山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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マックイーン「花火と決意とこれからも」

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「アタシやっぱ帰るわ」

 

 

 これから花火が始まると言う時に、突然。ゴールドシップさんが言いました。その言葉を聞いたこの場にいる全員が振り向き、驚愕していたと思います。

 

 

テイオー「な、なんで!?」

 

 

ゴルシ「いや、なんか寂しくなっちまって」

 

 

マック「さ、寂しいとは.........?」

 

 

ゴルシ「うーん.........上手く言えねーんだけど。やっぱおっちゃん達のどんちゃん騒ぎが居心地良いって言うか、なーんか静かな空気で花火見るの、すっげームズムズすんだよなぁ!」

 

 

 そう頭の後ろに手を回しながら、駅の方角へ視線を送るゴールドシップさん。その姿に釣られて、ようやく楽しめるようになった心も寂しさを思い出しました。

 そしてふと、先程まで心地良い騒がしさを出していたウララさんが静かなことに気がつきました。どうしたのだろうと思うと、モジモジしていた姿から、何かを決心したようにこちらに顔を剥けました。

 

 

ウララ「.........ウララも帰る!!」

 

 

全員「え!?」

 

 

ウララ「トレーナーも寂しいかもしれないもん!!」

 

 

 一番楽しみにしていたと言っても過言ではありませんのに、ウララさんのその決心は既に硬いようでした.........

 行けませんわね、チームのエースは私ですのに.........こういう事は、私が率先して言うべきですが、正直。助けられました。

 

 

マック「.........では、帰りましょうか」

 

 

テイオー「だね♪トレーナー達もボクらがいなくて寂しがってるよ!!」

 

 

ゴルシ「おーっし!!そうと決まれば花火大量に買ってくぞー!!目指せ3万発ゥゥーーーッッ!!!」

 

 

タキオン「急いだ方がいい。次の電車を逃せば、来るのは二時間後だ」

 

 

スペ「ま、待って下さい!!まだ当たり棒がこんなに.........」

 

 

スズカ「帰りましょう?スペちゃん。トレーナーさんが待ってるわ」

 

 

スペ「そんな〜〜〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 電車の中を揺られながら、私達チームメンバーは、それぞれ買ってきた花火について盛り上がっていました。

 

 

ウララ「マックイーンちゃんは何を買ったの!!?」

 

 

マック「ええと、実はあまり、こういう類の花火をした事はなくて、店員さんに1番買われている花火はどれか聞いたのです.........」

 

 

 その際、お友達とやるならこれが一番いいと言われました。少しその言葉に不満を感じましたが、理由は何か分かりませんでした。

 ウララさん達はどうやら、お家でよく買っていた花火を持ってきたようです。

 

 

マック「それで、テイオーは何を?」

 

 

テイオー「ふっふーん!花火といえばやっぱ、打ち上げ花火だよね♪見てよこれ!!奮発して1番たっかーいやつ買ったんだから!!!」

 

 

 そう言いながら、テイオーは取り出した巨大な筒を頭の上に乗せました。そういう物もあるのですね.........

 

 

テイオー「ゴルシは何にしたの!!?」

 

 

ゴルシ「蛇花火」

 

 

テイオー「それでどうやって3万発目指そうとしたの.........?」

 

 

 なんだか、夏祭りに行く電車の中より、断然賑やかな気がしてきます。目玉である花火を見ずに帰るのは、かき氷屋さんに申し訳ありませんが、私達にとってはやはり、彼らはかけがいのない存在なのです。

 

 

タキオン「私はこの回転花火が気になってね。聞いたところによると、すごい勢いで回るらしいじゃないか!!」

 

 

ライス「た、タキオンさん。火傷しないようにね.........?」

 

 

タキオン「.........まて、これはそんなに危ない代物なのかい?」

 

 

ブルボン「マスターとそのご友人方に点火させる方針を推奨します。タキオンさんでは失敗し、負傷する確率が2.73倍ほど上昇すると確認できます」

 

 

