山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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ライスシャワー「猫さんだ.........!」

 

 

 

 

 

桜木「あぢぃ〜.........」

 

 

マック「もう.........確かに暑くはありますが、その格好はどうにかなりませんの?」

 

 

 三年間中央で過ごして判明した衝撃の事実がある。皆、聞いてくれ。どうやら六月というのは世間一般では夏らしい。おかしいな.........北海道では7月入るまではそこまで暑くなかったから、てっきり春ら辺だと思ってたんだけどな.........

 地球温暖化とかそこら辺を加味せずとも、恐らく中央で過ごすとこういう、足を氷水が貼ったタライに突っ込み、片手でうちわを仰ぎながらも手元の書類を処理する羽目になるのだろう。

 

 

ウララ「そうめん美味しー♪♪♪」チュルチュル

 

 

ブルボン「そうですね、ウララさん」チュルチュル

 

 

ライス「お、お兄さまも食べる?」チュルチュル

 

 

桜木「暑すぎて食欲も湧かないんだ.........君達で食べきっちゃって.........」

 

 

 ここ最近のこの時期は食欲もめっきり湧かなくなる。どんなに具合が悪かろうが飯を食ってた子供の頃とはやはり、身体の状態が違うのだ。

 こうなったら自費で冷房装置の強化を施そうかな.........

 

 

桜木「それにしても本っ当に暑い.........」

 

 

マック「溶けてますわよ。トレーナーさん」

 

 

桜木「だァ〜〜〜!!暑さで死んしまいそうだーーー!!!」

 

 

 そんなどうにもならない自然あれこれに文句を沢山付けていた。仕方ないだろう?相手が物言わぬ自然なら、ちょっとくらい不平不満を愚痴ったってバチは当たらないんだ。大人しく暑さを享受できるほど俺は強くは無い。

 

 

桜木「くそぉ.........夏の間だけ北海道に戻りてえよ.........」

 

 

タキオン「失礼するよ。トレーナー君、ちょっといいかな?」

 

 

桜木「はいはい.........まず足を拭かせてくれ.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「.........行きましたわね」

 

 

ライス「も、もう出てきても大丈夫だよ.........?」

 

 

「ミャー」

 

 

 ライス達の机の影から出てきたのは、小さい子猫さんだったの。今はお兄さまには内緒で、皆で隠してるんだ。

 

 

ブルボン「猫.........ステータス『癒し』を確認。モフモフします」

 

 

ウララ「ブルボンちゃんいいなー!!ウララもモフモフしたーい!!!」

 

 

マック「それにしても、ウララさんがバラさないかヒヤヒヤしましたわ.........」

 

 

 わ、私もちょっとドキドキしちゃったかな.........目線とかずっと子猫さんに向けてたし.........

 けど、お兄さまは勘違いして、お腹がすいてると思ったのかな?暑い暑いって言いながら、そうめんを茹でてくれたの!

 

 

ウララ「猫ちゃんそうめん食べるかな???」

 

 

ライス「だ、ダメだよウララちゃん!!!猫さんにはちゃんと、猫さん専用のご飯があるから!!!」

 

 

 猫さんにはしょっぱいからあげちゃダメ!って言うと、ウララちゃんは驚きながらその手を素早く手を引いたの。

 その後マックイーンさんも、食堂から持ってきたプリンを食べさせようとしててビックリしちゃった。

 

 

タキオン「私もようやくモフモフできるぞ.........!!」

 

 

ライス「タキオンさん!お兄さまは?」

 

 

タキオン「ああ、実に丁度よく理事長に呼び出されてね。大方、先日白銀君が理事長室で花火をした件で呼ばれたんだろうねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「本当に申し訳ございませんでした」

 

 

やよい「疑問!!頭を上げたまえ!桜木トレーナー!!」

 

 

桜木「え?」

 

 

 下げた頭をゆっくりと上げる。あれ、もしかして怒ってない?だったらラッキーだ。このまま知らんぷりしとこう。

 カツカツと音を立ててこちらにやってくる秋川理事長。俺の頭を下げる様に手招きをして見せた。

 

 

やよい「実はな.........タマの子供が.........」

 

 

桜木「タマの子供ォ!!!??」

 

 

やよい「驚愕ッ!?そこまで驚く必要は無いだろう!!」

 

 

 いやいやいやいや!!驚くでしょうよ!!だって、え?秋の天皇賞控えてるって言うのに、子供?出産してたの?相手は誰だ.........?古賀さんか?古賀さんだろうなぁ!?アイツうまぴょいとか言う変な隠語を流行らせるレベルの変態だからなァ!!

