだんですか?」
カレン「普通にカレンチャンで良いよ?」
正座で向き合いながら目を見て話をする。彼女はその瞳を決して逸らすことなく、まるで俺の心の底を覗き込む。いや、その底を射抜く様に見つめている。
暫しの沈黙の後、俺が本当にそれが聞きたいと分かってくれたのか、彼女は微笑みながら口を開いた。
カレン「あのね。カレンは[アオハル杯]を盛り上げたいんだ」
ビール「え?」
カレン「私。[トゥインクルシリーズ]は凄く素敵な物だと思う」
カレン「走っている子達は皆キラキラして、とってもカワイくて、その輝きは無くならず、それでいて無限大」
ビール「.........」
彼女のその言葉からは普段のあざとい声色は無く、至極真剣な物だった。自分のレースを振り返る様にその顔を天へと向け、そして微笑んでいた。
だがそれでも、彼女から感じる雰囲気はどこか悲しげであった。
カレン「でもね。それじゃ[限界]があるって気付いた」
カレン「トゥインクルシリーズは[個人戦]。どんなに頑張っても負けちゃったら.........応援してくれていた人以外は、負けた人の[カワイイ]に気付いてくれない」
カレン「でもっ![チーム戦]の[アオハル杯]ならっ!!きっと一着になれなくても色んな人が見てくれるっ!!!」
カレン「その人の[カワイイ]に気付いてくれて、沢山の子がもっと[カワイくなれる]」
ビール「.........」
.........驚いた。見た目の幼さや雰囲気の明るさに隠されていた彼女の奥底。今まで口に出したくても出せなかったであろう思い。それに触れて初めて、俺はようやく彼女を[カワイイ]と思う事が出来た。
[生きている]んだ。彼女の原動力そのものが[カワイイ]という物で、そしてそれは彼女だけの特別な物じゃない。皆にも備わっていると.........彼女は純粋な心で信じているんだ.........
カレン「ビールちゃんを誘ったのは、バクシンオーさんと並走してたのを見て、貴女だけの[カワイイ]を感じたから」
ビール「っ!アタシだけの、[カワイイ].........?」
カレン「うん。カレンには無い[カワイイ]が、貴女の中に眠っているの」
カレン「.........それじゃ♪お話はおしまいっ!明後日で修行も終わっちゃうから早く寝てね!!カレン。今日もビールちゃんの寝顔撮るから♪」
ビール「アハハ、出来れば涎を拭いて貰いたいなぁ.........」
途中までは真剣な声だったが、最後はやはりいつも通りのカレンチャンだった。そういう切り替えが効くのもウマスタグラマーのプロたる実力なのだろう。
俺は彼女に頭を下げてから襖を閉めた。かなり参加者が多い修行ではあるが、想像以上に大きい道場であり、それぞれ個室が用意されている。
自分の寝室へと行く道すがら、先程まで黙っていた二人が喋り始める。
『一時はどうなる事かと思いましたが、案外楽しいですわね』
『あァ?何言ってンだ?こンなもン何の役にもたたねェだろォ?』
『むっ。少なくともトレーナーさんのファンはうなぎ登りですわっ!!現に私もその一人ですしっ!!』
二人(それは元々だろ(かな).........?)
『.........///』
最初は憂鬱だった修行だが、今では終わるのが惜しいと思えるくらい充実した日々を過ごしている。
きっと帰る頃には.........そう、皆の元へ帰る頃には、俺は.........
[カワイイビールちゃん]として、帰ってくる事だろう.........
