メインストーリー書くので力尽きたので、とりあえず書けたところまで放出。
今後の更新は期待しないでください。
吟遊詩人からのおつかい
「一人で旅をするには限界がある」
「オイラは!?」
「あっ……。2人で旅をするには限界がある。そろそろ誰かを――」
空とパイモンは、星拾いの崖でテントを片付けていた。
モンドと
次なる神の居る国――
鎖国令が出されたその国へは、空は向かう事が出来ない。
ほとぼりが冷めるか、何か手段を考え付くまでは二国の間で旅をする事にしたのだ。
そんな中、様々な場所へ足を運んできた空は、二人きりの旅に限界を感じていた。
一人で大勢相手にするのは結構キツイ。誰でもいいからもう一人ほど、一度だけでもいいので着いてきてくれないかなあ……そんな気持ちだ。
モンドに戻って、冒険者協会のキャサリンにでも聞いてみようか。
そう思っていた空の目が、一人の
「――ウェンティ! 丁度いいところに」
「やあ、旅人! こんなところで会うなんて奇遇だね」
「いい偶然だ。ウェンティ、何か予定がある?」
「予定? ううん、ないよ」
それは何より。
空はウェンティに、パイモンとの二人旅に限界を感じていたこと。一日だけでもいいから共に旅をして欲しい事を伝えた。
それにウェンティは、悩むような素振りを見せる。
「なるほどなるほど。う〜ん……よし、こうしよう! 旅人さん、ボクの力を借りたいなら、美味しいお酒とセシリアの花をちょうだいよ」
「お酒と、セシリアの花?」
空は首を傾げた。
ウェンティがお酒を好きなのは、普段からよく知っているけれど……花を愛でる趣味などあったのだろうか?
「そうだとも! モンドの美酒はボクの大好物だからね。特にほら、あの『キャッツテール』のお酒が飲んでみたくて……あそこは猫がたくさんいるから、まだ一度も飲んだ事がないんだ」
「俺にお使いをお願いしたいってこと?」
「そうそう。お酒だけじゃなくて、セシリアの花もね! 星拾いの崖にあるセシリアの花は、もうボクが摘んでしまったから……お花屋さんとか、そういうところで出来るだけ多く持って来てくれるかい?」
「任せて」
頷いた空に、ウェンティは嬉しそうな顔をした。
余程お酒が飲みたかったのか、あるいはセシリアの花がそれほど好きなのか。
空は単刀直入に聞いてみることにした。……その前に、パイモンが聞いてしまったが。
「セシリアの花は、どうして必要なんだ?」
「ボクが強くなるために必要な素材だから……というのもあるけれど、うん。旅人さん、セシリアを見た事はある? 静かな山岳の頂上に黙々と咲く白い花だよ。ボクはセシリアこそが、テイワットで一番美しい花だと思うんだ。……これが答えじゃ、不足かな?」
「いや……」
空はゆるりと首を振る。
そして、小さく微笑んで口を開いた。
「納得した。お酒もセシリアも、ちゃんと持ってくる」
「えへへっ、それじゃあ任せるよ。ボクはディルックの所にいるから……終わったらそこで落ち合おう!」
照れたように笑うと、ウェンティはふわりと風に乗って2人の前から消え去った。
空とパイモンは顔を見合わせてから、モンド城へ向かうため、テントを片付けを再開する事にした。
「あ、そうだ! なあ旅人、モンド城までの道程にクロリスがいたよな? あいつならセシリアを持ってるかもしれないぞ」
「確かに……、寄り道していこう」
「あ、いたいた! おーい、クロリス〜!」
「わあ! 動物に話しかけられたなんて久しぶりだよ!」
「相変わらずだな……」
クロリスの返しに、パイモンが呆れ気味に呟いた。
そんなパイモンに空は苦笑し、パイモンの呼び声に振り返ったクロリスに話しかけた。
「クロリス、植物を売ってくれないかな?」
「いいよ、フローラの花屋と違って、どんな植物もあるからね!」
鞄から取り出した植物を取り出したクロリスは、さあどうぞと言わんばかりに、それらを地面に広げた。
