幸運の女神に嫌われた男が終わった遊戯王GXに転生する 作:SOD
「ウェイクアップ・ジャスッッッティス!!!!
拓野ちゅわああああああああーーーーンンン!!!!」
筋骨隆々なオッサンが無理矢理声を高くした声ーーいや、絶叫を鼓膜と全身に浴びせられながら、俺は布団で目を覚ました。
目の前に迫るのは、身支度とメイクを完璧に施したオカマのオッサンのダイブイン。
それを最短のルートで最速で身体を動かして全霊をもって回避する。
「へぶっ!???」
死にものぐるいで寝起きの身体に鞭打ったかいもあり、俺は迫りくる恐怖の大王から逃げることに成功し、当の本人は俺の寝ていた布団に顔面全体でキスをしている。
正直勘弁願いたい。
拓野「…………顔、洗ってこよ」
朝の身支度を済ませ、前に潰れてしまった腕時計の時間を確認する。
いつもと同じ時間だ。
「準備は出来たようね、拓野チャン!!&おはよう!!」
拓野「はい。おはようございます。……
棟梁「ンもう!!マムってお呼びなさいっていつも言ってるでしょうに。
さてと、今朝は軽いランニングついでに、期末テスト近いってことだったし。
ついでに、お・べ・ん・き・ょ・う。していくわよ〜!!!」
拓野「はい。今日もよろしくおねがいします。棟梁。」
朝起きて、水を飲み、用を足して、顔を洗って、ジャージに着替える。
まだ朝日も登らぬ内から外へ出てランニングを始める。
昨日と同じ、俺達の朝のルーティン。
棟梁「へぇ〜!!周囲が海なだけあって、景色の質はワテクシ達の普段ルートとは比較にもならないくらい素敵な場所じゃな〜い!!」
しばらく走ってふと景色に目を向ければ、海は深海の濃い青と、登りかけの朝日を混じらせた薄明るさと僅かに霧を含んだ、境界を曖昧にした暗くも澄んだ
拓野「ええ。俺も昨日、そう思いました。
自然に囲まれ、空気は澄み切って……ランニングコースには事欠かない。
デュエルアカデミア、良い場所ですよ。」
棟梁「そうね〜!こんなに素敵な場所なら、毎朝走っててもきっと飽きないでしょうね〜!美貌にもよさそう!!」
拓野「そうですね。登る朝日を遮るものがほとんどない。
健康な暮らしが出来るでしょうね。」
棟梁「ええ!ひとまず安心したわ!!あーたが変なところにいなくて。これでワテクシも、今日からまたご飯のおかわりが心置きなく出来るってもんよ〜!
戦争中の世界とかに転生させられてやがったら、手段を選ばずに異世界の壁を殴り壊してでも助けに行ったところよ〜!」
拓野「ハハハ。棟梁なら、本当に出来るのかもしれませんね。」
棟梁「モチのロンよ!!ワテクシを誰だと思って?大事な家族の為なら、銀河の外にだって助けに行くわよ〜〜〜〜!!!!」
拓野「……頼もしい、です。」
棟梁「ま、今一番必要な助けは、テストのお勉強でしょうから。
さっそく拓野チャンの苦手な保健体育の実技から……」
拓野「それはテストに入りませんよ、棟梁。」
毎朝の習慣、軽いランニングで42.195kmの距離を走りながら、棟梁は頭の中の知識だけで、アカデミアの試験範囲を大まかに割り出して、授業をしてくれる。それだけだと、手元が暇だからと、ついでに大工道具の手入れも始めた。
本当に、この人は何でも出来るんじゃないかと思わせる、凄い人だ。
拓野「アネさん達は、お変わりないですか?」
棟梁「ええ、超絶元気よ。
あの時の、拓野チャンを引いたトラックの運転手、居眠り運転してたもんだから、あの子達全員ブチ切れて、横たわったトラック片手に運送会社に殴り込みに行っちゃったわよ。」
拓野「相変わらず、パワフルですね。」
棟梁「ヤンチャって言うのよ。あー言うのは。
ヤンキーじゃあるまいし、鉄パイプ代わりにトラックぶん回して、相手の会社物理的に破壊するなんて。
まだ、ワテクシの教育が足りてなかったのかしらね〜」
拓野「それで、棟梁は相手の会社に何をしたんですか?」
棟梁「あらやだ〜拓野ちゃ〜ん。ワテクシがそんな物騒なことする野蛮人に見えるのー?」
拓野「……そう、ですか。棟梁は、アネさん達みたいに俺のために怒ってはくれなかったんですね………」
棟梁「アアアアアアアァァァーーーん!!嘘よ拓野チャン!!!
