幸運の女神に嫌われた男が終わった遊戯王GXに転生する 作:SOD
………ところで、なぜアナタは1話ではなく2話から読もうと思ったのですか?
幸運の女神「わたしは……アンタなんか絶対認めないし!!!!」
唐突に突き付けられた幸運の女神からの認めない宣言。
涙目ながらもしっかりと俺を見据えて言い放っている。
隣りにいる大女神も難しい顔をしている。
この幸運の女神にも、何かしら事情があって俺を嫌っているのかもしれない。
拓野「‐‐だったら何だっつんだボケェ!!!!!」
幸運の女神「‐‐っっ!!」
涙目だった目が再び強張った。
拓野「誰がいつテメエに認めてくださいなんて言ったよ?ア?
テメエのせいで俺が死んだってのがどういう意味かって聞いてんだろうがコラァ!!!!」
幸運の女神「‐‐う…うう……っっ!!」
拓野「認めなかったら何だ!?認めなかったら殺して良いってか!??だったらテメエも殺してやろうか!!!!」
埒が明かない。会話にならない。
分かることはコイツが俺を嫌っているということだけ。
だから何なんだ?
幸運の大女神「………杉田拓野さん。貴方の怒りは正当なものだと思います」
拓野「そう思うのであれば、説明頂けるんですよね?上司の大女神様?」
幸運の大女神「申し訳ございません。彼女が何故今回の凶行に至ったのか、彼女が誰にも語ろうとしないのです……」
拓野「………………………。」
幸運の大女神「本当に、申し訳ございません。」
拓野「……思ったんですけど、これってそちらの不手際ですよね?
俺を元の世界に帰してくれれば住む話なんじゃないですか?」
幸運の大女神「……………申し上げにくいのですが……貴方の、その………肉体が……」
拓野「………ああ…」
ダンプ一杯に積載された土砂に押し潰された人間の肉体が、五体満足で助かるなんてことは、無理な話だろう。
まして、俺はこの通り、幸運の女神とやらに心底嫌われているようだ。
つまり、生き返らせたところで、身体が既に生き物として機能しない段階にいるということだ。
拓野「……………。」
帰れない……俺は帰れない………。
なら、どうする?当初の予定通り、跡形もなく消え去るか?どうせここで何をしようと無意味だ。少なくとも、俺が生きていたあの地球には……
幸運の大女神「…………杉田拓野さん。
転生を選んでくれませんか?」
拓野「嫌です。俺は前世で苦労しっぱなしだったんですよ。
親は蒸発するわ、引き取られた親戚は酒カスだわ……苦労の連続でしたよ。何でそんなものをワザワザ別の場所で1からやり直さなきゃならないんですかイジメですか」
幸運の大女神「いいえ、来世ではそんな人生にならないことを、全ての幸運の女神を統括する大女神の名の下にお約束します。
貴方には、是非転生して貰いたい理由がこちらにはあります。
貴方の要望には可能な限り応えることも約束します。
どうか…考え直して頂けませんか?」
拓野「だったら俺を元いた場所に帰せよ。
俺の望みはそれだけだ……たったそれだけなんだ俺が欲しいものは!!!」
幸運の大女神「………………………」
拓野「無理なんだろ?分かったらさっさと俺を消せ」
幸運の大女神「………分かりました。杉田拓野さん。貴方の望みを叶えます。」
拓野「なに?」
幸運の女神「大女神さま!?そんなことしないで!!
そもそもコイツは大女神さまが助けてやるようなヤツじゃないし!!!」
幸運の大女神「それを決めるのは貴女ではありません。それに、彼の言うとおりです。
貴女の暴走に気付けなかったのも、彼の死を未然に防げなかったのも、全ては貴女の上司である私の責です。
部下の失敗は、上司が正さなければなりません。それが、誰かに迷惑をかけることになったものなら、尚更なんですよ?」
幸運の女神「‐‐っっ!!?わ、わたしの………せい……で」
幸運の大女神「………責任を感じるのなら、せめてこれからは彼を貴女が導きなさい。」
幸運の女神「……………………。」
幸運の大女神「貴女と彼に何があったのか、貴方がどんな確信を持って彼を殺害したのかは、私にも分かりません。
しかし、懸命に生きる人間を個人の判断で殺害することなど、神であっても許されることではありません。
彼とともに転生し、彼をもう一度見つめなさい。幸運の女神ーーいいえ……アネモネ。」
アネモネ「…………わか、りました……」
服の裾をギッと握り、自身の気持ちと相反する返答を返した幸運の女神ーーアネモネ。
幸運の大女神「杉田拓野さん。貴方が止まった世界にたどり着いた暁には、貴方が共に生きることを願った人達も、同じ世界にお送りします。
元の地球に戻ることは叶いませんが、止まった世界ーー限りなく同じ世界にお送りします。
これが、私に出来る精一杯です。これで受けて頂けませんか?」
拓野「止まった世界……限りなく同じ……か。
…………分かった。転生を受け入れる。」
どのみち、俺の望みはこれ以外では叶わないだろう。
受け入れるしかない。
幸運の大女神「まあ、本当ですか!」
拓野「ーーだが、そこの死神が同行することは拒否する。」
幸運の大女神「え………」
アネモネ「誰が死神よ!?私は幸運のーー」
拓野「人の命を奪う神を死神と呼ばず何と言う」
アネモネ「そ………それは…っ、わ…わたし……は…っ」
拓野「お前の事情なんかどうでも良いわ。
要は俺はお前に殺された。これが事実だってんだろ?
