山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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テイオー「スケートに行こうよ!!!サブトレーナー♪」

 

 

 

 

 

 

 一月の冬の寒さが顔を出し始めた今日この頃。やはり時間の流れというのは早い。中央でも偶に雪が降るので、その度に故郷の北海道を思い出してしまう。まあここまで暖かくは無いのだが.........

 そんなことを思いながら珈琲をすすっていると、いつもより優しくチームルームが開かれた。

 

 

タキオン「トレーナー君.........」ガタガタガタガタ

 

 

桜木「どうしたーガタガタタキオン」

 

 

タキオン「さ、寒さで死んでしまいそうだ.........!」

 

 

桜木「そりゃお前.........理科室勝手に使ってるだけなんだから、暖房なんて入らないだろ」

 

 

タキオン「違うんだよ!!!経費が掛かると言って黒津木君が付けてくれないんだ!!!」

 

 

 身体を震え上がらせながらそう訴えてくるタキオン。確かに、アイツの性格上、お金の無駄使いは経費でもしたくないのだ。その気持ちはよく分かる。

 

 

桜木「けどなー、俺もカイロとか渡せればいいんだけど、生憎学園行く時には使わねえからな.........」

 

 

 残念ながら、バッグの中を探してみるが、身体を温めるようなアイテムは入っていない。申し訳なく思っていると、不意にチームルームの扉が(ry

 

 

テイオー「サブトレーナー!!」

 

 

桜木「あら珍しい」

 

 

 この時間帯に見るのは本当に珍しい。スピカのメンバーは大体漫画を借りに来るウオッカとゴールドシップくらいしか来ないはずだ。テイオーも以前までドンキー対策に精を出していたが、ゴルシがDLC購入以降カズヤ使いになった為、半分萎えて来なくなっていた。

 

 

マック「あら、何か持ってますわね.........?」

 

 

テイオー「ふっふーん♪この前駅前で配ってたんだー!!ねぇサブトレーナー!!」

 

 

 目の前にトテトテとやってくるトウカイテイオー。そんな妹チックな可愛い仕草をされたらいちお兄ちゃんとしては答えない訳には行かない。ライスやウララがメロンジュースのメロン味感なら、テイオーはオレンジジュースのオレンジ感だ。

 はいはい。と、そんな声を発する前に、目の前でバッと見せつけるように開いたチラシを見て、その気持ちは霧散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スケート行こうよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「.........はっ!夢か」

 

 

マック「夢じゃありませんわ.........もう、フラフラとした足取りで、スケートリンクに着いた途端これです。本当に体調はよろしいのですか?」

 

 

 そう言いながら彼に詰め寄ると、体調は大丈夫だと、やけに[体調]の部分を強調してきました。まぁ、そこまで言うのなら大丈夫なのでしょう。

 ベンチに座る彼の隣に座りながら、あの日の事を思い出します。

 

 

テイオー『スケート行こうよ!!!』

 

 

桜木『はえ』

 

 

 あの時、否定とも肯定とも言えない返事を持ち前のポジティブで肯定と捉えたテイオーは、その返事を聞いてチームルームを飛び出して行きました。

 その後、その事を忘れたようにトレーナーさんはいつもの調子を取り戻しましたが、駅に集合した時にはもう心はここに在らずという様子でした。

 

 

桜木「えっと、俺とマックイーンだけで来たんだっけ.........?」

 

 

マック「!?い、いえ。ちゃんと他の方たちも居ますわ.........今はスケートシューズを取りに行って貰っています」

 

 

桜木「なんで?」

 

 

マック「さっきまでの自分の姿を想像してくださいまし」

 

 

 そう言いながら顔を背けると、彼はごめんごめんと謝りました。一体どこまで心が出掛けていたのでしょう?私と二人きりでスケートなんて.........そんなのまるで、で、デートではありませんか.........!!

 はっ!行けません。こんなところでそんなものを想像してしまえば顔が赤くなるのは目に見えています。そんなところをテイオーに見られでもしたら後が恐ろしいですわ.........

