山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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ウララ「ハロウィンだよ!!トレーナー!!!」

 

 

 

 

 

 

 10月も末になり、ようやく誕生日プレゼントで貰ったマフラーにも慣れてきた頃。明日は休み、来週のトレーニングメニューはどうしようかと考えていた所だった。

 

 

マック「トレーナーさん。明日は何かご予定がありますか?」

 

 

桜木「え?無い、とは思うけど.........あれ、なんかあったっけ?」

 

 

ウララ「ハロウィンだよ!!トレーナー!!」

 

 

 机に手を乗せ、ぴょんぴょんと跳ねるウララ。本当に可愛いなこの子。可愛いの権化か?

 それにしてもハロウィン.........?ああ、あの仮装してどんちゃん騒ぎする催しね、知ってる知ってる。

 

 

ライス「皆、仮装して集合するんだよ?お兄さまも来る?」

 

 

 ぴょんぴょん跳ねるウララの隣を、顔を覗かせるようにひょっこり現れたライスとブルボン。仲良し三姉妹見たいで可愛い。

 ハロウィンかぁ、行きたいなぁ。正直言ってしまえばこんなに可愛い子達に囲まれて俺もお祭り騒ぎしたい。けれど、過ぎ去った青春は過去のものだ。今体験しようとしても、心が痛いだけだろう。なにより、大人が居てこの子達が息抜きできるとは限らない。

 

 

桜木「いんや、遠慮しとくよ。君達だけで楽しんでおいで」

 

 

 これが大人の対応だ。どうだい子供たち。君たちは行きたい時は行きたいって言える時に行動するんだよ?こうなった時、喉から手が出る程になる羽目になるからね.........

 そう思いながら、マグカップに残った泥(失礼)みたいなコーヒーをがっぷり飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ま!ハロウィンしねえとは言ってねえけどな!!!

 

 

桜木(ハロウィンさいこ〜!)

 

 

 流石中央!!お祭りごとはだいたいみんなやってるおかげで変な目で見られねぇ!!俺がしたい格好ができるなんてマジで最高だ!!

 数週間前からアイツらと遊ぶ為に迷いに迷った仮装。この半年でバキバキに鍛えられた肉体を生かし、俺はとある一子相伝の拳法を扱うヘルメット男のコスプレで街を闊歩していた。こんな日じゃなきゃ出来ねえ格好だ。

 

 

「すげぇ.........」

 

 

「ジャ〇だ.........」

 

 

「筋肉やべぇ.........」

 

 

桜木(ククク、俺様の肉体美に見とれてやがるな.........)ベチャ

 

 

桜木「あ?」

 

 

キタ「あ.........」

 

 

 え?キタちゃんだ。どうしよう久しぶり。元気だった?

 なんて言えるわけねえだろボケ。大人がこんなガチコスプレしてたらドン引きするわ。俺は真面目系で側を通してる男なんだよ。

 足の一部分がヒヤヒヤとする。もしやと思い視線をそこに下ろすと、美味しそうなアイスがべっちゃりとついてた。ここは何とかしてやり通さなければ.........

 

 

キタ父「ああ!す、すみません!!」

 

 

桜木「おいガキ」(激似)

 

 

キタ「!!」

 

 

桜木「まず、俺様になんて言うんだ?」

 

 

 顔が見えにくいよう加工したヘルメットでキタちゃんの顔を覗き込む。ごめんね、コイツはこう言うキャラなんだ。

 

 

キタ「ご、ごめんなさい.........!」

 

 

桜木「よーし、俺ァ素直な奴は好きだ。ボーッと歩いてた俺様にも非はあるからなァ、これでアイス買い直してこい」

 

 

 ポケットに入れていた財布から、1000円札を取り出し、それを握らせる。子供というのはやはり、単純な物なので、先程まで泣きそうだった姿もすっかり収まった。めでたしめでたしって奴だ。

 

 

キタ父「あの、ありがとうございます!」

 

 

桜木「あァ?大人なんだから当たり前だろォ?」

 

 

キタ父「いやー、それにしてもお久しぶりですね、夏祭り以来ですか」

 

 

桜木「.........え?」

 

 

キタ父「ハハ、バレてないつもりかも知れませんが、さっきの貴方のキタちゃんを撫でる仕草で分かりましたよ」

 

 

 うっっっわ............めちゃんこ恥ずかしい奴じゃん.........