 

 

桜木「クソジジイィィィッッ!!!」

 

 

やよい「捕縛ッ!!急に走り出してどうしたのだ!?」

 

 

 首!!首が締まる!!?見た目の幼さとは程遠い凄まじい力で意識が身体から離れかける。良かった。まだ繋がってる.........

 

 

桜木「いや、タマの子供なんて、そんな大事でしょう?」

 

 

やよい「.........質問!まさか君は、タマモクロスの方のタマを連想したのか?」

 

 

桜木「俺にとってのタマは彼女だけですよ」

 

 

やよい「.........謝罪ッ!!言い方が悪かった!!タマとは私の頭の上に居る猫の事だ!!」

 

 

桜木「あ、お子さん居たんすね」

 

 

「ニャー」

 

 

 なんだ、理事長の猫の事だったのか.........危なく、一人の老人の命を奪う所だった。ジジイ。悪いが俺はマナーを知らねえ。若いからな。

 そんなバッドガイじみた事を思いながらも、疑問が浮かび上がってくる。

 

 

桜木「それで、俺を呼んだ理由って?」

 

 

やよい「.........懇願ッ!!君に仔猫探しを手伝って欲しいのだ!!」

 

 

 はっきりいって面倒臭い.........だが猫.........猫か.........。

 もしやと思い、考えを張り巡らせてみるが、目の前の理事長は酷くやる気だ。このまま断れば、一人でまた何か暴走するに決まってる。勝手に俺の講演会開催を決定した様に。

 

 

桜木「.........分かりました。手伝いますよ」

 

 

やよい「感謝ッ!!では早速行こう!!桜木トレーナー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「お前ら買ってきたぜ〜」

 

 

マック「まぁ!そんなに沢山持ってきましたの!?」

 

 

 ゴールドシップさんは顔が隠れてしまうくらいに、猫さん用のご飯を両手に持ってきてくれた。こういう時は頼りになるって、白銀さんも言ってたんだけど、本当だったんだ。

 どこからともなく取り出した餌皿に、中身を開けると、子猫さんはゆっくりと食べ始めた。やっぱり可愛いなー.........

 

 

ゴルシ「たんと食えよー???お前はゴールドシップ様とタメを張る猫の王国の筆頭騎士団長になる運命なんだからなー!!!」

 

 

ブルボン「猫の王国.........?そんなものがあるのですか?」

 

 

ゴルシ「おうよ!!!」

 

 

ブルボン「何処に???」

 

 

ゴルシ「天の川銀河の遥か彼方に存在する惑星メビウス。それがその国のある星の名だ」

 

 

ブルボン「エラー発生中」

 

 

 大丈夫かな?ブルボンさん。頭から煙出してるけど.........?

 

 

タキオン「うぅ〜ん可愛いなぁー.........日々の疲れがスっと抜けていくようだよ.........」

 

 

 普段はキリッとしているタキオンさんも、ふにゃふにゃしちゃってる。やっぱり、疲れてるのかな.........?

 

 

ライス「タ、タキオンさん.........大丈夫?」

 

 

タキオン「なんだい?藪から棒に」

 

 

ライス「う、ううん!なんでもないの!ただ、疲れてるのかなって.........」

 

 

タキオン「.........ああ、ちょっとね。けど安心したまえ、ライス君。私は無理して倒れるほど愚かではないからね」

 

 

 そっか.........良かった。最近、お兄さまと喧嘩したみたいだったけど、仲直りも出来たみたい。この前、お兄さまが足首を光らせて喜んでたもん。

 

 

ウララ「あ!!!チョコレートなら食べれるかなー!!!」

 

 

ライス「ウララちゃん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「うぇぇ.........まだっすかー.........?」

 

 

やよい「貧弱ッ!!私程度肩車し続けられないようでは!!ウマ娘を支えられないぞ!桜木トレーナー!」

 

 

桜木(だって普通に重いし)

 

 

 そんなことを思っていると、理事長は足で俺の首を絞めてくる。やめて下さい。それ本当にご褒美です。足は、足だけはダメなんです。

 

 

桜木(くそ、なんで選ばれし女の子の足はこんなに細いんだ?)