ーーー
カレン「えっ!!?もうウマスタ映えポーズ100回終わらせちゃったの!!?」
ビール「はいっ!!」
カレン「凄い.........!それじゃあ次はカレンが教えたのじゃなくて[オリジナルウマスタ映えポーズ]を考えてみて?」
ビール「望む所だよ!!」
ビール「スゥゥゥ.........フゥゥゥ.........」
「す、凄いバランス力.........!!?片手逆立ち開脚なんて言う無茶な体勢なのに、水を一滴も零してないっ!!?」
カレン「うんうん♪ビールちゃんも目覚めて来たみたいだね♪みんなもビールちゃんをお手本に頑張って〜♪」
「っ!は、はいっ!!!」
カレン「みんな〜♪お昼休憩だよっ!でもその前に、今日撮った寝顔の写真送ったからちゃんと見ておいてね♪」
カレン「それと、みんながお手本にすべき[カワイイ寝顔]の子が居たから、その写真も全員に送ったよ♪しっかり勉強してね♪」
ビール「.........?あの、アタシの方にお手本の人の写真が来てないです」
カレン「え?何言ってるの?お手本の人に送る訳ないでしょ♪」
ビール「!!?じ、じゃあアタシが.........!!?」
カレン「うんっ♪一番カワイイ寝顔だったよ♪」
ビール「よし.........よしっ.........!」
カレン「皆〜♪遂に明日が最終日♪自分がどれだけカワイくなれたか実感出来る[最終テスト]を行うよ♪」
「さ、最終テスト!!?」
カレン「そう。これを突破できた人は私。[Curren]から[二代目カワイイマスター]の称号をあげちゃいまーす♪」
「なっ!!?」
カレン「.........♪でもその前に、皆に良い物を見せて上げるね」
ーーー
バク「こんにちわー!!皆さんっ!!バクシンしていますかー!!」
タキオン「.........あぁ。しているとも。ばくしんばくしん」
バク「ややっ!元気がありませんねタキオンさんっ!!どうでしょう!!ここは一つ。私と並走してみませんか!!?勿論長距離で!!!」
.........溜息が出る。ここ最近の放課後はずっとこんな調子だ。チームルームに何故か彼女が顔を出し、練習が始まる頃には居なくなる。
以前話を聞いてみたところ、どうやら彼。正確にはウエスタンビールを待っているとの事。
あの日の別れ際、もう一度並走を頼まれたとの事らしいが、いやはやここまで健気にされると追い返す気も悪くなる。今ではすっかり日常と化してしまった。
ライス「で、でもお兄.........じゃなくて、ビールちゃん。いつ帰ってくるんだろう?」
ウララ「ビールちゃん。大丈夫かな.........?」
ブルボン「今は信じて待ちましょう。私達に出来ることはそれだけです」
オペ「ああっ!自分の非力さを嘆いた彼女は自らが[アレース]となる為に苦難の日々を.........!!!」
.........活気はある。いや、活気しかない。デジタルくんがリーダーとなってチームとしてはまとまったが、集団としては依然として締まりが無い状態だ。
全く、これからどうするべきか.........それを考えようとした時、不意にミークくんがボーッと窓の外を眺めているのが目に映った。
タキオン「何を見ているんだい?」
ミーク「トレーナー.........バス来てる.........」
桐生院「バス?おかしいですね。トレセン前で止まるバスなんて無かったはず.........」
シャカ「ゾロゾロと降りてきやがったな.........?」
シリウス「アイツら、全員トレセン学生じゃねぇか?」
タキオン「なに.........?」
窓の外の異様な光景。それを見るためにチームの全員が窓へと集まっていく。確かに降りてくる人物は誰も彼もトレセン学園の制服に身を包んでいる。
そして決定的なのは顔見知りがちらほらと見える事だった。間違いない。彼女達はトレセン学生だ。
しかし、本来この場所で止まるはずの無いバスから降りてきたという事はどういう事だ?一体どこへ行ってきたというの―――
バク「あぁぁぁぁ!!!??」
タキオン「っ、うるさいぞバクシンオーくんっ!!!もう少し声のボリュームを下げ「ビールさんです!!!」だから!!!.........なんだってッッ!!!??」
全員「えぇ!!!??」
彼女の言葉に耳を疑ったが、私達はすぐさまその視線をもう一度バスへと向ける。
そこに居たのは確かにウエスタンビール。トレーナーくんと何故か仲睦まじく話をながら隣を歩くカレンくんの姿があった。
デジ「な、ななな何故あの人とカレンさんが!!?」
バク「なるほど!!!私との並走の為にカレンさんと特訓をして来たということですね!!!こうしてはいられません!!!バクシンバクシーンッッ!!!」
タキオン「あ!!?おいっ!!!」
デジ「で、ででデジたんの桜マク概念が.........!音を立てて崩れ.........!!!」
タキオン「ええいっ!!!あの二人のバカップル振りがこんな事で瓦解する訳ないだろう!!!バクシンオーくんを追いかけるぞッッ!!!」
頭を抱えて硬直する彼女の手を引き、私は出て行ったバクシンオーくんを追い掛けた。その後を追うようにチームメイト達。桐生院くんも教室を出て行く。
シャカ「あっ!!!おいっ!!!今日は―――」
タキオン「何をしているんだシャカールくんっ!!!置いていくぞ!!!」
シャカ「っ〜〜〜!!!何でこのチームは話を聞かねェ奴が多いンだよッッッ!!!!!」
苛立ちから頭を激しく掻きむしり、少し髪を乱して教室から出口に向かってくるシャカールくん。その姿を見てから私も直ぐに学園の外へと向かって行ったのだった.........
