山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜   作:ギノっち@カマタラル

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T「ファン感謝祭開催!」マック「お化け屋敷に行きますわよ!!!」

 

 

 

 

 

 ファン感謝祭予行日。俺は休憩をとった(とらされた)マックイーンと一緒に外の屋台や喫茶店を周り終え、学園内へと足を運んでいた。

 

 

ゴルシ「もし、そこのお方」カタカタカタカタ

 

 

桜木「うおびっくりした!!?ゴールドシップ?どうしたんだ、おばあちゃんみたいな話し方して.........」

 

 

 まるで俺達を待っていたかのように現れたゴールドシップは、腰をまげ、顔をしわくちゃにして角からにゅっと現れてきた。

 

 

ゴルシ「私はゴールドシップですじゃ.........」

 

 

二人「知ってる(知ってますわ)」

 

 

ゴルシ「旅のお方や.........老い先短いワシを、若返りの薬を作ると言われる少女の元へ連れてってくれたもれ.........」

 

 

桜木「無視しよう」

 

 

マック「そうですわね」

 

 

ゴルシ「あぁぁぁぁぁ腰がッッ!!?腰がァァァァァァッッ!!!」

 

 

 壁に張り付いてわーぎゃーと頭を振り、喚き散らし始めたそれを見て、俺達は元気じゃん.........と思った。もう無視してもいいんじゃないのか?このまま置き去りにして行っても許されるんじゃないか?そう思い、俺達は素通りしようとした。

 

 

ゴルシ「.........マックイーンの好きなひ―――」

 

 

マック「さぁさぁさぁさぁゴールドシップおばあちゃん!!!私がおんぶして連れて行って差し上げますわ!!!」

 

 

桜木「うわ!!?さっきまで隣歩いてたのに!!?」

 

 

 気がつけば先程までゴールドシップが居座っていた場所で、マックイーンがキメ顔で彼女をおんぶしていた。若干、額に汗が滲んでいる気がする。

 一体、何が彼女をそこまでつき動かしているのだろうか?

 

 

桜木「マックイーン、お化け屋敷は.........?」

 

 

マック「そんなの後からいくらでも堪能できます!!!おばあちゃんの生死が掛かってるんですのよ!!?」

 

 

ゴルシ「掛かってんのはマックちゃんじゃね」

 

 

マック「誰のせいだと思ってるんですの!!!だ・れ・のッッ!!!」

 

 

 不機嫌そうな顔でゴールドシップを背負い、俺の隣で歩くマックイーン。背負われている方は何だか嬉しそうな感じだ。

 ゴールドシップの身長が高いせいか、マックイーンが若干屈んでいるのもあって足がつくかつかないかの感じになってる。

 

 

桜木「.........んで?どこに行きたいって?」

 

 

ゴルシ「タキオンがよー!なーんか面白そうな事やってたんだよー!おっちゃん達も連れてこーかとおもってさ!!」

 

 

桜木「そりゃまた.........ありがたいことで」

 

 

 いつも通りの明るさで何ともないように言うゴールドシップ。だったら降りてあげなさいよ。君の体はマックイーンにとっては割と辛いと思うよ?いくら鍛えてるとは言え。

 

 

桜木「タキオンの出し物は.........二階実験室か」

 

 

マック「すみません。元気そうなので降りてもらえますか?」

 

 

ゴルシ「いーやーだー!!ん〜じいちゃん家の畳の匂い.........」スゥー

 

 

マック「え.........私、そんな年寄りの住んでるご自宅の匂いがするんですの.........?」

 

 

 酷くガッカリとしたマックイーンが、俺に何かを訴えかけるような目で見てくるまでそう時間はかからなかった。

 どうしろと言うんだ俺に、そうアイコンタクトを取ろうとしたが、マックイーンはなりふり構って居られないのか、催促するように顎で俺に命令してきた。いいからやれ、と。

 

 

桜木「.........失礼します」スンスン

 

 

マック「ん.........」ソワ...

