女神のミスで死亡したオタ女子の私が、BLを求めて異世界転生したら百合展開が多い件〜無駄に高性能にされたんだけどそんな事よりBLを寄越せ。美形だらけの世界だから正直妄想が捗るんだが〜   作:くろひつじ

21 / 41
お友達って良い響きだなー

 

 アメジストさんに案内されたのは、私の部屋の二倍くらい広い応接間らしき部屋だった。

 部屋の真ん中には豪華なテーブルと大きなソファ。

 端の方にはよく分からないけど絵や壺なんかが飾られている。

 で、そのソファの後ろに無愛想に立ち尽くしている知った顔を見つけて、ついニヤニヤしてしまった。

 

「おはようジーク。やっぱり来てくれたんだ」

「約束したろ。死ぬほど眠いけどな」

「ん。ありがと」

 

 やっぱイケメンだわこいつ。頼りになる奴だ。

 さてと。問題はこっちじゃなくて。

 

「ぁぅ……あっ、どっ、どうぞ、お座りくださぃ」

 

 アメジストさんなんだよな。

 事情説明って言われても、どう話したものか。

 てか、やっぱり目も合わせてくれないし。

 

「お茶をお願いしてるので、お待ち頂けましゅ……頂けますか?」

「わかりました」

 

 所々噛んでるの可愛いなー。

 さておき。もう少し時間があるようだし、その間に言い訳を考えるか。

 ジークには記憶喪失って言ってあるし、本当の事を全部伝える訳には行かないんだよなー。

 ふむ。ライラの件はそのまま伝えるとして、アテナとは記憶を失った後に出会ったとか言ってみるか。

 そんで仲良くなって、みたいな感じで。

 んー……他に思いつかないし、それでいくか。後は勢い任せで誤魔化そう。

 だいぶガバいけど、何とかなるでしょ、うん。

 

 そんなことを考えていると、部屋のドアがコンコンと鳴らされた。

 

「アメジスト様、紅茶をお持ちしました」

「どっ、どうぞ!」

「失礼致します」

 

 許可を貰って入ってきたのは、アメジストさんと同じメイド服を着た女の子だった。

 水色の髪を肩口で切り揃えた姿は正にメイドといった感じで、何か仕事が出来る人に見える。

 失礼な話だけど、同じメイド服着てても大違いだな。

 でも、アメジストさんは彼女を見て明らかに安心した様子だ。

 

「リリィ様は紅茶でよろしかったでしょうか」

「大丈夫です。ありがとうございます」

「ではこちらをどうぞ」

 

 渡されたカップも豪華だ。やっぱりお偉いさんが使う物は高そうだな……うん?

 アメジストさんの方はカップじゃないな。

 てか、どう見てもマグカップなんだけど。

 筆書きみたいな書体で「我が生涯に一片の悔いなし!」って書かれている。

 誰だよ異世界に覇王の名言持ち込んだの。

 

「アメジスト様はいつもの砂糖入りホットミルクをご用意しました」

「ちょっ……サファイア! お客様にバラさないでよ!」

「しかし紅茶は苦くて飲めないと仰られておりましたので」

「ねぇぇぇ! なんで今それ言うの!?」

 

 メイドさんはサファイアさんって言うのか。

 二人とも宝石と同じの名前だな。

 この人に対してはアメジストさんも普通に話してるし、仲が良いんだろうか。

 私の時とテンションが違って面白いな。

 

「アメジスト様。お客様をお待たせしているのでは?」

「はっ!? ぁ……ごめんなさい、その……」

「いえ、良きてぇてぇでした」

「てぇてぇ?」

「なんでもありません。それで、昨夜の件ですけど」

「あ、その、実はですね。ジークさ……ジークさんに、ちょっと聞いてるんです」

「……なるほど?」

 

 さすがジーク、仕事が早い。

 けど、じゃあ何で私はここに通されたんだろうか。

 こんな時間に世間話って訳でも無いだろうし。

 

「それで、ですね、その……皆が、リリィ様を軍に……誘ってくれないかって、言い出したんです」

 

 おっと。話が面倒な方に流れ出したな。

 魔王軍とか勘弁なんだけど。

 ここはマクドナ〇ド信者を呼び出すか?

 

「それに、えっと、ですね……怒らないでほしいんですけど……軍に協力しないなら、せめてその、仲良くなった方が良いって言われて……」

 

 あぁ、なるほど。そりゃそうだよね。

 女神二人と親交がある訳だし、国としては放って置く訳にもいかない、と。

 しっかしまぁ。それならそれで、普通こんな時間に呼び出すか?