 

 

テイオー「やっほーサブトレーナー!!お、元気戻ったみたいじゃん♪さすがマックイーンだね♪」

 

 

マック「わ、私はなにもしていませんわ!!」

 

 

桜木「いや、正直本当に意識無かったから傍に居てくれて助かった.........サンキューマックイーン」

 

 

マック「い、いえ、私は当然の事を.........」

 

 

「起きたのか、桜木」

 

 

 顔の熱を自覚しながらも弁解しようとすると、背後から声が聞こえてきました。振り返ってみると、そこには私より若干白い芦毛のウマ娘。オグリキャップさんが立っていました。

 

 

オグリ「ずっと心ここに在らずだったからな。マックイーンにありがとうは言ったのか?」

 

 

桜木「ああ、さっき言わせてもらったよ.........え、もしかしてオグリさんも同行者?」

 

 

 完全に困惑したトレーナーさんは手のひらでオグリキャップさんを指します。そういう所はちゃんとしてるのですね.........

 仕方が無いので、同行メンバーについて教えて差し上げましたわ。

 

 

桜木「えー.........ウチのチーム全員。スピカからテイオー、スペ、ゴールドシップ。俺の友.........そして、オグリさんとルドルフ.........」

 

 

桜木「なんで後ろ二人を呼んだの?」

 

 

テイオー「え?だってスケート滑れそうだったし.........」

 

 

桜木「うっ、頭が.........」

 

 

マック「だ、大丈夫ですか.........?」

 

 

オグリ「やはり具合が.........」

 

 

桜木「いや、安心してくれ。[体調]は大丈夫だ.........」

 

 

 目元を抑えながらそう言うトレーナーさん。本当に大丈夫なのでしょうか.........?流石に心配になってきます。

 そんなことを思っていると、スケートシューズを履いているテイオーから、私に質問が来ました。

 

 

テイオー「そういえばマックイーンってスケート滑れるの??」

 

 

桜木「!!」

 

 

 その言葉を聞いて、何故かトレーナーさんがキラキラした目で私を見て来ました。

 これは.........期待されている?悪い気はしません。ならば、その期待に応えるのがメジロのウマ娘としての責務でありますわ!!

 

 

マック「ええ、幼い頃はスケート教室にも通っていたので、バッチリですわ!!」

 

 

桜木「そっか.........」

 

 

マック「ええ!!?」

 

 

 明らかにガックリと肩を落として彼を見てビックリしてしまいました。も、もしかして滑れない方が好都合でしたか.........?

 そんなことを思っていると、トレーナーさんは既にスケートリンクで滑っている皆さんに目を向けました。

 

 

スペ「わわわ!!あ、足を動かしてないのに動いていきます〜!!!?」

 

 

ウララ「わー!スペちゃん待って〜!!!」

 

 

ライス「か、壁を使えば滑れるよ!」

 

 

ブルボン「転倒確率、通常地面と比較して30%ほど上昇しています。気をつけて行きましょう。ライスさん」スッテーン!

 

 

ルドルフ「大丈夫か!?」

 

 

 仰向けに倒れたブルボンさんを、生徒会長が手を伸ばして助け起こしました。説明しながら転ぶ姿を見て、思わず笑ってしまいそうになりましたが、何とかこらえました。テイオーは笑っていますが.........

 

 

テイオー「しょうがないな〜!!ボクがスケートを教えてあげるぞよ〜!!」スイー

 

 

桜木「おー.........テイオーも上手いな.........」

 

 

 靴を履き替えたテイオーは、そのままスケートリンクの上を難なく滑って行きました。早速先生として皆さんに滑りを教えていますが、生徒会長にも教えてる姿を見ると、いつもと立場が正反対になったようで、思わず笑ってしまいました。

 

 

オグリ「おお.........!!す、少し怖いが、何とかなりそうだ.........!!」

 

 

桜木「.........オグリさんも行ってしまった.........」

 

 

マック「ええ、皆さん初めてのようですが、中々筋が良いですわ」

 

 

 ゆっくりと壁に手を触れながら、綺麗なリンクの上を滑って行くオグリキャップさん。やはり皆さん普段走っているおかげなのか、視線が動く事への恐怖があまり無いようです。

 

 

マック「さぁ!私達も参りましょう!!トレーナーさん!!」

 

 

桜木「えっ!?い、いやぁ.........俺今スケートシューズ無いし「おらっ」.........?」

 

 

白銀「持ってきたぞ。お前用のスピードスケート用シューズ」

 

 

桜木「」

 

 

 後ろを振り向くと、白銀さんがその片手に持ったスケートシューズを投げて渡してきました。トレーナーさんは放心していたので、私が身を乗り出してそれをキャッチしました。

 そんな白銀さんの後ろから、ひょこっと顔を出してきたゴールドシップさんも、一足のスケートシューズを持って現れました。

 

