山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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「夏だ!海だ!合宿だ!!」「地獄の始まりですわ.........」

 

 

 

 

 

 

 さんさんと照りつけていた日差しとビーチに別れを告げる様に、俺達を乗せたバスは走り出した。気持ちよさそうに揺れるバスの車体はまるでゆりかご。疲れた身体を眠りに落とすには丁度良かったのだろう。そこらかしこで寝息が聞こえる。

 

 

桜木「色々あったなー、夏合宿」

 

 

マック「.........色々あったなー、ではありませんわ.........!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「色々ありすぎでしたわ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さんさんと照り付ける中央の夏。アイスがおいしい季節になったと、チームルームに常蔵してある棒アイスを舐めながら、私は誰にでもなくそう思いました。

 

 

桜木「夏は合宿ッッ!!!」

 

 

 ガララッ!と、勢いよく開けられた扉の先にはトレーナーさんが仁王立ちしておりました。いえ、そんな事はどうでも良いのです。問題は、彼の言った言葉にあります。

 

 

マック「あの、トレーナーさん?チームでの合宿参加ならば、優秀な成績を収めてなければ行けないのでは.........?」

 

 

桜木「安心しろマックイーン!!!俺が生徒会長に話を付けてきた!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室のドアを開けた。合宿申請の用紙を机に向かって放り投げながら、スライディングで土下座をかました。

 

 

桜木「よろしくお願いしまーーーーーすッッッ!!!!!」

 

 

ルドルフ「すまない桜木トレーナー。それは出来ない相談なんだよ」

 

 

桜木「じゃあ良いです」

 

 

 土下座する勢いで畳んだ体を飛び上がって立ち上がらせる。一個目の要件はこれで終わりだった。

 

 

ルドルフ「.........それで、二つ目の要件とは?」

 

 

桜木「会長。最近また生徒とのスキンシップが図れなくて悩んでましたよね?」

 

 

 そう言うと、生徒会長シンボリルドルフの耳がピクリと動く。どうやら図星らしい。わかりやすく食いついてくれるものだ。

 俺はゆっくりと歩き、彼女の前の机に肘を置く。嫌な予感がしたであろうエアグルーヴが止めに入ろうとするが、先日コンビニのくじで当てたブロリーのA賞のフィギュアで買収したナリタブライアンに止めさせる。

 

 

桜木「.........指スマって言うゲームなんですけど、知ってますか?」

 

 

ルドルフ「いや、初めて聞いたな」

 

 

 トレーナー説明中.........。

 

 

ルドルフ「なるほど、そういう遊びか.........試しに一度やって見ても良いだろうか?」

 

 

桜木「.........勿論です」ニヤリ

 

 

 両手を握りしめ、親指を上に机に手を置いた。頑張れ桜木。あとはお前の運にかかってるんだ。

 

 

ルドルフ「指スマ1!」

 

 

桜木「.........ふぅ」

 

 

ルドルフ「むぅ、外したか」

 

 

 しめしめ、どうやら生徒会長は単なるゲームだと思って指スマをやっているらしい。エアグルーヴの方をちらりと見やると、流石副会長。俺の魂胆が分かったらしいが、やはりナリタブライアンに止められる。ブロリーのフィギュア強し。

 

 

桜木「指スマ3!!!」

 

 

ルドルフ「おお!やるじゃないか桜木トレーナー!!」

 

 

桜木「.........このままだと、会長負けちゃうなー.........」ボソ

 

 

ルドルフ「.........何?」

 

 

桜木「良いのかなー.........負けちゃうよー?」

 

 

ルドルフ「.........」ブルブル

 

 

 神経をさかなでるように猫なで声でそう呟くと、シンボリルドルフ会長はその身を寒そうに震わせた。

 俺は確信する。勝った。俺は指スマに負けて、合宿を勝ち得たのだと。

 

 

ルドルフ「嫌だァ.........!!」

 

 

ルドルフ「私はァ.........!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けたくないィィィィッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 青白い炎のようなオーラをまとい、勝利への執着を見せ始めるシンボリルドルフ、いや、ヘルカイザールドルフ。彼女の執着を利用しない手は無い。

 

 

桜木「そんな貴方に朗報!!今ならなんと合宿の許可を得るだけでこの指があなたが宣言する度に起き上がる機械になります!!」

 

 

ルドルフ「乗った!!!」

 

 

グルーヴ「会長ッッ!!?」

 

 

ルドルフ「勝利は勝利ッ!私は勝利をリスペクトするッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「と、言う訳だ」

 

 

マック「どういうわけですの.........?」

 

 

 私には彼が何を言っているのか理解が追いつきませんでした.........一体、どうしたと言うんでしょう?普段の彼ならもっとスマートなはず.........