 

 

桜木「え.........別にそんな変な匂いはしないぞ?普通にシャンプーの匂いくらいしか.........」

 

 

ゴルシ「.........」

 

 

 俺はそう言いながらゴールドシップの方に視線を移したが、マジかよ、と言うような表情で俺の顔を見ている。完全にドン引きされてしまった。いや、仕方なく無い?これしか方法は思いつかなかったんだが?コンボイ司令でも隣に居てくれたら違ったか?

 つうかなんなんだよお前の爺さん。人の匂いがする畳で生活してるってとんだ変態野郎じゃねえか。畳にシャンプーでもぶちまけてんのか?しかもマックイーンの匂いの?

 ダメだ、なんか無性に腹が立ってきた。どこの誰かも知らんがうちのマックイーンに変な印象与えやがって。会う機会があったらぶちのめしてやる。

 

 

桜木「とにかく!マックイーンから畳の匂いなんかしてない!!!お前の爺さんが頭おかしいだけ!!!」

 

 

ゴルシ「何も言えねー.........」

 

 

マック「否定しないのですね.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜木「なんだここは.........」

 

 

 ゴールドシップに促され入った実験室。タキオンの根城であり、本来であるならばそこで何やらいかがわしい実験をして俺に提供してくれる薬を作ってくれているのだが、今は違う。

 

 

桜木「ケ〇ズデンキかな?」

 

 

ゴルシ「〇マダ電機だろ」

 

 

マック「ビッ〇カメラの可能性も捨てきれませんわ」

 

 

タキオン「やぁやぁよく来たねぇ!」バサッ!

 

 

 袖がダルダルな白衣の両腕を広げ、音を鳴らすタキオン。中を見るにそこにはありとあらゆる家電が配置されていた。

 一体どういう事だ?お前こういう時は大体、実験教室みたいなことやって子供を楽しませるキャラだろ?

 それが、こんな、家電大好きウマ娘に、いつの間に.........

 しかもスーパーで良く流れてる曲も聞こえてくる。お前は何を目指しているんだ?

 

 

ゴルシ「面白そうだろ?」

 

 

桜木「面白いか面白くないかでいったらハチャメチャに面白い」

 

 

マック「あの、なぜこんな企画を.........?」

 

 

タキオン「良いかい、人類というのは、己を進化させず、周りの物を環境に適させ、高度にし続ける事で発展を遂げてきた生き物だ」

 

 

 うわまずい、なんか急に真面目に語り始めたぞ.........こういう時の顔はキリッとしていて見栄えは良いのだが.........それをもう少しトレーニングの時に見せてくれればなぁ.........

 

 

タキオン「つまり!!人類の進化=家電の活躍なのだよ!!マックイーンくん!!」

 

 

マック「な、なるほど.........!!」

 

 

 何がなるほどなんだマックイーン。君は少々流されやすい節があると思うぞ。

 まとりあえずは、色々と見てみることにしよう。どこか納得している彼女を尻目に、ゴールドシップと共にタキオンの選別した家電を見ていく。

 

 

桜木「掃除機かぁ.........俺もそろそろ変えようかと思ってんだよなぁ」

 

 

ゴルシ「.........お?これとか良いんじゃねー?」ブォー

 

 

タキオン「ほう!お目が高い!これは最新技術の詰まった掃除機でねぇ!この軽さにして従来の吸い込み力!容量共に開発企業の過去製品を軽く超えているものなのだよ!」

 

 

桜木「おかしいな.........タキオンが家電量販店の制服着てるように見えてきた.........」

 

 

 普段は買わない物を宣伝してきてウザったらしいことありゃしない店員だが、ここまで顔がいいと買ってしまうこともあるかも.........

 いや、顔じゃねぇな。タキオンみたいにねちっこく宣伝されたら買った方がダメージないだろ。顔も知らない一般人ならともかく、顔見知りを相手にしたコイツは本当に面倒だ。

 

 

桜木「おいくらですか?」

 

 

タキオン「君、ここを家電量販店か何かだと思っているのかい?」

 

 

桜木「あ、ごめん」

 

 

 やばい。ナチュラルにもうお店に来てる感覚になってた。呼び込み君が悪いよ呼び込み君が。

 それにしても、こんな量の家電。どこで用意してきたのだろう?まさか自前?こんな量のあれやこれやを?

