山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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「夏だ!海だ!合宿だ!!」「サプライズ.........ですか?」

 

 

 

 

 

 

 夏合宿 二日目の朝

 

 

「.........ーナーさん!トレーナーさん!」

 

 

桜木「んあ.........?」

 

 

マック「もう!こんな所で一夜を過ごしたんですの!?」

 

 

 割と本気で怒り始めているマックイーンに言われ、周りを渋々と見る。散乱しているミーティングルーム。海の家は割と大きめで、トレーナーはウマ娘とは別に、ここの二階の部屋で寝る事になっている。

 だが昨日はそこで寝ること無く、ここでバカ騒ぎして寝落ちしたんだった。

 

 

桜木「アイツらが悪ぃよアイツらが.........」

 

 

マック「まぁ!この期に及んで人のせいにするんですの?自分の事くらい自分で管理してください!!」

 

 

桜木「ごめんよマックイーン.........」

 

 

 まるで母親だ.........これ以上は怒らせないよう気をつけよう。

 さて、テーブルの上に散乱したデッキに手をかけようとすると、その手を掴まれた。感触からして男の手だ。間違いない。ゆっくりと手を上げると、昨日一人だけ早々に部屋で寝ていた神威が居た。

 

 

神威「今なら俺でも勝てる」スッ...

 

 

桜木「遊戯王飽きた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四人「デュエル(!).........」

 

 

 無理やり叩き起された二人。機嫌はめちゃくちゃ悪い。神威は気付いてないかも知れないが、空気は一触即発だ。

 嬉しそうな顔で自分のカードをシャッフルする神威。それを睨みつけながら自分のデッキを二人はシャッフルした。

 

 

四人「ジャンケンポン(!).........」

 

 

神威「うっし、一人勝ちで俺が先行!!着いてるぜ!!」

 

 

 ガッツポーズを掲げた神威。その時確実に何かがキレる音が聞こえた。隣で静かに見ていたマックイーンも察したのだろう。少し怖がっている。

 

 

「「「俺のターン!!ドロー!!」」」

 

 

「「「創にダイレクトアタック!!」」」

 

 

神威「何ィ!?」

 

 

 「「「ゴッドハンドクラッシャーッ!!!」」」ドガァ!

 

 

 俺を含めた三人の鉄拳制裁が神威の鍛え抜かれた身体にねじ込まれる。朝ではあるが、コイツにはおやすみと言った方が良いだろう。

 神威。お前の敗因はたった一つだ。可愛げもないお前がデュエルしたいという下らない気持ちで俺達を叩き起した。それだけだ。

 

 

桜木「行くぞマックイーン。用事は済んだ」

 

 

マック「は、はい.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「あの時のトレーナーさん、本当に怖かったです.........」

 

 

桜木「あの時はたまたま寝起きの悪いアイツらに触発されただけだから.........」

 

 

 隣に座るマックイーンはあの時の事を思い出したのか、少し目を潤ませた。まぁ大の大人3人、本気の殺意を滲み出させる姿は中等部の彼女にはショックが大きかったかもしれない。

 

 

マック「本当ですか.........?」

 

 

桜木「ほんとほんと!!もうあんな顔見せないから!!安心してくれ、マックイーン」

 

 

マック「.........な、なら許して差しあげます!」

 

 

 良かった。どうやら彼女を安心させられたようだ。それにしても、一日目も中々すごかったが、二日目も今思えばやばかったよな.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沖野「全体のトレーニングに関する指示は以上だ。なにか質問のある奴は居るか?」

 

 

ウマ娘「ありませーん!!」

 

 

桜木(皆頑張ってるなー.........ん?)

 

 

ゴルシ「.........」ガクガクブルブル

 

 

 皆ジャージから水着に着替え、これからトレーニングを始めようとした所。一人だけ異様に怯えているゴールドシップが居る。

 俺がそこに視線を送っていると、他の皆も気付き始めたようで、段々とゴールドシップを心配する声が上がり始める。

 

 

テイオー「大丈夫!?ゴルシどうしちゃったのさ!!?」

 

 

ゴルシ「い、言えねぇ.........練習に支障をきたしちまうだろ?」

 

 

沖野「.........よし、お前ら先にトレーニングしててくれ。ゴールドシップ、どうしたんだ?」

 

 

