山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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第三部 夢探し人編
マックイーン「実は、トレーナーさんの事が好きみたいで......」テイオー「遅いよ!!!」


 

 

 

 

 

 冬の寒さがそろそろピークに向かい、その折れ線グラフを下に向けて進行してくる一月の初め。

 大晦日や正月、三賀日と言ったイベントも終わりを告げた一月四日。私はメジロ家のダイニングルームにて、お客様と紅茶を嗜んでおりました。

 

 

マック「.........ふぅ、美味しい......」

 

 

テイオー「えぇ〜?砂糖入れてもにがにがだよ〜.........ハチミーはないの〜?」

 

 

タキオン「この苦味が良いんじゃないか!!」

 

 

ゴルシ「そんなに砂糖入れて苦味感じるんだったら逆に才能あるぜ!!味覚ソムリエになれよ!!」

 

 

 ええ、予想はしておりましたがとても騒がしいです。ですが一番騒がしくなると思っていたゴールドシップさんですが、紅茶を飲んでいる時はとても落ち着いていて.........とても悔しいですが、私より淑女らしい振る舞いでしたわ.........

 

 

テイオー「.........ところでさー、そろそろボク達を呼んだ理由を聞きたいんだけどー」

 

 

マック「うっ.........そ、そうですわ!最近借りてきた映画が面白かったんですの!」

 

 

ゴルシ「いや本題に.........」

 

 

マック「そんなもの映画を見てからでも話せますわ!!!」

 

 

タキオン「そう言っておきながらもう午後なんだよマックイーンくん?私達はもう九時からここに居るんだけどねぇ?」

 

 

マック「.........ぐぬぬ」

 

 

 時計の針を見ると、確かに短い針は1の数字を少しばかり過ぎております。タキオンさんの言う通り、彼女らを招集してからかなり時間が経ってしまっております.........

 で、ですが.........これを言うのは少し、いえ、かなり勇気がいる事です.........落ち着いて、深呼吸して、覚悟を決めて.........

 .........よし、言いますわ。言います、絶対言えます。言えます。言えるはず。言える.........かも.........

 

 

ゴルシ「.........なんもねーなら帰るぞ。アタシはじいちゃんの料理レシピ発展で忙しいんだからな!!」

 

 

マック「!言います!!言いますから......待って.........」

 

 

 席を立とうとするゴールドシップさんを呼び止めると、渋々席に着いてくださいました。もう時間稼ぎは出来ません.........は、早く言わなくては.........!!

 

 

マック「その.........」

 

 

三人「うんうん」

 

 

マック「実は.........」

 

 

三人「はいはい」

 

 

マック「わ、わわ私.........トレーナーさんの事が.........」

 

 

三人「うん?」

 

 

マック「す、好き.........みたいで.........」

 

 

三人「.........」

 

 

 うぅ.........じ、自分で言っていて恥ずかしい.........あ、穴があったらそこに入ってしまいそうなくらい、きっと今の自分の顔は酷く紅潮していると思います.........

 .........だと言うのに、先程まであった彼女らの反応が全くありません。恐る恐る瞑っていた目を開けてみると、三人ともポカーンと、同じような表情で口を開けておりました。

 

 

三人「お.........」

 

 

マック「お.........?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い(おせー)よっっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「はァ!!?」

 

 

ゴルシ「今頃気づいたのかよ!!!マックちゃんの心が大豆だったら今頃納豆できちまうくれーにおせー!!!」

 

 

マック「なっ!!?」

 

 

 まるで猛犬のごとく、ゴールドシップさんは私に噛み付いてきました。飼い犬は居ませんが、がぶりとされた気分です.........

 

 

テイオー「本当だよ!!!どうすんのさ!!!サブトレーナーなんて最近雑誌で取り上げられてて一般人から見た素敵なトレーナーランキングで上位にランクインしてるんだよ!!?」

 

 

マック「そんなことが!!?」

 

 

テイオー「ボクもうてっきりそんな感情無いんだって思い込んでそこら辺の女の子にサブトレーナーの落とし方とか教えちゃったんだよ!!?」

 

 

 な、何をしてるんですのこの人は!!?私の気も知らないで!!!.........いや、実際私も三年間私の気を知らなかったのです。仕方ありません.........