 

ゴルシ「マックちゃんはこっちでいいよな?」

 

 

マック「ええ、そちらで結構です。それとマックちゃんではありませんわ」

 

 

白銀「お前滑れんの?」

 

 

ゴルシ「さぁ?やった事ねえから分かんねー。爺ちゃんはなんか連れてってくんなかったし」

 

 

黒津木「お前、いつも爺ちゃんと一緒なのな.........」

 

 

 いつも通り話し始めたトレーナーさんの親友方。しかしその足取りはリンクへと着実に進んで行っています。

 うぅ、私も久々に滑りたくなってきました.........おや?もうトレーナーさんもシューズを履けたようですわね.........

 

 

マック「参りましょう!!トレーナーさん!!」

 

 

桜木「しまった!!意識無くして脳死で履いてた!!!??」

 

 

 いつまでもモタモタしているトレーナーさんが悪いのです!!彼の手を引きながらスケートリンクに入ると、半ば強引に私の引っ張る手を、彼は払い除けました。

 

 

マック「.........トレーナーさん?」

 

 

桜木「い、いや.........これは俺流のスケートの準備体操だから.........マックイーンは皆と滑って来てくれ.........」

 

 

 もしかして、やりすぎてしまったかも知れません。謝ろうと思い振り返ってみると、そこには両手を前に突き出し、足を肩まで開いて腰を落とすトレーナーさんの姿がありました。

 彼の顔から滲む汗を見て、準備体操に真剣になっている所を邪魔しては行けないと感じた私は、先にテイオー達と合流しました。

 

 

マック「テイオーーー!!」

 

 

テイオー「あ!!マックイーン!!遅かったね!!」

 

 

 氷上での身体の動かし方についてレクチャーしていたテイオー。既に何人かは普通に滑れるようになるレベルになっていました。彼女、結構ものを教えるのが得意なのかもしれませんわね。

 私も負けては居られません。まだ滑りなれていないスペシャルウィークさんとオグリキャップさんにお教えしましょう。

 

 

マック「良いですか?身体の重心は前足の真上に常にある状態です。足が前に出てから体重を乗せるのではなく、体が前に出てから足を真下に運んで下さい。これがスケートの基本ですわ!!」

 

 

オグリ「なるほど、ありがとうマックイーン。早速実践してみようか」

 

 

スペ「はい!!ありがとうございます!!マックイーンさん!!行きましょう!オグリさん!!」スー

 

 

 まだまだおぼつかないながらも、あの様子なら二人とも、滑っている間に動きを覚えそうです。

 そう思いながらテイオーの方を見ると、何故か違う方向を見て固まっていました。

 

 

テイオー「.........」

 

 

マック「テイオー?どうしたのですか?」

 

 

テイオー「あれ.........」

 

 

ゴルシ「.........」プルプル

 

 

桜木「.........」プルプル

 

 

マック「.........何してるんですのあの二人は.........」

 

 

 なんと、トレーナーさんは先程のあの体制から全く動いていません。それどころか、隣に居るゴールドシップさんも同じような体制で固まっています.........これはもしや.........

 声をかけ、助け舟を出そうと思った矢先、視界の端からトレーナーさんの親友方がやってきました。

 

 

白銀「へっへー!!なまっちょろいぞ宗也ァァッ!創ェェッ!Aクラスの根性見せろオラァ!!」

 

 

黒津木「ざけんなッ!こちとらスケートなんざ小6以来だわ!!!」

 

 

神威「あ!!玲皇!!ゴルシ!!危ないぞ!!」

 

 

二人「ひっ!!?」

 

 

 そんな忠告を受けた二人は、じたばたと足を動かし、何とか三人の進行方向上から抜け出していきました。

 そして、倒れ込んだその先で、その三人の風を切る勢いにも到達するスピードを肌に感じていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木&ゴルシ

「.........」ズーン.........

 

 

マック「あの、お二人とも.........?」

 

 

 リンクの隅っこで仲良く並んで体育座りをして背を向けているお二人に声を掛けると、ゆっくりと顔だけをこちらに向けてきました。

 

 

桜木「.........ハハ、笑えるだろ.........?これでも小学校六年間、スケートやってきたんだぜ.........?」グスン

 

 

ゴルシ「ハハ.........氷の上も滑れねえようじゃ.........おばあちゃんに顔向けできねぇ.........こんなの、伸びきったラーメンよりやる気でねえぜ.........」グスン

 

 

マック(思ったより重症ですわ.........)