スペ「見てください!!ニンジン花火です!!」

 

 

スズカ「スペちゃん?食べ物から一旦離れましょ?」

 

 

ウオッカ「なんでオレと同じ奴買ってんだよ!!!」

 

 

ダスカ「アンタがアタシの真似っ子してるんでしょ!!!??」

 

 

 .........少々賑やかすぎるのかもしれません。ですがやはり、その騒がしさに不快感を覚える事はありません。

 この素敵な日常とも言える騒がしさが、いつまでも.........そう、トレーナーさんと彼の親友方のように、ずっと続いてくれたら、それ以上に嬉しい事はありません。

 

 

ゴルシ「んあ?何笑ってんだよマックイーン。まさか!!電車の窓にお笑い芸人でもはりついてたのか!!???」

 

 

マック「どうしてそうなるんですの!!?違います。私はただ、貴方がいつも通り滅茶苦茶で呆れていただけです」

 

 

ゴルシ「ああ!!?仕方ねえだろ!!!自分を騙すと人生楽しくなくなるって爺ちゃんからの教えなんだ!!ウマ娘王にアタシはなる!!!!!」

 

 

 そんな意味不明な事を口走りながら立ち上がるゴールドシップさん。なんだか、調子が戻ってきたみたいです。やはり、彼女はこうでなければ。私の調子が狂ってしまいます。

 賑やかな街の様子を見送り、これから賑やかになっていくであろう未来を想像しながら、私達は楽しく揺られて行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「な、成程な.........」

 

 

 持ってきた花火を着々とセッティングしているアイツらを見ながら、浜に腰を下ろし、マックイーンの話を聞いていた。

 

 

マック「トレーナーさん、顔が赤いようですが.........」

 

 

桜木「お酒飲んだからな。アルコールのせいだ」

 

 

 マジマジと首を傾げながら覗き込んでくるマックイーン。そう、お酒のせいだ。断じて彼女が好きで、隣に居るから顔を赤くしてるとかいう子供みたいな理由ではない。俺はもう二十歳だぞ。俺はもう大人なんだぞ!!?

 

 

神威「着火したぞーーー。それぞれ見たいところで見ろよなーーー」

 

 

桜木「ありがとな創ーーー。助かったぜーーー!!」

 

 

 そうアイツに声を掛けると、軽く片手を上げてその声に答えた。

 普段皆頑張ってるからという理由で、神威は着火担当を申し出た。お前も相当頑張ってるだろうに。

 こういう所で気を回せるのに、なんでモテないんだろうなぁ。

 他のメンバーはそれぞれ違う場所で花火を見ている。チーム[スピカ]は沖野さんを中心に見ているが、ゴールドシップだけは白銀と一緒に、一番高い所で花火を見ている。バカと煙はなんとやらとはよく言ったものだ。

 ウララ達は走って寄ってきた神威を労うように歓迎した。気が付けばタキオンも、黒津木の側まで歩いて行っていた。

 

 

マック「そういえば、トレーナーさん方は何を話していらしたんですの?」

 

 

桜木「あー.........今後の目標かな」

 

 

 当たり障りの無い受け答え。歯切れの悪い解答をした自分に苛立ちを覚えながらも、彼女を見て微笑んだ。

 

 

マック「.........ふふ、夜の海で、お酒を片手に目標を語り合ったのですか?」

 

 

桜木「ああ、そうなるな.........」

 

 

 そうなるとは言ったが、俺自身は何も言えてはいない。結局、何を言えば良かったのだろう.........?臆病者の恋心は未だ、発破をかけられても口から出ては来てくれない。

 そんな中、導火線に着いた火が消えるのを確認し、もう一度花火がセットされた方向を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒューーー.........ドン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「まぁ.........!」

 

 

桜木「おー。市販のヤツなんて見た事ないけど、案外バカに出来ないな.........」

 

 

 空に打ち上げられた花火。お祭りで見るようなものとは大きさも規模も違うが、この近さで見るなら十分だ。

 

 

マック「綺麗ですわね.........」

 

 