 先程まで耳打ちで話してきたキタちゃんのお父さんは笑いながら去っていった。キタちゃんは不思議そうな顔をしていたが、あの子にはバレていないだろう。それだけで良い。

 

 

桜木「.........さ、早く集合場所に行かんきゃな.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 駅前の公園。銅像の前で待ち合わせの予定だ。だから俺はいの一番に来てベンチに座った。

 次に来たのは神威だ。神威はどこか見たことある白髪の痩せこけた拳法使いのコスプレだ。無言で俺の隣に座る。

 次は黒津木だ。風格のある歩き方でゆっくりと近づいてきた奴は、まるで世紀末救世主みたいな奴のコスプレだった。コイツも隣に座る。

 最後は白銀だ。何できたと思う?ゴールドシップだ。彼女が担いできたのだ。俺達の前で投げ飛ばされると、ズサーっと体全体で地面をこする。ヤツは無言で土を払うと、やはり俺達のベンチに座った。因みに髪は金髪に染め直し、格好はその拳で世界を征服しようとした者の姿だ。

 

 

桜木「.........なんでテメェらと思考のシンクロせにゃならんのだ」

 

 

神威「〇ャギ。致し方あるまい。我らは兄弟なのだ。考え方が似ることもある」

 

 

黒津木「み、水.........」

 

 

白銀「うぬ」

 

 

桜木「まァ良いか。ゲーセン行くぞ兄者!ケンシ〇ウッ!」

 

 

神威「あまり無駄遣いするなよ」

 

 

黒津木「み、水.........」

 

 

白銀「うぬ」

 

 

 コイツらこれしか喋らんのか?いや、喋れねえのか。俺と神威は一応全巻読破してるから何とかキャラになりきって会話しているが、黒津木は死あたぁしか見てないし、白銀に至ってはそのキャラが黒髪か金髪か確証が持てていないだろう。神のニブイチで正解を当てたに過ぎない。

 

 

桜木「よし、行くぞォ!」

 

 

神威「ゆくぞ」ナギ!

 

 

黒津木「邪魔だ、どけ」

 

 

白銀「うぬ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「お待たせ致しましたわ」

 

 

タキオン「おや、これは意外だねぇ。まさかゾンビガールで来るなんて」

 

 

 今日は待ちに待ったハロウィン。チームのメンバー全員でという珍しいプライベートですが、とても楽しみしていました。

 そして仮装についてですが、今の私はゾンビです。以前トレーナーさんが、倒れても倒れても立ち上がるからある意味主人公と言っておられました。私も倒れても立ち上がる為に、今日はゾンビとして街を闊歩しますわ!

 

 

ウララ「うらめしや〜!」

 

 

マック「ひゃあ!?う、ウララさん!?」

 

 

ライス「ライスもいるよ!」

 

 

 白くて大きい布から顔を出したのは、ウララさんとライスさん。お二人で一つの仮装をなさっている様です。とても可愛らしい発想ですわ!

 話を聞いてみると、どうやら司書さんからの提案らしく、金銭面で不安がある為、お揃いの仮装をしたいという願いが叶わないかもしれないという悩みを、こういう形で解決したそうです。本当、あの方々は色々とい思いつきますわね.........