 

 

 どうしようかと頭を抱えていると、ついにお二人は感情のダムが決壊してしまったのか、抱き合って泣き出してしまいました。

 

 

桜木「ゴールドシップゥゥゥ!!!俺達はスケートの才能をママのお腹の中に置いてきちまったんだァァァ!!!」ウワーン

 

 

ゴルシ「うおォォォ!!!アタシはきっとトマトハイッテナイパスタに食われちまったんだァァァ!!!アイツレースの時周りが食い物に見えちまうからァァァ!!!」オーイオイ

 

 

桜木&マックイーン

「なにそれ怖い(ですわ).........」

 

 

 誰でしょう、トマトハイッテナイパスタ。そんなウマ娘居ましたでしょうか?いえ、ゴールドシップさんの事です。ウマ娘かどうかも怪しいところですわ。

 とにかく、このままでは周りのお客様に迷惑をかけてしまいます。こうなれば私が一肌脱ぐしかありませんわ!!

 

 

マック「大丈夫ですわお二人とも。このメジロマックイーンがしっかり手ほどきして差し上げますので!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「ヒィィィ!!!??怖ーよマックイーン!!!」

 

 

マック「しっかり手を繋いでおりますので大丈夫です。それよりしっかり目を開けないと、いつまで経っても怖いままですわよ?」

 

 

 あのよく分からない体制のゴールドシップさんの手を引きながら、ゆっくりと後ろ向きに滑ります。もちろん、進行方向にしっかりと気を向けているので、壁に当たったり、誰かと衝突したりなどはありません。

 

 

マック「全く、いつもこれより早い速度で走っているではありませんか.........」

 

 

ゴルシ「だってよー!!!足が動いてねぇのにすげぇビュンビュンすんだろ!!?アタシ怖くてたまんねーよ!!!」ガクガクブルブル

 

 

 どうやら、彼女はスケートが苦手と言うより、滑ることに恐怖を感じているようです.........一体この恐怖をどうしたら.........

 そんな事を考えていると、先程外周をビュンビュンと走り抜けていた白銀さんがゆっくりと近づいてきました。

 

 

白銀「よっ、順調か?」

 

 

マック「ええ、今の所は.........」

 

 

ゴルシ「なんだよ白銀!!オマエもアタシを笑いに来たのか!!?」

 

 

白銀「いや、どっちかっつーと玲皇を笑いに来た」

 

 

ゴルシ「オマエ絶対嫌われるぞ.........」

 

 

 本当、どうしてこんな意地悪な人と仲良く出来るのでしょう?不思議でなりませんわ.........

 しかし、よく考えてみると、ゴールドシップさんも私にいつも変な嫌がらせをしてきます。もしかしたら、彼らはそう悪いと思ってないのかもしれませんね。

 

 

マック「トレーナーさんは後で私が教えるので心配は無用です。白銀さんは皆さんと遊んでてもよろしいのですよ?」

 

 

白銀「いんや、一つくらいアドバイスを送ろうと思ってきたんだ。それだけさせてくれ」

 

 

マック「?.........分かりました」

 

 

 ゴールドシップさんからゆっくりと手を離し、少しだけ離れて様子を伺います。白銀さんはやはりプロとして活躍しているだけあって、身体の動かし方やメンタル面での指導がお上手です。聞いている私もいくつか参考になる話を聞かせてくださいました。

 

 

ゴルシ「お.........おお?おおお!!!」

 

 

マック「まぁ.........あんなにスイスイと.........」

 

 

ゴルシ「すっっっげーーー!!!!!スケートってなんかそうめんみてー!!!!!」

 

 

白銀「分かる(?)」

 

 

マック「は?」

 

 

 思わず声が漏れてしまいましたわ.........だって仕方ないではありませんか。あんな発言を理解できる人間がこの世に居るとは思いませんでしたもの。

 さて、ゴールドシップさんはもう水を得た魚のようにスケートを楽しんでいます。後はトレーナーさんだけですわね.........

 

 

桜木「裏切ったのか!!?俺を売ったのか!!?」

 

 

ゴルシ「へへ、アタシは満足だぜ。おっちゃん」

 

 

桜木「この裏切り者ォォォーーーッッ!!!」クワッ!