 

 

タキオン「あぁぁぁぁ焦れったい!!!もういっその事告白してしまえばいいだろう!!?三年間連れ添ったんだ!!!お人好しの彼ならOKは確実だろう!!!」

 

 

マック「そ、それは.........」

 

 

タキオン「何を迷う必要があるんだい奪い取れ!!!今は悪魔が微笑む時代なのだよ!!!」

 

 

 今ってそんな世紀末みたいな時代でしたの!!?そんな野蛮なこと出来るわけないではありませんか!!!

 .........ですが、それ自体は考えた事があります。優しい彼の事ですから、私から言い出せばお付き合いを始めることはそう、難しいことではないのかも知れません.........

 

 

テイオー「何が不満なのさ?」

 

 

マック「.........それではまるで、お情けで付き合って貰っているみたいではありませんか」

 

 

 私が彼の事が好きなのと同じくらい、彼には私の事を好きでいて欲しい.........そんなの、ただのわがままだと自分でも分かっております。ですが、私達は『一心同体』を誓い合った者同士。その気持ちだけは譲れません。

 そう思っていると、御三方はそれぞれの反応を示しました。タキオンさんは興味深そうに、ゴールドシップさんは肩を竦め、テイオーは呆れたようにため息を吐きました。

 

 

テイオー「ところでさ、サブトレーナーのどこが好きなの〜?」

 

 

マック「え、えぇ.........っと〜.........か、カッコイイ.........ところ.........とか.........///」

 

 

テイオー「どこが!!?いっつもおっちょこちょいじゃん!!!」

 

 

 む、確かに普段の彼は少しばかり間抜けな所もありますが、そこも可愛いところですわ!!全く、彼の良さがわからないなんて.........

 なんて思っていても、それはきっと恋は盲目という言葉のとおり、私だけに当てはまる事でしょう。ここはひとつ例をあげてみないことには認められませんわ

 

 

マック「誰がなんと言おうと、私は彼はかっこいいと思っております!有馬記念の地下バ道の時です!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マックイーン」

 

 

 薄暗い通路の後ろ側で、彼から自分の名前を呼ばれた時、何故だか酷く嬉しく思いました。振り返ると、そこには以前のように、チームの皆さんが居てくださいます。

 

 

マック「なんですか?」

 

 

桜木「いや、まだ緊張してるみたいだからさ」

 

 

 まるで彼の掌に居るように、私の全てを知られている気分になってしまいます。確かに彼の言うとおり、私は緊張しておりました。取り繕っているつもりでしたが、彼にはお見通しの様です。

 

 

桜木「今からマックイーンは、今まで見られなかったものを、レースの中で見つけると思う」

 

 

桜木「俺はそんな中で、お前に勝ちを求めるほど気の利かない男じゃないと自分でも思っている」

 

 

マック「トレーナーさん‎.........」

 

 

 彼は今、確かに私の勝ちを求めていないとおっしゃられました。そして、それは私の勝利を、今回は期待していないと言っているのと同じ事です。

 だと言うのに、私はその言葉に鼓動が高鳴りました。以前の私でしたら、もっとつっけんどんな反応を見せていたはずですのに.........素直になったものだと自分でも感じます。

 

 

桜木「だから、そのワクワクの赴くままに―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけてこい、マックイーン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺達は.........ここで待ってる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の肩に両手を乗せ、彼は優しく微笑みながらそう言ってくださいました。その言葉に、高鳴る鼓動の間隔が狭まっていきます。

 本当.........ずるい人です。私の喜ぶことを全て分かっているように、彼は素知らぬ顔でそれをしてきます。それでも、私は彼の事が好きなんです。

 

 

マック「あ、ありがとうございます.........///」

 

 

桜木「ようしっ!!有馬終わったら皆でスイーツ食べ放題に行くぞー!!!」

 

 

全員「やったー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「ふふ.........あの時食べたメロンパフェ.........とても美味でしたわ.........♪」

 

 

三人「.........」

 

 

 あの蕩けるような口溶けのよいメロン.........そうそう食べられるような物ではありません。メロンの旬と言えば初夏ですが、冬場であのクオリティを頂けるとなると、楽しみがまた一つ増えてしまいましたわ.........

