幸運の女神に嫌われた男が終わった遊戯王GXに転生する 作:SOD
拓野「……………いったい何だったんだアレは。」
今日の面接デュエル、人生二度目のデュエルと言う事もあって、結構一生懸命に準備していたんだが、対戦相手は癇癪を起こすわ、突然観客席から王とか呼ばれた奴が物騒な事言いだすわ、挙げ句に相手は逃げるわで…。
王とか呼ばれてたアイツは、この学園のボスなのか?つーかあんな
アネモネ「あ、来た来た。おーい、こっちこっちー」
人が微妙な気持ちでいるところに、アイツはエントランスでくつろぎのひとときかよ。
拓野「何の用だ。」
アネモネ「用があるのはこっちの人よ。」
拓野「…………こっち?」
指さされた相席の人間の方を見ると、さっきの王が両手に花で座っていた。
翔護「よう。始めまして。俺はラーイエロー1年、鳴海翔護だ。よろしく」
拓野「はじめまして。オシリスレッド1年、杉田拓野だ。よろしく。
んで、王様とやらが、俺になんの用だ?」
翔護「ああ、【黄色の王】か。
あれは手下共がいつの間にか言い始めただけだから、気にしなくていい。サル山のボスとか言われるんならともかく、俺のどこに王の要素があるってんだか……。」
淀みなくストローに口を付けてジュースを飲んている。
拓野「驚いたな…まるで
翔護「あ?何が?」
拓野「………アンタの目だ」
翔護「………………へえ、出会って5秒で分かったのか?おもしれえな、お前。こいつらだって分かっちゃいねえだろうに。」
ヒカリ「目…?マスター、怪我してるんですか?お、おかしいなぁ……?何処かにぶつけた所なんて見てないですけど…」
ツクシ「そんなわけないだろ。飼い主とは四六時中ずっと一緒に居るんだぞ?怪我したらオレ達が分かるぞ。目を離してるのなんて、トイレくらいのもんなんだからな!」
翔護「ーーお前らプライベートって知ってるかァ?お一人様は人間にとって大切な、ストレスフリーの時間だからな?便所以外お一人様出来ないって何?監視されてんの俺?」
ヒカリ・ツクシ「「してますが、何か?」」
翔護「………杉田、コレが【黄色の王】とか呼ばれてるやつの実態だ。笑えよ。」
拓野「……あー…なんつーか…ヤンチャしてデキ婚するニイチャンみたいな立場なんだな…」
翔護「……誰がそんな的確に刺してこいなんて言ったよ……ハァ」
さっき、こいつ。強めの殺気放ってたと思ってたんだがな……本当に同一人物か?
拓野「それで、本題に戻すが、俺に何の用だ鳴海。」
翔護「ああ、それなんだが……出会ったばっかのお前にこんなこと言うのもおかしいんだが、頼みがあるんだよ。俺と同じ【転生者】のお前に。」
拓野「転生者?つまり、お前も死んでこの世界に?」
翔護「ああ。俺は元いた世界に還る為に、情報を探してる。
お前の方の事情は、アネモネに聞いた。生きていた世界とは別の世界に行くために、ここでデュエルを学ぶって」
拓野「ああ。そうなるな。」
翔護「よかったら、さっきのデッキ見せてくれないか?」
拓野「構わねえよ。ほら。」
俺がデッキを渡すと、鳴海は手の中でサッと広げて、10秒くらいで元に戻した。やはり、こいつの眼球は光を映してないな…今のではっきりしたぜ。
翔護「なるほどな……杉田、初心者だってことらしいけどもな、断言するが、お前がこの学園でデュエルについて学べることは、ほぼ無い。」
拓野「どういう意味だ?」
翔護「言葉通りさ。聞けばデュエルやって二日目だって?
