幸運の女神に嫌われた男が終わった遊戯王GXに転生する   作:SOD

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アネモネの話を聞いた拓野の今後の抱負を宣言する回です。
言うなれば漫画の巻末の追加ページとかそんな感じの感想回。


拓野『なにせ急ごうにも、俺の仕事は』

小気味よく鳴るシャワーの音と放出される水流に身を任せ、俺はさっきまでアレの発言を考える。

 

 

『久しぶりだけど……頑張って作ったの……いっしょに…食べたい。』

 

「私は……アナタを殺した理由は絶対に言わない。自分で気づいて。」

 

『--アナタには罪があるの。』

 

()()()()()()罪は無いの。』

 

『私はアナタに殺されたの。』

 

『…………アンタに思い出して欲しい。』

 

『それでもまだ、諦められない。』

 

 

 

拓野「…………人間の感情としての矛盾点が多すぎる。」

 

もし奴が本当に生まれながらの『幸運の女神』なら()()()()()()()()()()()というのはおかしい。

つまり、俺とやつは元々人間だったところから、前世の俺が奴を殺したということになる。

 

仮に俺がそれまでアイツから絶大の信頼を置かれて……俺が棟梁に対するような気持ちを持っていたとして、それが豹変、あるいは突発的に殺害したとしても、そんなやつと飯を食いたいとはなんだ?そんなことがあるか?

俺なら……どうだ?

 

 

 

じゃあ俺が奴を殺したというのは狂言か?

 

それにしては、あいつの『俺を殺した理由』を推理させたいという主張が頑な過ぎる。

沸騰した鍋いっぱいのお湯を被らされそうになっている状況で、それでもアイツは言わないと言う。

 

そして、同じことを言っているようで、アイツが俺に求めてくるものは、微妙に異なるものが複数存在している。

 

 

1つ。

俺を殺した理由を当てて欲しい。

 

2つ。

前世の俺の罪を思い出して欲しい。

 

 

 

………そして、3つ。

 

 

 

『ご飯、ちゃんと食べてあげてね。今朝はアナタの好きな、大根の細切りのお味噌汁だよ。

毒なんて入ってないから、拒絶しないで欲しいな。』

 

 

 

拓野「アイツは何故か……俺に受け入れられたがっている。」

 

 

 

 

 

 

結局答えなど出るわけもないという、至極単純で当然な結論に落ち着いた俺は、本当に用意されていたタオルで身体をそこそこに拭いて部屋に戻る--

 

 

 

アネモネ「よっと!」

 

拓野「……あ?」

 

瞬間、なにか柔らかい布が頭に降ってくる。

 

拓野「…………何だ?」

 

アネモネ「はいはいはい。どうせこんなことだろうと思ってたし!」

 

拓野「………何がだ?」

 

アネモネ「シャワー浴びた後はいっつもちゃんと拭いて来ないからね!

はいちょっと屈んで!デカい!」

 

拓野「…………お前、さっきのしおらしい感じから何でそんな一変したわけ?」

 

アネモネ「……アンタって、すっごくわかりやすいから。」

 

拓野「答えになってねえ。」

 

 

なんか妙に嬉しそうな笑顔してんだけどなんなの?豹変しすぎてただの別人なんだけど。

 

アネモネ「うーん…スマホでいっか。自撮り用にカメラ向けて、はい。」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

アネモネが見せてきたスマホの画面には、特になんの変哲もない俺の顔面。

 

別にどうという事もない、いつもどおり()()()()()()だ。

 

 

拓野「……俺の顔がどうした?」

 

アネモネ「眠そう。何もかも面倒くさそう。何も考えて無さそう。」

 

拓野「………喧嘩売ってんのか、ぶっ飛ばすぞ」

 

 

 

アネモネ「--昨日までと違って、もう怒ってなさそう。」

 

 

拓野「………………。」

 

 

 

アネモネ「ふふっ。」

 

楽しげに笑い、俺の濡れた頭や身体をまた拭き始める。

 

拓野「…………楽しそうにしやがって……。」

 

アネモネ「久しぶり……だから。」

 

 

ここでもう一度俺との関係性を聞き直したところで、こいつは話すまい。

無理に聞こうとしても勢い余ってぶっ殺すのがオチだ。

聞くだけ時間の無駄だ。だからもう、聞きはすまい。

 

 

アネモネ「………♪」

 

 

自分を殺した相手の身体を楽しげに拭く女の気持ちなんて、俺には絶対に分かることではないのだから…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ熱の残る朝食を食って、俺たちは同じ場所に建つ校舎へ向かって歩く。

別にわざわざ時間をずらす必要性も感じない。目的地は同じ。ただそれだけで、俺とこいつは同じ通学路を歩いて、校舎へ向かう。

 

思えば、こうして朝から学校へ向かうのは何年ぶりだろうか?

誰かが作った飯を食って家を出るのは?

 

分からんな。別に、わからなくて良いんだろう。ほんの気まぐれによぎった思考に、これ以上付き合う義理もない。

 

 

だから俺は、久しぶりを満喫しよう。なにせ急ごうにも、俺の仕事は延々続く。

いつ鳴るか分からない終業の鐘の音を待ち、せいぜい怠惰に待たせてもらうさ。後につながるわけでもなし。

 

 

その時には、あいつのなぞなぞが解けているのか、あるいはこの手で殺すのか。

考えても仕方のない未来は、タイムカプセルに入れて埋めておこう。

せいぜい未来の俺が、その白紙の予定表に、答えを書き込むその日まで………。

 

 

 

 

 




これまでアネモネへの怒りと憎しみでつり上がっていた眉と目が、第一話で描写されていた『覇気の無い瞳』に戻りました。

別に一話の描写忘れて表情怖いって書いてたわけじゃナインデスヨー

アネモネの正体が気になりますか?

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  • 寧ろ棟梁が気になる
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