 

 

タキオン「.........ま、まぁ君が如何にトレーナーくんに心酔しているのかは分かったが、私達を呼んだ理由はなんだい?惚気を聞かせるだけじゃないんだろう?」

 

 

マック「の、惚気って.........その、アドバイスをして欲しくて.........」

 

 

テイオー「アドバイスってなんの?」

 

 

 その言葉を皮切りに、三人は私をその目でじーっと見つめてきました。うぅ.........心で思うだけでこんなにも恥ずかしいですのに、言葉にするなんて.........

 いいえ!日和っていては行けませんわ!ここは思い切って言わなければなりません!!

 

 

マック「その!か、彼ときょ、距離を縮める.........アドバイスを.........///」ゴニョゴニョ

 

 

テイオー「抱きつけば?」

 

 

タキオン「惚れ薬なら作れるが」

 

 

ゴルシ「告白する」

 

 

マック「の、脳筋すぎませんか.........?」

 

 

 こ、この方達は一体何を言ってるんですの!!?抱きつくなんてそんな、はしたない真似出来ません!!!

 それに惚れ薬ってなんですか!!?そんなもので愛する人の心を独り占めにしても何も嬉しくはありません!!!ええ!!!嬉しくありませんとも!!!気になりはしますが!!!

 そしてゴールドシップさん!!!それはもうゴールですわ!!!私の求める最終的な目的地です!!!それが出来れば苦労はしません.........それに.........

 

 

マック「その、非常に申し上げにくいのですが.........トレーナーさんの方から告白して欲しいのです.........」

 

 

ゴルシ「マックちゃんもへたれなのかよ.........」

 

 

マック「だってだって!仕方ないではありませんか!!?私から告白したら、その.........お情けで付き合っていないかどうかなんて.........分かりませんもの.........」

 

 

 頭の中では、何度も私から告白するシーンが夢想されますが、そこに居る彼が了承してくださる際、仮面を付けていないのか、素顔なのかは五分五分の確率なのです.........

 で、でも!彼から告白してくださる場面の時は絶対素顔なんです!!!私はへたれではありません!!!これは確実な方を選ぶ堅実さですわ!!!

 そんな事を心の中で悶々と考えていると、ダイニングルームの入口の扉が開く音が聞こえてきました。

 

 

「あら、マックイーン。今日はお友達を呼んでいるのですね」

 

 

マック「は、はい。少々うるさかったでしょうか?」

 

 

「いいえ、こんな広いお家ですもの。少しくらい賑やかな位が丁度いいのです。テイオーさん、タキオンさん、ゴールドシップさん、ぜひ寛いで行ってくださいね?」

 

 

三人「はーい!」

 

 

 三人は元気な声を上げて見送りをしました。まさか、隣の部屋まで声が届いていたなんて.........気を付けなければ行けないですわね.........

 

 

テイオー「綺麗な人だったねー!!マックイーンのお母さん?」

 

 

マック「?いいえ、母ではありませんけど.........」

 

 

タキオン「ライアンくんかドーベルくんの母親かな?」

 

 

マック「おばあ様ですけど.........」

 

 

二人「.........え?」

 

 

 ああ、そういえば本日はメイクをしていなかった見たいですし、気付かないのも無理はありませんわ。

 先代のメジロ家を支えていたおばあ様はウマ娘ではなく人間でしたので、それはもうすごい貫禄だったらしいのです。私も写真でしか見た事ありませんが、フィルムから凄味が伝わる程でしたわ。