何で人殺しと…それも、自分を殺した奴と一緒にいなきゃなんねえんだよ?普通あり得ねえだろ」
アネモネ「……………。」
拓野「……じゃあ、そういうわけなんで、早めに転生終わらせて下さい。」
幸運の大女神「……………杉田拓野さん。この娘を同行させないということは、貴方にとって良い選択ではないのですよ?
そもそも、貴方はデュエルモンスターズをご存知なのですか?」
拓野「知りませんが?」
幸運の大女神「その娘には、貴方のサポートをする役目を与えます。
その内容はデュエルモンスターズのサポートも含まれています。
人生で初めてのカードゲームでの戦いに、一人で赴くことは、賢い選択ではありません。何より、貴方の目的の到達が遅れるだけです。」
拓野「なら別の奴をサポートにしてくれればいいのでは?」
幸運の大女神「それは、出来ないのです。
貴方の死は、彼女と彼女の上司である私の責任です。なので私達が貴方のサポートをすることは惜しみません。
ですが、サポートの女神を変えるということは、責任の無いものに負担を強いることになってしまいます……」
拓野「神には連帯責任なんてもんは無い。ってことですね」
幸運の大女神「申し訳ございません。」
拓野(まあ、それに関しては分からない話じゃない。
会社にしろ組織にしろ、失敗した者がケジメを付けることは当然と言える。
それで客が納得するかは、別問題だがよ)
アネモネ「…………」
こいつが、俺への敵意がまったく減っていないのは、間違いないな。
拓野「…………だったら、責任取って貰おうか。幸運の大女神。
俺に、こいつを『俺の命令に絶対服従する』ようにしてくれ」
アネモネ「ーーーーー!??」
幸運の大女神「…………今、なんと言いましたか?」
ここまで加害者の姿勢を崩さなかった大女神の声が、僅かに低くなった。
拓野「この死神を、俺に一切逆らわず、意思を持たず、俺の意思で一瞬で殺処分出来るようにしてください。」
幸運の大女神「………………。」
絶句。
拓野「サポーターをチェンジすることも出来ない。
アイツは全く反省している様子が無い。
だがサポーターがいないと俺の目的は叶わないと言う。
だったらもう、せめて首に縄ぐらいは付けておかなきゃ納得出来ねませんよねェ?
こいつは事実として俺を殺したんだから。せめて命くらい握って置かないと落ち着かない。そうでしょう?」
幸運の大女神「そ…………それは………」
動揺している。これまで上司として、女神として振る舞っていた大女神の表情が苦悶に満ちている。
そうだよなァ……?どんだけ外ヅラ整えて綺麗事並べようが、命がけとなりゃあ悩むよなァ……まして、
分かるぜぇ?
テメエらが他人事だからと、迷いなく俺に押し付けようとしてきやがったことそのものを、そのまま突き返しただけなんだからよ。
幸運の大女神「………………………。」
拓野「そろそろ良いですかねぇ?返答を聞きましょうか?」
幸運の大女神「……それは、私が代わりに」
拓野「そんなことした所で、アレが止められなきゃ俺死にますよね?意味ないんですよねェ。ソレ」
幸運の大女神「う………」
アネモネ「ーーこれで満足?」
そう言うと、首に掛けていたモノを投げ渡して来た。
拓野「何だこれは?」
よく見ると、カードのようだ。
幸運の大女神「あ…アネモネ!!それは」
アネモネ「私の魂が、そこに封印してあるから、それで何でも命令出来るし、カードが破ければ………わたしは死ぬ。
で、これで満足なわけ?」
拓野「……………。」
試しに使ってみるかとも思ったが…自分を庇うように抱いている腕が震えている辺り、あながちホラ吹きってわけでも無さそうだ……。
アネモネ「な、なんか言えし……っっ!」
拓野「何をすれば満足か……ってんならーーいつか必ず、お前を殺す。」
アネモネ「っっ!」
拓野「それじゃ体の良い奴隷も手に入ったところで…大女神様、始めましょうか?転生ってやつを」
幸運の大女神「………………。」
幸運の大女神(アネモネの判断は、間違いではなかったのでしょうか……)
拓野「…まだ何かあるんですか?」
幸運の大女神「……………いいえ、最後にこのジュラルミンケースを貴方に贈ります。カードデッキは勿論、ルールブックや戸籍等の向こうで必要になる物が入っていますので」
拓野「……それはどうも。」
幸運の大女神「それでは杉田拓野さん。
これより貴方とアネモネを転生します。
舞台は遊戯王GXの世界。物語の終わった2年後です。
そこでデュエルモンスターズの基本的な実力を磨いて下さい。
貴方の実力が、止まった世界で立ち向かえる程に成長した暁には、貴方は再誕し、嘗ての恩人達と再会を果たせることを幸運の大女神の名において、確約します。
アネモネ。貴女は杉田拓野の再誕を果たした暁には、再び幸運の女神の座を取り戻すでしょう。」
アネモネ「はい。大女神様。
アネモネは必ず……必ずこの場へと還って参ります。」
足元に何かを象った魔法陣?のようなものが浮かび上がる。
風が吹き上がり、すこし眩しい光を放ち始める。
拓野(………棟梁、みんな……俺はもう一度、あなた達に会いたい。
もし、その時が来たら………もう一度、俺を……………)
幸運の大女神「ーー転生陣……解放!!!!」
魔法陣の輝きが強くなり、俺の意識は、そこで途切れた……………
転生者が同行する女神とかそんなんをぞんざいに扱うような話って中々無いもんなんですよねー
このすばみたいな、態度を軟化させることに理由が分かりやすいのは良いとして。
復讐が正当ならガッツリ復讐したほうが気持ちいいんじゃね?