「失礼しま.........あれ?誰も居ない?」
「おかしいなぁ.........[マイル]の人員が足りないって言ってたから入ろうと思ってたのに.........」
「.........ちょっと[探して貰おう]かな?」
ーーー
ビール「スゥゥゥ.........フゥゥゥ.........」
ゲートの中。静かな時間。たった一人の空間で俺はただ深呼吸をする。壁に隔てられた隣にはバクシンオーが居る。俺を、サンちゃんを完膚なきまでに叩きのめした[怪物]が、その大きなオーラをまとってその存在を知らせている。
『探しましたよビールさんっ!!では早速約束通り並走しましょうっ!!!』
開口一番。彼女はそう言って俺の手をここまで引っ張ってきた。その後ろからは俺のチームの皆がやって来ていたが、連れ去られる俺を見て怒る事も出来なかった。
俺達が並走準備している間にカレンちゃんが経緯を説明してくれている。ある程度溜飲は下がってくれた様だが、レースの内容次第では怒られる可能性はまだ高い。
ビール(.........いや、違う)
ビール(それは自信が無いだけだ。全部ぶつける。その気持ちだけで十分だ)
ビール(上手くやらなくていい。[いつも]そうしてきただろ?お前は.........)
自分の胸に手を当てて。[王冠]に手を添えて自分に言い聞かせる。俺の運の悪さは神威とタメを張れる。だがそれ以上に俺は[間が悪い]人間だ。
そんな人間が上手くやろうとした所で失敗するだけだ。成功者の星の元に生まれてなんて来ていない。当事者になったからには、それと付き合わなければならない。
だが生憎、それは[得意中の得意]だ。
何故俺が[短距離]を選んだか。それはチームに担当が居なかったからだけでは無い。
[短期決戦型]。俺の思考タイプは正にそれだ。集中力に持続が無い人間。典型的な序盤巧者な人間だ。
それでもやはり、[スペシャリスト]には敵わない。
彼女の力は強大だ。一朝一夕で勝つ?冗談も甚だしい。そんなつもりは毛頭ない。
俺はただ.........[実力差]のある勝負に[慣れたい]だけだ。
ビール([信じろ]よ。レースではそれが大事だ)
ビール(今の[俺]は.........[アタシ]は.........!)
([ビールちゃん]はッッッ!!!!!)
(誰よりも[カワイイ]んだッッッ!!!!!)
桐生院「それでは、これより並走を始めます。体勢入って―――」
―――スタートしましたっ!!!
―――ガコンッッ!!!
―――ピカン♪
『それでは皆さんご注目ゥっ♪』パシャパシャ♪
[ウザかわ系タンクLv100!!!]
[Lv 1]
カレン「ふっふっふっ.........遂にビールちゃんも[目覚めた]んだね」
タキオン「?なに.........?」
『.........』
―――彼が走り始めた時。私達は[変化]を感じ取りました。あの時には感じられなかったもの。私達が走る時に[感じる].........言うなれば[プレッシャー]。或いは[脅威]に近しい感覚。
そしてそれを皆さんの中でいち早く見抜いたのが、彼に今まで修行を付けて下さっていたカレンさんでした。
カレン「カレン。初めてあの子を見た時に分かったの。[我慢]しているんだって」
カレン「何かの[使命]。[責任]。それを全うする為に、しっかりしなきゃって考えてたんだと思う」
全員「.........」
カレン「私達もそうだけど、でも走る時はいつもそんなの頭に無いでしょ?だけど、ビールちゃんはずっと、その事で頭がいっぱいだったんだと思う」
デジ「だ、だからカレンさんが手解きを.........!!?」
.........さすが、ウマスタグラマーのカレンさんです。自己分析能力の高さはそこらのウマ娘より数段格上。でなければ多くの人々を魅了する事など出来るはずもありません。
そしてそれは他人に対してもそう。その持ち前の分析力で彼が何を思い、そしてそれがどう作用しているのかを一目で理解してしまったようです.........