 

 

 悟られては行けない。この学園の誰にも、俺が脚フェチだなんてバレた日には解雇通告だ。それだけは絶対に阻止しなければ.........

 ふとポケットにしまっていた携帯が振動する。きっと思い描いている人からではないだろうと思い、携帯を付けるが、やはり違っていた。

 

 

やよい「全く、勤務中に、しかもこんな可愛い美少女と居るのにスマホを見るとは何事か!!近頃の若者は!!」プンスカ

 

 

桜木「理事長の方が俺より若いでしょう。それより、上の方にはいましたか?」

 

 

やよい「否定ッ!!いや全く見当たらんな!!!ハッハッハッハ!!!」

 

 

桜木(このクソガキ)

 

 

 さっきから貴方のせいで生徒から変な目で見られてるんですよこっちは、前のうまぴょい騒動のせいでだいぶ変態扱いされてるこっちの身にもなってくださいよ。

 全く、成人男性が小さい女の子を肩車してるなんていう姿はもう犯罪なんだよ。血のバックボーンが無けりゃそれはもう警察沙汰なのよ。

 

 

「む、オマエ。そこで何をしている?」

 

 

桜木「あれ、ブっさん」

 

 

やよい「な!?」

 

 

「ん?理事長か.........そうか、オマエ。ついに手を出したか」

 

 

桜木「誤解だ。頼まれてやってるだけだ。こんなの俺は願い下げだと言ったんだが.........」

 

 

やよい「疑問ッ!!君はナリタブライアンとも顔見知りなのか!?」

 

 

桜木「え?ああ、と言うか、俺がトレーナーになった理由は彼女のレースっすよ」

 

 

やよい「きょ、驚愕ッッ!!!」

 

 

 目の前にいる凛々しいウマ娘。ナリタブライアンはその目で俺をジロジロと見てくる。勝負服を来ている姿がなんだか侍ぽかったので前田慶次かブっさんどっちで呼ばれたいかと聞いた。

 もちろん前田慶次と答えたのでブっさんと呼んだらそこから先の記憶が二週間ほどぶっ飛んだ。

 

 

ナリブ「そうだ。思い出したぞ、オマエが貸してくれたドラゴンボールの原作」

 

 

桜木「ああ、そういえばブっさんに貸してたんだっけ」

 

 

ナリブ「今姉貴が持ってる」

 

 

桜木「なんだって?」

 

 

ナリブ「たまたまだ。出しっぱなしにしていたコミックスを読んだらしくてな。そこからはもう早かった」

 

 

 ブっさんの姉貴.........と言えば、ビワハヤヒデのビワさんか.........まずいぞ。強さ議論で行くとブロリー厨のナリタブライアンと数値重視のビワハヤヒデ.........喧嘩が起きるに決まってる.........

 

 

桜木(まぁ俺の知ったこっちゃねえしな)

 

 

ナリブ「それについて、今度お前とも意見を混じえたいと思ってるらしい。もちろん私も同席する」

 

 

桜木(死にましたね)

 

 

 クソァ!なんでドラゴンボールになるとコイツも熱くなるんだ!!いつも通り素っ気なくていいんだぞ!?どうせいつも通り気を使って前置きにブロリーを無しにしてとか、結論の最後にでもブロリーが来たら終わるけどねって言わないとすぐ不機嫌になるんだから!!

 

 

やよい「な、何の話をしてるのかさっぱりだが、仲が良さそうで何より!!」

 

 

桜木「.........あ、そういえば、ブっさんは子猫とか見なかったか?」

 

 

ナリブ「子猫.........?いや、見てないな」

 

 

桜木「そうか.........」

 

 

ナリブ「ああそうだ。もう一つあったぞ。オマエのチームルームが賑わってるそうだ。一度見に行くといい」

 

 

桜木「.........ああ、うん。分かったよ」

 

 

 理事長の方をちらりと見ると、仕方ないと言うように態とらしくため息をふぅっとついた。もう少し楽しませてやりたかったけど、どうやらそうにも行かないらしいな.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テイオー「次ボクに触らせてー!!」

 

 