桜木「ああ.........そうだな」

 

 

 去年もしたであろう会話。規模や大きさは違えど、見える景色に大差はない。不思議と、遜色は無い。

 ふと気になって、隣に居るマックイーンの方を見た。

 

 

 胸を打つ、とは程遠い花火の音が聞こえました。しかし、胸の高鳴りは、あの時と同じように感じます。不思議と、劣化を感じさせません。

 ふと気になって、隣に居るトレーナーさんの方を見ました。

 

 

桜木「!」

 

 

マック「!」

 

 

 花火のほのかな灯りで彩られる彼女の正面。何でも似合う彼女の私服姿も、綺麗に彩られていた。以前と比べて、苦しさは紛れている。変わりに、もどかしさが強く現れる。

 

 

 花火で明るく見えるトレーナーさんの顔。あの時とは違い、同じ目線で彩られました。きゅうきゅうと縛り付けるような痛みも、その時と比べて緩くなったと思います.........変わりに、臆病になったと思います。

 

 

桜木「.........あれから、もう一年か」

 

 

マック「早い物ですわ。気が付けば.........目標まであと一年.........」

 

 

 他愛もない会話だ。苦し紛れに言った、中身も伴わない嘘にも似た言葉。それを返してくれた彼女に、何と礼を言えばいいだろうか.........

 

 

 他愛もない会話です。ですが、大切な物です。彼と私の最初に掲げた目標.........それがあと一年で挑戦する事になる。ここまで来れたのはひとえに彼のお陰です.........

 

 

マック(あれから少しは.........)

 

 

 あれから.........あの夏祭りから、思い返して見れば、たくさんの事が起こりました。少なくとも.........テイオーに指摘され、ある感情の芽生えに気がついたあの日からは、少しだけ.........

 

 

桜木(あの日から少しは.........)

 

 

 あの日から、あの夏祭りから考えれば、すごい成長ぶりだ。隣に居るマックイーン。彼女との差はまだ1/2バ身。けれど、その影は俺の影と交差するように交わる。少なくとも、一人自覚したあの日からは、少しだけ.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ((私(俺)達は歩み寄れたのでしょう(だろう)か.........))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「.........天皇賞春。頑張ろうな」

 

 

マック「気が早いですわトレーナーさん。まずは神戸新聞杯。そして菊花賞もあります.........ですが、トレーナーさんとなら、何とかなってしまう気もしてきますわ」

 

 

 淡い恋心、なんて言うつもりは毛頭ない。この気持ちは、そんな表現で等身大になるほど、薄い物じゃない。もっと大きくて、苦しくて、辛いものだ。

 けれど、それを表に出しては行けない。俺自身がそれを許さない。それを望みながら、同時に、望んでいない。その思いを 、目標にぶつける。

 それなのに、彼女はその静かな微笑みで俺の心をかき乱す。酒も入っているせいか、頭が酷く混乱する。

 

 

マック「さぁ、戻りましょう?いくら夏でも、夜は身体を冷やしますわ」

 

 

桜木「.........ああ、そうだな」

 

 

 立ち上がって手を伸ばしてくれる彼女の手を、自分の気持ちを誤魔化しながら掴んだ。きっと、彼女も何とも思ってない。

 なら俺も、気持ちを切り替えなくては行けない。いつもの俺ではなく、トレーナーの俺として、彼女を支えて行こう。

 

 

桜木「.........絶対。君を勝たせてみせる」

 

 

マック「.........!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 星空を見上げ、輝く星を見据えながら、彼はそう言いました。その姿はどこか覚悟を決めた様子で、素敵に写りましたが、なぜだが、寂しさを感じました.........

 

 

桜木「.........?」

 

 

マック「トレーナーさん?」

 

 

 しかし、そんな真剣な顔もすぐに霧散しました。トレーナーさんは何かが引っかかっているのか、すぐに思案を始めました。

 

 

マック「どうかなさったのですか.........?」

 

 

桜木「いや、何か忘れてるような.........」

 

 

 .........シュボ.........