 挙動不審なゴールドシップを心配しながらも、沖野さんに言われた皆は、それぞれ渡されたメニューをこなす為に持ち場に着いた。

 とにかく今は、ゴールドシップが最優先だ。寒気を感じているのかもしれない。傷を隠すために着ているパーカーをゴールドシップに着させる。

 

 

桜木「どうしたんだ?なんか嫌な事でもあったのか?」

 

 

ゴルシ「.........実はよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「夏と言えば肝試し!!アタシは絶対ここに眠る大海賊を叩き起して決闘してやるんだ!!!」

 

 

マック「勝手にしてくださいまし」

 

 

 午後10時を回ったくらいの気がする。アタシは課題を再開させたマックイーンを誘って肝試ししに行こうと思ったんだ。

 けれど結果はこれだ。結局アタシは冷たくあしらわれた心を慰めるために一人で肝試ししようと思った。

 

 

ゴルシ「ちぇっ、別にいいじゃねえか肝試しくらい!!減るものなんかSAN値くらいしかねえってのによお!!」ドガァ!

 

 

 アタシは扉の横の壁を通ったんだ。え?なんでそんなことをしたかって?だって扉を通るなんて事、ゴルシちゃんらしくねえって思ったからさ。

 なんだよその顔。海に浮かすぞトレーナー!!

 とにかく、アタシは少し先を行った浜辺で見ちまったんだ.........!!

 

 

ゴルシ「.........お?」

 

 

 ギコギコギコギコ.........そんな音が聞こえてくる。六分の恐怖心と四分の好奇心が天秤にかけられたけど、アタシの好奇心は金で出来てるし、恐怖心は発泡スチロール製だ。絶対に引くという選択肢はなかった。

 

 

ゴルシ「お.........!!!??」

 

 

 そこには.........ノコギリを持って仮面を被った三人の男と一つの光が、竹を延々と切り続けてたんだ.........!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「アタシは必死にその日の日付を思い出した。もしかしたら13日の金曜日なんじゃねえかって.........」

 

 

沖野「.........あー、ゴールドシップ。大丈夫だ。幽霊とか怪しいヤツではない」

 

 

 そう、沖野さんは答えた。この人のその視線は俺の方へと向けられている。犯人は.........そう、俺たちだ。多分竹という単語が出てきた瞬間察したんだろう。

 

 

ゴルシ「嘘だッッ!!!アタシは本当に身の危険を感じたんだよ!!!」

 

 

桜木「スマン!!!それ俺達だ!!!」

 

 

ゴルシ「はァ!!!??」

 

 

 これ以上話がややこしくなっては行けない。そう思った俺は素直に謝った。ごめんな。暑さで頭がおかしくなってたんだ。

 竹を切っていたのは俺達三人だ。神威は早めに就寝したためそこには居ない。朝の不機嫌はそれもあわさった結果だった。

 

 

ゴルシ「なんだよそれ、アタシは驚いた損しただけじゃねえか!!?」

 

 

桜木「ごめんよぉ!!暑さで気もおかしくなってたし!!何よりあのメンバーで何かやるっつったら普通に出来るわけないだろ!!???」

 

 

ゴルシ「確かに!!」

 

 

沖野「悪いなゴールドシップ。実は今日のサプライズに必要だったんだ。まぁアイツらの奇行は関係ないんだが.........」

 

 

ゴルシ「それって面白いことか?」

 

 

 そう言うゴールドシップの目は真剣だ。そうじゃなければただでは置かない。そう言うように俺と沖野さんを見つめてくる。

 ゴールドシップは変な奴ではあるが、楽しい事や興味のある事、仲間の為になることなら全力でやる。それを今まで続けてきたから、人が本気になる瞬間が分かるのかもしれない。

 

 

桜木「ああ、めちゃくちゃ楽しい。ただサプライズだからさ、皆にはもうちょい黙っててくんねえか?」

 

 

沖野「お昼頃には完成してるはずだ。その時になったら必ず教えるから、な?」

 

 

 俺と沖野さんは二人で口元に人差し指を当てた。ゴールドシップは割と口が軽い。サプライズは黙っててなんぼ。せめて移動の時までは黙っていて欲しい。

 

 

ゴルシ「.........分かった!!!」

 

 

桜木「っシャォラッ!」

 

 