 

「あの、えぇと……ごめんなさい、実は私の都合なんですけど……今しか、その、時間が無くて」

「時間が無い?」

「アメジスト様はヴァンパイア族の血を引いているので、日中は休眠状態になってしまうのです」

 

 なるほど。だから日が昇る前に呼ばれたのか。

 そっちとしては急ぎの用事だろうし、まー良いけど。

 

「ごめんなさい……迷惑でしたよね」

「いや、どうせ起きてたから大丈夫ですよ。それより仲良くって、具体的にはどうするんですか?」

「えっ? ぁ、一緒にご飯食べる、とか?」

 

 デートかよ。いや、別にいいけど。

 アメジストさん可愛いし。

 

「んじゃ夕方くらいにまた来ますんで、夕飯一緒に食べましょうか」

「いいんですかっ!?」

「え、うん。大丈夫ですけど」

 

 うっわぁ、凄い嬉しそうだな。

 めっちゃ可愛いんだけど。

 

「ちなみにアメジスト様には友達が居ないのでいつもぼっち飯です」

「ねぇぇぇ! なんでそんなこと言うの!?」

「ちなみに私は友達では無く従者ですのでカウントされません」

「嘘でしょ!? えっ、友達だと思ってたの私だけ……?」

「嘘です」

「ねぇぇぇ!」

 

 ヤバい、見てて超楽しい。

 アメジストさんのリアクションが良すぎるわ。

 良いコンビだなぁこの二人。てぇてぇ。

 ……しっかし、マジで男がいないな、魔王軍。

 

「リリィさん、その……ぁの、良かったら、なんですけど」

「はい?」

「ハッハッハッハッ……(明らかな過呼吸) その、仲良くなるなら、リリィちゃんって、呼んでも……」

「良いですよ」

「ほんとにっ!?」

 

 わお。テーブル叩いて立ち上がるほど嬉しかったのか。

 なんだろ。小動物の餌付けに成功したような気分だ。

 

「じゃあ私はアメジストたんって呼ぶんで」

「たん?」

「たん。あとお互い敬語は無しにしません?」

「たん……? あっ、敬語、その、敬語はも無しでいきましょう! 友達だからっ!」

「おっけ。じゃあ普通に話すね」

「はいぃっ! でもあの、たんって……?」

 

 よし、これでまた美少女と仲良くなれたな。

 エリーゼと違って害は無さそうだし、良い事だ。

 それにほら、この子は既にカップリング出来てるから私が巻き込まれる事もないだろうし。

 

「それじゃまた夕方に来るから。またね」

「あっ! まっ、またね! ばいばい!」

 

 焦った感じで手を振ってくれたのでこちらも振り返す。

 そして、ジークに目配せ。

 それだけで察したようで、ジークは自然な様子で私の後を着いてきた。

 

「ではリリィ様を送って来ます」

「あっ! おね、お願いします!」

 

 二人揃って部屋を出て、ドアを閉める。

 途端に、ジークが大きなため息を吐いた。

 

「どうなる事かと思ったが……何とかなったな」

「ん。ありがとね」

「気にするな。しかし荒事にならなくて良かった」

「あんな可愛い子とケンカする訳ないじゃん」

 

 て言うか通常会話も難しいレベルだったわ。

 いや、めっちゃ可愛いし、サファイアさんとの絡みも面白かったけどね。

 

「……何か勘違いしているようだが、あの方は魔王軍でもトップクラスだからな?」

「そりゃ大臣って言うくらいだから偉いのは分かるわよ」

「違う。戦闘力の話だ」

 

 は?

 

「え、アメジストたんが?」

「魔王様と匹敵する強さだな。しかも全力を出したところは誰も見たことが無い」

「……あのアメジストたんが?」

 

 あのコミュ障全開で超絶可愛いアメジストたんが?

 

「あぁ、だから争いにならなくて安心した。お前を守りきれる自信もなかったからな」

「そうなんだ……人は見た目によらないものだね」

「本人はこの件に触れられるのを嫌っているがな」

「あーうん、それは分かるわ」

 

 どう見ても目立ったりするの苦手っぽいし。

 

「夕方から会食と言っていたが、その辺は気をつけろよ? さすがに俺は同席できないからな」

「ん。ありがと」

 

 本当に良いやつだな、ジーク。

 こんなにイケメンなのに、勿体ないな。

 

 早くこいつでカップリング作りたい。

 

「……おい、今なんか寒気を感じたんだが」

「そう? 気のせいじゃない?」

「変なことを考えるなよ?」

「失敬な」

 

 BLは変なことじゃない。私の人生だ。

 

「じゃあまたな。今度リバーシに付き合ってくれ」

「ん。またフルボッコにしてやるわ」

「ふん、次は俺が勝つ」

 

 ニヤリと笑い合い、パチンとハイタッチして別れた。

 

 さて、朝飯食べたら魔法習いにグロウレイザさんの所に行くか。

 早めに行かないと一時間ハグされなきゃなんないし。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。