そんなやつが、昨日手に入れたデッキを最適化して、しかも融合主体のデッキと戦うからと、相性の良いカードまで採用してる。さっき使った『ヘル・ポリマー』なんて、その最たるものだ。サイバーズクラブのデッキで先行を取れば、まず有利には働かない。
お前はその不利になる部分をしっかりと見抜いた上でデッキを組んでる。俺から言わせればまだ甘いが、これを初心者が、カードも自分で集めてたった2日で構築したとなれば、話は大いに変わってくる。お前は天才だ。だが、この学園はエリート養成学校と銘打ってるが、そこらの雑魚と大差ないやつしかいない。」
拓野「随分辛辣な評価なんだな。」
翔護「編入早々希望を奪ってるようで悪いがな。
だが俺の手下共は、訓練させて3ヶ月になるが、俺の側近以外は全員がお前に勝つのは厳しいだろうと思う。それでも、本来格上の筈のオベリスクブルーの雑魚には負けねえ程度にはなって来てる。
はっきり言って見込み薄だ。」
拓野「………つまり、俺にお前の下に付けと?」
周囲が育てても弱いところに、見込みありそうな俺がいたからスカウトに来たってことか?引き抜きなんて珍しくはないが。
翔護「いや、俺の下でも問題はないが、今回はそういう話じゃ無い。」
拓野「話が見えねえな……」
俺がそう言うと、鳴海は隣にいた彩華ヒカリの頭をポンポンとしながら話を続けた。
翔護「こいつは彩華ヒカリ。サイバーズクラブの元副主将。だが、訳あってバカほど弱くなったところを俺に泣きついてきたわけなんだが……」
ヒカリ「………それ、言わなきゃダメでしたか?」
翔護「……あー、コホン。まあ、あれだ。まだ古巣に思い入れが有るらしいのさ。んで、お前がさっき戦ってたのは、現副主将を努めていたやつだ。」
拓野(あんなのが副主将か。鮫島校長には悪いが、どうやらお先は真っ暗だな。人材不足なんてレベルじゃない。)
「キャハハハ☆そうだよねえ〜やっぱキミもアレはクソ雑魚ナメクジだって思っちゃうよねぇ〜?杉田拓野くーん」
拓野「あ…?」
唐突に、ガキの声がして、後ろを振り向くと
「わぁ〜イッケメ〜ン!黄色の王とは違ったタイプじゃ〜ん。
ちょこってば、好きになっちゃいそう〜〜!!はぁ〜い、はじめましてのチュー。」
突然、頬に唇が飛んできた。あと、鼻に髪の毛が当たってくすぐったい。
アネモネ「えええええーーっっ!!???ちょ、誰このちっちゃい子!?い、いきなりチューって!??チューって!??」
翔護「ブフッーー!?クフハハハハハハっ!!!
今時そんなガキみたいな反応するやついるんだな。」
「ホントにね〜結構良いカラダしてるのに、持ったい無いなぁ〜
。使わないんなら、わたしと替えてほしい〜。そしたら、拓野くんとイチャイチャしながら勧誘出来るのに〜☆」
拓野「何だ?この黒ギャルがそのまま小学生になったみたいなガキは?先生のお子さんとかか?」
「わぁ〜反応が翔護くんの時とおんなじじゃん☆
そういう反応する人って、大抵強がってる童貞くんだけなんだけどな〜そのルックスで童貞〜?わたしが筆下ろししたげようか。
やさ〜しく、丁寧にー、やみつきにしてあげちゃうよ〜☆ちょこちゃん無しの人生なんてぇ、考えられなくなるく・ら・い・に〜♡」
言いながら俺の膝の上跨って来たガキが、俺の首筋に顔を近づけ、匂いを嗅ぎ始めた。犬か。
「スンスン……あ、拓野くん朝シャンするんだ〜。イイねえ。清潔にしてるのもポイントたっかいよ〜。運動して汗搔いてる匂いも好きだけどね〜あっ、カラダ引き締まってる〜マッチョじゃ〜ん!最高の物件じゃん拓野くーん!」
拓野「………鳴海、このガキ誰だ?」
翔護「クックックッ……ああ、悪い悪い。
そこのメスガキが、今話してたサイバーズクラブの主将なんだよ
。俺の用ってのは、そいつとお前の仲介ってわけだ。」
主将って…こいつそもそもデュエルアカデミアの生徒なのか?
思いっきり私服だが?しかもチビギャルそのものの。
「はじめまして〜拓野くーん。メスガキこと、
拓野「……わからせて…??何いってんだ??」
ちょこ「ちょこみたいなちっちゃくて、可愛い〜女の子に、あ〜んなことやこんなことしてぇーマウント取ってみたい?ってこと〜☆
年上でもこんな子供みたいな子に好き放題されてどんな気持ちぃ?