沖野「ほっ.........」

 

 

 ニカッとした笑顔を見せたゴールドシップ。俺は片手を引いてガッツポーズをし、沖野さんは胸を撫で下ろした。

 もう心配事は無いというように調子を戻したゴールドシップは着ていたパーカーを俺に返してくれた。

 

 

ゴルシ「あんがとなトレーナー!おっちゃん!」

 

 

桜木「元々俺達のせいだったんだけどね.........」

 

 

沖野「全くだ。俺のチームメンバーに迷惑かけんじゃねえよ」

 

 

 パーカーを着ている所に、沖野さんは少し強めに押してくる。そう言われても文句も言えない。よろけている所を見られて、二人に笑われる。

 

 

ゴルシ「おっしゃァァァ!!!そうと分かったら逃げちまったやる気が子供作って帰ってきたぜェェェッッッ!!!!!」ダダダダ!

 

 

沖野「いつも思うがあのテンションには着いて行けん.........」

 

 

桜木「大丈夫っすよ。俺もたまに着いてけません」

 

 

沖野「たまになのかよ.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「そんな事が.........あのゴールドシップさんも、お化けが怖いのですね」

 

 

桜木「そうかー?多分お化けと言うよりジェイソンが怖かっただけだろ」

 

 

 そう言いながら、トレーナーさんは考え込むように腕を組み、バスの天井を見上げました。

 

 

マック「.........トレーナーさん?」

 

 

桜木「.........いや、あの日雰囲気出す為に、光は付けなかったんだよな」

 

 

マック「.........あの、それって.........」ビクビク

 

 

桜木「まぁ帰ったらお祓いにでも行くさ」

 

 

 こ、これが大人の余裕というものなのでしょうか?トレーナーさんは平然としていらっしゃいます。

 

 

マック「私が同じ立場でしたら、そんな落ち着いていられませんわ.........」

 

 

桜木「俺だって怖いさ、けどもう取り憑いてるかもしれないって思ったら手遅れだろ?変に騒がない方がいいぜ」

 

 

 幽霊とかってのは怖い思いに敏感だからな、とトレーナーさんはおっしゃいました。なるほど、怖いと思うと行けないのですね.........!

 

 

桜木「.........あと極力俺を肝試しだとかに連れてかないでくれよ?腰が抜けちゃう」

 

 

マック「!.........ふふ、さぁどうしましょう。そう言われるとそうしたくなってしまいますわ♪」

 

 

桜木「そんな殺生な!?」

 

 

 割と本気で嫌がる顔を見せるトレーナーさん。本当、からかい甲斐のある方です。こんなに色んな表情を見せてくれるんですもの。冗談も言いたくなりますわ。

 けれど.........えぇ、やっぱり。楽しい表情を見る方が良いですわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テイオー「もートレーナー!!どこに向かってるのさー!!」

 

 

ダスカ「そうよそうよ!!そろそろ教えてくれてもいいんじゃないの!?」

 

 

 二日目のお昼が回った頃。早めにトレーニングの切り上げを伝えられた私達は、水着からジャージへと着替えた後に、延々と山道を登らされ続けていました。

 確かに、ここに来て既に一時間は掛かっています。

 

 

ウオッカ「なぁ、せめてどこに何しに行くかくらい教えてくれてもいいんじゃねえか?」

 

 

沖野「はぁ、しゃあねえなー。ゴールドシップ」

 

 

ゴルシ「言っていいのか!!?じゃあ言うぞ!!!これはなぁ!!サプライズだ!!!」

 

 

ウマ娘「サプライズー!?」

 

 

 そう宣言したゴールドシップさんは、嬉しそうに山を登っていきます。どうやら相当言いたかったようです。私はトレーナーさんの方をチラリと見ました。

 

 

桜木「.........ん?どうした?」

 

 

マック「いえ、これもトレーナーさんが?」

 

 

桜木「いやいや、今回は沖野さんだよ。普段頑張ってるからってさ」

 

 

スズカ「.........けれど、サプライズってなにかしら.........?」

 

 

ウララ「あ!!ウララも気になるー!!」

 

 

沖野「バーカ。それこそ言っちまったらサプライズにならないだろ」

 

 

ライス「そうだよウララちゃん!楽しみにしてよ?」

 

 

ブルボン「サプライズ.........これは想定外です」

 