 そう思いながら、保冷剤で白衣を満たしているタキオンさんを見ると、あれを見ろと言うように顎を動かしました。その方向に視線を傾けるとそこには31℃と表示されていました。

 なるほど、つまり彼は暑さに頭をやられてしまったのですね.........可哀想なトレーナーさん

 

 

ウララ「皆で海に行けるのー!?やったー!!!」

 

 

ライス「水着、何着てこうかな?」

 

 

ブルボン「これは合宿です。遊びではありませんよ、二人とも」

 

 

桜木「何はしゃいでんだ!!!」

 

 

全員「!!???」

 

 

 その瞬間、人生で一番大きい声が聞こえました。あのトレーナーさんが、本気で怒ってる.........?

 

 

桜木「俺達はこれから勝ちに行く為に行くんだ!!遊びに行くわけじゃねえんだぞッッ!!!」

 

 

全員「.........あの」

 

 

桜木「なんだ!!!」

 

 

全員「鏡みてから言ってくれる(ますか)(かい)?」

 

 

 そう、まさか。既に短パンにパーカーだけ来て浮き輪とシュノーケルを付けたトレーナーさんに言われるとは、とても思いませんでした.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後もその合宿の噂を聞き付けて、様々な方がやってきました。

 

 

神威「泣きました。僕はお兄さまでお父さんで商店街です」

 

 

桜木「ダメだ。暑さで頭がやられてらぁ」

 

 

 それは貴方です。と口からついて出て行ってしまいそうになりましたが、何とか我慢出来ました。私を褒めて欲しいですわ。

 次に来たのは白銀さんと黒津木先生でした。トレーナーさんは横から文句を言われながらも、約束していたらしいカードゲームを白銀さんとやり始めました。

 

 

桜木「夏は遊戯王ッッ!!!」

 

 

白銀「遊戯王ルール忘れた」

 

 

桜木「適当にやりゃいいじゃねえかよ」

 

 

白銀「ーーー(早すぎて聞き取れませんでしたわ)」

 

 

白銀「トリシューラシンクロ召喚!!」

 

 

桜木「一ターンでトリシューラ出てきたぁ.........」

 

 

神威「ルール的にありなん?」

 

 

黒津木「誰も知らねえんだ。やったもん勝ちだろ」

 

 

 それはルールとしてどうなのでしょう?酷く疑問に思いますわ。

 そして先程からトレーナーさんと白銀さんが首振り合戦をしています。フリフリ、フリフリと首を振り続ける様は少し面白かったです。

 痺れを切らしたのでしょう。白銀さんはトレーナーさんをひっぱたきました。

 

 

マック「トレーナーさん!!?」

 

 

白銀「除☆外ッ!」ビリッ!

 

 

桜木「俺のアイズがッッ!!!」

 

 

 白い龍のイラストが描かれたカードが破かれました。トレーナーさんは悲しそうにそのカードを付けたり離したりしました。

 

 

桜木「.........んなに行きてぇんだったらデュエルで決着つければいいべやァッッッ!!!!!」

 

 

黒津木「その言葉を待っていた」

 

 

神威「玲皇死す!デュエルスタンバイ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウララ「トレーナー!!負けちゃうよ!!!」

 

 

ブルボン「ウララさん.........残念ですが、マスターの勝利確率はもう.........」

 

 

桜木「トラップカードオープン!!!ラストバトル!!!」

 

 

三人「何ィ!?」

 

 

 もう既に他のチームメンバーの興味が他のものへと移っていた時。どうやら動きがあったようです。仕方なく視線を彼らの展開するカードゲームに向けました。

 

 

桜木「カードの効果は忘れたから好きなモンスター出せ」

 

 

ゴルシ「効果読めよ」

 

 

桜木「ありがとうゴールドシップ。アイツのカード1枚ちぎっていいぞ」

 

 

白銀「はァ!?」

 

 

 そう言われたゴールドシップさんは躊躇せず、白銀さんの積まれたカードの中から吟味し、1枚をひきちぎりました。

 

 

白銀「俺の相棒が!?」

 

 

 悲痛な嘆きも届かず、ビリビリに引きちぎられたカードは既に修正不可能でした。と言うより、いつの間にいたのでしょうか、ゴールドシップさんは.........