 

 

ブルボン「.........あの、タキオンさん。質問してもいいですか?」

 

 

タキオン「ん?なんだいブルボン君?」

 

 

ブルボン「フランケンシュタインとは、どのように喋るのですか?」

 

 

タキオン「自由に喋ればいいじゃないか。君はフランケンシュタインじゃなく、フランケンシュタインの仮装をしたミホノブルボンなのだからねぇ」

 

 

 目の前ではネジの付いた仮装カチューシャを付け、ツギハギメイクをしたブルボンさんと、何時もの白衣を着たタキオンさんが会話をしています。

 恐らく、 ブルボンさんの仮装に合わせたと言うより、ほとんど普段着になっているのでしょう。ですが、お二人の姿は中々様になっております。

 

 

マック「どこから行きましょうか?」

 

 

ウララ「あ!!ウララゲームセンター行きたーい!!!」

 

 

 白い布を畳んでぴょんぴょん跳ねて主張するウララさん。よくトレーナーさんが可愛いの権化と呟きますが、よく分かります。

 しかし、 ゲームセンターですか.........たしか、今日はクレーンゲームのイベントがあったはずです。

 

 

タキオン「他に行きたい所もないし、私は構わないよ」

 

 

ブルボン「私もタキオンさんと同意見です」

 

 

マック「ええ、私も行きますわ」

 

 

ライス「じ、じゃあ決定だね!」

 

 

ウララ「よーっし!ゲームセンターに出発だー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「おぉらッッ!!!」

 

 

 ナゲタァ!!

 

 

 ホクトラカンゲキィ!

 

 

 マホウノスウジ㉗ァ!!!

 

 

 オモイシラセテヤル!!!

 

 

 チョウガソデフィニッシャシンダァァァ!!!

 

 

 ジャギユウリ!ジャギユウリ!

 

 

 ネェヨ!チョウシノンナ!

 

 

 配信台で繰り広げられる熱き攻防。コスプレしてたら是非と言われ座らされたが、俺は練習は怠らない。最近では野良試合で百裂決めれるレベルまで練習したのだ。

 因みに使用しているキャラもジャ〇。先人のリスペクトを込めて赤い魔法戦士カラーで選択している。

 

 

神威「ラ〇ウ、今は去れ!」

 

 

白銀「貴様の、身体の謎が分からん」パンチラ

 

 

黒津木「それをよこせ.........全部だ、全部だ!!」

 

 

桜木(何やってんだアイツら.........)

 

 

 白銀の奴はさっきから艦これアーケードでパンツを見ようと必死になってる。その姿でやるな、インパクトが凄い。

 黒津木はさっきからクレーンゲームに手こずっている。もう数千円くらい投入してるんじゃないか?というかもうタキオンのぬいぐるみは腐るほど家にあるだろ。

 

 

桜木「けっ、腑抜けたかァ兄者ァ」

 

 

白銀「うぬ」

 

 

神威「退け、ラオ〇。貴方だ.........〇オウ」

 

 

 もう画面を舐めそうな勢いだ。空手黒帯の神威でもさすがに引き剥がせない。やつはフィジカルモンスターだからな。筋力はそれなりにある。

 それにしても良かった。こんな所マックイーン達にでも見られたら死んでたかもしれ.........

 

 

マック「トレーナーさん?」

 

 

桜木「南斗蛇狼撃ッッ!!!」

 

 

白銀「ヌゥワァァ!!!」

 

 

 もう無理矢理にでもぶっ飛ばした。あとが怖いけど、知らない。殴りでもすればいいだろ。俺はこんな奴と友達だという事を知られたくは無い。

 

 

桜木「.........」

 

 

マック「トレーナーさん」

 

 

桜木「あァ?トレーナー?そんな奴ァ何処にも居ねェだろぉ?」

 

 

マック「居ますわ、今目の前に、雰囲気だけは誤魔化せませんわよ?トレーナーさん」

 

 

 それは強すぎませんか?流石の元天才の俺も急に雰囲気まで演じるのは難しいものが感じるのよ。あれ、頑固な油汚れみたいな物だからね。

 にっこりと微笑んでくるマックイーン。ゾンビメイクも似合ってるな.........っていかんいかん、職員モード職員モード.........