修行の最終日の前日。彼女はその走りを皆さんに見せました。短距離レースの中程の地点。彼女は気迫と精神力の強さを見せつつも、彼女のその聡明さが見て取れる程の洞察力を用いた追い抜きを見せてくれたのです。
『わ、私もうかうかしていられませんわ.........!』
『.........別に大した事じゃねェだろ?』
『っ!貴方はそうやって!!どうしてそんな事言うんですの!!!』
『だってよ―――』
『―――あんま変わってねェぞ。レース内容』
『え』
そ、そそそんな筈がありませんっ!あんなに頑張ったのに少しも変化が無いだなんて、そんなのあまりにもです!!!
そう思い慌てて視線を戻してみると、確かにレース終盤。一週間前に見た光景と同じ内容が目に飛び込んできます。
で、ではあのプレッシャーは一体.........!!?
桐生院「っ!そ、そこまで!!勝者はサクラバクシンオーさんっ!!!」
バク「はァ!はァ!す、凄い変化ですねっ!まさか一回で!はァ!ここまで!はァ!はァ!」
ビール「うくっ.........ケホっ、やっぱダメかぁ〜.........」
バク「はァ!はァ!ビールさんはァ!無理ははァ!ダメですよはァ!喋らずにはァ!呼吸を整えてはァ!」
全員(それは貴女だ学級委員長)
しかし終わって結果を見れば、確かにレースの内容に変わりはなく、[五バ身差]。その着差で決着が着いてしまいましたが、バクシンオーさんの様子は明らかにあの時以上に消耗しています。
スプリンターがいくら短期決戦型のスタミナを大きく消耗させるレースの仕方をするにしても、あそこまで本気で走るという事はつまり、彼がそれ程までに力を付けたという事なのでしょう。
ビール「はぁ、はぁ、ごめんねバクシンオー.........付き合ってくれたのに成長できてなくて.........」
バク「何を言っているんですかビールさんっ!貴女はとても頑張り屋さんですっ!この学級委員長っ!友達の為なら何でもしましょう!!」
ビール「何でもって〜、それじゃチームに入って貰っちゃうよ〜ん?」ツンツクツン
桐生院「あはは、流石にそれは調子が「良いですとも!!」良すぎ.........はぇ?」
バク「ではトレーナーさんに許可を取ってきますね!!!バクシンバクシーンっ!!!」ダダダ!
全員「.........マジ?」
―――大変な事になった。まさかまさかのバクシンオーがチームに入る事に.........
いやいや、待てよ桜木落ち着けよ。まだ決まった訳じゃ無い。バクシンオーが勝手に言ってるだけだ。トレーナーからの許可なんて取れる訳が無い。
そう思って良くない期待を頭の中から追い出そうとした時、突然桐生院さんの電話が鳴りだした。
桐生院「っ!もしもし桐生院ですっ!はい。はい。え!!?良いんですか!!?いえ私は構いませんが.........本当に.........?」
シャカ「.........因みになンだって?」
桐生院「.........バクシンオーさん。取り敢えず今から特別移籍の準備して、明日からチームに来るそうです」
ビール「え」
えっなにそれは.........そんな事ある?えちょっと待って?嬉しいよ?俺は良いよ?でもさ?それ俺の努力どうなんの?俺必要だった?
バクシンオー入るんなら俺要らなくない?だってバクシンオーだよ?なんなら強すぎてリギルですら遠慮して勧誘してなかったんだよ?
え、やばい。マジでやばい.........この展開は全然予想して無かった.........
カレン「.........良いなぁ」
オペ「おぉ!もしやカレンさんもチームに入りたいのかい!!」
ビール(やめろめろめろオペやめろッ!!!)
マジでやめろォ!!!これ以上は本当に俺の努力が無駄になるっ!!!バクシンオー+カレンの短距離レースなんてほぼ勝ち確みたいなもんじゃねェかッッ!!!
ビール「う、嬉しいけどぉ〜、ビールちゃん心配だな〜?カレンさん。ウマスタとか色んなことやりながらだから〜」
カレン「え?カレンが本気じゃないって言いたいの?」
ビール「え?」
カレン「ん?♪」
ビール「.........イ、イッテマセン」
カレン「じゃあお兄ちゃんに相談してくるね♪」
か、勝てない.........どうして俺は女の子にこうも弱いんだ.........