 

 

桜木「決めたな。よし!俺の相棒クリボー召喚!!!」

 

 

神威「クリッター」

 

 

黒津木「封印されし、エグゾディア」

 

 

白銀「俺」ドンッッ!!!

 

 

マック(着いて行けませんわ.........)

 

 

 机の上に乗り上げた白銀さんの猛攻撃により、トレーナーさんはご友人方の同行を許可したのでした.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウララ「大型バス〜に乗ってます〜!」

 

 

沖野「いいぞーウララー。そのまま車内の空気を浄化してくれー」

 

 

 所変わってここは大型バスの中。ひんやりと効いたクーラーのお陰で俺の頭はだいぶ冷やされた。だが、周りはどうやらそうではなかったらしい.........うん、ここは一応言っておこうか。

 

 

桜木「夏はポケモンッッ!!!」

 

 

黒津木「俺はプラチナに連れてきたユンゲラーを逃がしたコイツを絶対に許さない」

 

 

白銀「ずっと謝ってんだろ!!?」

 

 

ゴルシ「何だこの厨パ!?」

 

 

 揺れ動く行きのバスの中で、それぞれが時間を潰している。マックイーンは読書。テイオーは俺とモンハン。スカーレットとウオッカは喧嘩。タキオンは暑さに苛まれながら永遠とクーラーボックスの保冷剤と冷たくなくなった保冷剤を交換している。

 スズカは外の景色をずっと見てるし、スペはずっと旅行雑誌で宿泊先の食事を見ている。ウラライスブルボンの三姉妹はカラオケで場の空気を和ませているという訳だ。

 そして一番意外なのは、神威がゴルシの相手をしているという所だ。

 

 

神威「600族で手堅いダメージと特殊と物理の二打点を狙える俺の二刀流ガブリアス。そこにポケルス感染させて更に性能アップ.........勝ったな。俺ポケモン大好き」

 

 

ゴルシ「あ、ハサミ入った」

 

 

神威「だから嫌いなんだよポケモンはよォッッ!!!」ボンッ!

 

 

 カバンの中にゲーム機を投げ込んだ。可愛そうに、確かに手塩に育てたポケモンが頑丈もちの旅パに殺されたら世話ないわな。今日も神威の不幸は健在だった。

 

 

テイオー「ねぇサブトレーナー。ハチミー無くなっちゃったー。分けてくれない?」

 

 

桜木「ごめんテイオー。俺もくまの○ーさんに渡してもう無いんだよ」

 

 

テイオー「えー!?嘘だー!!何処にいるんだよそんなのー!!」

 

 

桜木「あそこ」

 

 

白銀「ん?」

 

 

テイオー「あー.........」

 

 

 どうやら察してくれたらしい。因みにその蜂蜜はどうなったかと言うと、全部売られた。アイツマジでゴミカス。

 そんなこんなで騒がしくしていると、前の席のマックイーンが大きなため息を吐いて本を閉じた。

 

 

桜木「お、読み終わったのか?」

 

 

マック「こーんな状況で読めるものですか!!勘弁してくださいまし!!」

 

 

タキオン「ト゛レ゛ーナ゛ーく゛ぅ゛ーん゛」

 

 

桜木「あーはいはい!どうしたのタッちゃんは!?」

 

 

タキオン「私の為に冷たい紅茶を入れてうちわを仰いで扇風機を担いでくれたまえよ.........君は私のモルモットだろ.........?」

 

 

黒津木「ハイハイハイハイ!!!俺がやります!!!やらせていただきマース!!!」

 

 

スペ「サブトレーナーさん!」

 

 

桜木「スペチャン!!!(裏声)」

 

 

スペ「私お腹がすきました!!」

 

 

桜木「あともうちょっとだから!我慢しようなカイセンポセイドン」

 

 

スペ「スペシャルウィークです!!!」

 

 

 さっきバッグのお菓子を上げたばかりなんだが、やはり腹に来なかったらしい。ごめんな、今君を満足させられるものは無い。

 

 

ウララ「トレーナー!!!」

 

 

桜木「今度はどうしたのー!?」

 

 

ライス「お兄、トレーナーさんも歌って欲しいなって.........」

 

 

ブルボン「私も、マスターの歌を聞きたいです」

 

 