 

 

マック「おばあ様はメジロ家の威厳の象徴でもありますから、人前に出る時は特殊なメイクをしているのです。貴方達のお母様も、今も現役時代とそう変わらないでしょう?」

 

 

テイオー「た、確かに.........」

 

 

タキオン「思えば、私の祖母は人だったからねぇ.........それにしても、今でも走れそうな雰囲気すら感じたよ」

 

 

マック「最近は1000mを全力疾走するのがやっとらしいです。ですが、貴方は驚かないのですね」

 

 

ゴルシ「お?おう。ウマ娘はあんま歳とんねーの母ちゃんで実体験済みだからな」

 

 

 確かに、数回ほどしか会ってはいませんが、ゴールドシップさんのお母様はとても美人な方でした。諸々の事情で皆さんにトマトさんと呼ばれていたり、中身はゴールドシップさん以上の暴れん坊だと言うことを除けば.........

 というより、脱線してしまいましたわ。私が欲しいのはアドバイスです!彼と距離を近付けつつ、彼に私を異性として意識をさせる方法が知りたいのです!

 

 

マック「それで、何か方法はありますでしょうか.........と、トレーナーさんから、告白してくる.........ような.........」

 

 

タキオン「.........それこそデートに誘うしかないだろう?君の携帯で連絡を取りたまえ」

 

 

 で、デート.........以前誘った時は罰ゲームという口実がありましたが、急に誘っても断れられないでしょうか.........?

 そんな不安が顔に現れていたのでしょう、タキオンさんはそんな私を見て、はぁっとため息を吐きました。

 

 

ゴルシ「まぁ、確実なのはやっぱ胃袋を掴む事だな!!!」

 

 

マック「胃袋を!!?」

 

 

ゴルシ「.........何勘違いしてんのか知らねーけど、アタシが言ってんのは美味しいご飯作って食わせるだけだぜ?」

 

 

マック「はっ.........も、勿論そちらのつもりでしたわ!!!」

 

 

 そう言う私を疑り深い目でじーっとゴールドシップさんは見つめてきます。うぅ.........彼女に見つめられていると、なんだか変な気分になってしまいますわ.........

 だ、だって仕方ないではありませんか!!!あのゴールドシップさんですよ!!?本当に胃袋を掴む事だと思ってしまうではありませんか!!!

 

 

テイオー「.........あっ!!ボク良い事思いついちゃった♪」

 

 

三人「え?」

 

 

 突然、天啓が舞い降りたかの様に閃いたテイオー。その顔はどこか、イタズラを思いついた子供のような表情で、いつもの様ににしし♪と、笑い声を上げていました。

 

 

テイオー「あのさ.........サブトレーナーにメッセージで嘘の心理テストして、マックイーンの事どう思ってるか聞けばいいんだよ.........♪」

 

 

マック「な、なんて素晴らしい作戦を.........!!!で、でも私から聞くと、彼も答えづらいかと.........」

 

 

ゴルシ「アタシが聞けば問題ねーだろ!!」

 

 

 自身の胸に拳を当てながら立ち上がるゴールドシップさん。この時ほど彼女が居てくださって良かったと思う日はありませんでした。

 

 

マック「さ、早速お願いしますわ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「だァァァァクッソッッ!!!2002UMなんて猛者しかもうやってねぇのかよッッ!!!」ブチッ!

 

 

 白熱した激戦の末負けた俺は、対戦ロビーを出てからゲーム機の電源を落とした。スリープじゃないぞ、コンセントから引き抜いてやった。

 あんな土壇場でまさか十割どこでもコンボ決めてくるなんて思っても見なかった。多分台湾勢か何かだろう。

 

 

桜木「アイツらに殺害予告送ってふて寝しよ.........あれ、なんかゴールドシップから来てる.........なんだろう?」

 

 

 コンビニのトイレで身体中の穴という穴に小銭詰め込んで絶命させるという類の殺害方法をいつものバカどもに送ろうとアプリを開くと、ゴールドシップからのメッセージが届いているのが確認できた。

 またどうせ突拍子も無い事やってんだなと思いながら開いてみると案の定、心理テストを始めると言った簡素な文章が送られてきていた。

 

 

桜木[なに?]

