幸運の女神に嫌われた男が終わった遊戯王GXに転生する 作:SOD
っていうのが今回の本当のサブタイです。
でもここまでずっとアネモネのセリフをサブタイにしてたし、もういっそこのまま行こうと思います。
ヒロインよ、ちっとは可愛げ出せ。
デュエル・アカデミア フリースペース。
アカデミアの購買部でバイトをするべく、鮫島校長に申請した拓野は、明日の放課後の面接デュエルに向けて、デッキの見直しを行っていた。おそらく対戦相手が使用してくるであろうサイバー流デッキを研究しながら。
アネモネ「つまり、GX世界において、サイバー流デッキって言うのはこの『サイバー・エンド・ドラゴン』を『パワー・ボンド』って言う機械族専用の融合魔法を使って召喚して一撃で相手を倒すのが基本なの。」
拓野「…………だが、そうなるとこの『アタック・リフレクター・ユニット』とか、『フォトン・ジェネレーター・ユニット』とか、なんの為に入ってるんだ?せっかくの『サイバー・ドラゴン』をわざわざ融合素材に出来なくしてたかだか一度の攻撃を無効にしたり、攻撃力が自分よりも高いモンスターを破壊したりする
アネモネ「あーそれは気にしなくて良いよ。そのカード弱いから。
真面目に強いデッキ組もうと思ったら全部抜くし。」
拓野「そうか」
サイバー流デッキから4枚の不要なカードを抜き出す拓野。
アネモネ「まあ、この世界のデュエリストは素人に毛が生えた程度のものだから、入れたまんまでも不思議では無いけど。
そんなやつ警戒に値しないから、問題なし。」
アネモネ(寧ろほんの数時間前にルールブック読んだばっかのアンタが、ソレを理解していることの方が異常なんだよね……。
生まれて始めて見るカードゲームに対して、なんでそんなに的確な選定が出来るんだか。)
皮肉な笑みでため息をつくアネモネ。
アネモネ「で、それ使うつもりなの?」
拓野「貰ってホコリを被せて置くのもよろしくないだろう。これから雇われようって相手の贈り物を。」
アネモネ「ふーん。『感情』じゃなくて『世間体』ってことね」
拓野「違う。『ゴマすり』だ」
淡々と言葉を返してきた拓野に、アネモネは思わず絶句する。
アネモネ(わざわざ言葉選んで返したのに自分から言ってきた‥‥)
そんなアネモネを気にも止めず、自身の考えでデッキに残すカードと外すカードを仕分けしていく拓野を見つめながらアネモネは一人思考にふける。
アネモネ(こいつの『礼節』が外ヅラだけなのは、私にとっては既知の情報だけど‥‥それでも面と向かって言われると、心に来る。
赤ん坊の頃から現在まで、異常なのは間違いなく現在で、この人を変えた棟梁って人は、家族にも出来なかったことをやりきった。
高度なニンゲンごっこが出来るようになっただけだ。
なのに‥‥何であの時‥‥‥どうして‥‥‥あの時は違ったのに‥‥
「おいキサマ!見ない顔だな。オシリスレッドがこんな美しい女性と2人きりとはどういうつもりだ?」
何が違うの?どこが違うの?どうしてダメだったの‥‥‥?
「――キサマぁ!!!オシリスレッドのくせに【サイバーズ・クラブ】の次期副将であるこの根蔵再造を無視するとは何事だ!!!!」
ドン---!!
アネモネ「‥‥‥え?」
机を殴る音で、ようやく我に返ったアネモネの前には、青の制服に身を包んだ男子生徒が拓野に絡んでいる姿だった。
拓野「‥‥‥‥‥‥。」
一方拓野は、まるで耳が聞こえていないかのように無反応。視線はカードに、意識はデッキに。その容量に、視界のスミで吠えるゴミに割く余分は無いのだろう。
アネモネ「‥‥‥。」
根蔵「まだその態度を続けるつもりか!?オシリスレッドの分際で!!!」
よほど器が小さく自尊心は高いのか、オベリスクブルーの生徒は拳を振り上げて‥‥‥
アネモネ「ねえ。」
拓野「何だ。」
アネモネ「あ、私には反応するんだ‥‥。視界のスミにいる人が呼んでる」
拓野「興味がない。」
根蔵「なっ!??」
一蹴。取り付く島なし。
拓野「‥‥おい、死神。お前もし使わないならサイバーデッキくれ。」
アネモネ「横の喧騒ガン無視で、更に人のことは死神呼ばわりで、目当ての物は要求するんだ‥‥‥」
拓野「大女神から受け取ったデッキと言い‥‥どうにも不要なカードが多すぎてな。逆に必要なカードが足りない。」
根蔵「さ、サイバー流デッキに不要なカード‥‥だと‥ッッ!???」
アネモネ「あげても良いけど、いい加減その死神呼び止めてくんない?」
言いながら貰ったデッキを取り出して拓野に差し出したアネモネ。
根蔵「ふ‥‥‥ふざけるなああああああああああーーーー!!!」
そのデッキをガン無視し続けていた根蔵が引っ手繰った。
アネモネ「きゃっ!?」
根蔵「お‥‥‥‥オシリスレッド如きがサイバー流デッキを!??しかも不要なカード!??
