女神のミスで死亡したオタ女子の私が、BLを求めて異世界転生したら百合展開が多い件〜無駄に高性能にされたんだけどそんな事よりBLを寄越せ。美形だらけの世界だから正直妄想が捗るんだが〜 作:くろひつじ
エルンハルトさんと合流したところ、こちらから謝るどころかめちゃくちゃ頭を下げられてしまった。
目を離した自分に責任があるとか言われたけど、納得いかないから最終的にお互い様って事で話をつけた。
うーん。本当に真面目な人だなぁ。
その後にリチャードさんのお店に寄ると、彼はすでに商品を揃えてくれていた。
中身を確認すると生活に必要な日用雑貨と、街でよく見かけた服が数着。
これなら十分生活できそうだ。
ただ一つだけ、問題があるけど。
下着がな。無いんだよ。
「申し訳ありません、僕がうっかりしていました。そちらだけはご自身で揃えて頂けますか?」
「いえ、お手数かけてすみません……」
つまり私は、初対面の男の人に自分の下着を選ばせようとしていた訳だ。
流石に顔から火が出るかと思ったわ。
つー訳で。衣類専門店で来てみたものの。
ファッションセンスが致命的に死んでるから店員さんにお任せしたら、白とかピンクのフリルたっぷりな奴を選んでくれた。めちゃ可愛い。
それは良いんだが、サイズ測る時に店員さんが息を荒くしてたからここには二度と来ないと思う。
変人率高いな、異世界。
私を百合に巻き込むんじゃない。
リチャードさんの所で買ったものも下着の入った紙袋をインベントリに収納した後、今日は疲れただろうとエルンハルトさんが気遣ってくれたので寮に戻ることになった。
道中も自然と私の歩幅に合わせてくれるし、やっぱりイケメンだわこの人。
多分同性にモテるんだろうなー。
「……あの。つかぬ事をお聞きしますが、エルンハルトさんって女同士の恋愛はどう思います?」
「ん? 何も問題無いと思うが。この国は同性婚も認められているし、後は本人達の問題だろう」
認められてんのかよ。やべぇ、危険度が上がったわ。
つーかよくよく考えてるみるとさ、多分これって『愛』スキルが無駄に仕事してんだよね。
まじ地雷でしかないんだが、このスキル。
あ、でもこれのおかげでエルンハルトさんに親切にしてもらってんだろうか。
そうだとしたら有用かもしれない。
寮の前まで来ると、そこそこ人が行き来していた。
笑いながら話しているところを見る感じ、仕事上がりの人達だろう。
相変わらず人間はいないっぽいな。
「ところでリリィ。夕飯は寮で食べるか? 私は仕事の後始末があるから同席出来ないが」
「うーん、今日は良いです。お昼食べすぎてお腹空いてないですし」
心配げなエルンハルトさんに理由の半分だけを伝える。
残り半分は尋問の時間が欲しいからだ。
アテナに色々と聞かなきゃならん。
「そうか。なら念の為に幾らか渡しておこう。有事の際に使うと良い」
「ありがとうございます」
小さな革の袋を手渡されたのでお礼を告げる。
何から何までお世話になりっぱなしだ。
マジで何か恩返しをしないと。
……あ、そだ。
「エルンハルトさん、良かったら貰ってください」
言いながら、インベントリから作ったまま忘れていたハンバーガーセットのドリンクだけを取り出して渡した。
いまお礼に渡せるものってこれくらいだし。
ちなみに多分オレンジジュースだ。
「ん? これは何だ? 不思議な色合いをしているが」
「説明出来ないけどオレンジの果汁を搾ったものです。どうぞ」
「そうか。初めて見る物だが、後で頂こう」
「……あの、渡しといて何ですけど、もうちょい疑った方が良くないですか?」
よく知らない相手からよく分からないもの渡されてんだぞ。
普通は怪しく思うだろ。
と思ったけど、しかし。
「私は人を見る目があるつもりだ。リリィならば安心できる」
エルンハルトさんは爽やかに笑いながらそう言った。
やばい。イケメン過ぎないかこの人。
うっかり惚れかけたわ。
「……まぁ確かに、私エルンハルトさんに嫌われるような事はしたくないですけど」
「だろう? だからありがたく受け取っておくさ。ではな」
「あ、はい。今日はありがとうございました」
頭を下げると、頭をを優しく撫でられた。
知り合ったばかりの人だけど全然嫌じゃない。
むしろ何だか、ちょっと嬉しい。
何かこう、お姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな。
どっちかって言ったらお兄ちゃんな気もするけど。
エルンハルトさんを見送った後、改めて自分に割り当てられた部屋に向かう。
中に入って鍵を閉めると、買ってきた物をテーブルに広げた。
ちゃんと見直しても必要な物は揃ってるし、服もしばらく分は問題ないだろう。
私の場合、食事に関しては心配しなくても良いから急に出て行けと言われても大丈夫なはずだ。
いや、そんな事にはならないだろうけどさ。
この街に着いてから出会った人達は、癖は強いけど良い人ばかりだ。
たまたまかもしれないけど、日本に居た時より余程優しさに触れている。
『愛』スキルの影響もあるんだと思うけど、それでも。
私はこの街に愛着を持ち始めている。
出来ればこの街でずっと穏やかな生活をしたいものだ。
それはさておき。
椅子に腰掛けて一言。
「アテナ。出て来い」
「すみませんでしたぁっ!」
呼び掛けると、自称女神は初手土下座を決めてきた。
いっそ潔いなこいつ。