 

 

桜木「.........皆ァァァァッッッ!!!!!」

 

 

全員「!!!?????」

 

 

桜木「浜から離れろォォォォォォッッッ!!!!!」ガバァ!

 

 

 突然叫び声を上げたトレーナーさん。驚く暇もなく、彼の腕に引き寄せられ、砂浜に身を伏せられました。何事かと思いましたが、体の上をスレスレで通る物体の熱を感じた瞬間、血の気が引きました。

 

 

桜木「おいッッ!!!誰も近付くなよ!!!あれはもう花火じゃねぇッッ!!!ガンタンクだッッ!!!」

 

 

ブルボン「!!が、ガンタンクはどこですか!!?」

 

 

ライス「ブルボンさん!?」

 

 

沖野「全員とりあえず海の家に避難するぞ!!!バラバラに逃げるんだッッ!!!」

 

 

マック「ど、どういうことですの!!!??」

 

 

白銀「白銀ジョン復活ッッ白銀ジョン復活ッッ」

 

 

三人「言ってる場合かッッ!!!」

 

 

 三方向から同時に、白銀さんからツッコミが入りました。ジョンとは誰なのでしょう?検討も付きませんが、恐らくあの花火に名付けられた名前です。

 

 

桜木「マックイーン!」

 

 

マック「!は、はい!」

 

 

桜木「今からお前を抱いて走る!!」

 

 

マック「?????」

 

 

 彼は今なんと言ったのでしょう?私の耳がおかしくなったのでしょうか?ええ、恐らくそうです。こんな真剣な顔をして、奥手な彼がそんなことを言うはず.........

 

 

桜木「しっかり捕まってくれ!!!」

 

 

マック「えええええぇぇぇぇ!!!!??????」

 

 

 どどど、どういうことですの!!!??そんな、まさか聞き間違いではなかったなんて.........!!そ、それにお姫様抱っこなんて.........!!!!

 

 

マック「ととと、トレーナーさん!!!??私、自分で走れますわ!!!」

 

 

桜木「それじゃあ的が増えて当たる可能性が上がるだろ!!!いつものスピードより遅いかもしれないが、我慢してくれ!!!」

 

 

 さっきからビュンビュンと飛んでくる花火の砲弾。トレーナーさんに当たるスレスレを通っていきます。た、確かに.........いくら早く走れても、当たってしまう可能性がありましたわ.........

 

 

桜木「安心してくれ!!!俺は命がかかってる時なら運はいい方だッッ!!!」

 

 

マック「今命がかかってるんですの!??」

 

 

桜木「当たり前だ!!!お前の身体に何かあってみろ!!!俺は一生、俺を恨む.........ッッ!!!」

 

 

マック「!!!」

 

 

 お酒を飲んで辛いはずなのに、トレーナーさんは早いペースで浜を駆け抜けています。その表情は先程よりも真剣で、必死な事がうかがえました.........こんな顔も出来るのですね、トレーナーさん.........

 そんな彼の表情に見とれていると、横方向から今回の騒動の原因である白銀さんが走って寄ってきました。

 

 

白銀「見たかァ!!!これが白銀花火だァッッ!!!」

 

 

桜木「おい!!!これ後何発入ってんだよ!!!」

 

 

白銀「知らねェ!!!詰め込めるだけ詰め込めろって発注したかんなァッッ!!!」

 

 

桜木「白銀ェェェェッッッ!!!!!」

 

 

白銀「さんをつけろよデコ助野郎ッッ!!!」

 

 

マック「今はAKIRAより走るべきですわ!!!」

 

 

ゴルシ「おーーーい!!!」

 

 

 いつものふざけあいをこんな状況でもやり取りするトレーナーさん達。そこへゴールドシップさんが合流を図ろうとしてきました。

 しかし、その顔はどこか鬼気迫った様子でこちらへ向かってきています。

 

 

ゴルシ「白銀ェェェェ!!!伏せろォォォォッッ!!!」

 

 

白銀「バッ!!!オマエの方が危ねェッッ!!!」

 

 

 ゴールドシップさんの忠告通り、白銀さんはその場に伏せようと飛び込む形で伏せようとしましたが、彼はどうやら彼女にも危機が迫っていると視認したようです。彼の虚しい叫び声がビーチに響きわたります。

 あともう少しでゴールドシップさんの頭部に花火が当たるといったところで、一瞬にしてしゃがみ込んだ彼女は、この危機を脱しました。

 

 

マック「ほっ.........?」

 

 

ゴルシ「ドリャァ!!!」バチコーンッ!