ゴルシ「なぁ!?ダメだテイオー!!!お前はもう三回以上触ってるだろ!???」

 

 

スペ「はいはーい!!次私が触りたいですー!!」

 

 

マック「じ、順番!!皆さん順番ですわ!!」

 

 

 ワイワイガヤガヤとしている我がチームルーム。今までこれほどまで賑やかだったことがあろうか?いやあるわ。マックイーンが野球の良さを熱く語る会はあれの三倍は賑やかだったぞ。マックイーン一人で。

 

 

桜木「はいはーい。ちょっと失礼させてもらうよー」

 

 

マック「と、トレー......ナー.........さん?」

 

 

桜木「あちゃーやっぱりかー」

 

 

 うわ、流石にわざとらし過ぎ無い?やめてくれ、俺も分かってるんだ。そんな目で見ないでくれ.........?いや、俺と言うより俺の上の方を見てない?

 

 

テイオー「何してるの.........?サブトレーナー.........?」

 

 

桜木「いや、違う。これは理事長にお願いされて仕方なく.........」

 

 

やよい「.........虚言ッ!!」

 

 

桜木「はァ!!???」

 

 

やよい「断じてそのような事は言ってない!!」

 

 

 .........俺はまず、理事長を降ろした。もうこうなればどんな弁解も役に立たないからだ。楽しみかい?やよいちゃん。言っとくけどこれから始まるのは蹂躙だよ。

 

 

マック「トレーナーさん.........?ウマ娘のみならず、人に.........しかも、学園の理事長にそんな破廉恥な事を.........?」

 

 

 恐ろしい。全くもって恐ろしい存在だ。メジロマックイーンは一体何を持ってしてここまでの感情を俺に対してぶつけてくれるのだろうか。逆に嬉しいぞ。

 

 

桜木「む、無駄だと思うけど、一応言っておく.........俺は無実だッッ!!!!!」

 

 

マック「問答無用ですわッッッ!!!!!」

 

 

 終わった。こんな勢いよく抱きしめられるなんて初めてだ。果たして病院通いせずに居られるだろうか、などとそんなことを考えていたが、一向に痛みは来ない。一体どうしたんだ.........?

 

 

桜木「マックイーン.........?」

 

 

マック「どうして.........」

 

 

桜木「うぇ.........?」

 

 

マック「どうしていつもそうなんですの.........?」ポロポロ

 

 

桜木(えええええええええ!!!!!?????)

 

 

 え!?まさかの泣き.........!?いや、そんなこと言ってる場合じゃないだろ!!女の子が.........ましてやマックイーンが泣いてるんだぞ!!

 周りの目も徐々に集まってきてる。マックイーンの為にもここは何とか諌めなければ.........

 

 

桜木「.........悪かった」

 

 

マック「本当ですわ.........!!」

 

 

桜木(.........けどなんでこんな.........ん?あれは.........)

 

 

 マックイーンの頭を優しく撫でながら、テーブルに置かれているチョコレートを見る。あれは、白銀の奴が大好きなアルコールが多量に入ってるボンボンだ.........まさか.........

 

 

ウララ「ヒック」

 

 

ライス「ヒック」

 

 

ブルボン「アルコール検出」

 

 

タキオン「私は食べてないよ」

 

 

テイオー「ヒック」

 

 

スペ「ヒック」

 

 

ゴルシ「Zzz」

 

 

桜木「」

 

 

やよい「.........」

 

 

 こいつは臭い。アルコールの匂いがぷんぷんする。まずい、傍から見ればこれは未成年飲酒なんちゃらかんちゃら法違反だ。しかも俺が責任を取る羽目になるのでは.........?うわ、理事長めちゃくちゃいい笑顔しとりますやん。許してくれる?