 

タキオン「そんな事より、まだつかないのかい.........?」

 

 

ダスカ「タキオンさん大丈夫ですか!?」

 

 

スペ「お腹がすきました〜.........」

 

 

 この暑い中でも、山の道の中を歩き続けました。すると、この坂の終着点が見えてまいりました。恐らくですが、トレーナーさん達の様子からして、あそこがゴールです。

 

 

沖野「ほら、ゴールが見えてきたぞー」

 

 

ウマ娘「ゴール.........!!!!!」

 

 

桜木「危ないからあんまり.........って、聞いてないか」

 

 

 ゴールがある。そしてそれが目の前にあると、どうしても走りたくなるのがウマ娘の性です。いつもは引っ込み思案のライスさんやスズカさんも、走る集団を形成しました。

 誰が一番か、というのは置いておいて、私達は全員、坂を登り終え、開けた広場へと到着しました。そこにはなにやら、竹で作られた何かと、何かの準備をしている白銀さん達がいました。

 

 

桜木「よっし!!最下位回避ッ!」

 

 

沖野「お、お前.........早いって.........」

 

 

桜木「伊達にタキオンのトレーニング積んでないんすよ」

 

 

 後ろからは、私達に着いてくる為に走ったであろうトレーナーさんと、それに頑張って着いてきたスピカのトレーナーさんの声が聞こえてきました。

 

 

マック「あの.........これは一体.........?」

 

 

沖野「ふふふ.........これはなぁ.........!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流しそうめんだッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウマ娘「流しそうめん!!!??」

 

 

 そう力強く宣言するスピカのトレーナーさん。あれが流しそうめん.........噂には聞いておりましたが、まさか、これがサプライズ.........?

 

 

テイオー「わーーーい!!流しそうめんだぁー!!」

 

 

ウララ「やったー!!ウララね!!?流しそうめん初めてなんだー!!」ウッララー♪

 

 

ゴルシ「ひゃー!アタシもじいちゃん家でやって以来だぜ!!」

 

 

スペ「わーい!!!そうめんだー!!!」

 

 

 セッティングされた竹の中を見てみると、既に水が流れています。この中をそうめんが.........昔の人は、本当に面白いことを考えるのですね。

 そう思っていると、箸とつゆの入ったお皿が渡されました。そちらの方向をふと見てみると、やはりトレーナーさんです。

 

 

マック「ありがとうございます。トレーナーさん」

 

 

桜木「どいたまして。どうだ?サプライズにはなったか?」

 

 

マック「ええ!とっても楽しみですわ!」

 

 

 流しそうめん、傍から見れば食べ物で遊んでいるとも思われてしまうかもしれませんが、これはれっきとした日本文化です。厳しく育てられてきた私ですが、文化なら仕方ありません。そう、仕方ないのです!

 そう思っていると、上からそうめんが一口分流されていきます。スペシャルウィークさんがその箸で最初のそうめんをゲットしました。

 

 

スペ「うぅ、美味しいです〜.........」チュルチュル

 

 

テイオー「いいなー。ボクも取るぞー!」

 

 

 その宣言通り、今度はテイオーが流れるそうめんをゲットしました。うぅ、中々ここまで流れてきませんわね.........!

 

 

ライス「やった!取れたよウララちゃん!!」

 

 

ウララ「わー!!ライスちゃんすごーい!!」

 

 

ブルボン「ナイスです。ライスさん」

 

 

 次はライスさんにウララさん、ブルボンさんまで.........負けてられませんわ!!

 とは言っても、列の後ろの方になるとやはり取れる確率は減ってきてしまいます。ですが、彼の隣を誰かに譲るのも.........うぅ、神様は残酷ですわ.........

 

 

マック「私だって.........!」

 

 

桜木「.........」

 

 

 待ち続ける事数分。たかが数分かと思うかもしれませんが、ずっと目の前でお預けをされてる状態ですので、待ち時間の効果は増幅されています。

 ですが、ようやくチャンスが巡ってきました。なにやら皆さん私の方を見て汗を流していますが、多分暑さのせいですわ。仕方ありません。

 

 

マック「.........!あ、あら?」

 

 

桜木「よっと、意外と早いもんだな」

 

 

 私の箸の間をスルスルっと抜けて行くように、そうめんは私の二本の箸を避けて通りました。意外と早いのですね.........

