女神のミスで死亡したオタ女子の私が、BLを求めて異世界転生したら百合展開が多い件〜無駄に高性能にされたんだけどそんな事よりBLを寄越せ。美形だらけの世界だから正直妄想が捗るんだが〜   作:くろひつじ

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まじでファンタジー世界ですね

 

 森を歩くこと一時間。

 何とか人の居る街に辿り着いた。

 私の身長の二倍くらいある木の柵と、それより大きな門がある。

 

 つーか門の前に立ってるの、普通の女の人じゃないよね?

 髪が緑なのはともかく、耳がとがってるし。

 あれだ。エルフってやつだ。

 弓と魔法が上手くて森に住んでるやつだ。

 オークに襲われて酷いことされるやつだ。

 

 最後のはかなり片寄った知識だけど。

 

 何はともあれこの世界で初めて出会った人だ。

 言葉は理解出来るらしいし、早速挨拶といこうか。

 ジャパニーズ愛想笑いは得意分野だし、問題はないだろう。

 

「こんにちはー」

「何だ貴様は。早急に立ち去れ」

 

 いきなりこれかよ。

 

「あの、街に入りたいんですけど」

「……お前正気か? ここがどこだが分かってるのか?」

「え? 何か問題でも?」

「ここは魔王様の直轄地だぞ? ただの人間が入れる訳がないだろう」

 

 アテナ、どういう事だ。

 ちょっと出て来て説明しろ。

 魔王ってパワーワードが聞こえたぞ、おい。

 

「……あははー、そうですか。じゃあ他の街への道を教えてくれませんか?」

「ふむ……貴様、迷い人か? 良く生きてここまで来れたな」

「あー。運が良かったんだと思います」

「そうか……人間の街ならここから南に三日歩けば着くはずだ」

 

 いま三日って言ったか。

 野宿しながら三日歩けってか。

 ただでさえ道も舗装されてなくて歩きにくいのに、三日歩けってか。

 

「……なるほど。ありがとうございます」

「お前、本当に知らなかったのか。何処から来たんだ?」

 

 おや、なんか心配してくれてるみたいだな。

 しかしここで「異世界です」とは言えないよね。

 うん。ここはテンプレ通りに答えるか。

 トラブルが起きても嫌だし。

 

「実は私、自分の名前以外の記憶が無くって……気が付いたら森の中に居たんです」

「記憶が……そうか、それは大変だったな」

 

 しみじみ頷いてるなー。

 ちょっと罪悪感があるけど、とにかくこの場から逃げるか。

 魔王とか嫌な予感しかしないし。

 

「お騒がせしてすみませんでした。それでは」

「待て。貴様、名はなんと言う?」

「リリィ・クラフテッドです」

「家名持ちだと? なるほど、人間の貴族か。ならば相応の礼を尽くさねばなるまい」

 

 ほう、なるほど。普通の人は名字を持ってないのか。

 なるほどなるほど。

 あの女神、次会ったら鉄拳制裁だな。

 ちゃんと説明しろよ、まじで。

 

「私が竜を出してやろう。準備が出来るまで詰所で待つと良い」

 

 は? 竜って、ドラゴンだよね?

 竜を出す、って何だ? まさか車みたいに乗るのか?

 

「あの、良いんですか?」

「構わん。何故か貴様には親切にしたくなるからな」

「おぉ……ありがとうございます」

 

 これが『愛の加護』か。アテナもちゃんと仕事してんじゃん。

 よし、鉄拳制裁はやめてデコピンくらいにしてやろう。

 

「そうだ。私の名はエルンハルト・フォルガルナ・アセンドリア・グロータス・マルナザンド・ゲルファニア・アウグステス・ゲオルギオスだ。

 何かあれば私の名を出すと良い」

 

 名前なっが!?

 

「エルンハルト・フォル……?」

「そうか、人間には長い名前か。ならばエルンハルトで良い」

 

 めっちゃいい人じゃん。

 人かどうかは知らないけど。

 この人が最初に出会った人で良かったな。

 

「エルンハルトさん。ありがとうございます」

「気にするな。だが問題は起こすなよ?」

「分かりました」

「うむ。ではここから中に入れ」

 

 門の横にある小さな小屋に案内された。

 中に入ると家具はテーブルが一つと椅子が三つだけ。

 奥にもう一つドアがある。

 仕事用の部屋なのだろう。私的には座れるだけで十分だ。

 

「狭くてすまないな。しばらくしたら交代の者が来るから、それまで待ってくれ」

「ありがとうございます」

「うむ。ではな」

 

 お。笑ってくれた。

 よく見ると滅茶苦茶美形だなこの人。

 中性的な顔立ちなのもあって王子様みたいだ。

 胸が無かったら性別分かんなかっただろうな。

 特に、目がめっちゃ綺麗だ。

 琥珀色の大きな目は本物の宝石みたいで、見ていると惹き込まれそうになる。

 

「綺麗な目ですね」

 

 思わずそんな事を口走ってしまった。

 やべ、いらん事言ったかも。

 一瞬表情が固まってたし、NGワードだったか?

 

「……いや、そうか。記憶が無いのだったな。からかっている訳では無いのか。

 これは琥珀眼といって忌み子の証だ。だから私は村を追われ魔王軍に入ったんだ」

「呪いですか。こんなに綺麗なのに」

「そう言われたのは初めてだ。リリィに言われると悪い気はしないな」

 

 うーん。この世界の事はよく分からないけど、綺麗な物を綺麗って言っただけなんだけどな。

 でも喜んでくれてるから良しとするか。

 

「では後ほど迎えに来る。大人しく待っていてくれ」

「はい。お気を付けて」

「私に勝てる魔物なんていないさ」

 

 心無しか自慢げに胸を張りながらエルンハルトさんは小屋から出て行った。

 なんか可愛いところもあるな、あの人。

 

 さてと、何をして時間を潰そうか。

 今後のことを考えようにも判断材料が足りないし、かといって他に……あ。

 そういや、ステータス見れるんだっけ。

 基準が分からないけど、試しに見てみよう。

 

 ……どうやって?

 

 アテナに聞いておけば良かったな。これは私のミスだ。

 とりあえず口にしてみるか。

 

「『ステータス』!」

 

 おお! なんかウインドウが出た!

 なんだこれ面白いぞ!?

 

「もう一度『ステータス』!」

 

 今度は消えた! ヤバい、何かテンション上がってきた!

 

「『ステータス』! 『ステータス』! 『ステェェェタスゥゥゥ』!!」

 

 両手を上げて飛び跳ねながら叫ぶ中。

 

「……おい。お前は誰だ? 何をしている?」

 

 背後にあるドアから見知らぬイケメンが入って来た。

 

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