三人「うまぴょい!うまぴょい!」

 

 

桜木「やってやろうじゃねえかコノヤローッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「これ、まだ目的地に付いてませんのよ?」

 

 

桜木「改めて振り返ってみると滅茶苦茶だな.........」

 

 

 隣に座るマックイーンの話を聞いてみるが、どうやら相当やばかったらしい。中央の暑さは身体を壊すと死んだばっちゃが言ってたが、頭もイカれるようだ。

 

 

桜木「けどさ、俺だけじゃないと思うぜ?あの時の運転手爺やだったじゃん。素通りしようとしたら悲しそうな顔するし、思わず反応しちゃったよ.........」

 

 

マック「仕方ありません、爺やですもの」

 

 

桜木「そう.........」

 

 

 その身内はノーカンみたいな態度はなんだかやり切れないなぁと思いつつも、ツンとした態度を見せるマックイーンは少し可愛かった。

 

 

桜木「許しておくれよ。皆で夏を過ごせると思って舞い上がってたんだ」

 

 

マック「.........それならまぁ、許して差しあげてもよろしいですわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「もっと足に力入れろー!!砂浜でもフォームを意識しろー!!」

 

 

マック「はい!!」

 

 

桜木「ウララはもう一本泳いでこい!!」

 

 

ウララ「うぅ、疲れたよ〜.........」

 

 

桜木「ライスはタイヤ引きだ!!ここからあそこまでちゃんと引くんだぞ?」

 

 

ライス「う、うん!!が、頑張るね!」

 

 

桜木「ブルボンは引き続きフォームの修正だ。スタミナの消費の仕方に意識しつつ、まずは坂路を二本」

 

 

ブルボン「分かりました。マスター」

 

 

桜木「タキオンは.........?」

 

 

タキオン「」

 

 

桜木「と、溶けてる.........」

 

 

 それぞれが持ち場に着いている時、筋力トレーニングを行っていたはずのタキオンが砂場で溶けていた。可哀想に、この暑さにキミもやられてしまったのだろう。

 足元に置かれたクーラーボックスから一本、スポーツドリンクを取りだし、タキオンの腕を持って浅瀬へと引きずった。

 

 

タキオン「はぁぁぁ〜〜〜.........助かったよトレーナー君」

 

 

桜木「ほら、水分もちゃんと取れ」

 

 

 引いたり押したりを繰り返す波にありがたみを感じながら、タキオンは水分を補給していた。その顔には若干疲れが見えている。

 

 

桜木「.........大丈夫か?」

 

 

タキオン「この顔がそう見えるのかい?生憎だが、私は人造人間ではないのだよ。モルモット君」

 

 

タキオン「.........タイムリミットが分からないのに、それに追われる人間の気持ちは.........君にはわからないだろ」

 

 

桜木「.........」

 

 

 波のさざめきが響き渡る。空はこんなに晴れてるのに、なんだか心は重く沈んだまんまだ。

 遠くでトレーニングをしているチーム[スピカ]を見る。テイオーの足はまだ、大丈夫そうだ。

 

 

桜木「.........悪いな、本当に」

 

 

タキオン「それを言わないでくれ。私が何のために頑張ってると思っているんだ」

 

 

タキオン「.........最初に話したとおり、所詮は一時しのぎだ。必ず怪我をする時は来る。けどねトレーナー君。最悪の事態を避ける為に打つ手段は何しも、それを起こさない事だけでは無いのだよ」

 

 

 そう言いながらその場に立ち上がったアグネスタキオン。飲み終えたペットボトルを彼女から受け取ると、その頼りがいのある濁った目をこちらに向けて来た。

 

 

桜木「期待はしてないが、頼りにしている」

 

 

タキオン「ああ、期待はするな。だが、頼りにされるのは嬉しいね」

 

 

桜木「.........うっし、タキオンにまた倒れられても困るからなー。ウララと一緒に水泳トレーニングだ」

 

 

タキオン「おや、それは嬉しい提案だ。それと君への新薬はクーラーボックスに入れてある。自分の好きなタイミングで飲みたまえ。あと、感想も聞かせてくれよ?」

 

 

桜木「へいへい.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウララ「お昼だー!!」ウッララー

 

 

 合宿初日の昼ごはん。割と楽しいという気持ちが上昇を抑える時間帯だ。現に俺は少し落ち着いてきた。

 やってきたのは合宿所の厨房。人間節約が大事なのだ。特にうちは大食らいが沢山いる。外食なんかしていたらキリがない。

 