 

 

ゴルシ[貴方は今マックイーンと一緒に居ます。彼女と何をしたいですか?]

 

 

 なんだこれ、心理テストにしては状況が限定的すぎるだろ.........俺を罠にでも陥れようとしているのか?

 まぁここで既読無視を決め込んでもいいが、休み明けのトレーニングが地獄と化さない保証はどこにもないため、真面目に考えた。

 うーん.........マックイーンと何をしたいかか.........もう少し状況を絞り込みたいな.........

 

 

桜木[他のみんな呼ぶとか?]

 

 

ゴルシ[ダメです。マックイーンと二人っきりで何をしたいか考えてください]

 

 

 うわ、完全にふたりきりだ。考えただけでも緊張してくる。ただでさえ可愛いのにふたりきりになんてなったらもう爆発するぞ。

 いや.........俺はトレーナーだ。そんな気持ちを持つ事は許されない。最近先輩トレーナーが卒業するウマ娘と結婚するだのどうだの言ってたが、俺は違う。公私混同はしないタイプ.........のはずだ。

 自覚している恋愛感情に蓋をして、とりあえず考えてみよう。マックイーンとふたりきりになる。どうせなら、彼女の喜ぶ顔がみたいところだ。彼女が喜びそうなこと.........

 

 

桜木[食べ歩き]

 

 

 そうメッセージを送ってみるが、既読は着いたものの、三分程返信は帰ってこなかった。まぁ、いつも通りの気まぐれだろうと思っていると、携帯が通知を知らせる為の振動を発生させる。

 

 

ゴルシ[マックイーンと食べ歩きをしたいと言った貴方は欲求不満です。何か我慢してる事はありませんか?誰かにその言葉を伝えたり、或いは本人に伝える事で解消されるかも知れません]

 

 

桜木「こ、コイツ.........」

 

 

 心理テストと称して、実は俺の事をただ虐めたいだけなんだろう?えぇ?いい度胸してんじゃねぇかこの黄金ペンキ船娘が

 今日の俺はちょっとバイオレンスだ。なんせ直前に負けられない戦いで負けちまったからな。許されなくていい。だが俺はこの長い人生の中で優しいと言われた人種だ。そんな人達を嘘つきにしない為に、自分は優しくないとは言わない。

 

 

ゴルシ[では次に貴方はマックイーンの好きな所を三つ答えて下さい]

 

 

桜木「ゴールドシップになァッッ!!!人の心に寄り添うなど!!!出来るわきゃねェェェだろォォォォォッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マック「き、来ましたわ!!」

 

 

ゴルシ「[上品な所]、[素直な所]、[一緒に居て落ち着く所]かー。なんかパッとしねーなー」

 

 

マック「これだけ聞き出せれば十分です!」

 

 

 あの人から挙げられた私を好ましく思う部分。思ったより良い収穫でした。普段一緒に居ても、自分のどこに魅力を感じるのか分かりませんもの。

 私がそうやって喜んでいる隣で、タキオンさんは興味深そうに唸り声を上げました。

 

 

タキオン「それにしても的確な心理テストをしたねぇゴールドシップくん」

 

 

三人「え?」

 

 

タキオン「これは深層心理に基づいたかなり的確な質問方法だよ。前の二つは、まぁ本人も思っている事だとは思うが、本心は三つ目の[一緒に居て落ち着く所]だろうねぇ」

 

 

 なるほど.........さすがタキオンさん。心理的な分野にも精通しているだなんて、驚きましたわ.........

 あれ?でも待ってください?一緒に居て落ち着く所なんて、これから先どう伸ばして行けばいいんですの!!?

