時は20XX年4月中頃。
初々しい新入生達を迎え、各部活の部員達が後輩の獲得に精を出している頃、とある部活動に参加している生徒達は
その部屋の中にいる男子生徒が1人、窓から外の勧誘活動を見下ろして独り言つ。
「頑張ってんなぁ」
誰に言うでもなく放たれた言葉に誰も反応するどころか目もくれられない。
数秒の間を置いてから今度は、
「なあ部長さんよ。俺達は勧誘活動しなくて良いのか?」
確実に特定の誰かへ向けて言葉を発する。
やる気の感じられない声で問いかけられた男子生徒が答えようと口を開いたタイミングで、他の女子生徒が割って口を挟む。
「良いのよ。うちはあくまで部活の強制から逃げるための部活なんだから。わざわざ呼び込む必要なんてないわ」
「そうは言うけどよー。
「まあ居たら便利だと思うけど、居なくてもアンタ達にやらせればいいだけだし気にならないわ。まぁ、
「ひでぇ副部長だぜ……。志雄もそう思わね?」
岸根の冷たい物言いに肩を
「んー。悪いけど僕も岸根さんと同意見かな。別に職人部は新入生部員が居たほうが良い部活とかじゃないし、自然に来た生徒だけで良いと思うな」
「えー。志雄まで岸根の味方かよー!」
「別に味方って訳じゃないよ。同じ意見ってだけ。来たら良いなとは思うよ」
「じゃあ、俺と一緒に呼び込みに―」
「―いかないよ」
「っく……。
健二と呼ばれた生徒が
その影響で机がガタッと動き、ポメラを弄っていた志雄がうざったそうに健二を横目で見る。
「悪いが、俺もどうでもいいかな。中川の気持ちもわかるけど、岸根や桜木の言う通り
そう言った。
「裏切りモン!それでも部長か!」
部長の言葉に健二が声を張り上げる。
「いや、俺、名ばかり部長だし……」
「うがー!!」
「うるさい」
「すんませんでした」
ボソっと呟かれた部長の言葉に健二が吠え、それに対して岸根がにこやかに、しかし怒った様子で健二を見る。
氷のように凍てつく視線を受けた健二はすかさず頭を下げる。あまりにも素早くキレのある動作に志雄がクスっと笑う。
「あー、コント中にすまんが、お前らちょっと良いか?」
いつの間に入ってきたのか、部屋の入口には大柄の教師と思われる男性が女生徒を連れて立っていた。
「
岸根が立ち上がり、近藤先生と呼ばれた男性の前まで移動した。彼女が新入生と言った通り、ブレザーの襟口には1年生を表す校章が付けられていた。
後を追うように部長の歩も先生の前に立つ。
「なんでも
「俺を?えっと、入部希望者、ですか?」
先生の説明に歩は内心で首を
女生徒はおどおどとしながらもゆっくりと頷く。
「よっしゃ!後輩ゲットォ!」
「うるさい!バカ健二!新入生がビビっちゃうでしょ!」
「2人とも、大声だしたら怖がらせちゃうよ」
「えっと……」
騒がしい外野に苦笑いしながらも歩は新部員となるであろう女生徒に言う。
「後ろがうるさくてごめんね。歓迎するよ。あー……」
歩はまだ女生徒の名前を聞いていないことに気づき声を伸ばす。
すると女生徒は気づいたのかペコペコと頭を2、3度下げてから顔を上げてまっすぐ歩を見た。
「
「うん。関内さん。よろしく。ようこそ職人部へ」
……To Be Continued?