「今年の
大丈夫そうなのを見てから桜木は続ける。
「職人部として前から出てる意見は
箇条書きにされたメモの1つを指でなぞりながら桜木は岸根の顔を見る。
「初めは私が色んな出版社に声をかけてみたんだけど駄目だったのよね。それで
「それはわからないけど、じゃあ30日は近藤先生も来てくれるってことかな?」
「ええ、顧問としてついてきてくれるそうよ」
「
「現場は山下公園って聞いてるけど、近藤が一度学校で集合してから行きたいって言ってた。時間はまだ聞いてないわ」
「了解、そういう事なら詳しい所は
そう言って桜木は手帳に予定を書き込んだ。
「次は、香織ちゃんが言ってた保育士体験の方だけどこれは歩が話を付けられたって言ってた。2日に青野保育園だって」
「なんだ、
中川の言ったように青野保育園というのは、青野高等学校のほぼ隣に作られている。
ちなみにこの保育園は青野高等学校と同じく学校法人の
あえて“関係している”と表したのには意味がある。この青野保育園は厳密には青野学院の傘下にある訳ではなく、青野学院に多大な
だから表すのであれば“関係している”となるのだ。
閑話休題。
桜木の進行を聞いていた岸根はチーズケーキを口へ運びながら「なによ。ほとんど予定決まってるじゃない」と呟いた。それに対し桜木は「ただの確認みたいなものだしね」と返す。
「そ、それにしても凄いですね!私が保育士体験がしたいと話したのは先週の事ですのに、もう決まったのですね!」
「それは、ほら。うちの学校はエスカレーターで来てる学生も結構いるし、受け入れやすかったんじゃないかな。実際、
「な、なるほど……!」
一拍置いてから岸根がフォークを中川へ向けながら口を開く。
「エスカレーターだからこんな馬鹿でも入学出来るのよねぇ」
「あのな、これでも赤点はまだ取ったことねえから!」
「よく言うよ……。テストの
「うぐ……」
「自力で赤点回避してから言いなさいよね」
「うぐぐぐ……」
一連のやりとりを見た関内は何か助け舟を出そうとあたふたしながら「えーと」「その」と言葉を漏らすが、結局いい言葉が思いつかなかったのか少し申し訳無さそうに「ごめんなさい……」と言った。
「ほら、関内ちゃんも同じ意見だって言ってるわ」
「い、言ってないです!」
「そう?」
「です!」
「ですって、良かったわねー。優しい後輩が出来て」
「関内ちゃん……。君は天使だったのか……」
普段からかなり雑に扱われている中川にとって、
手を前で組んで
「やめなって、セクハラになるよ。香織ちゃんはまだ慣れてないんだから」
桜木が手に持った手帳で中川の頭を叩く。
―スパァン!
と良い音を鳴らし、中川から小さく「いてっ」と聞こえた。
「とにかく話を戻すよ」
ため息をつきながら桜木が手帳を開き直して指でメモを追いながらどこまで話してあるかを思い出そうとする。そんな桜木とは対照に中川はアホみたいに口を開けて、
「……何の話だったっけ?」
そう言った。
「これだから馬鹿は」
「ほんっとアホだね……」
「あの、えと、その……」
女性陣から失望の眼差しと呆れ混じりの言葉を向けられて中川はシュンと小さくなってしまった。そんな様子を見て女性陣は中川のことは一旦無視して話をすすめることと決めたのだった。
「あー、なんだっけ。あ、そうそう。2日の話だったね」
改めて話を戻し、桜木は当日の流れを話し始めた。
そうして、時折茶化し合いが起きたりしながらGWにおける職人部の活動に関するミーティングは進み、気づけば日がかなり傾いていた。
閑散としていた店内も席がかなり埋まり、歩が忙しそうに料理を提供していた。この店は夜になると酒類も提供しているため、夜になると仕事終わりといった
「こりゃあ、ちょっと来てとは言えないね」
「大変そうですね……」
桜木は店内の様子を見てから、
「しょーがない。歩へは明日、僕が話しておくよ」
と言い、続けて「今日は解散しよう」と話した。
各々荷物をまとめてから歩とは別の店員さんに対応してもらって会計を済ませ、歩には簡素に「明日」とだけ伝える。
実際、部活のミーティングなんてこんなものである。
「じゃあ、私はこっちだから」
店を出てからは徒歩で帰る岸根と別れ、桜木達は駅へと歩きだす。
引っ張り役の岸根がいなく成ったことで特に会話も無くなり、淡々と進んでいく桜木に関内が少し躊躇いながら話しかけた。
「……あの、桜木先輩」
「ん?どうしたの?」
「あの、職人部ってもう1人居るって聞いた気がするんですけど、その、今日も居なかったと思いまして」
「あー、
「バイト戦士、ってなんですか?」
聞き慣れない単語だったのか関内は首をひねりながら尋ねる。
「アルバイトを掛け持ちして毎日働いてるってことだよ。神は部活動申請のために人数合わせで入ってもらったんだ。だから基本的には部室にも来ないよ」
「凄いですね……。高校生なのにそんなに……」
「一応、年に103万は超えないようにしてるって言ってたけどね」
「?103万を超えると何かあるんですか?」
「えっとねぇ。細かく説明すると長くなるからざっくり言うけど、年の所得が103万円を超えると、税金がかかっちゃうんだ」
「へぇ!初めて知りました!」
「まず『所得税』がバイトしてる本人に発生するし、親御さんの方にも『扶養控除』ってやつが無くなって税金が重くなるのさ」
「えとえと……」
桜木が税の話をし始めると関内は少し困ったような顔をした。それを見て察した桜木は「ごめん、難しいよね」と謝る。
ちなみに中川は横で聞いてるだけでフリーズしていた。
「まあ、とりあえず神は幽霊部員だって覚えておけばいいよ」
「わ、わかりました!」
そうこう話しているうちに3人は駅の近くまでたどり着いていた。
軽く別れの挨拶を交わし、それぞれが別々の帰路へつく。
こうしてこの日の職人部の活動(?)は終わったのだった。
まえがき、誤字だと思った?
残念、本編に関係有ったんだなぁ(一発変換時の誤字を残しただけ)