 うぅ、これでまたお預けですわ.........そう思っておりましたのに、私のつゆの入ったお皿の中には、何故かそうめんが入っておりました。

 

 

マック「.........もう、情け入りませんわ」

 

 

桜木「さすがに見てられなくてな、迷惑だったか?」

 

 

マック「.........いいえ、嬉しいです」

 

 

 私はトレーナーさんが取ってくださったそうめんをチュルチュルっと音を立ててすすりました。ひんやりしていて、とても美味しいです。

 全く、自分で取ったものを渡してくるなんて、お人好しがすぎます。ですが、それを密かに喜んでしまう自分もいるのも事実で.........

 

 

マック「!!そこですわっ!」

 

 

桜木「おー!やったなマックイーン!」

 

 

マック「ふふん!これくらい当然ですわ!」

 

 

 ようやく掴み取った一口。自分で取れたものです。さぞ美味しく感じることでしょう。周りの皆さんは暑さが引いてきたのか、ほっと一息を着きました。

 .........でも、これを私が食べるのは、なんだか違う気がしました。

 

 

桜木「マックイーン?」

 

 

マック「さっきのお返しですわ。トレーナーさん」

 

 

 私がそう言うと、彼は少し恥ずかしそうにしました。ですが、[いや]とも[でも]とも言いはしません。彼は私が取ったそうめんをすすりました。

 

 

マック「美味しいですか?」

 

 

桜木「うん、夏って感じ!」

 

 

マック「ふふ、それは良かったです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「あの時マジで恥ずかしかったんだから!」

 

 

マック「あら?そうなんですの?」

 

 

 隣に座るマックイーンはキョトンとしている。このお嬢様め、少しは周りの視線を気にして欲しいものだ。あの時のテイオーの顔を見せたいものだ。あのニヤけ面を。

 

 

桜木「.........まぁ、美味かったのは事実だ」

 

 

マック「ふふ、そういう素直な所がトレーナーさんの良い所ですわ」

 

 

マック「.........あの後、何人かは徒歩で帰りましたよね?」

 

 

桜木「ああ、そうだったな」

 

 

 そう、先に広場で準備していたアイツらの乗ってきた乗用車で全員帰る予定だった。

 しかし、やはり許容人数の問題もあり、俺とアイツらが徒歩で帰ろうとしたのだった。

 

 

桜木「大変だったぜ?また創が遊戯王しようとしてさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沖野「.........大丈夫かアイツら?」

 

 

 騒がしい車内の中。スピカのトレーナーさんの一言で静まりました。一体何を心配しているのでしょう.........?

 

 

マック「あの、大丈夫とは.........?」

 

 

沖野「いや、道の整備が済んでる所は良いんだが、けもの道はクマに遭遇するらしいんだよ.........」

 

 

ウマ娘「クマァ!!???」

 

 

 その生物の単語が出た瞬間。血の気が引きました。クマと言えば、とても強靭な肉体を持つ哺乳類です。とても生身の人間が遭遇して何とか出来る程、甘くはありません。

 

 

テイオー「.........ま、まあ!サブトレーナーの事だからなんか対策はしてるでしょ!!」

 

 

ゴルシ「そうそう!!そう簡単におっちんじまうヤツらじゃねえって!!!」

 

 

 そう、ですよね.........それに、クマに必ず遭遇するとも限りませんし、きっと無事に帰ってきますわ!

 

 

沖野「そうだなー。まぁ!出会うと決まったわけじゃないしな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ((((出会っちまった.........!))))

 

 

クマ「やあ(^^)」

 

 

 ひょっこりと現れた全長2mはある成人済みのクマ。現時点でこのメンバーの中のダイヤグラムの頂点に君臨しているだろう。

 大自然デュエルがしたいという神威の要望に答え、木々が生い茂る森の中でデュエルしてたらこれだ。どうやら今日は不幸が飛び火する日らしい。

 

 

桜木(とりあえず、デッキを片付けよう.........)

 

 

三人(ラジャ)

 

 

 俺達はオブジェだ。人体の臭いがついたただの置物。そう思いながらデッキを片付けている時に更に不幸が起こった。

 

 

 アイガッタビッリーブ ホウジョウエムゥ!

 

 

黒津木(俺のスマホが!!???)