 

 

マック「はいはい。行きますわよトレーナーさん」

 

 

桜木「やだぁ!やだぁ!!小生怖いぃ!!」

 

 

マック「最近自我崩壊が激しいですわ!!!もっとシャンとしてくださいまし!!!」

 

 

 最近顕著になってきたトレーナーさんの自我崩壊。初めてお会いした時は、まさかこんな方だとは思いもしませんでした。

 ですが、この人が私のトレーナーなのです。嘆いていても仕方ありませんわ.........

 

 

マック「ほら、しっかり立って。私の手を掴んでください」

 

 

桜木「お、おおおおお願いします.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウララ「見て見てライスちゃん!!スイー!!」

 

 

ライス「上手だねウララちゃん!ら、ライスも一緒に頑張るぞー!」

 

 

ブルボン「あ、あ、あ、ライスさん。待ってください。今貴方に離れられると.........」

 

 

ルドルフ「大丈夫か?ブルボン。いいか、重心を前足にかけるんだ」

 

 

テイオー「おー!!さすがカイチョー♪もうスケートもバッチリだね!!」

 

 

 彼の手を引きながら右手側を見ると、テイオー達が楽しんで滑る様子がみてとれました。

 

 

スペ「わー!!スケートってこんなに楽しいんですね!!もっと早くやりたかったなー!!」

 

 

オグリ「ああ、走ってるみたいで気持ちいいな.........」

 

 

神威「ゼェ......ゼェ......もう無理.........」

 

 

タキオン「おや、司書くんはもうダウンしたのかい?黒津木くんを見習いたまえ!!まだまだ滑ってるぞ!!」

 

 

黒津木「テメェだけにはぜってぇ負けねェッッ!!!」

 

 

ゴルシ「次はアタシと勝負だ!!!負けたら蛸壺買ってくれよ!!!」

 

 

白銀「はァ!!?ぜってェ負けねェからッッ!!!」

 

 

桜木「もうアイツらと渡り合えてんのか.........アスリートってすげぇ.........」

 

 

 左手側では、トレーナーさんの親友方が楽しそうに競争していました。

 しかし、そう言いながらも、トレーナーさんはまだ恐怖を感じているのか、目を少し半開きにしてるだけです。これでは、滑れるものも滑れませんわ。

 何かいい方法は無いかと模索しましたが、既にここにちょうどいい目印が、彼の目の前にあると気が付きました。

 

 

マック「トレーナーさん?しっかりと前を見てください」

 

 

桜木「うぅ、と、苦手意識がね.........」

 

 

マック「安心してください!!私の姿に視線を集中すれば恐怖はきっと和らぎますわ!!」

 

 

桜木「えぇ!?」

 

 

 我ながらいいアイディアですわ!!彼は少々滑ることに意識を割き過ぎているのかも知れません。滑れない事から来るコンプレックスのせいで、より一層滑ることに無意識に固執している場合も考えられます。

 初めから何もかも上手く行くなんて有り得ません。何事も根気強くやらなくては!!そんな思いを秘めながら彼の目を見ていると、戸惑いながらもその目をようやく、普通の状態まで開ききってくださいました。

 

 

マック「ふふ、その調子ですわ」

 

 

桜木「う、だいぶ楽になってきた.........ありが」

 

 

マック「.........?」

 

 

 いつものように彼がお礼を言いかけた時。不意にそれが途切れました。彼の意識が無くなった訳ではありません。しっかりとその二つの目で、私の事を.........

 待ってください。これ、けっこう大胆なことをしてるのでは無いですか?と、ととと、殿方と手を繋いで、見つめ合って.........し、しかも私の方から、私を見て欲しいなんて.........!!!

 

 

マック(か、顔が!!顔が熱いですわ.........!)

 

 

桜木(やっぱ綺麗な顔してるよなぁ.........)

 

 

 こ、ここで引いては行けません!!私から見て欲しいと言った手前、ここで目を逸らせばなぜか負けたような気がしてきます。目を、目をそらすことだけは絶対.........!!

 

 

マック(けど.........)

 

 

桜木「?」

 

 

マック(ど、どうしてそんなに目を合わせてくるんですのォォォ!!!??)

 

 

 目を逸らしては行けないと心に決めてしまったため、もう彼の目からは逃げれません。

 しかし、そのトレーナーさんの目はがっしりと私の目を見てきます。ズルい、ズルいですわトレーナーさん!!