 

 

タキオン「.........顔に出ているよトレーナーくん。言っておくが、これは一応黒津木くんが連絡取って企業から借りているものだからねぇ。壊さないでくれたまえよ?」

 

 

桜木「はぇ〜。コミュ障も推しの為なら動けるんすねぇ」

 

 

ゴルシ「みろよマックイーン!!この炊飯器パンも作れるぞ!!」

 

 

マック「え、炊飯器でそんな事する必要あります?」

 

 

 パンを食べたければパンを買えばいいでは無いか。そんなことを言いたげなマックイーンに呆れるゴールドシップと、確かにと言うような顔を向けるタキオン。立場が反対ではないか?

 

 

タキオン「まぁ、人間というのは過剰なものを好む傾向にある。使わない機能も着いていればそれが欲しくなるものさ」

 

 

桜木「お前は炊飯器で調理出来れば良いだけだもんな.........」

 

 

 彼女が炊飯器調理に目覚めてもう三年は経つだろうか.........以前のままだったなら、正直付きっきりでご飯だのなんだのを世話しなければ行けない状況に陥っていたが、正直助かっている。

 ありがとう黒津木。お前のお陰でタキオンは自立への一歩を踏みだした。健康?知らん。サプリで何とかするでしょ()

 

 

タキオン「ああ!実演映像もあるぞ!そのモニターの下のボタンをおしたまえ!」

 

 

三人(炊飯器の実演ってなに?)ポチッ

 

 

モニター「テーン!テテンテンテテテー→テー↑テー↓テー→テー↑テー↓テー!!!↑↑↑」

 

 

桜木「うわ」

 

 

 てってってーをBGMに映し出された物は炊飯器でもなく、ましてや料理に使う食材でもない。ジョッキと、氷と、業務用ウイスキーだ。そこから横に流れるように出てくる文字には生存報告だの、畳が汚ぇ!だの、酷いものだ。

 

 

「う゛ー☆」

 

 

ゴルシ「文字が横から流れてくっけど、なんだこれ?」

 

 

タキオン「えぇー!!?君は日本が誇る動画サイトである[ニコニコ動画]を知らないのかい!!?」

 

 

ゴルシ「知らねー」

 

 

マック「あの、この人は一体.........?」

 

 

桜木「奴の名はwawawa。人々は奴をアル中カラカラと呼ぶ」

 

 

 次々と疑問が生み出されるこの映像。肝心の炊飯器は30秒たっても現れない。心做しか、タキオンがハイボールをカラカラさせる音に反応している気がする。

 その後も、タキオンの眠くもならない程の情報量の入った家電説明を、延々と聞かされた.........

 

 

タキオン「さて、一通り説明も済んだが、君達はどうするんだい?」

 

 

マック「一応、お化け屋敷の方に行きたいと考えていますが.........」

 

 

タキオン「ああ、あのお化け屋敷ね。気をつけたまえよ?黒津木くんと一緒に回っていたが、私は暗闇の中で急に耳を触られて泣いた」

 

 

 泣いちゃったの.........?あのタキオンが?どうしよう.........すんごい行きたくなくなっちゃった.........怖いの苦手なんだよね俺.........

 

 

ゴルシ「だったらよー!そこ行く前にアタシの所来いよ!!このゴールドシップ様が宇宙の神秘をねっちりみっちょり叩き込んでやっからさー!!!」

 

 

マック「いえ、間に合っ「行こう!!!」―――トレーナーさん?」

 

 

 静かにこちらに振り返って俺を見るマックイーン。余計なことを言うなと、そのにっこりとした表情はそう言っている。だが俺も引く訳には行かない。お化け屋敷は怖い。タキオンが泣いたのなら俺も泣く。

 

 

ゴルシ「来いよーマックイーン.........アタシだって、真面目に準備してやったんだぜ.........?」

 

 

マック「.........はぁ、仕方ありませんわね」

 

 

 その言葉を聞き、俺は心の中で小さくガッツポーズをした。その瞬間ギロッとマックイーンに見られた。何故だ。俺は表の顔では苦笑いで済ませたはずだ。

 

 

ゴルシ「おっしぇーい!!そうと決まったら早速出発だー!!」ガバッ!