空とパイモンは、その植物を覗き込む。
目当てのセシリアはあるだろうかと期待したのも束の間。
「キンギョソウ、ミント、ググプラム、ヴァルベリー、
「ないね」
期待に膨らんだ胸は萎み、二人は肩を落とした。
「ええ? 旅人さん達、何が欲しいの?」
「セシリアの花が欲しい」
「お花か〜……それなら、残念だけど私じゃなくてフローラの分野だよ」
有益な情報に、パイモンは目を輝かせて問いかける。隣にいる空も、心なし期待に輝いている。
「フローラはセシリアの花を売ってるのか?」
「うん。フローラはお花屋さんだからね」
「情報ありがとう。……パイモン、フローラの花屋に行こう」
モンド城へ到着した二人は、足早に城壁を抜けて右に曲がる。
花の香りが鼻腔をくすぐり、蒲公英の綿毛が空の横を通り抜ける。目の前には、植木鉢に生えるたくさんの花。
「旅人さん。『花言葉』へようこそ! ふふっ、何か知りたいことでもあるのかな?」
「花を買いたい」
「どうぞ。プレゼント用でも自宅用でもオススメだよ、ふふっ」
フローラに手で示された方向に目を向け、空とパイモンはセシリアの花を探す。
「スイートフラワー、
「あるだけください」
全身で喜びを表現するパイモンと、がっつり植木鉢を掴んで捕獲する空。
そんな二人を見て、フローラはくすくす笑いながら頷いた。
「ここにあるのは五輪で、セシリアの花は一輪1000モラ。合計は5000モラだよ」
「はい」
「うん、確かに。ありがとう、また来てね!」
セシリアの花をバッグに仕舞い、空はフローラに手を振って別れる。
セシリアの花は手に入れた。あとは美酒……『キャッツテール』のお酒だ。
「『キャッツテール』のお酒を頼むってことは、きっと看板バーテンダーのディオナのお酒が欲しいって事だよな?」
「多分。……ディオナ、お酒作ってくれるかな」
「ふっふっふ、任せろ! オイラに考えがある!」
大きく胸を張ったパイモンだったが、空の顔は曇る。とても不安だ。
お酒嫌いの彼女が、果たしてお酒のテイクアウトなんて注文を受け入れてくれるだろうか。
大通りの階段を上がって、空とパイモンは『キャッツテール』へと向かう。まだ昼過ぎだけれど、ディオナはいるだろうか。
コンコンコンとノックして、しばらく待ってみる。
「…………いないのかな?」
「そうかもしれない。もう一度だけノックして出てこなかったら、出直そう」
「そうだな」
パイモンが頷くのを見た空は、もう一度だけ『キャッツテール 』の扉を叩く。
反応は……、
「うにゃー! もう、まだ開店前だって分からないの!? この酔っ払いさん!」
「あ、いた」
「あなたは……旅人さん? まさか、あなたもお酒を飲みに来た訳じゃないよね」
「空はお酒を飲みに来た訳じゃないぞ。オイラ達が来たのは、お酒をテイクアウトしたくてだな……」
「駄目!」
即答だった。
ディオナはふんと鼻を鳴らし、そっぽを向く。これ以上ないほど分かりやすい意思表示だ。
彼女を宥めようとした空を牽制し、パイモンは懐から瓶を取り出す。
「ふふん。そんな事言っていいのか? お前、最近
「……? それが何だっていうの?」
「こいつを見ろ! 清泉町にいる不思議なポプキンスから買った聖水だ! どうだ? 懐かしく感じるだろ? もしお酒を作ってくれたなら――」
「別に懐かしい匂いなんてしないよ。あなた、何言ってるの?」
「えぇっ!?」
お、おかしいぞ、こんなはずじゃあ……。
パイモンが動揺しているのを見て、空はパイモンの作戦が失敗した事を悟った。
使い物にならなくなってしまったパイモンをそっと後ろに置いて、空はディオナに向き直る。
「実は、ウェンティの頼みで来たんだ。彼の事は知ってる?」
「ウェンティ? よく知らない。でも吟遊詩人といえば、酔っ払いと歌ったり場を盛り上げたりする人達だよね? じゃあ嫌い! 嫌い嫌い大嫌い……」