 

 

桜木「な、なんか怒ってる?」

 

 

マック「な、何も怒ってなどいません!!」

 

 

桜木「嘘だぁ!?だって目付き怖いよ君ぃ!!」

 

 

マック「生まれつきです!!目付きがキツくて申し訳ございませんでした!!!」

 

 

桜木「いや俺は綺麗だと思うけど.........」

 

 

マック「え?」

 

 

桜木「.........!!?マックイーン後ろ後ろ!!!」

 

 

マック「後ろ.........?あぁ!!?」ドンガラガッシャーン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「大丈夫か?マックイーン」

 

 

マック「ええ.........申し訳ございません、貴方に教えるどころか、帰って危険に晒してしまうなんて.........」

 

 

 ベンチに座りながら、私は彼に頭を下げました。まさか、壁に激突してしまうなんて.........しかも、その後その弾みで、と、トレーナーさんを押し倒して.........///

 

 

マック(こ、これ以上は考えないようにしましょう.........!!)

 

 

 彼が自動販売機から購入してきてくださったココアを受け取りながら、先程の光景を思い出してしまいます。

 壁に激突した後、はしたなくも仰向けの彼にまたがる形で押し倒してしまったのです。それだけなら良い.........いえ、良くは無いですね。ただ、それで終わればよかったのです。

 そのまま私は、彼の上に乗ったまま前に倒れ込んでしまったのです。何とか寸でのところでリンクに手を付き、事なき事を得たのですが.........

 

 

マック(.........あの時の表情は、なんだったのでしょう.........?)

 

 

 急接近した私の顔を見て、彼は息が詰まったような、苦しそうな表情をしながらも、私の肩に手を当て、ゆっくりと上半身を起こしてくださいました。あの時ようやく、彼が視線を私から外し、そのまま優しく私の肩を押して体制を整わせてくださいました。

 

 

桜木(はぁぁぁ、マジで焦ったぁ.........あんな顔が数cm先にあるって割とヤバいぞ。息感じてたし)

 

 

マック(もしや、ようやく意識してくださったのでしょうか.........?だ、だとしたら嬉しくはあるのですが.........)

 

 

 あんなことが起こった後で、とてもなにか行動に移すことなど出来るはずがありません。今日のキャパは完全に超えてしまいましたわ.........

 そう思いながらココアの容器の蓋を開けると、私の隣に彼が座りました。彼とは一切触れ合っていないのに、確かに隣に、彼を感じることが出来ます。

 

 

桜木「.........スケートがこんな楽しいと思ったの、生まれて初めてだわ」

 

 

マック「楽しかったのですか?」

 

 

桜木「ああ、怖がってばっかだったけど、結構楽しめたぞ?マックイーン教えるの上手いしな!」

 

 

マック「ふふ、トレーナーさんには敵いませんわ.........」

 

 

 彼から視線を外し、両手で持ったココアを一口飲みます。温かさが口の中で広がり、甘さがゆっくり身体を解します。彼もまた、片手で持ったココアを一口飲みました。

 今日の出来事で改めて、他人に何かを教えることの難しさを認識しました。トレーナーという存在はウマ娘に撮って必要不可欠.........ですが、いくら必要だと思っていても、適当に選んでいいわけではありません。

 

 

マック(まぁ、そのことに気がついたのはごく最近なのですが.........)

 

 

桜木「本当.........楽しかったぁ.........」

 

 

マック「.........?トレーナーさん.........?」

 

 

 いつもよりふにゃふにゃになった彼の声が聞こえてきました。もしかして、眠くなってしまったのでしょうか.........?

 無理も無いかもしれません。普段慣れないことを、手ほどきを受けながら身につけていくというのは想像以上に疲労が溜まるはずです。それでなくとも、普段の業務で疲れているはずですのに.........

 

 

マック「.........今だけは、ゆっくりとしていてください。トレーナーさん.........」

 

 

桜木「んぅ.........Zzz.........」

 

 

マック「.........私も、少し休ませてもらいましょうか.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オグリ「ということがあったんだ!!」

 

 

タマ「ほーん。良かったやんオグリン。スケートは楽しかったんか?」

 

 

 目の前にいるウチと同じ芦毛のウマ娘に聞くと、もう首がちぎれるレベルで縦に振りよった。どんだけ楽しかったっちゅうねん。

 全く.........なーんで風邪で寝込んでる時にわざわざおっちゃんとマックちゃんがベンチで寄り添って寝てた話すんねん。こちとら人肌恋しいタイミングやのに。

 

 