 

 

マック「え!!?ちょ、ちょっと!!おろしてくださいまし!!!」

 

 

桜木「おー!!!こりゃ楽ちんだなー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルシ「到着ーーー!!!」キキーッ!

 

 

マック「だ、大丈夫ですか?トレーナーさん?」

 

 

桜木「.........ウップ」

 

 

 彼女が企画したイベントが開催されている教室の前。止まった瞬間、彼は投げ出されましたが、私はゆっくりと地面に下ろされました。

 両手を着いて無事に着地した出来たものの、そこから動かない彼に声をかけましたが、どうやら中身は無事では無かったようです。

 

 

桜木「ホンマごめん。ゴルシ叱る」

 

 

ゴルシ「なんで!!?」

 

 

マック「.........まぁ、それが嫌なら今後乱暴に運ぶのはやめた方が賢明ですわ」

 

 

 ため息を吐きながら、騒ぎ始めたお二人を後目に教室の扉を開けました。そこには、思っていたより真面目な空間が広がっておりました。片隅の一角を覗いて。

 

 

マック「星座.........でしょうか?」

 

 

ゴルシ「おうよ!!アタシは星座の良さを伝える為の伝道師だからな!!!アタシと言えば.........星、だろ?」

 

 

 全くそんなイメージなんて持ち合わせておりませんけど?またいつものように焼きそば店でも開いているのかと思っておりましたわ。

 私は教室に足を踏み入れ、丁寧に星と星の間に線を書かれた写真の前に立ちます。この写真をゴールドシップさんが.........そう思い、隅々までその写真を見ていると、[提供者 アドマイヤベガ]という文字が書かれていました。

 

 

マック「.........貴方が撮ったのでは無いのですか?」

 

 

ゴルシ「お?あたりめーだろ?冬に見れる星座が今見れる訳ねーしよ。写真に収めてる奴居ねーかなーって探したら居たんだよ!!丁度良い奴がさ〜!!!」

 

 

桜木「お、顔写真もあるぞ。どっかの野菜売り場みてぇだな」

 

 

 彼がそう言って指を指した先には、ゴールドシップさんに強く頬を寄せられ、若干顔が押し潰されながらも嫌そうにピースサインをしているウマ娘の姿がありました。恐らく、彼女がアドマイヤベガさんなのでしょう。

 

 

ゴルシ「因みにそこに居るぜ」

 

 

白銀「あと何球続ける?」

 

 

「1000球」

 

 

 あぁ.........目に入れまいとしていたファンシーな一角で、フサフサの何かを延々と投げ付けられているウマ娘と、白銀さんが居ましたわ.........

 そして、それを投げられている方は明らかに、先程嫌そうに写真に取られていたアドマイヤベガさんその人でした。

 

 

マック「なぜこんな事に.........?」

 

 

ゴルシ「いやさー!手伝ってくれた礼になんかさせてくれって言ったらよー!フワフワを提供してくれって言われたんだよ!!だから提供した。白銀が」

 

 

白銀「お前らも触るか?一個五万円のもふもふボール」

 

 

桜木「たっっっか」

 

 

マック「す、凄い触り心地ですわ.........!」

 

 

 これは.........よくあるぬいぐるみのような毛並みとはまた違う、上質な.........まるで、そう!ワンちゃん!生き物の生きた毛並みのようです!!

 こ、こんなものがあっただなんて.........世界にはまだまだ、私の知らない事があるのですね.........!!!

 

 

白銀「ああそうだ。ついでにこれも見てけほら」

 

 

桜木「.........?なんだ、望遠鏡の先っちょになんか付いてんぞ」

 

 

ゴルシ「ソイツも白銀が用意したんだ!!特性VR装置!!覗いたら星座が見れちまうんだ!!」

 

 

 そ、そんなものまで用意しているとは.........もはや、一学生の出し物と言うより、企業の技術披露のような物になっていますわね.........