 

 

クマ「死にたいらしいな(^^)」

 

 

桜木「逃げろォォォォォッッッ!!!!!」ダッ!

 

 

 着信音に反応したクマはもう叫び声を上げながらこちらに向かってくる。回収できる分のカードを回収して俺達は山を下って行った。

 

 

桜木「あーもう早えーよッッ!!!」

 

 

黒津木「下手すりゃウマ娘よかはえーぞ!!!」

 

 

三人「それはねェッッッ!!!!!」

 

 

クマ「クマダヨー(^^)」

 

 

 非常に温厚なクマなのかは知らないが、捕食すると言うより、追いかけっこをしているのかもしれない。速いは速いが、追いつくか追いつかないかくらいのスピードで追いかけてくる。

 だが追いつかれれば終わりだ。轢き殺される。その恐怖心は本物だった。

 

 

桜木「クッソ!!!俺はァ!!手札から速攻魔法ッッ!!!超融合を発動ッッ!!!」

 

 

クマ「何ィ!?」

 

 

桜木「融合すんのはクマと俺達のデッキだァァァァァッッッ!!!!!」ポイッ!

 

 

 恐怖心でおかしくなった俺達の行動は、結果的に功を奏した。投げたカードケースがクマの額にあたり、少しだけビビらせた。

 固体的にビビりだったのか、その後クマはその場から動こうとはしなかった。神威はそれを見てデッキを取りに行こうとした為、ぶん殴って気絶させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「.........」

 

 

桜木「い、生きてる!!ちゃんと生きてるから!!な!?」

 

 

マック「う、うぅっ.........もしあれが最後のトレーナーさんの顔かもしれないと思ったら.........」

 

 

 話を聞いてる最中に泣き出してしまった。クマのくだりの辺りからマックイーンの顔は血の気が引いていた。

 そうか、もしあそこで獰猛な個体だったら、もうマックイーンに会う事もなかったし、合宿を大団円で終わらせる事も出来なかったと思うと身の毛もよだつ。

 

 

桜木「.........大丈夫だ。ほら?ここに居るだろ?」

 

 

マック「うぅ、トレーナーさん.........!」

 

 

 それでもやはり、溢れる涙は止まらないらしく、マックイーンは俺に抱き着いて来た。静まれ俺の下心。TPOを弁えない男は嫌われるぞ。

 揺れるバスの中。しばらく周りの寝息とマックイーンの静かな嗚咽が響きわたる。助かった後は割と笑いあっていたが、今思えばあれ、命の危機だったんだな.........今になって実感する。

 

 

桜木「.........あの」

 

 

マック「嫌ですわ」

 

 

 まだ何も言ってない。だが、マックイーンは俺が何を言いたいのか察したのだろう。不機嫌そうに頬をふくらませた顔を見せた後、もう一度俺の体に顔を埋めた。

 

 

桜木「俺暑いし汗臭いしオジサンだぞ?」

 

 

マック「私は暑くありませんし汗臭いとは思いませんしトレーナーさんはまだ若いと思いますわ」

 

 

桜木「.........」

 

 

 顔を埋められながらそう言われたら、もう何も言えない。困ったぞ.........非常に困った事になった。蓋をした下心よ。そのままもう少しじっとしていてくれたまえ。

 

 

桜木「.........」

 

 

マック「.........トレーナーさんは気にせず、このまま続きを話してください」

 

 

桜木「.........分かったよ。お嬢様のおっしゃる通りになさいますね」

 

 

 そう、従者の真似事をするようにおどけて言うと、彼女は機嫌を良くしたようにしっぽをフリフリとした。もう十分な気もするが、彼女の気が済むまでこのままにした方がいいだろう。

 なにより、俺自身が離れたくないとすら思っている。本当、神様と言うのは造形主としては大変優秀らしく、同じ形をしている筈の人体なのに、女の子の身体というのは触れていて楽しい。困った制作をしてくれたものだ。

 

 

桜木「.........まぁ、二日目は、夜の方がメインイベントだったよな」

 

 

 そう、サプライズやクマに追いかけられたのは所詮、お昼の時間帯だけの話だ。二日目のメインイベント.........それは、理事長に言い渡された『盛り上がる配信イベント』をする事であった.........

 

 

 

 

 

  ......To be continued

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