その土地で二度と運送業出来ないように、周辺の道路殴り割って陸の孤島にしてやったわ!もうヘリでしか出入り出来ないくらいバキバキにしてやったから安心して頂戴!!!!」
拓野「何やってんスか棟梁。んなことしたら駄目じゃないですか。」
棟梁「アアアアアアアアアアーー!!!!怒られたー!!!!」
他愛の無い会話をしながら、心穏やかなランニングは、折り返し地点を過ぎて、棟梁はいつものように、シンクロナイズドスイミングのようなポーズを取りながら横走になる。
本当に、いつも通り。心穏やかな、俺の日常。
時間にして、僅かに一時間と少し。
目の前には、割り当てられた、アカデミアのレッド寮。
拓野「………棟梁。」
棟梁「マムとお呼びなさい。
どうしたの?拓野チャン」
喉が乾いて仕方がない。だから、こんなにも声が出ないんだろう。
拓野「………………そろそろ、時間みたいです…。」
棟梁「ンもう、拓野チャンたら。そう言うのは、分かってても言わないのが華ってもんじゃな〜い」
拓野「すみません。俺、死んでも半人前のままみたいです。」
棟梁「良いのよ。拓野チャン。あーたにはただ、時間が足りてなかっただけなんだから。
人は最初から一人前になんてなれない。ううん。本当はそんなもの、なる必要なんてなかったの。
人は決して、一人ぼっちでは生きていけない。それなのに『一人前』だなんて……チャンチャラおかしいって思わない?」
拓野「相変わらず、反論のしようもない言葉です。棟梁。」
ああ、本当に。俺は、もっとこの人のところにいたかった。
ずっと…ずっと…痛くても、居たかった。
棟梁「俯かないの。拓野チャン。
ワテクシはあーたを、そんなシナシナの粗チンみたいに立ちの悪い男に教育したつもりはなくってよ?」
拓野「……………棟……梁……ッッ!!!!」
意識が、遠のいて、いく。
この、素晴らしい、夢が、終わって、しまう……。
もっと…居たい、のに………。
もう…お別れだ。
棟梁「拓野、しゃんと胸を張りなさい。いつか必ず、会いにいくから。」
拓野「棟梁……それが、本当に、なったら……いいのに……………」
棟梁「してみせるわよ。ワテクシに任せなさい。」
拓野「はい。お願いします………棟梁。」
今まで、ありがとう…ございました。
目を覚ます。
二度目の起床。たしか、寮の部屋から出て、ランニングをしていたはず。
じゃあ、今の俺はどこで寝ている?
背中が硬い。けど、頭だけは柔らかい。
何か、甘い香り。
拓野「……………ん……。」
「あ、やっと起きた。」
まぶたを開けて、最初に広がった光景は、金色の髪と、褐色の肌色。
そして……
ちょこ「おっはよ〜☆あたしの名前分かるひとー?」
拓野「…………彩刃
ちょこ「もぅ…付き合ってるんだから、そこは名前で呼ぶとかするとこでしょ。」
拓野「………俺、何で寝てるんですか?」
ちょこ「拓野くん、部活の休憩中にスヤスヤしてたんだよ〜。
って言うか、微動だにせずに息もしてるんだからどうだかって感じだったから、めっちゃビビったよね〜……死んでるくね?とか思ったし」
拓野「………まぁ、それはそうなんすけどね。」
ちょこ「え?そうなの??拓野くん寝る時死んじゃうの?大丈夫?怖くない?ちょこ添い寝してあげようか?」
拓野「いえ…そういうわけじゃないんですけど……まぁ、いいや。
あと何人ですか?」
ちょこ「え?えっと…あと十五人だけど。拓野くん、何も一日でやらなくてもいいんじゃない?」
拓野「こう言うのは、早いほうが良いんですよ。
棟梁が言っていた。
人間はジワジワと慣らされるより、人生全てがぶっ壊されるくらいの衝撃を受けた方が、簡単に考え方が変わる生き物だ。って
だから……」
俺は立ち上がる。サイバーズ・クラブ全員を敵に回して。
昨日敗北した俺は、約束通りサイバーズクラブに入部した。
やるからには、全力でやる。だから
拓野「残りの部員を倒して、俺の存在を認めざるを得ないようにしてやる。
人間関係なんて面倒事の集合体だ。俺を気に入らない人間は絶対に出てくる。
だから、文句なんて出ないように、予め全員倒しておく。
万が一にも、彩刃部長の重荷になるわけには行かない。
俺はもう、貴方の恋人なんだから。」
ちょこ「はううぅー……これは思った以上に優良物件拾っちゃったなぁ〜。どうしよう。ちょこ、マジで本気になっちゃったら、2年は離れ離れなんだよなぁ……留年しようかな」
デュエルディスクの盾を構え、カードを剣に。
拓野「さぁ……
次は誰が来る!!」
拓野「キメラテック・フォートレス・ドラゴンで攻撃!!リミッター解除!!」
モブ「うああああー!!!!」
拓野「サイバー・ツイン・ドラゴンで直接攻撃!!さらにもう一度攻撃!!」
モブ「ぷきゃー!!!!」
拓野「サイバー・エンド・ドラゴンで攻撃!!!!」
モブ「ひでぶー!!!!」
拓野「サイバー・ドラゴンで攻撃!!リミッター解除3枚発動!!!!」
モブ「何が幸運に見放されてるんだー!!!!」
ちょこ(トゥンク……)
好きなヒロインを選んで下さい。
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アネモネ
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ちょこ
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棟梁(w)