 

 

桜木「へー.........俺星座興味ねーから良いや」

 

 

白銀「あ?やんのかデコ助野郎ォ?」

 

 

桜木「悔しいか?だったらどうすんだ?おい!白銀!!!どォすんだよォォォッッ!!!」

 

 

マック「AKIRAは良いですから!!全く、困った人達ですわ.........」

 

 

 顔を合わせればすぐこれです。仲はよろしいはずですのに、なぜこうも喧嘩のような会話しか出来ないのでしょう?そう思いながら、私は彼の手から取った望遠鏡を覗きこみました。

 

 

マック「まぁ.........!本当にそこに星空があるみたいです.........!」

 

 

ゴルシ「すっげーだろ!アタシも初めて見た時度肝抜かれたぜ!!因みにこのスイッチを押すと.........」

 

 

マック「.........!季節が変わりましたわ!!」

 

 

 先程まで、春の星空が見えていましたが、画面が切り替わり、今度は夏の星空が浮かび上がってきました。これは普通に商品化しても大ヒット間違いありません!!

 

 

ベガ「これのお陰で、好きな時に大三角形が見られるの。季節や夜を待つ必要ないから素晴らしいわ」

 

 

桜木「子供の勉強にも役立ちそうだな。商品化すれば良いのに」

 

 

白銀「俺が投資してないとお思いで?」

 

 

桜木「ムカつく」

 

 

 口ではそうは言っていても、あまりそんな感情は感じとれません。きっと適当に返事をしたのでしょう。

 まぁ、これでゴールドシップさんの催しも一通り確認できたでしょう。次はいよいよ、お化け屋敷です!

 

 

マック「さぁ行きますわよトレーナーさん!お化け屋敷です!!」

 

 

桜木「え゚」

 

 

 私がそう言うと、彼はすっとんきょうな声を出し、身体を強く硬直させました。一体どうしたので.........あっ

 

 

マック(そ、そう言えば.........夏合宿の際、怖いのは苦手だと言っていたような.........)

 

 

 すっかり失念していました.........ど、どうしましょう.........ここでやっぱりと言うのも、気を使った事に気付かれ、失礼にあたるかもしれません.........

 何とかして興味が無くなったということを伝えなければ.........いえ、先程まであんなに行きたがっていたのに、やはりそれは不自然かしら.........?

 そんなことを思っていると、トレーナーさんの首を刈り取るように、白銀さんの見た目は細く、筋肉が敷き詰められた腕が伸びました。

 

 

白銀「なんだなんだ?お化け屋敷デートかよ?羨ましいなおい。行くぞゴルシ」

 

 

ゴルシ「は、はァ!!?お化け屋敷なんかぜってー行かねーぞアタシは!!!」

 

 

白銀「怖いの.........?」シワァ

 

 

ゴルシ「怖くねーし!!!そんな言うんだったら行ってやるよ!!!なぁおっちゃん!!!」

 

 

桜木「ぴぅ.........」

 

 

 今まで聞いたことも無い情けない声が彼から聞こえてきました。助けて、というように私の方をチラりと見ましたが、もう知っているでしょう。彼と彼女はもう止まりません。

 それを次第に理解して行ったのでしょう。彼も白銀さんと同じように顔をシワシワに.........どこかで見た事あります。確か、以前映画をやっていた名探偵―――

 

 

白銀「決まりィッ!おら行くぞバカと屑と暴食獣!!!」

 

 

桜木「ラノベで流行りそ〜」

 

 

マック「.........待ちなさい!!まさか暴食獣って私の事ですの!!?」

 

 

ゴルシ「そーだそーだ!!!マックイーンは確かにポップコーン早食いしちまうけど可愛い小動物系だぞ!!!」

 

 

マック「ゴールドシップ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イクノ「おや、マックイーンさんに桜木トレーナーさん」

 

 

 順番待ちの最前列。白銀さん達は先に行かれましたが、トレーナーさんに逃げたら今までコレクションしたゲーム全部焼き払うと言って牽制してきました。

 その時のトレーナーさんの顔と言ったら、もう阿修羅でした。怖いのが苦手と言うことすら忘れてしまう程の怒り具合。そこから分かるのは、白銀さんは冗談でそんなことを言わないということです。本当に恐ろしい人ですわ.........