 

 

マック「それで、私達の誘いを断ったのは.........これがあったからですか?」

 

 

桜木「いや、その.........」

 

 

ウララ「あ!!マックイーンちゃん!!誰と話してるのー!?」

 

 

 まずい.........ぞろぞろとウチのチームメンバーが集結してきた。早く逃げなければ.........!

 

 

白銀「うぬ」

 

 

桜木「.........退いてくれ兄者。これじゃ逃げれねぇ」

 

 

神威「断る。面白そうだ」

 

 

黒津木「お前の死に場所を選べ」

 

 

 ははは、南無三

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「いつつ.........いくら鍛えても痛みにゃ適わねえや.........」

 

 

 ゲームセンターを出たベンチに座り、トレーナーさんは先程まで極められた肩をグリグリと回しました。まぁ、私がやったのですが。

 

 

マック「全く、予定があるならあると言ってください」

 

 

桜木「いやいや.........夏祭りの時も思ったけど、ジェネレーションギャップを感じるおじさんと一緒にいても楽しくないでしょ?」

 

 

マック「前から思っていたのですが、そのご自身をおじさん扱いするのは止めて下さい。貴方はまだそんな歳ではないではありませんか!」

 

 

桜木「確かに歳じゃないけど、俺の夢はカッコイイジジイになる事だからな。早く歳をとりたい」

 

 

 本当に、おかしな人です。普通そこは、歳はとりたくない〜と、嘆くものだと思うのですが.........

 けれど、そんな彼の思想が優しい雰囲気やトレーニング方法に現れるのでしょう。無理に抗わずに自然体で生きていく。その練習が、今全体で執り行っている自然体フォームでの速度加速とスタミナ節約。かなり画期的だと思われます。

 

 

マック「.........はぁ、仕方ない人ですこと」

 

 

桜木「面目ないぜ.........あっ」

 

 

マック「?」

 

 

桜木「中々似合ってるぞ。マックイーン」

 

 

 彼はその顔を仮面で隠しながらそう言いました。恐らく言い方からして、ものすごく照れてると思います。もう、わざわざ言わなくても良いですのに.........

 

 

マック「ふふっ、ありがとうございます、トレーナーさん」

 

 

桜木「.........あーーー、それと非常に言い難いんだが.........何があった?」

 

 

神威「ある秘孔を付く事で.........身体の痛みは数倍になる」シュッ!

 

 

白銀「うぬ」ドゴァ!

 

 

 トレーナーさんの視線の先には、両手を突き出して攻撃を仕掛けた司書さんを、白銀さんが躱し、背中を叩き付けるように攻撃し、倒れ伏しさせました。

 えっと、確かトレーナーさんの関節を極めている時に.........

 

 

白銀『うぬ』パンチラサイカイ

 

 

ウララ『社長!!何してるの!!?』

 

 

神威『ラオ〇。見えるはずだ。あの死兆星が』サツイノハドウニメザメタトキィ

 

 

 そしてそのまま外へと連れ出す最中、出口のクレーンゲーム付近で.........

 

 

神威『下がっていろケンシロ〇。お前だ、ケンシ〇ウ』

 

 

黒津木『邪魔だ、退け』

 

 

 ブスッ!

 

 

黒津木『俺の知っているト〇は、もっと目が澄んでいた.........』

 

 

マック「.........ということですの」

 

 

桜木「だからアイツ律儀に入口で固まってんのか、パントマイムしてんのかと思った」

 

 

 片膝を着いて固まっている保健室医さんは、特に動こうとせず、その場で固まっていました。

 その隣のゲームセンターの入口から出てきたのは、タキオンさん達です。たしか、景品イベントのためにゲームをプレイしていたはずなのですが、どうやら無事ゲット出来たようです。

 

 

桜木「お、ボウガンタイプのおもちゃ弓か。しかも結構品質が良い」

 

 

マック「ひと目でわかるんですの?」

 

 

桜木「ああ、高くて買うの諦めたからな。最近」

 

 

 キッパリとそう言い切るトレーナーさん。おもちゃ、買うのですね。まぁ、そんな姿は予想できます。子供のように笑いながらおもちゃを振り回す姿もまた.........って、いけません。程々にしなくては.........

