女神のミスで死亡したオタ女子の私が、BLを求めて異世界転生したら百合展開が多い件〜無駄に高性能にされたんだけどそんな事よりBLを寄越せ。美形だらけの世界だから正直妄想が捗るんだが〜   作:くろひつじ

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ちょっとした事だけど実は大事な話ってあるよね

 出されたものは全て食べる。これは私のポリシーだ。

 好き嫌い関係なく、いくら不味くても出されたものは全て食すべし、である。

 まぁそのルールが無ければ生きてこれなかっただろうし。

 という訳で。

 

「……しばらく甘いものはいらないかも」

「お疲れさん。お前も大変だな」

「いや、アンタ程じゃないわよ。そっちこそお勤めご苦労さん」

「おう、ありがとよ」

 

 勇者ちゃんたちとの朝食(?)後。

 最強の癒し枠であるアメジストたんを訪ねようと思ったんだけど、途中であの子が夜型なのを思い出して予定変更。

 とりあえず自室に戻ろうとしたところでジークを見掛けたのでダラダラと立ち話なう。

 

「まーとにかく、しばらくは大人しくなると思うわよ」

「すまんな、本気で助かる。立場上どうしても止めようがなくてな」

「アンタらも大変だよねー」

「仕事だからな。それに慣れてきた」

「それもすげぇ話だな」

 

 うーん。あの魔王ちゃんの部下なら労働環境は悪くないだろうけど、ジークだけ妙に苦労してそうなんだよなー。

 苦労人オーラっぽいものがにじみ出てる気がする。

 

「あ、そだ。人間の街に行く許可もらったからちょっと遊びに行ってくるわ」

「そうか、それは良かったな。お前も同族が周りにいた方が気が楽だろうしな」

「んー。その辺りはあまり気にしてないかなー」

 

 癖は強いけど良い人ばかりだし。

 それにジークみたいに心配してくれてる人もいるからね。

 

「私は崇高な使命の為に人里に行かなければならないのよ」

「ほう。確かにお前は最高神様とも既知の仲だし、色々あるんだろうな」

 

 ごめん、それ全く関係ねぇわ。

 BLカップリングの幅を広げる為に行くだけだし。

 今のところジークと商店のリチャードさんしか男性の知り合いいないからなー。

 この二人って接点が無さすぎて掛け算しにくいんだよね。

 

「何かあれば言ってくれよ? 嫌々ながら手伝ってやる」

「こんな美少女の手助けができるなんてアンタも幸せ者よね」

「本当にお前、見た目だけは完璧なんだがなぁ」

「中身が残念な自覚はある」

 

 元々オタ活に人生ささげてた腐女子だし。

 

「残念では無いんだが……中身と外見の差が凄いよなお前」

「え、まじ?」

「見た目だけならおそらく魔王領で一番じゃないか?」

「うわ、そんなにか」

 

 でも言われてみれば確かに、生命の最高神が全力でモデリングした身体だからなー。

 鏡見た時に自分でも美少女だって思ったし。

 この見た目に加えて誰からも好かれる『愛』スキル持ちだもんね。

 まさにチートだな。前世で想像してた系統では無いけど。

 

「ふむ……そういえばお前、異種族間の恋愛には寛容な方なのか?」

「は? 恋愛に種族とか別にどうでも良くね?」

「なるほど、ドラゴンに求愛されても良いという訳か」

「あーどうだろ。見た事ないしなー」

 

 ていうかドラゴンって言われると青いハンバーグを思い出すけども。

 食肉と恋愛か。すげぇ性癖だな。

 

「まーできれば人型が良いかなー」

「それはそれで範囲が広いな。まぁお前なら相手に困る事も無いだろうがな」

「てかいきなり何の心配されてんだ私」

「うーん。なんて言うか……ちょっと真面目な話をするが良いか?」

「は? いいけど、何?」

 

 なんだ改まって。ちょっと身構えちゃうんだけど。

 

「お前、自分の立場が分かってるか?」

「……うん? 立場?」

「あぁ。最高神様達と友人である以上、お前はこの世界でも有数の権力者だ。そんなお前が何かを求める事も無く大人しく過ごしているのを不気味に思っている連中もいる」

「あ、なるほどね。言われてみりゃそうか」

「お前が悪人でない事は俺が保証するが、それでも意図が読めないところはあるからな」

 

 うんまぁ読めないだろうな。

 たぶんこの世界に理解者はいないだろ。

 いや、ナインならワンチャン行けるか?