 

 

やよい「粛清ッ!!遺言は簡潔にな!!」

 

 

桜木「お待ちくださいッッ!!!」

 

 

やよい「出来ぬゥッッ!!!」

 

 

 結局こうなるのね.........そんなことを思いながら、理事長は今度は腕で俺の首を締めてきたのだった.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「申し訳ございません、トレーナーさん.........」

 

 

桜木「はは、気にするな。あれを置いていったあのバカが悪い」

 

 

 隣で歩くマックイーンの顔はまだ赤い。それがもうアルコールのせいでないということは十分、分かっていた。

 

 

マック「というより、子猫の件。気付いてらしたのですか?」

 

 

桜木「ああ、普段は無い抜け毛があったし、ウララはずっとテーブルの下に視線送ってたしな」

 

 

桜木「隠したいんだったら隠されたままの方がいいかと思ってな。そうする事で自主性が育まれるし、俺自身は気付いてるから、大事になる前には何とかできると思ったんだ。まさか、理事長の猫だったなんてなー.........」

 

 

マック「では、最初から気付いて居たのですね」

 

 

 そういう彼女はクスクスと笑う。いつも思うが、女の子の笑顔を見ると男はこう、何か特別なホルモンでも分泌されるのだろうか?明日も頑張ろうと思える気がする。

 

 

桜木「それにしても、マックイーンは酔うと泣き上戸になるのか」

 

 

マック「え?なんですの?」

 

 

桜木「お酒に酔うと泣いちゃう人の事だよ」

 

 

 そういえば、昔会社勤めしていた時、取引先のお偉いさんも泣き上戸だったなー.........元気にしてんのかな、財前さん。

 ふと、ポケットに入れたスマートフォンが振動したことに気がつくが、どうせ目当ての人物からではないと確認する前から決めつけた。それに、マックイーンと一緒に居るんだ。

 

 

桜木「.........」

 

 

 テイオーは、日々を問題なく過ごしている。まだ、問題は発生していない。水面下ではきっと、本人も気が付かないうちに体を蝕んでいるだろう。

 黒津木とタキオンには、故障が発生する前の事前策。本人達曰く、成功する可能性は極めて低く、期待せずに準備をした方がいいとのことだ。

 沖野さんにそれを伝えると、故障が発生した場合の事後策。つまり、故障後のリハビリについての勉強を始めた。思ったよりこれが楽しいらしい。気に病むよりは、楽しんだ方がいいだろう。

 

 

マック「トレーナーさん?」

 

 

桜木「え?なに?」

 

 

マック「.........いえ、なんでもありませんわ」

 

 

 行けない、彼女を寂しくさせてしまったか?マックイーンは俺を気遣うようになんでもないと言ってくれたが、呼びかけたという事はなんでもない訳が無い。

 

 

桜木「えーっと.........そういえばこの前のビクトリーズの試合だけどさ」

 

 

マック「!」

 

 

 ビクトリーズの名前を聞いて、しっぽと耳をピンと張る。どれだけ好きなのだろう。こんな美人に応援されるなんて羨ましいぜ、ビクトリーズ。

 

 

桜木「ユタカのあのホームラン!かっこよかったよな!!」

 

 

マック「トレーナーさん!!ようやく分かってきましたのね!!野球の良さが!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「.........」

 

 

 寮の前でマックイーンと別れ、彼女の姿が見えなくなるまで歩き、スマホを開いた。通知欄にはSNSのメッセージが届いているという表記だけ。

 期待しないで開いてみると、やはりそこにはアイツらの下らない会話だった。

 

 

白銀「うまぴょいランドとか言う店があるらしい」

 

 

黒津木「〇ね」

 

 

神威「生かして返さん」

 

 

桜木「飯抜きだなっと.........」

 

 

 そう打ち込んでスマホを閉じた。その直後にまた携帯が震える。今度はなんだと思い、開いてみるも、アイツらのトークが更新されていない。

 

 

桜木「.........!!!」

 

 

 来てた。一言だけ送ったメッセージに既読が着いて、その返信も来ている。けれど、現状はよろしくなっていない。

 今どこに居ますか?という一言のメッセージに対し、帰ってきた言葉は、パリ。という一言だけ。

 

 

桜木(.........良かった。メッセージ返す程度にはなったのか.........)

 

 

 人の身体の動きに関する勉強。就職する前は独学で勉強してきたが、会社に入ってからは、開発部に居た先輩に教えて貰った。まぁ、その先輩も俺が入って半年で辞めてしまったが、俺の事をよく見てくれたと思う。

 正直、あの人の知識は素晴らしいものだ。何か意見を聞ければと思ったが、外国に居るならば、そう易々とは行かない。

 二年半ぶりに返事が返ってきたのは嬉しいが、それでは会いに行けそうには無い。当たり障りの無い言葉を取り繕って、その足で自宅へと帰って行った.........

 

 

 

 

 

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ......To be continued

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