 そう思っていると、なにやらタキオンさん達が騒がしくなっています。一体何を話しているのでしょう.........?

 

 

ウララ「いいないいなー!!ウララにも触らせてー!!」

 

 

タキオン「ええい!!安全性を確認するからちょっと待ってくれ!!」

 

 

ブルボン「あの、引き金に指が.........」

 

 

ライス「け、喧嘩はダメだよ!!」

 

 

 カシュン!

 

 

四人「あ」

 

 

 揉み合いあっている内に、タキオンが持っていたボウガンからおもちゃの矢が発射されました。そして、それは運悪く、白銀さんへと向かって行きます。

 

 

白銀「うぬ」パシッ!

 

 

桜木「おーすげぇ、北斗神拳二指真空把だ。流石の身体能力」

 

 

マック「素晴らしいですわね.........」

 

 

白銀「うぬ」シュッ!

 

 

二人「は!?」

 

 

 なんと、白銀さんはそのまま2本の指で止めた矢を、タキオンさん達に勢いを殺さずに返しました。この距離では、流石の私の脚でも間に合いません。立ち上がろうとした瞬間にはもう、おもちゃの矢は既に、タキオンさん達の目と鼻の先でした。

 ですが、そんな間を一人、割り込んできた人物が居たのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「北斗神拳奥義!二指真空把ァッ!」キュポン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「!!!!!」

 

 

マック「.........ホッ」

 

 

 先程まで固まっていた黒津木先生が間に割り込み、その身体で矢を受止めました。その姿を見て、私はほっと息を吐き、トレーナーさんは声にならない程の笑い声を上げています。

 

 

神威「もう許さねえぞおい」

 

 

白銀「はァ!?そういう技だろ二指真空把ってェ!!!」

 

 

神威「るっせぇッ!危うくアイツらが怪我する所だったんだッ!容赦しねぇッ!」

 

 

桜木「うわ、創怒らせるとかヤバすぎだろ」

 

 

マック「怒らせると不味いのですか?」

 

 

桜木「創は怒らないで有名だからな」

 

 

 先程までの威圧感を感じる争いでは無くなり、もみくちゃになりながら喧嘩を始めるお二人。とても大人とは思いません。

 そんな姿も、以前までの私ならば疑問に思いましたが、こういう姿もまた、大人なのだと納得出来るようになりました。

 

 

ウララ「おじちゃん誰!?マックイーンちゃんと知り合いなの!?」

 

 

桜木「ははは、俺だよ。ほら」

 

 

ウララ「!!」

 

 

 小走りで寄ってきたウララさんは、ワクワクしながら仮面をしたトレーナーさんに話しかけました。彼がゆっくりと素顔を見せると、耳としっぽをピンと張り、驚きを見せたあと、彼に飛び込んでいきました。

 

 

ウララ「トレーナー!!!」

 

 

桜木「うおっとと、びっくりした」

 

 

マック「ふふ、トレーナーさんに会えて嬉しいのですね」

 

 

桜木「俺にぃ?」

 

 

 不可解そうな顔をしながら、トレーナーさんはウララさんの頭を撫でました。いつもの微笑ましい日常です。

 そんな光景を見ていると、先程まで騒がしかった喧嘩の音が静かになっているのに気が付き、視線を動かすと、倒れ伏した二人と、構えをとった黒津木先生が立っていました。

 

 

黒津木「バイクのエンジン音.........」

 

 

マック「今の一瞬で何が.........?」

 

 

桜木「あー、ボルカニックヴァイパーぶっぱなしてた所は目の端に映ってたぞ。アイツソルに憧れて中学の内から筋トレしてるからな」

 

 

マック「ソルさん.........?」

 

 

ウララ「トレーナーの知り合い!?」

 

 

桜木「ゲームのキャラクターだ」

 

 

 時折、彼が何を言っているのか理解できない時もありますが、それもまた彼の魅力だと思います。まぁ、分からなさ過ぎる時もありますが.........