 

ゴルシ「おーっし!!なぁブルボン!!アタシが伝授した焼きそばの作り方!!忘れてねえだろーなー!!?」

 

 

ブルボン「任せてください、ゴールドシップさん。貴方の焼きそば作りのノウハウは、完全にインプットされています」

 

 

 大きい鉄板の上で素早く材料を調理する二人。息はピッタリとあっている。流石ゴールドシップ印の焼きそば。既に美味しそうだ。

 

 

ダスカ「すごいですタキオンさん!!こんなに簡単に解けちゃうなんて!!」

 

 

タキオン「公式と言うのは応用してくださいと言ってるようなものだからね。あと、この問題はこれも使えるんだよ」

 

 

マック「勉強になりますわ.........!」

 

 

スペ「よ、よく分かりませんでした.........!!」

 

 

スズカ「スペちゃん.........」

 

 

 中等部の子達は出された課題を四苦八苦しながら解いている子が多いが、テイオーとウオッカはスラスラと自分で解いている。

 そういえば、先程から料理の完成を待っているウララとライスはどうなのだろう?

 

 

桜木「お前らはやったのか?」

 

 

ウララ「うん!!司書さんに教えて貰ったの!!」

 

 

ライス「うん!あのね?お兄さま、わかりやすく教えてくれたんだ!」

 

 

桜木「そりゃ良かったな」

 

 

 しっぽをフリフリしているライスとウララの頭を撫でる。こんなに可愛らしいのだ。撫でない方が人間じゃない。

 正直、今のこの子達がやっている問題を解けるかどうか、俺には分からない。多分やってるうちに思い出してくれるだろうが、ノー勉で期末テスト学級1位を取ってくれた頭になるかは分からない。

 

 

桜木「暇だなー.........」

 

 

沖野「ならこっち手伝ってくれないか?ちょうど人手が欲しくてな」

 

 

桜木「.........?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「なるほど、それが後日のあのサプライズになったのですね.........」

 

 

桜木「そゆことそゆこと。そういえばあの後なんか面白いことあったか?」

 

 

 まだまだ揺れるバスの中。隣の彼はまだ話し足りないようです。あの後は.........うぅ、思い出すだけでも頭が痛くなってきますわ.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「あ!!!アタシ火星に残してきたきゅうりのことすっかり忘れてた!!!爆速で取りに行ってくっからブルボン任せた!!!」ボコォ!

 

 

ブルボン「了解しました。ゴールドシップさん」

 

 

 そう言いながら外へと突撃していくゴールドシップさん。ドアの横に彼女の型をした穴が誕生しましたが、気にしないことにしました。

 課題は順調に進んでいます。後は2ページ程やれば、今日の範囲は終わることになるのですが.........

 

 

ウララ&ライス

「「ごっはん!ごっはんー!」」

 

 

テイオー「わわわ、ハンマーじゃ戦いにくいよ〜」

 

 

ウオッカ「よーっし!オレのチャージアックスでぶちかましてやるぜー!!」

 

 

スペ「ご飯.........ご飯.........」シュコー.........

 

 

ダスカ「スペ先輩!!口から白い煙が出てます!?」

 

 

タキオン「ん?配合した薬を間違えたかな.........?」

 

 

マック(その2ページが全く進みませんわ.........!!)

 

 

 周りの喧騒が段々と規模を増していき、勉学どころではなくなってしまいます。ここは集中するには少々うるさすぎますわ。

 このままでは範囲を終える事など到底できません。ここは静かに退散するのが吉ですわ.........!

 

 

マック(そろりそろりですわ.........)

 

 

ゴルシ「大変だッッ!!!」ボゴォ!

 

 

マック「ひゃあ!?な、なんですの!!???」

 

 

 今度は先程開けた穴とは反対方向の壁に、ゴールドシップさんの型が出来上がりました。彼女のその緊迫した表情は、何か緊急事態を知らせてる気がします。

 

 

ゴルシ「トレーナー達がカレー作ってやがんぞ!!!」

 

 

全員「何ィ!?」

 

 

マック(着いて行けませんわ!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沖野「これでよしっと.........ありがとうな桜木。お陰で助かった」

 

 

桜木「いやいや、アイツらのためならどうって事ないっすよ」

 

 

 トラックの荷台に、明日の為に使うサプライズの素材を詰め込む。きっとみんな驚くだろうし、喜んでくれるだろうなー.........