「そう言わずに……ええと、何でもいいんだ。まずいお酒でも。単純に、『キャッツテール』のお酒が飲んでみたいっていう依頼だから」
「ん、まずいお酒でも? 飲んでみたいだけ……それならいいかな」
態度が軟化したディオナは、少し待っててと空に告げると、店の中に入っていった。
ほっと胸をなでおろした空は、次の瞬間に背中に衝撃が走る。ウッと声を漏らした空は、涙目で背後を振り返る。
空の背中に突撃したパイモンは、小声で叫ぶという器用な事をやってのけた。
「おいおい、まずい酒でいいなんて何でそんなこと言ったんだ!? 吟遊野郎は美酒が欲しいって言ったんだぞ!?」
「分かってる。でも彼女は、お酒作りに関しては天才だ。どんな材料であろうと、作り手が彼女であれば美酒に変わる」
「あ……だからあんな言い方したのか?」
「うん」
空は頷く。
ディオナは酒の材料に魚のウロコやトカゲのしっぽを使っても、美酒へと化けさせた腕前がある。本人はそれを嫌がっているようだが……今回は助けられた。
そんな手があったのかと、パイモンが関心していると、店の中からディオナがやって来た。
「ディオナ。どう、出来た?」
「うん! これなら、あなたのいうウェンティって人も、お酒に懲りて飲まなくなるに決まってる! はい、どうぞ。これがディオナの『醤油牛乳
「お、おおお……!!」
自信満々に出てきたそのお酒に、パイモンが恐れの声を上げる。
「そ、空、あれ美味そうだぞ……じゅる……」
「……飲んだら駄目」
小声でやり取りする二人を不思議そうに見つめて、ディオナはとにかく、とそのお酒を空の手に乗せた。
「酔っ払い予備軍のウェンティって人に、ちゃーんと飲ませるように!」
「分かった、必ず飲ませる。ありがとう」
「どういたしまして。でも、もう開店前に来るのは止めてよね!」
「え? ウェンティも、ディルックの旦那も、アカツキワイナリーにいないのか?」
「ええ。ディルック様は今日はモンド城の『エンジェルズシェア』の方に居られるかと」
「……無駄足だったな。モンド城へ戻ろう」
「見つけたー!!」
「おや? 旅人にパイモン。遅かったね、待ってたよ」
モンド城側門近く。
ディルックを当主とするラグヴィンド家が経営する酒場『エンジェルズシェア』のカウンター席で、ウェンティは赤い顔で突っ伏していた。
空とパイモンが店に入ると、起き上がってふにゃふにゃ笑って片手を上げたが、パイモンの怒りは収まらない。
「お前、『エンジェルズシェア』にいるなら言っておけよ! オイラたち、アカツキワイナリーまで行ったんだぞ?」
「でもちゃんと、ボクはディルックの所にいるって言っただろう? ディルックがここにいるか、アカツキワイナリーにいるかなんて、ボクにだって分からないのは当然じゃない?」
「うぐぐ……場所を聞いておくんだった!」
パイモンの言葉を降参宣言と捉えたのか、ウェンティはパイモンから空へと視線を移す。
カウンター席に空を座らせて、肩に腕を乗せてくる。完全に酔っ払いだった。
「それで、どうだった? 『キャッツテール』のお酒とセシリアの花は手に入った?」
「手に入った」
「おお! 流石、期待を裏切らないね!」
バッグからセシリアの花を出して、空はそれをウェンティへと手渡す。
ウェンティは目元を柔らかくして、セシリアの花を受け取った。
「……うん。やっぱりセシリアは美しい花だね」
「もし次の
「あ、それはズルだよ! 風の花は、決める人が自分で選ばないと」
「でも、風神バルバトスに捧げる花だ。それに……何をどんな基準で選ぶのかは、自由だ」
「うーん……それを言われると弱いなあ」
苦笑したウェンティは、セシリアを自分のバッグに直してから咳払いをする。
きらりと目を輝かせたウェンティは、わくわくと空を見た。