 

 

白銀「ズビズバァッッ!!!」

 

 

桜木「雷神拳!!?」

 

 

 飛んできた花火をしゃがみこんで避けたゴールドシップさん。そこから何故かこちらに向かって一回転し、無防備に飛び込んできた白銀さんの顎を跳躍しながらのアッパーカットを叩き込みました。

 

 

ゴルシ「ああ!!?オマエちゃんとアタシの言う事聞いて避けてたのかよ!!!てっきり逆張りして仁王立ちしてたかと思ったぜ!!!」

 

 

桜木「あーーもう!!!とにかくソイツを担いで避難してくれ!!!目的地は海の家だ!!!」

 

 

ゴルシ「分かった!!!!!」ダダダダッ!

 

 

桜木「どこ行くねェん!!!」

 

 

 海の家とは全く逆の方向へ走って行ったゴールドシップさん。それにツッコミを入れるだけで、付き合ってられないと判断したのか、トレーナーさんはそのまま海の家まで目指して走り続けました.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「ふふ、あの時のトレーナーさんの真剣な表情。初めて見ましたわ」

 

 

桜木「.........」

 

 

マック「.........?どうかしましたか?」

 

 

桜木「いや、なんでも」

 

 

 夕焼けも綺麗に空を彩り始めた時間帯。今の話を聞いてて強く感じた事は、マックイーンが完全に俺達に染まってきた事だ。

 やらかしてるんよな。完全に。酒が体を回り切ったせいで曖昧だったけど、今完全に思い出したわ。大人しくなんてしてなかったんだが?

 .........けれどまぁ、彼女が問題ないというのなら、それで良いのだろう。

 

 

マック「そういえばあの後、結局ゴールドシップさん達は朝まで帰ってきませんでしたわ」

 

 

桜木「あー。なんか森の方まで行って、目を覚ました白銀と3万発分の蛇花火やってたらしいぞ」

 

 

マック「ほ、ほんとうのことですの.........?」

 

 

 困惑気味にゴールドシップが寝ている方を見るマックイーン。俺も真実の部分は知らない。聞いたのはゴールドシップではなく、虚言癖気味の白銀に聞いたからだ。因みに告白はまだできていないらしい。

 

 

桜木「っっっ.........くぁぁぁ.........!」

 

 

マック「ふふ、お疲れ様です。トレーナーさん」

 

 

桜木「ああ、久々に夏を満喫できた.........こんなに大勢で楽しんだのは初めてだ」

 

 

 隣で微笑んでいる彼女に釣られて、俺も顔を緩ませた。全く、お酒の力という物は凄いもので、ポジティブにもなれるしネガティブにもなれる。酒の力を借りるという言葉も、今になって理解出来る。確かにあの力は強大だ。

 けれど、ほのかな残り香が少し胸を締付ける。これはちゃんと、あの日自覚した恋心だ。酒の力で膨れ上がった醜いものなんかじゃなく、等身大の気持ちだ。淡くはないが、ドロドロしくも無い。あの日から変わったことと言えば.........

 

 

桜木(.........まぁ、今はまだいいかな)

 

 

 心に少し、余裕が出来たことだ。

 

 

桜木「明日からまた、いつも通りのトレーニングだ。頑張ろうな!マックイーン!」

 

 

マック「ええ!目標に向けて、誠心誠意我が身を鍛え抜いてみせますわ!!」

 

 

 本当に頼もしいものだ。隣でそう息巻く彼女を見ながら、俺はそう思った。これから暫くは、暇なんて出来ないだろうな.........