 そう思いながら合宿所に戻ると、砂浜でアイツらが何かをしてた。

 

 

桜木「.........何作ってんだお前ら」

 

 

神威「ウ○コ」

 

 

黒津木「チ○コ」

 

 

白銀「○○コ」

 

 

桜木「覇気脚ッッ!!!」ズバァ!

 

 

神威「俺のウ○コが!?」

 

 

黒津木「ひっでぇ!!最高傑作だったのに!!」

 

 

白銀「そうだそうだ!!芸術作品だぞ!!?」

 

 

神威「ウ○コォォォォォッッッ!!!!!」

 

 

「「「うるせェッッッ!!!!!」」」

 

 

 絶対アイツらにバレないように証拠の一つも残さず踏み潰す。こんなものあの子らに見せられるわけないだろ!!!

 そう思いながら一息ついてると、ふと近くからいい匂いが漂ってくる。この匂いは.........

 

 

沖野「お、カレーじゃねえか!」

 

 

神威「その暇潰しにウ○コ作ってたのに.........」

 

 

「「「これからウ○コ食うってのにカレーの話してんじゃねぇよッッ!!!」」」

 

 

沖野「逆だ逆ゥッッ!!!」

 

 

「おーーーい!!!」

 

 

 遠くから聞こえてくる大きな声。思わずふりかえってみると、あの合宿所からここまで走ってくるゴールドシップが見えた。

 

 

白銀「お!バカおんn」

 

 

ゴルシ「エクスカリバーッッ!!!」バゴォ!

 

 

白銀「ゲポァッッ!!???」

 

 

 えぐいスピードで飛び込み、ドロップキックを白銀に叩き込んできたゴールドシップ。普段だったら普通に白銀を助け起こすところだが.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「山形ァッッ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「.........フゥーん」

 

 

 ポーズをとって首を振る。直前のセリフと俺の行動を見て、ゴールドシップは何をしようとしてるのか悟ったらしく、イタズラな笑みで当たりを見回し始めた。

 

 

ゴルシ「どうしたよォ、揉め事かァ?」

 

 

桜木「ああ、けど。もう済んだんだ(お前が済ませた)。残念だったなー。もう少し早ければ見れたのに」

 

 

ゴルシ「アタシはまた心配しちまったぜ?おっちゃんがまたピーピー騒いでんじゃねえかと思ってよぉ?」

 

 

桜木「ゴルシ、前からお前の事が気に入らなかったんだよ.........どこでも突然現れていつもボス面しやがる.........!!!」

 

 

ゴルシ「おっちゃんもなったんだろぉ?このメジロ家のプライベートビーチでよぉ?」

 

 

桜木「ゴルシィィィィィッッッ!!!!!」

 

 

ゴルシ「ちゃんを付けろよデコスケ野郎ォッッ!!!」

 

 

マック「何をしてるんですの.........?」

 

 

 言い争いごっこをしていた俺達を呆れた表情で見るマックイーン。違うんだ。決してこれは喧嘩していた訳ではなく.........

 

 

ウララ「AKIRAごっこだー!!」

 

 

マック「いえ、AKIRAは分かるのですが、何故今それを.........?」

 

 

桜木「コイツらが白銀が倒れたところを山形なんて言うから.........」

 

 

 意外だ。AKIRAなんて知ってたんだなマックイーン。俺は割と怖いシーン多めでちゃんと見れてないんだよ実は。

 因みに指を指した二人は、割とガチめにダウンしている白銀を介抱していた。ゴールドシップも流石にやりすぎたと思ったのだろう、慌てて白銀に駆け寄っていく。

 それにしても、先程まで全員合宿所で勉強していたはずなのに、どうしたのだろうか。

 

 

スペ「カレーの美味しそうな匂い.........我慢出来ないべ〜.........」

 

 

桜木「ちょすなちょすな、完成したら合宿所に持っていくから!それまで辛抱してくれタイタンスペシャル」

 

 

スペ「スペシャルウィークです!!!」

 

 

 焚き火カレーの前で屈んでその香りを堪能し始めたスペ。何とか正気を保っているが、暴走寸前まで来ている。エヴァ初号機かな?