力尽くで黙らせて言うこと聞かせてみたいって思う?キャハハハ☆」
拓野「………あー…先輩なわけだよな。アンタ。
悪いけど、彩刃先輩。ノリについて行けねえわ。ごめんな」
ちょこ「ふぇ?」
拓野「年上だろうが、年下だろうが、デカかろうが、小さかろうが、人間という種から見れば誤差の範囲だ。
走るのが数秒早いとか、背が1メートル高いとか、優れているって言っても、所詮その程度の違いしかない。一瞬の間に百メートル走り切る人間は存在しないし、高層ビルより高い人間も存在しない。
あくまで人間という種族の中で誤差を競うだけのもの。
誤差で勝敗を決める娯楽を否定はしないが、誤差で優劣を決めるのは虚しいもんさ。」
ちょこ「…………ぽええ…」
翔護「ククッ、耳が痛いねえ。手下を使う側としちゃあ」
ヒカリ「……周囲を見下すマスターにはもっとも学んでほしいことです。」
ツクシ「ええ〜勝ったほうが偉いって方が分かりやすいだろ。
オレはいつか飼い主に勝って、好きな時に思う存分、撫で撫でしてもらうんだ」
翔護「どっちが飼い主なのか、中々深い話だなそれ。
あと、ヒカリてめえはあとで覚えとけ。」
ヒカリ「ピィッ!?」
ちょこ「……………ねえ、拓野くん」
拓野「なんすか?」
ちょこ「ちょこと、デュエルしよう?」
拓野「唐突…まあ、いいっすよ?」
翔護「おお〜メスガキに火がついたな。」
ヒカリ「ちょこ主将のデュエル…」
ちょこ「ちょこが勝ったら、サイバーズクラブに入ってよ。」
火がついたらしい彩刃先輩は、間延びした言葉使いから変わって、静かに笑みを浮かべながら、落ち着いた話し方になっている。
………が、落ち着いているのは、話し方だけのようだ。
さっきまで落ち着かないのは話し方だけの印象だったが、今度は内心が騒いでいる。
拓野「それは遠慮します。バイトあるんで」
ちょこ「お金が欲しいなら、ちょこがあげるよ。
サイバーズクラブって、学園代表で大きな大会に出ることも多いから、賞金も貰えるよ。ヒモになっちゃいなよ。」
アネモネ「ちょ、ヒモって!?」
拓野「御免被る。ヒモなんて不安定でいつ終わるかもわからんようなもの、なるやつの気が知れない。」
アネモネ「そういう問題なの……??」
ちょこ「じゃあ、キミが勝ったらちょこがこれまで稼いだ全部をあげる。アルバイト3年したって稼げない額のはずだよ?」
拓野「………それで俺に何を望むんすか?」
ちょこ「キミが、欲しいなあ」
拓野「………オモチャにでもすると?」
ちょこ「そうかもねぇ〜ちょこが勝ったら、ちょこが卒業するまで、ちょこのものになってよ。サイバーズクラブに入ってさ。」
拓野「何がそんなに琴線に触れたんすか?」
ちょこ「わかんない。けど、ちょこの今まで見てきた男の子にはいないタイプだよ、拓野くん。本で読んだ名言っぽいこと言ってカッコつけてる子とは違う。物の見方って言うのかな?
ちょこをみて、小さくても悪いことじゃないよって言う人は居たけど、人類纏めて大小が全部誤差なんて言う人、初めて見たよ。
だからぁ…もっと、キミのことが知りたいなあ。ちょこの彼氏になってよ。」
アネモネ「か……かれ、し……?」
翔護「クカカカッッ!!こりゃ面白えな……。
オイ、誰か来いよ。」
そこら辺にいたラーイエローモブ生徒ABCD「「「「ワン!!!!」」」」
拓野「ーー!??」
翔護「おう、お前らちょっと行ってデュエル場一つ貸し切って来いよ。ついでに、サイバーズクラブの連中も観客席に入れておけ。」
モブ「「「「ワン!!!!」」」」
拓野「……………(ドン引き)」
翔護「ん?せっかくだからサイバーズクラブの連中にも見せてやらねえとな。無関係じゃねえだろ?新しい副主将が決まるかもってんだぜ?そんな顔すんなって」
拓野「いや、そっちじゃねえよ…」
翔護「うん??」
拓野「言ってることは理に適ってるし、悪いことじゃねえよ。」
翔護「じゃあ何をそんなおもしれえ顔してるんだ?」
拓野「いや、お前……あいつら……ワンとしか言ってなかったぞ……」
翔護「あーな………まあ、アレだ。手下作った初期に、色々指揮してる内に面倒になってな。返事は全部ワンで統一しろって言ったら…何故か初期メンバーだけでなく、ラーイエロー全体で広まっててな。面倒くさいし、特に問題もないし、まあいっかと思ってな。」
拓野「王と呼ばれたサル山のボスが犬指揮してるのか……」
翔護「まあ、いいじゃねえの。同じ転生者のよしみだ。
必要なら杉田にも貸してやるからよ」
拓野「遠慮しとくわ。」
翔護「……まあ、そうなるな。」
こうして、不完全燃焼な面接デュエルから一変、今度はサイバーズクラブの主将からの交際申し込みデュエルをすることになったのだった。ついて来い……。
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