 そんな中、黒津木先生とタキオンさん達が合流し、楽しく話し合っている中で、トレーナーさんもベンチから立ち上がりました。

 

 

桜木「まぁ、こうして合流しちまったわけだし、お菓子でも買ってやるよ」

 

 

ウララ「いいの!!?わーい!!ライスちゃーん!!!トレーナーがお菓子買ってくれるって!!!」

 

 

 勢いよく飛び上がったウララさんは、その勢いのまま、倒れている司書さんと白銀さんの介抱をしているライスさんへと走っていきました。

 私とトレーナーさんはその姿を見た後、お互いに視線を交わして微笑み合いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トリックオアトリート(ですわ)!!」

 

 

桜木「.........」

 

 

 コンビニで大量のお菓子を買って出てくると、外では可愛い教え子達がハロウィンの呪文を一斉に唱えた。

 そうか.........これが本来のハロウィンか.........今思えば素晴らしいイベントだ。小さい子と触れ合いのない人でも子供と触れ合える機会を与えられるイベントと考えれば、どこの神が与えたもうた浄土なのだろうと思うだろう。

 だが.........

 

 

桜木(.........イタズラされてみてぇ)モヤン

 

 

桜木「.........俺らの内誰かにイタズラしたらあげるよ」

 

 

友達「は?」

 

 

ウマ達「え?」

 

 

「おっし任せろ!!」

 

 

全員「え!?」

 

 

 その声が聞こえた瞬間、白銀の身体が視界からブレた。怖い。見たくない。だけど白銀がどうなっているかは確認しないと.........

 そう思い、視線をずらすと、倒れ伏した白銀を押し倒すゴールドシップの姿があった。かぼちゃの着ぐるみで仮装した姿で。

 

 

白銀「や、やめろバカ女ァ!!シャツが破れるわァ!!」

 

 

ゴルシ「あァ!?うるせェ!!!オマエのシャツよりアタシのモノになるお菓子の方が大事だろ!!?それでも国際宇宙テニス大会第53回チャンピオンかよッッ!!!」

 

 

白銀「宇宙人とテニスした覚えはねェ!!!」

 

 

 咄嗟に懐にしまったであろう白銀の菓子を取ろうとシャツごと破ろうとするゴールドシップ。放っておこう。ああなってしまった以上、俺達が手を施せることは何も無い。

 諦めて視線をマックイーン達に戻した。

 

 

桜木「選択肢は一人減ったが、どうする?」

 

 

ブルボン「では私からやらせて頂きます」

 

 

 ズイッと並んだ列から一人一歩出てくるミホノブルボン。意外だ。こういうのは結構後の方になると思ったんだけど.........

 そんな俺の考えも気にせず、ブルボンは俺の前へとやってきた。どうやら標的は俺のようだ。何をするんだろう?そう思っていると、彼女は開ききった俺のジャケットのチャックに手をかけジジジと上にあげて行った。

 

 

ブルボン「どうでしょうか?マスター」

 

 

桜木「合格!!」

 

 

ウララ「ブルボンちゃんすごーい!!」

 

 

ブルボン「やりました」

 

 

タキオン「どれ、次は私が行こうか」

 

 

 買ってきたお菓子を何個か渡すと、ブルボンは満足気にしっぽを揺らした。中々可愛い事を思いつくものだが、流石に全チャはダサいので下げさせてもらおう。

 そうしているうちに、今度はアグネスタキオンが前へと出はる。その足取りと視線からして、今度は黒津木らしい。

 