ルンルンとした足取りで俺の目の前から走って行くカレン。その後ろ姿を俺達は黙って見送るだけだった。
い、いやいや。まだカレンが入って来ると決まった訳じゃない。そうさ。カレンのトレーナーはカレン一筋。そう簡単に自分の担当をどこのウマの骨とも分からん男が結成したチームにぶち込む奴が居る?
俺だったら絶対しないね。例えマックイーンからのお願いでも了承する訳ない。
プルルルル。プルルルル。
桐生院「え?また?はいもしもし。えぇ、えぇ!!?はい。はい.........分かりました」
ブルボン「今度はどうしたのですか?」
桐生院「その、カレンさんも短距離選手としてチームに.........明日から.........」
ビール「えぇ!!?それ本当に了承したの!!?」
桐生院「え、えぇ。カレンさんがお友達を助けたいって言うなら、その気持ちを尊重すると.........」
ビール「」
ま、負けた.........!大人としても、トレーナーとしても、そして男の器でもカレンのトレーナーに負けた.........!!!
い、一体どんな好青年なんだ.........俺は一体どれほど修行を積めば彼ほどの人徳をこの身に宿せると言うんだ.........!!!
俺は打ちひしがれた。レースで負け、人として負け、全てに負けた。
格上と戦い、負ける事に慣れたいとは言った。
だが誰がここまでやれと言った。
俺はレースに慣れたかったのであって勝ちを諦めた訳では無い。そこを履き違って貰っては困る。
『と、トレーナーさんは素敵な人ですっ!お、思わずキュンっとしてしまいましたわ.........///』
ビール(.........ありがとう。その反応だけで嘘じゃないって理解出来たよ)
『まァ、[振り出し]には戻っちまったがなァ』
そうだ。サンちゃんの言う通り。何かを掴めたとは思ったが、結果から見て分かる通り意味が殆どなかった。
バクシンオーは本気で走ってくれはしたが、同じ結果ならば意味はほとんど無いとも言える。
彼女達の凄さが改めて分かった......
ビール「.........ふぅ。皆ごめんね?これからこういう事は無いようにするから」
タキオン「本当に頼んだよ?急に消えられると心臓に悪いからね」
デジ「全くですっ!!何か困った事があったら私達に聞けば良いんですよっ!!!」
ウララ「ビールちゃんっ!これからは一緒に頑張ろうね♪」
ライス「ら、ライスも並走してあげるからね?」
ブルボン「マス.........ビールさん。短距離なら私も短期間ではありますが練習して居ます。データログを解析すれば役に立てるはずです」
桐生院「そうですよ。皆さんで力を合わせましょう!!」
ミーク「私も.........短距離、走れる。フンス」
ビール「皆.........!!!」
あぁ、俺は何とバカだったんだろう.........このチームはこんなにも頼りがいのある子達が沢山いるでは無いか。
それを見て見ぬふりして、カッコつけるなんて.........どこまでガキなんだ。お前は.........
余りのバカさ加減に呆れて来る。けれどそんな俺に対して誰かがそっと背中に触れてくる。
その方向を見ると、そこには優しく微笑むマックイーンと少し離れた場所でそっぽを向くサンちゃんが立っていた。
ビール「.........うん。今度からは目一杯頼らせて貰う」
シリウス「それが良い。アンタは確かに知識はあるが、経験に関してはド素人だ。私達に任せな」
シャカ「チッ、めんどくせェ」
オペ「うむっ!ボク達を是非とも頼って欲しいっ!!なんてったってボクは先生の[ファントム]なのだからっ!!!」
「いいねいいねっ!チームってこんな感じなんだね♪」
ビール「.........え誰?」
全員「.........!!?」
突然現れた謎のウマ娘。驚く俺達を後目に彼女はシャカールの側まで行って彼女をからかい始める。
余りにも展開が渋滞している為、流石の理解力SSクラスの俺ですら説明を欲している。
そんな俺達の様子を察したのか、シャカールは彼女にアイコンタクトで何かを伝えた。
「?あっそっか。自己紹介まだだよね!」
「シャカールに[マイル選手]としてチームに誘われました!」
「[ファインモーション]です♪」
何とも嬉しそうな表情。まるで今日これから青春が始まります♪なんて雰囲気を出して居る少女。
普段の俺だったらそりゃ喜ぶさ。それどころか三十路に近い歳の癖して青臭いセリフを二個も三個も吐いただろうさ。
でも既に思考回路はショートしかけている。それは俺だけじゃなく他の子達も同じだった。
そんな人間が出せる言葉など一つだけであった.........