 

 

桜木「先にバカとゴールドシップが入ってったけど、どう?」

 

 

イクノ「そうですね.........白銀さんの方は楽しそうでしたが、ゴールドシップさんは入る前から強がっていました」

 

 

マック「彼女にも弱点があったのですね.........」

 

 

「ゴルシ!!!」

 

 

「やめろォ!!!」

 

 

 中から聞こえてくる彼女の怒号にも似た悲鳴。先程聞こえてきた白銀さんとの声と比較しても、とても大きな声でした。

 大丈夫でしょうか?そんな心配をした瞬間、教室の中で大きい衝撃音が鳴り響き、私とトレーナーさんを含めた全員が身体を硬直させました。

 少しの静寂。その静寂を奥側の扉から出てきたゴールドシップさんが終わらせ、次のざわめきを、白銀さんがうつ伏せで引き摺られる姿で始まらせます。

 

 

桜木「しッ.........白銀ッッッ」

 

 

マック「なっ、なにが.........」

 

 

白銀「.........」

 

 

 その時、白銀は思い出した。あの衝撃音が鳴り響いた中で、一体お化け屋敷で何が起こったのかを.........

 

 

ゴルシ『.........ッッッ!!!!!』ガバッ!

 

 

白銀『え』

 

 

 声もあげずに、ウマ娘の本能で感じとった暗闇の中の気配に、ゴールドシップは反射的に白銀に抱き着いた。それが全ての原因であった。

 どこがとは言わない。いや、言えないと言った方が正しいであろう。白銀はその一瞬、 宇宙の全てを理解できるほどの思考スピードでそれが何かをつきとめた。

 

 

白銀(や、柔らけェ.........!!!俺が今まで触ってきたどのπよりも.........!!!しかもそれだけじゃねェ!!!張りも弾力も、制服の上からでも分かっちまう程のポテンシャル!!!死―――)

 

 

 それが、彼の最後の思考であった。

 

 

白銀「.........」スクッ

 

 

桜木「うわ、鼻血やば」

 

 

マック「い、一体何が「マックちゃん」―――?」

 

 

ゴルシ「それ以上。言わねーでくれ.........」カァ〜

 

 

 そう言いながら、ゴールドシップさんは顔を抑え、火で炙られたような熱さを感じる程の紅潮を見せました。

 一方、トレーナーさんは何も言わず、彼にポケットティッシュを渡しました。その姿から、何があったのか察したようです。

 

 

桜木「.........フッ、まさかテメェが、鼻血を出しちまうなんてな、恋愛マスター?」

 

 

白銀「ああ.........こんな気分、初恋ですら感じなかった.........こりゃ正しく、[恋]。って奴だぜ.........」

 

 

 鼻に栓を詰めながら、どこか誇らしげな表情をする白銀さん。彼はその後、優しくゴールドシップさんをエスコートして元来た道を戻っていきました。

 

 

マック「.........人って、一瞬で変わるものですのね」

 

 

桜木「ああ、結局性格とか人格ってのは綱渡りみたいなもんで、何かあって踏み外しちまったら、もう別人みたくなっちまうものさ」

 

 

 わざとらしく悲しそうな顔を見せるトレーナーさんの姿からは、何故か本当の悲しみを感じてしまいました。先程まであんなにシュールだった空気が、今は少し、肌寒く感じてしまいます。

 

 

イクノ「次はマックイーンさん達の番ですよ」

 

 

マック「あ、どうしますトレーナーさん?ホラーは苦手だったでしょう?」

 

 

桜木「えぇ.........今気付いてくれたの?もうここまで来ちゃったし行くよ.........学生のお化け屋敷、怖気付いてたら笑われるし」

 

 

 そうは言いつつも、それでも若干怖そうにしているトレーナーさん。ようやく話を切り出せてほっとしました。これで心置き無く、彼とお化け屋敷.........

 あ、あわよくば、彼に自然に抱き着いて、私を意識させることが出来たなら.........!!

 そんな、私欲を滲み出しつつも、私達はお化け屋敷へと入っていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこと全くありませんでしたわ.........