タマ「.........んで、具体的にどこが楽しかったんや?」

 

 

オグリ「そうだな、一番はやはり、ルドルフと滑ったことだろうか」

 

 

タマ「.........待てオグリン。ウチ嫌な予感しかせえへん.........」

 

 

オグリ「あれは.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルドルフ「中々いい物だな!!スケートというものは!!」スイー

 

 

テイオー「カイチョーカッコイイ!!やっぱりスケートしたら似合うんじゃないかってずっと思ってたんだ♪」

 

 

 確かに、無駄な動きもないシンボリルドルフのスケート捌きは見事なものだった。あんな短時間で見事に滑れるようになったものだ。むぅ.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私も負けていられないな.........」ボソッ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルドルフ「え」

 

 

全員「あ」

 

 

オグリ「.........?」

 

 

 誰にでもなく呟いてみると、気がつけばみんなの視線が私に注がれていた。一体どうしたのだろう?みんな汗をダラダラと垂れ流しながら、私を見守っている。

 そこでふと、生徒会長の様子がおかしい事に気が付いたんだ。彼女はまるで極寒の雪山に居るように、その身を激しく震わせていた。

 

 

オグリ「だ、大丈夫かルドルフ!?風邪でも引いたのか!!?」

 

 

ルドルフ「な、なぁオグリキャップ.........?これはまさか.........勝ち負けが存在するのか.........?」

 

 

全員(オグリキャップ.........!!)フルフル

 

 

 あまりの不測の事態に過敏になっていた私の耳には、彼らの私を呼ぶ声が届いた。そこでそちらに一旦振り返ってみると、全員が横に首を振っていた。

 なるほど.........意図が掴めてきたぞ.........!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠慮は要らないということだな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オグリ「心配するな、シンボリルドルフ」

 

 

ルドルフ「オグリキャップ.........?」

 

 

オグリ「やるからには.........私は勝つぞ」

 

 

ルドルフ「」

 

 

全員「」

 

 

オグリ「.........?」

 

 

 生徒会長の肩に手を置いてグッと親指を立てて言ったんだ。よくトレーナーが落ち込んだ時はこうして励ましてくれるからな!

 けれど、明らかに周りの空気が凍りついている。氷の上だけに。あ、これを言えばルドルフは喜ぶかもしれない。洒落というのはこういうものだとトレーナーに「いやだぁ.........」.........?

 

 

ルドルフ「私はぁ.........!!」

 

 

オグリ「る、ルドルフ.........?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けたくないィィィッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オグリ「な、何ィィィッッ!!!??」

 

 

ルドルフ「私はァ!勝ァつッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タマ「うわ、ネットで検索したら映像が出てきよった」

 

 

 会長のヘル化はもう学園では日常的になってきてるんやけど、外では多分、一回もなってないはずや。そこは生徒会長の意地とかプライドで何とかしてたんやろうなぁ.........

 でもなぁオグリン.........

 

 

タマ「なんでフィギュアスケートなん???」

 

 

オグリ「ああ、あの後成り行きで勝負を挑んだは良いものの、私はそこまでスケートが上手じゃなかったんだ。転びそうになる度にそこを彼女に支えてもらったら自然とそうなってた」

 

 

タマ「そうはならんやろ」

 

 

オグリ「.........は!なんでやねん!」

 

 

タマ「ちゃう!!使うタイミングちゃうで!!どっちかっちゅうと今のウチが言いたいわ!!なんでやねん!!」

 

 

オグリ「ははは!タマは面白いな.........」

 

 

タマ「はたから見たらアンタの方がお笑いや!!!あ〜.........アカン、ぶり返してきてもうたわ.........」ボフン

 

 

オグリ「ダメだぞタマ。ちゃんと安静にしてなきゃ」

 

 

タマ「アンタのせいや.........!!」

 

 

 ウチは布団に包まりながらも、ウマフォンから流れる映像を何となく見てた。これがなんか不思議なもんで、割と綺麗なフィギュアスケートになってたんや。

 まぁ話題になるわ、公共の場でこんな事をしてたら.........と、ウチはそのまま寝落ちしてもうた。

 

 

 後日、朝のニュースが流れる寮のフロントでは華麗に滑るオグリキャップと青白い炎の線を引きながらオグリキャップを支えて滑るシンボリルドルフが映し出され、世間では大きく取り沙汰される事になるのだった.........

 

 

 

 

 

  ......To be continued

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