「.........はぇ?」
現在。チーム[レグルス]
長距離
ライスシャワー
ミホノブルボン
マンハッタンカフェ
テイエムオペラオー
(エアシャカール)
中距離
アグネスタキオン
ミホノブルボン
ジャングルポケット
シリウスシンボリ
エアシャカール
テイエムオペラオー
(アグネスデジタル)
(マンハッタンカフェ)
(ファインモーション)
マイル
アグネスデジタル
ファインモーション
(ミホノブルボン)
短距離
ウエスタンビール
サクラバクシンオー
カレンチャン
ダート
アグネスデジタル
ハルウララ
[アオハル杯:予選]まであと一ヶ月.........
......To be continued
オマケ
[カワイイ]ねっ!ビールちゃ〜ん♪
ビール「は〜い♪みんな〜!二代目カワイイマスターのビールちゃんだよ〜♪」
ビール「今日は初代マスターのカレンさんと一緒に、カワイくなったら出来ることを教えてあげるね♪」
カレン「うんっ♪それでビールちゃん。カワイイと良い事って何かな?」
ビール「一つ確かな事があるよ!それはね♪」
[ケンタッキーを奢って貰える]
カレン「へ?」
ビール「これは実体験なんだけどね♪」
[店内で]
『創くんありがと〜♪お腹すいてたんだ〜♪』
『いや、流石にガラスに張り付かれてたら呼ぶだろ。顔見知りだし』
『すいませ〜ん!チキンバレルセット5個とチキンフィレバーガーそれぞれ5個ずつと、サイドメニュー一個ずつ下さい♪』
『はァ!!?お前どんだけ食うの!!?』
『え?今防犯ブザー持ってるけど良いの?お前の運の無さだとお前が悪者になるよ?』
『あ、悪魔め.........!』
[お持ち帰りで]
『まだかな〜まだかな〜?』
『お〜いっ!買ってきてやったぞ〜』
『わぁ!流石白銀さんっ!素敵ですっ♡』
『ふっ、まさかこの俺とケンタッキーしたいだなんて.........目が良いな、お嬢さん?』
(でもなんか雰囲気誰かに似てんだよな。誰だっけ?)
『あっ!!ゴールドシップさんっ!!!』
『何ィ!!?あのバカ女帰ってきてやがったのか!!?.........おい誰も居ねぇぞっ!!!』
『.........あれ、女が居ねぇ。ケンタッキーもねェッッ!!!』
『クソガキィィィィィッッッ!!!!!』
[ネットオーダーで]
『黒津木〜。暇だからベッド貸して〜.........あれ居ねぇ。サボりか?』
『.........携帯忘れてってんじゃんアイツ。確かパスワードは8938810.........変えろよいい加減』
『.........はァ!!?アイツケンタッキー頼もうとしてる!!!仕事サボってる癖にッッ!!!んー!!許さーん!!!』
『アァ〜沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山沢山注文するゥ〜ッッッ!!!!!』
『お前(のクレカ)はもう、死んでいる』
ビール「とまぁこんな感じで、カワイイとこんな事も出来ちゃうんだよね♪カレンさん♪」
カレン「え、ダメだよこんな事しちゃ。ビールちゃんいつか刺されるよ?」
ビール「そしてカワイイを極めた者だけが辿り着ける境地を見せて上げよう.........!!!」
カレン「あっ!レースの時に見せてくれた―――」
「ウマネスト
グラスワンダー
母ゴリラ」
ビール「.........ふっふっふ。カワイイ」
ビール「こんな具合に、何を言ってもカワイイから許される.........あれ?カレンさん?え、なんか落ちてる.........」
『ビールちゃんへ。旅に出ます。探さないでください』
#天穿つ #静けさたるは #鬼一口
ビール「うわっ!カレンさん凄い.........もしかして川柳の達人なのかな?」
.........チョンチョン♪
ビール「っ!もう何〜?ビールちゃん今暇じゃ」
グラス「.........(^^)」
「みぎゃあぁぁああぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」
[ウザイ]ねっ!ビールちゃ〜ん♪
Tips
[ウザかわ系タンクLv100!!!]
ゲートが開いた瞬間。出遅れてなければ発動する。
レース全員のデバフを持ち前のウザさで全て受け負い、その効果量に応じて最終直線で加速量を上げる。
End.........♪