 

 

桜木「マックイーン!!!今どこら辺!!?いつ終わる!!?」

 

 

マック「.........まだ三歩しか進んでいませんけど」

 

 

 どうしましょう.........ここまで苦手だったとは.........私も怖い話やホラーの類は苦手だと自覚していますが、流石にここまでではありません。まぁ、今も少し怖いですけど。

 

 

「ひっひっひっ!ターボに追いつかれたら食べられちゃうぞ〜.........?」ペタペタペタペタ

 

 

桜木「う、動けん.........!!!バカなっ、金縛りだと!!?」

 

 

マック「ただすくんでるだけですわ.........はぁ」

 

 

 もっとこう、頼りになると思っていましたのに。そう思いながら、私は彼の手を探るように手を伸ばし、ゆっくりとその手を握りました。

 

 

マック(.........心地の良い温かさね)

 

 

桜木「ねぇ!!!これマックイーンの!!?マックイーンのおててなの!!?」

 

 

マック「ああもう!!!雰囲気が台無しですから!!!少し静かにしてくださいまし!!!」

 

 

 机で作られたバリケード。その外側を裸足で行ったり来たりしているのでしょう。ツインターボさんの足音が遠くへ行ったり、近づいてきたりしてきます。

 

 

「一枚.........二枚.........」

 

 

桜木「今度はなに!!?目ぇ瞑ってるから分かんない!!!前に居るよね!!?」

 

 

マック(白装束を着たナイスネイチャさんなのだけど、少しからかってみようかしら)

 

 

マック「そうですよ、あれは買ってきた折り紙が一枚足りなかったせいで未練を残してしまった、女の子の幽霊です」ヒソヒソ

 

 

ネイチャ「いやいや、変な設定付け足さないでくれます?」

 

 

 私が彼の耳に近づいて、そう囁くように言うと、硬かった彼の体の硬直が更に増しました。まるで鉱物のようです。これは.........なかなか楽しいかもしれません♪

 

 

ネイチャ「だ、大丈夫.........?」

 

 

桜木「ヒッ!?ええい!!!折り紙なんていくらでも買ってやる!!!成仏してくれ!!!臨!兵!闘!者!皆!陣!烈!在!前!」

 

 

 目を強く瞑り、片手で王冠のネックレスを握り締めながら胸に十字を一心不乱になぞり続けるトレーナーさん。

 わ、笑っては行けませんわ.........!だ、だって彼は、本当に成仏させようと.........ひ、必死に.........!

 

 

マック「.........くっ、フフ」

 

 

桜木「誰!!?今の誰!!?」

 

 

マック「あっ、あ〜。もしかしたら、悪霊が寄ってきたのかも知れませんわねぇ〜.........」

 

 

桜木「じょ、冗談はよして「むん!!!」(絶句)」

 

 

マック「な、ちょ―――」

 

 

 彼の後ろから突然、力強い声が聞こえてきたと共に、彼は私に倒れかかってきました。これは完全に、想定外の出来事です.........いえ、最初から想定外ばかりの出来事でしたが.........

 彼の身体を支えつつ、私はその声の主であろう人物の姿をその目で捉えました。それは正しく、ゾンビメイクをしたマチカネタンホイザさんその人でした。

 

 

マチタン「わー!!ねぇねぇ!!私もしかしてお化け屋敷の才能があるのかも!!!」

 

 

ネイチャ「そ、そうかな?アタシとしては、この桜木トレーナーさんが怖いの苦手すぎって思うんだけど.........」

 

 

マチタン「ふっふっふ.........普通普通と言われ早十余年。私も遂に!!!個性派ウマ娘に転身を「あの.........」え?どうしたの?」

 

 

 お二人で盛り上がりを見せている所に割って入るのも気が引けたのですが、それでも私は声を掛けました。

 なんせもう、トレーナーさんはほとんど死に体でしたから.........

 

 

マック「出口まで一緒に引っ張っていってくれませんか.........?」

 

 

桜木「出してぇ.........ここから出してぇ.........俺のザビーゼクター.........返してくれよぉ.........」

 

 

二人「.........うん」

 

 

 その後、奇しくも先程の白銀さんと同じように教室の外まで彼を連れ出すことは出来ましたが、その後は白銀さんのように立ち上がることは無く、彼を保健室へと預けました。

 あとから聞いた話では、意識を取り戻した時は既に、学園公開日は終わり、あとはお客さんや配信イベントが中心のファン感謝祭本番が間近だったそうです.........

 

 

 

 

 

  ......To be continued

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