 

黒津木「お、俺!?玲皇じゃなくて!?」

 

 

タキオン「モルモット君は反応が薄いんだ。君に普段そんな事しないから、楽しみだよ」

 

 

 そう言いながら、タキオンはがっしりと黒津木の太い腕を掴んだ。慌てふためく奴を見るのも面白い。

 必死に抵抗してみせるが、ウマ娘には適わない。タキオンは注射器を取り出し、その腕に刺そうとし始めた。

 

 

タキオン「ククク、目を瞑った方が楽なんじゃないかい?黒津木君?」

 

 

黒津木「許して.........許して........」

 

 

 目をギュッと瞑り始める黒津木。俺と同じくらいビビリだからな。仕方が無い。

 しかし、タキオンは注射器を刺さないどころか、それをポケットに仕舞い始めた。

 

 

黒津木「.........?」

 

 

タキオン「.........これでよし、と。目を開けていいよ」

 

 

黒津木「.........『イタズラ』.........?」

 

 

 ポケットから取り出された名前ペンで書かれた文字を読み上げる。なるほど、流石だな、ヒラメキタキオン。

 黒津木の方はしてやられたという反応をした後、笑ってお菓子を与えた。

 

 

ウララ「次はウララとライスちゃんがやるね!!」

 

 

ライス「ええ!?ら、ライス。イタズラなんてした事ないよ.........?」

 

 

ウララ「ふふーん!!大丈夫!!ちゃんと作戦があるから!!あのねあのね?」

 

 

 耳打ちで話し始めるウララと、それをくすぐったそうに聞くライス。本当にこの子ら可愛いな。家の隣に越してきて欲しい。

 あまりの可愛さに感心している俺は、二人がいつの間にか目の前から消えていることに気がついた。どこに行ったのだろう?

 

 

二人「うらめしや〜!!」

 

 

神威「百点満点」

 

 

桜木「異議なし」

 

 

 神威が考案したお化けの仮装で、神威の背後に回り込み、わっと驚かせた。百点満点のイタズラ。もし世界にイタズラ大会が存在したら一発で殿堂入りだ。反則級すぎる。永遠に世界に残すべき世界の秘宝だ。

 その賞品として自身のお菓子をライスとウララに手渡した神威。残りはもう、マックイーンだけだ。

 

 

桜木「さ、マックイーン。誰にイタズラするんだ?」

 

 

マック「もちろん、トレーナーさんですわ」

 

 

 いや、もちろんってなんだもちろんって.........嬉しいけどもさ。流石にそうハッキリと宣言されると、俺もドキッとしてしまう。ジリジリとにじりよってくる迫り方とゾンビメイクのせいで、気分はさながらホラー映画だ。

 

 

マック「ふふ.........トレーナーさんがいけないのですよ.........?」

 

 

桜木「いや.........それはそうなんだが、お手柔らかに.........な?」

 

 

マック「ええ、手加減はしますわ。本気でやれば.........どうなるかわかりませんもの♪」

 

 

桜木「!」

 

 

 まずい、それは本当にまずいぞ俺。何されるか分からないのにマックイーンの表情にときめいてどうする。マゾなのは認めるが時と場所を考えてくれ俺の感性!!

 ジリジリと壁際まで追い詰められる。目の前に居るマックイーンはもう獲物を捉えたような目と、それを自分の楽しみの為に何かをするという宣言のような笑みを浮かべながら、俺との距離を縮めて来た。

 

 

マック「.........えい♪」

 

 

桜木「あはァ!?」

 

 

 両の脇腹を人差し指で突っつかれる。その瞬間、俺の身体は大きな反応を見せた。そして同時に悟った。この子、俺の弱点を知ってる.........?