 そんなスペに注意しながら鍋の蓋を開ける。もう充分良さそうだ。

 

 

桜木「沖野さーん!カレー出来てまーす!!」

 

 

沖野「おーっし!!引き上げるぞーお前らー!!」

 

 

ウマ娘「はーい!!!」

 

 

 撃沈している白銀を神威と黒津木が肩で支える。俺は火消しを行い、カレーの入った鍋を持ち、ゾロゾロと帰っていく集団の中へと入って行った。

 

 

ダスカ「それにしても、焼きそばにカレーってどうなのかしら?」

 

 

ウオッカ「だよなー、どっちも主食だろ?」

 

 

桜木「それタマにも言ってみろ。『あ゛あ゛!?焼きそばはおかずや゛〜!!』って怒られるぞ」

 

 

 まぁ実際言ってたのはうどんだが、ご飯が着いてくれば焼きそばもおかずになるだろう。俺も事実それをしていた時期はあったし。

 

 

ダスカ「.........はぁ、トレーナーもそうだけど、サブトレーナーって本当に変人よね」

 

 

ウオッカ「くぅ.........こんな奴とカッコイイ趣味が合っちまうのが辛いぜ.........!」

 

 

桜木「はっはー!伊達に22年も生きてねえわ!」

 

 

 二人に何故か貶されたが、これは俺の気質だ。仕方あるまい。しかしウオッカのセンスはとても良い。そこら辺の男子中学生にも負けないカッコイイを見つけるセンスがある。

 

 

ウオッカ「くっそー.........絶対サブトレーナーが見つけたバイクより良いバイク見つけてやっからな.........」

 

 

桜木「おー、是非そうしてくれ。俺もゴールドウィングなんてゴールドシップみたいな名前のバイク乗り回したくねえよ」

 

 

ダスカ「今ゴールドシップ先輩は関係無いでしょ」

 

 

ゴルシ「あああァァァァッッッ!!!??」

 

 

全員「!!!??」

 

 

 唐突に響き渡るゴールドシップの叫び声。思わずその声の方に振り返ってみると、深刻な表情で、両手で頭を抱えたまま立ち尽くす彼女がそこにはいた。

 

 

ゴルシ「火星において来ちまったきゅうりのこと.........忘れてた」ポロポロ

 

 

ゴルシ「アタシはお前らのこと、ぜってぇに許さねぇ.........」

 

 

桜木(ボーボボかな!?)

 

 

 明らかに俺たちは悪くないはずなのに、その怒りの矛先は俺に向かっていた。沖野さんに視線を送ってみるも、悲しそうに、余命申告を告げる医師のように首を静かに振った。

 そうだ。アイツらに助けて貰おう。そう思って振り返ってみると、居なくなってた。そうかそうか、神威の影の薄さは味方に隠密効果をつけるのか。前世は忍者。さすが忍者きたない。

 ジリジリとにじり寄ってきたゴールドシップ。その表情は憤怒に包まれていた。

 

 

桜木「いやいやいやいや!!!!!考え直せ?????冷静なれ、クールに徹しろ!!!???」

 

 

ゴルシ「うっせぇ!!!じゃあアタシはこの行き場のねぇ子羊みてぇな怒りをどこに送りゃいいんだよッッ!!!」

 

 

桜木「そんな子羊とか可愛いもんじゃねぇだろッッ!!???」

 

 

 背に腹は変えられねぇ。こうなったら教え子に.........そう思って振り返った瞬間。そこにはもう小さくなったあの子らの姿が。気が付けば手に持っていたカレーの鍋も消えている。

 どこに行ったと思う?その小さくなったチームメンバーの中の一人、スペシャルウィークが俺の気付かないうちにカレーを鍋ごと奪っていったのだ。恐るべし、カレーへの執着.........

 唯一スズカが俺の方を振り返ってくれたが、救出不可能と見ると、その視線を元に戻した。

 

 

桜木「ははは.........スゥー、フーーー............」

 

 

ゴルシ「覚悟しろおっちゃん!!!鼻食いしばれッッッ!!!!!」

 

 

桜木「鼻は食いしばれな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「あの時のトレーナーさんの叫び声。遠く離れた所まで響いて来ましたわ」

 

 

桜木「お恥ずかしい.........」

 

 

 これでまだ一日目の昼というのが驚きだ。なんせ、まだまだ話せる事は沢山ある。一日目の大まかなイベントはこれで終了を見せた。

 

 

マック「.........二日目も二日目で、酷かったですわ.........」

 

 

 そう文句を呟くマックイーンだったが、その表情はとても嬉しそうに笑っていた。

 

 

 

 

 

  ......To be continued

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