 

 そんな事を考える私に向かって、ジークは珍しく真面目な顔を向ける。

 ちゃんとしてるとイケメンなだけあって圧があるなコイツ。

 

「リリィ・クラフテッド。お前はこの世界で何を望む?」

 

 その問い掛けに、以前ライラと交わした言葉を思い出した。

 私の望むもの。私が欲するもの。そんなものは決まり切っている。

 

「推し活、BL、掛け算」

「……すまん、単語の意味が分からんのだが」

「だろうな」

 

 何とも言えない表情のジークに苦笑いを返す。

 文化的には存在するんだろうけど、実物を見る機会はほとんどないだろうしな。

 そもそも女9対男1って比率をどうにかしないと厳しい気がする。

 いっそのことアテナにいって出生率を操作してもらうか?

 

「その、なんだ。推し活? とやらどんなものを指すんだ?」

「んー……分かりやすく言えば宗教に近いか。偶像崇拝は分かる?」

「あぁ、女神様の代替物、人形や彫刻を崇めるってやつだな」

「そうそう。私が求めるのは崇拝対象を探し出し、それを布教すること」

 

 に、なるんだろうか。改めて考えると説明難しいな、推し活。

 BLに関しては一言で説明できるし、掛け算に関してはいくらでも語れるが。

 

「ふむ。つまりお前は聖職者なのか?」

「いやいや、こんな腐った聖職者いたら嫌すぎるだろ」

「腐った……? いやしかし、話を聞いていると人間族の聖女と似た活動のようだが」

 

 うわ、この世界って聖女なんて人もいるのか。

 もしかしたら人間の街だと悪役令嬢とかいるのかな。

 個人的にざまぁはあまり好きじゃないんだけど。

 

「あーもう何でも良いわ。とにかく私には目的があるのよ」

「なるほど。では次からお前のことを聞かれたら、聖女のようなものだと答えるとするか」

「何の嫌がらせだテメェ」

「これでも善意なんだがな。自分の立場をはっきりさせておかないと無駄に敵を作るぞ? 現に魔王軍でもお前の存在を危惧している連中がいるくらいだ」

「あ。なるほど、そうのもあるのか」

「政治的な話になるが、敵対心が無いならそれを前面に出す必要があるんだよ。最高神様達の友人ともなれば、お前ひとりで魔王軍と渡り合えるからな」

 

 ……いや、うん。たぶん女神関係なしに戦えると思うな―。ステータスとスキル的に。

 それはおいといて。

 確かに今までふわっとしてたけど、周りにもうちょい無害アピールしといた方が良いのかもね。

 そういう意味ではアメジトたんとか魔王ちゃんと知り合えたのは大きいな。

 今のところ勇者ちゃんとも仲良くやれてるし、その辺りを周りに知ってもらえば大丈夫そうだ。

 

「うん、ありがと。もう少し気をつけるわ」

「リバーシの宿敵がいなくなったらつまらんからな」

「ふははは! 宿敵と言える腕前になってから出直せい!」

「うっわ殴りてぇ。なんで俺はこんな奴のために頭を悩ませてるんだろうな」

 

 そんな事を言いながら苦笑するジークに対して、こちらもニコリと笑いかける。

 実際かなり助かった。言われないと気が付かない事だったし。

 

「まぁ、今度ご飯でも奢らせなさいよね」

「んじゃまた飲みに行くか。違う店も紹介してやるよ」

「お、それいいわね。久々に辛いものが食べたいわ」

「ふむ。ならば一つ良い店を知っているぞ。バジリスクの辛味揚げが有名な店でな」

 

 途端にいつもの調子に戻ってくれたジークに内心で感謝しつつ、立ち話は一時間ほど続いた。

 こいつ中身も外見もマジでイケメンだよなー。

 

 早くカップリング作りたいわ。

 

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