「それで本命のお酒は? 『キャッツテール』のお酒は、どんなお酒なのかな?」
「はい」
「おお、これはっ……見た事ないお酒だ!」
喜んで瓶の蓋を開けたウェンティは、慣れた手つきでグラスに酒を注いで口に含む。
ぷはーと気持ちよさそうに、ウェンティは笑った。
「これは美味しい! ねえ、旅人も飲んでみる? ディルックも一口どう?」
「遠慮する」
「…………僕の店で他の酒場の酒を飲んだ挙句、バーテンダーに勧めるとはいい度胸だ」
「そう言わずにさ~~。旅人は未成年だから仕方ないけど、ディルックは一口ぐらい飲んでみなよ」
「断る」
ウェンティはその後も散々ディルックに絡んだが、彼は一切ウェンティに構う事は無かった。
勿論酒の注文には応えていたが、それだけだ。
「ちぇ~、ディルックは全然相手してくれないや。旅人、君はボクと話してくれるよね?」
「いいけど……」
「吟遊野郎、今回の依頼の報酬、忘れてないだろうな?」
「え? 何かあったっけ?」
「おい!」
「あははっ、嘘だよ。ちゃんと覚えてる、君たちの旅に着いて行けばいいんだろう? ボクはあんまり強くはないけど、サポートは任せてよ」
けらけら笑いながらそう告げたウェンティに、空はほっとする。本気で忘れられたのかと思ってしまった。
空はディルックに出されたアップルサイダーをちびちびと飲みながら、ウェンティの話を聞き続けた。
話を二十聞けば三くらいはためになる豆知識があるから。ちなみにパイモンはとっくに夢の中だ。
「それでね、あのじいさんのサインを真似て悪戯を仕掛けようと思ったんだけどね」
「鍾離先生に……?」
「今はそう名乗ってるんだっけ? うん、彼に仕掛けようと思ってたけど、騙されてくれなくて――」
意外な交友関係に空は興味深く聞いていた。
誰と誰の話をしているのか察してしまったディルックが頭が痛そうな顔をしているのを見た空は、そっと目を逸らす。
逸らした先で、空はウェンティの腰につけてある神の目にふと疑問が過ぎる。
「ウェンティ」
「それで――うん? どうしたの?」
「ウェンティは、『神の目』ではなく、『神の心』によって元素を操ることが出来るんだっけ……今は盗られてしまったけど」
「そうだよ」
「じゃあ、その『神の目』は……?」
「えっ? ボクの『神の目』が気になるの? うん……はい、どうぞ」
「え」
あっさり『神の目』を渡された空は、ぽかんとウェンティを見る。
にこにこと笑っているウェンティは、空の表情を理解しているのか、いないのか、
「気に入ったなら、同じやつを作ってあげようか? エヘヘッ」
そう言って更に酒を煽った。
「え、これ、大事なんじゃ……。というか、作る……あ、『神の目』を? でも俺は無くても元素力を使えるけど……」
オロオロしながら、空はウェンティに告げる。
そもそも『神の目』は貴重というか、その人に注がれた神々の視線の象徴のようなものではなかったか。
「ん? それはただのガラスの珠だよ」
「どういうこと……?」
「元素を使ってるのに、『神の目』を持ってないと変に思われるじゃないか。だから作ったんだ」
空は絶句した。
風神そういうところある。
アプデから大分経ってるからネタバレじゃないと思うんですけど、稲妻の神の目偽装して提出してるくだりで旅人の選択肢で「ウェンティ……」って出て来てあーね!!(納得)した人はウェンティのキャラストちゃんと読んでる。握手しよ。最推しは旅人(蛍)です。
今回使用したキャラスト
ウェンティ:プロフィール/ストーリー/『風上の密約』
プロフィール/ストーリー/神の目
プロフィール/ボイス/世間話・演奏
プロフィール/ボイス/興味のあること…
プロフィール/ボイス/『神の目』について…
ディオナ:プロフィール/ボイス/ウェンティについて…
プロフィール/ボイス/ディオナの悩み…