 

 

マック「ど、どうしましょう.........一緒にいても喋らなければ良いのでしょうか.........?」

 

 

テイオー「またトンチンカンなこと言ってるよ」

 

 

マック「こ、こっちは真面目に考えてるのです!!!」

 

 

 また呆れた様子でため息を吐いておりますが、私は至って真面目です。考えても見てください。一緒に居て落ち着くという彼の本心から感じている私への魅力を、これからどう高めろと言うのです?

 いえ、方法はありますわ。まず彼が落ち着くという所作から身につけ、その後は彼が落ち着いて話せる聞き方、そして服装、立ち振る舞い.........最後に彼の落ち着く住居を提供すれば良いのです!!!さすが私!!!出来ないことなんて何にもありませんわ!!!

 そんなことをしていると、不意に携帯を操作する音が聞こえてきます。またゴールドシップさんが心理テストをしているのでしょう。そう思い、私は彼女の手に持っている携帯を覗きこみました。

 

 

マック「.........ん!!?これ私のウマフォンですわよねェ!!?」

 

 

ゴルシ「ふぅー!良い事したなー!」

 

 

マック「何してくれてるんですの貴女ァァァ!!!」ブンブンブンブン!!!

 

 

ゴルシ「いや心理テストも飽きちまったしマックちゃんの代わりにデートに誘ってやっただけだろー!!?苦しーーー!!!!!!」

 

 

 力強くゴールドシップさんの背中を掴みながら、彼女の全面で空気抵抗を受けさせるように振り回します。

 彼女が操作していたのは私の携帯でした。そしてちゃっかりトレーナーさんをデートに誘っておりました。私への仕返しですか?貴女がデートに誘われた時勝手に返信した?

 くっ.........なにも言えませんわ.........!彼女にはそれをする権利がありますし、私はそれを受けるだけの事をしてしまいました.........!悔しいですが、彼女を解放して差し上げましょう.........

 

 

テイオー「マックイーンってだんだんサブトレーナーに似てきたよね」

 

 

タキオン「確かに」

 

 

マック「ぜぇ......ぜぇ.........」

 

 

ゴルシ「これが恋.........?」バクバク

 

 

マック「はっ倒しますわよ」

 

 

 慣れないことはするものではありませんね.........実戦で使用経験の無いメジロ護身術48ある先手技の一つ。風林火山の風まで出してしまいました。危うく彼女をマットに沈めてしまう所でした。

 さて、どんなメッセージを送ってくれたのか期待せずに確認して見ますと、そこには[実は最近、気になるスイーツ店があるのですが、自分一人では節制が難しそうなので、トレーナーさんと一緒に行きたいのです]と言った違和感のない文章を送っておりました。

 

 

マック(たまには役に立ちますのね)

 

 

ゴルシ「あっ!!アタシそういやエイシンフラッシュと創作料理対決する予定だったんだ!!わりーなマックイーン!!!結果は今度聞かせてくれ!!!」

 

 

マック「え!!?あの、ちょっと!!!」

 

 

 私の制止を聞かずに、ゴールドシップさんは部屋を出ていかれました。その後、廊下側から自分の手だけを見せるようにして手を振ると、彼女の力強さを感じる足音が私達の耳に響いてきました。

 私は嫌な予感がして、残っているお二人の方を見ると、テイオーもタキオンさんも、お互い顔を見合わせてから悪い笑みを浮かべておりました。

 

 

タキオン「実はこれから私もデェートの約束なんだよぉ♪悪いがマックイーンくん。この後の対応は君でやってくれたまえよ」

 

 

マック「えぇ!!?」

 

 

テイオー「ボクもこれからデートなんだよねぇ♪それじゃーねマックイーン♪」

 

 

マック「はァ!!?あ、相手は誰です!!?それを言わない事にはお二人共ここから一歩も出しませんわよ!!!」

 

 

 に、逃げようたってそうはさせません!お二人共良い言い訳を思いついたような感じでしたが、墓穴を掘っておられます。デートには勿論一人では行けません。嘘であるならば相手が誰であるかなんて.........