 

 

桜木「な、なんで.........?」

 

 

マック「あら、あの時のインタビューから気付いてましてよ。バレてないと思っていらっしゃったのなら申し訳ない事をしましたわ」

 

 

 ニヤニヤとしながら俺の顔を見てくるマックイーン。全然申し訳なく思ってないでしょ。

 それにしてもヘルメットを被ってて良かった。たぶん変な気分のせいで変な顔になってる。こんな顔教え子に見せられん。

 

 

マック「まだまだ行きますわよ!!」

 

 

桜木「ご、ごめ!!合格!!合格だから!!!」

 

 

 その後も何故か、マックイーンの執拗な攻撃は続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「も、もう許してくらはい.........」

 

 

 両手と両膝を地面に着けたトレーナーさんは、過呼吸気味になり、ヒューヒューと喉を鳴らしています。少々やり過ぎてしまいましたが、彼の日頃の行いを考えればこれが丁度いいくらいですわ!

 

 

マック「さ、お菓子を分けてくださいますか?」

 

 

桜木「くぅ〜.........いい気になりおって.........!」

 

 

 口では憎らしそうにしていますが、私が両手を出すと、彼は買ってきたお菓子を袋から取りだし、私の手に乗せます。彼はよく私の事を律儀だなんだと言いますが、それは貴方も同じだと思います。

 貰ったお菓子をバッグに詰め込んでいると、目の端にチラチラと何かが映りました。

 

 

マック「.........トレーナーさん?」

 

 

桜木「ん?なに?」

 

 

 あくまでシラを切るのですね。その片手に持っているモンブラン。わざわざ私の目の端に写るようにしておいて、よくもまあ言えたものです。

 そんな気持ちを込めてトレーナーさんを睨むと、その反応を予想していなかったのか、彼は驚くように身体をピクリと反応させ、困ったような笑みを浮かべました。

 

 

桜木「.........悪かったよ。いつもありがとうな。マックイーン」

 

 

マック「え?」

 

 

桜木「俺がいない時とか、よくチームをまとめてくれてるだろ?本当に助かってる。ハロウィンに日頃のお礼を言うのもおかしいかもしれないけど、言いたくなってさ」

 

 

 他の奴には内緒だぞ?といいながら、彼は私のお菓子鞄に買ってきたモンブラン入れて下さりました。ほんとう、そういう所を勘違いさせてしまうんです。トレーナーさん。

 ですが、もうそれに踊らされはしません。私はあの日決めたのです。いつかこの思いに名前を付け、それを必ず告げるのだと。

 

 

マック「本当、わざわざハロウィンに言わなくてもよろしいですのに.........どういたしまして、トレーナーさん」

 

 

桜木「おう」

 

 

 仮面の下でニカッと笑うトレーナーさん。作品を見た事はありませんが、恐らく彼の好きな悪役なのでしょう。悪の何が良いのか分かりませんが、彼と一緒に過ごす内に分かってくるのかも知れません。

 ですが、そんな姿に左右されないほど、彼は優しい人です。

 

 

桜木「さ、ハロウィンはこれからだ。楽しむぞー!!」

 

 

マック「ええ!」

 

 

 気を取り直して、私達は今日というハロウィンを満喫したのでした。

 

 

 

 

 

  ......To be continued

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オマケ

 

 

 

 

 

テイオー「ねえねえマックイーン!ハロウィンの時凄い仮装してた人達知ってる!?」

 

 

マック「いえ.........どういう方々ですの?」

 

 

テイオー「ええ!?知らないの!?ウマッターでその日すごく盛り上がったんだから!!ほら!!」

 

 

マック「.........」

 

 

テイオー「すっごいよね!!マンガの世界から出てきたみたい.........?マックイーン?どうしたの??」

 

 

マック「.........ですわ」

 

 

テイオー「へ?」

 

 

マック「トレーナーさん方です.........これ.........」

 

 

テイオー「.........えぇ.........?」

 

 

 

 

 オワリ

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