 

 

爺や「学園に着きました。皆様お疲れ様でございます」

 

 

マック「ありがとうございます。爺や。長時間の運転、お疲れ様です」

 

 

爺や「ありがたきお言葉です、マックイーンお嬢様。桜木様とのご歓談は如何でしたかな?」

 

 

マック「!そ、それは.........!」

 

 

桜木「.........?大丈夫か?」

 

 

マック「え、ええ。なんでもありませんわ」

 

 

 本当だろうか?少しだけほんのりと顔が赤いような気がしたが、その後すぐ顔を逸らされたのでよく分からなかった.........まぁ、大丈夫と言える内は大丈夫だろう。

 

 

桜木「.........さあ、さっさとアイツら起こして、今日は解散だ」

 

 

マック「.........トレーナーさん」

 

 

桜木「ん?どうした?」

 

 

 アイツらを起こそうと思い、通路を通っていると、後ろから声をかけられる。

 .........どうせまた、中学生女子相手にドキドキさせられるんだろうなぁと、心の中で溜息をつきながら、覚悟を決めて振り返った。

 

 

桜木「.........マックイーン?」

 

 

マック「また、行きましょうね。夏合宿」

 

 

桜木「.........ああ、また行こう」

 

 

 たったそれだけ。たったそれだけの会話なのに、彼女の方から次を約束してくれた。それだけが嬉しい。

 全く、こんなことで喜んでいたら、いつまでたっても先には進めないのかも知れないな.........そう思いながら、もう一度。アイツら起こす為に通路を通る。

 

 

桜木(.........ゆっくり、慣れていけばいいか)

 

 

 それでも、こんな事を思えるようになる程度には、成長できた夏合宿だったらしい.........

 夏の夕日に当てられたのとは関係の無い赤さが、顔へと浮かび上がりながら、次の合宿をもう待ち遠しく思ってしまった。

 

 

 

 

 

  ......To be continued

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日談

 

 

 

 

 

ウララ「トレーナー!!!」

 

 

桜木「うお、どうしたんだウララ?」

 

 

 ガララッ!と勢いよく開けられた扉。チームルームの扉の開け方はいつからそう義務付けられたのだろう。

 そんなくだらない事を思いながらも、にらめっこを続けていたパソコンを閉じ、入ってきたウララの方へ視線を向ける。

 

 

ウララ「あのねあのね!!これを見てほしいの!!じゃーん!!!」

 

 

桜木「っ、それ、は.........」

 

 

ウララ「テイオーちゃんがね!!余ったのくれたんだー!!トレーナーも持ってるでしょ!!ウララとやろうよ!!デュエル!!!」

 

 

 突き出された手の中にあるのは、もはや見慣れた遊戯王カード。恐らく頑張って構築してきたのだろう。40枚ほど既に束になっている。

 だが、ウララには申し訳ないが、それをする事は今は、出来ない.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クマ『やあ(^^)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「」ゾワッ

 

 

桜木「わ、悪いウララ.........俺合宿でデッキ無くしちゃってさ.........アハハ.........」

 

 

ウララ「えーーー!!!??そうなのーー!!!??」

 

 

ウララ「うーん.........テイオーちゃんは、デッキはデュエリストの命だから、ちゃんと管理しなきゃ行けないって言ってたよ???」

 

 

桜木「俺リアリストだから.........」

 

 

 申し訳なく思いながらも、ウララにはご退出をお願いした。うぅ、心苦しいぜ.........

 

 

 合宿中、デュエル中のクマとの遭遇で遊戯王をしているとクマの姿が思い浮かぶというトラウマが発生した四人。理事長やたづなさんは、騒がしい種が一つ減ったと喜んでいたが、今回の合宿許可を下ろした通称[ヘルカイザーグリッチ]。彼女の姿も間接的になぜかクマを連想させるため、桜木達は今後の使用を控えるようになり、学園には平和が訪れたという.........

 

 

 

 

 

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