 

 

タキオン「そんなの黒津木くんと水族館に行くに決まってるじゃないか」キョトン

 

 

テイオー「カイチョーとハチミー飲むに決まってるじゃん」キョトン

 

 

マック「な、あ.........」

 

 

 あっけらかんと、そうおっしゃる二人に対して、私は言葉を失いました。絶句しました。

 よ、よくそんな恥ずかしげも無くデートなんて言えたものです.........こ、これはもう私の完敗です.........

 お二人は固まっている私を放って、この部屋から出て行ってしまわれました。薄情な人達です.........私はこんなに真剣に悩んでおりますのに.........

 

 

マック「うぅ.........なんでそう簡単にで、デートにこぎつけられるんですの〜.........?」

 

 

 テイオーは兎も角、タキオンさんですらあの積極性.........私も見習うべきだとは思っておりますが、如何せんその勇気が出てこないのです.........

 そう.........あの人の顔を思い浮かべているだけで、もう私はいっぱいいっぱいで.........

 頭の中の思考が全て彼に割かれているそ時、突然。手に持っていた私のウマフォンが振動しました。

 

 

マック「ひゃあ!!?」

 

 

 思わず両手を思い切り上に振り上げてしまい、危うく自由落下による地面との衝突で携帯が壊れてしまう所でした。

 うぅ.........なんともみっともない.........こんな姿、メジロ家の誰にも見せることは出来ませんわ.........

 高鳴る鼓動を自覚しつつ、心臓があるであろう部分を手で押さえつけながらその通知を確認すると、やはり彼からのメッセージでした.........

 意を決して、トークアプリを開きますと、そこには想像していたより好意的な文章が送られてきておりました。

 

 

桜木[俺も最近頑張ってるマックイーンになにかしてあげたいと思ってたし、丁度いいな。いつ行く?]

 

 

マック「.........はぅ」

 

 

 もう.........全くもう!!!この人はどうしてこんなに私の心に直接触れてくるような優しさを持っているんですの!!?

 が、我慢です.........!どうせ彼と会ってしまえばこの気持ちを伝える勇気なんて微塵も湧いてこないんですから.........

 そう思いながら、私は送りかけていた[そういう所が好きなんです]と言った告白紛いなメッセージを消し、[急で申し訳ありませんが、明日はどうでしょう?]と打ち込みました。

 

 

マック「こ、これなら断られる可能性もありますわ.........」

 

 

 もったいないと思いつつも、何故かそんな残念な行動を取ってしまいます。実際には来週にも時間はあるのですが、リスクとリターンが合っていないこの行動が一番安心するのです。

 これが恋.........?なんて、ゴールドシップさんのような事を考えてしまいますが、実際そうなのでしょう。彼に会いたいと言う思いと、ドキドキしたくないと言う思いが入り交じってしまいます。最近になって、私はこういう事に弱いのだと自覚しました。

 そうして暫くしている内に、また私のウマフォンに通知を知らせる振動が起きます。果たしてどちらに転ぶのでしょう.........私はドキドキしながら、瞑っていた目をゆっくりと開き、その内容を確認しました。

 

 

桜木[良いよ。誘ってくれてありがとう]

 

 

マック「〜〜〜!!!」

 

 

 声にならない声を上げながら、私はその場でぴょんぴょん跳ねたい気分を押さえつけました。本当にずるい人です。でも、そんな所が.........

 暫くして正気を取り戻した私は、彼に目的地と集合場所、時間を指定したメッセージを送り付けました。

 

 

 そしてデート当日、私はトレーナーさんと気になっていたスイーツ店へと足を運びましたが、味や雰囲気などを堪能している余裕は無く、一連の記憶がありませんでした。

 唯一覚えている事と言えば.........彼が抹茶アイスやチョコミントアイスを好んでいて、意外に女子力の高い、可愛い一面があったと言う事だけでした.........♡

 

 

 

 

 

  ......To be continued

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