デュエルもロクに知らないような素人が分かったような口を利きやがって!!!!俺と戦え落ちこぼれ!!!!身の程を教えてやる!!!」
顔を真っ赤にして額に血管を浮かび上がらせ、興奮して吠える根蔵。そこに人間らしい理性は見えない。
怒りのままに、感情のままに、デュエルディスクを起動させた。
アネモネ「ちょ‥‥一体なんなのこいつ!?」
拓野「邪魔で目障りで鬱陶しいな‥‥このゴミは」
それまで、視線すら向けなかった拓野も、心底から価値の無い物を見る目で根蔵を見ながら立ち上がる。
根蔵「――っっ!??」
その時初めて、根暗は拓野の全身を見る。
自分よりも明らかに高い身長。制服の上からでも分かる鍛えられた肉体の影が。そして。
根蔵(な、なんだこの威圧感‥?!まるで格闘家みたいじゃないか‥‥‥)
拓野「‥‥‥‥おい、死神。」
アネモネ「アネモネ。」
拓野「この世界は人を殺したらどうなる?」
アネモネ「――捕まりますけど!!!??」
拓野「ちっ‥」
アネモネ「ちょお‥嘘でしょ?法律が許したら殺る感じだったの??」
拓野「‥‥‥‥‥‥バレなきゃ良かったり――」
アネモネ「――食い下がって来るな!?ダメだからね!!あんたが殺して許されるのは私だけだからね!?」
拓野「仕方ねえ‥死なねえ程度に半殺しに」
根蔵「ひ、ひぃ!?おおおおおお前、デュエリストなら力じゃなくデュエルで――!!!!」
拓野「デュエリスト?知らねえなあ‥素人だから」
アネモネ(ダメだ。こいつはどうあっても目の前の奴をSATSUGAIする方向で動くつもりだ。
考えろ。1秒で考えろ超高速で考えろ私!こいつを止める冴えた方法を!!)
根蔵「う、うわあああああああああああーーー!!!???」
引っ手繰ったデッキを全力で投げつけて全力で逃亡する根蔵。
拓野「5秒やる。お前の神への祈りを済ませろ‥‥‥。」
其れを意に介さず足払いで転ばせる拓野。
アネモネ(やったねアネモネ!考える時間が5秒増えたよ!
うわあああああああああああーーー!!!???)
5秒‥‥
アネモネ「編入初日で暴力って良くないよ!??」
拓野「棟梁が言っていた。転校初日で暴力振るって退学になる人生があっても良い。それが不幸と笑うのは同調圧力に屈した敗者だけだ。
あと別に初日とか関係なく暴力とかダメだから。」
4秒‥‥
アネモネ「えっと!えっと‥‥‥!!?」
拓野「そういえばこの学校海に囲まれているな‥何だ、偶然生徒が溺死してもおかしくないじゃないか」
アネモネ「ひいいいいいいーーー!??」
3秒‥‥
アネモネ「そ、その人を殺したら、それは私と同じってことだよ!??死神だよ!?(言ってて悲しい‥‥)」
拓野「棟梁は言っていた。同じ人などいない。一卵性の双子だって異なる動きや思考、経験をした瞬間があって、それが右か左の違いであっても、それが掛け替えのない『個人』の証となる。だから世界には、1秒だって自分と同じ人はいない。
」
アネモネ「あのハゲオカマが ああああああああーーーーー!!!」
拓野「ってか誰がテメエと一緒だ海に突き落とすぞ」
2秒‥‥
アネモネ「あわわわわわわ!?!?!?!何でこんな時に周囲に一切人がいないのかな!??私幸運の女神なのに!??」
根蔵「た、たす‥たすけ‥‥!???」
拓野「そりゃあ、全寮制の学校ならわざわざ校舎に残んなくても、寮にだってフリースペースくらい用意されてるだろ。
俺とお前は寮が違うからここにいたわけで。」
1秒‥
根暗の頸椎の上に足を置きながらアネモネのサイバー流デッキから必要なカードを抜き出す拓野。
拓野「パワー・ボンド‥2枚入れるか1枚にするか‥‥‥」
アネモネ「ねえ本当にお願い待って!!アンタがこの学校退学になったら私も帰れないんですけど!?」
根蔵「俺の心配してくれてたんじゃないのお!?」
0秒
拓野「サヨナラ。」
根蔵「うぎゃああああああーーーーー!????」
無感動に足を上げ、人の命を一撃で刈り取るべく、かかと落としを落とす。
「‥‥あのっ!!すみません。その人を許して上げてもらえませんか?」
ピタリ。
あと数センチで取り返しのつかないレベルの傷害が入りそうなところで、拓野の足が止まった。
それまでの無感情な目を、そのままに声のする方に向き直る。
そこに居たのは、自信が無さそうに立っていた線の細い小柄な、赤い制服の少女が一人。
アネモネ「幸運間に合った!??――ってアレ?デュエル・アカデミアに女子のオシリスレッドの子??」
拓野「誰だお前。」
根蔵「な、彩華
アネモネ(副将‥‥??オシリスレッドのこの子が!?)
少女は小柄なカラダを更に小さく折りたたんでお辞儀をして、自己紹介を始めた。
ヒカリ「あの‥‥初めまして。彩華ヒカリです。元【サイバーズ・クラブ】のメンバーで、一時期は副将を任せてもらっていました‥‥。」
拓野「‥‥初めまして。
今日編入してきました。杉田拓野です。
それで、こいつを許せとは?」
礼に対しては礼で返す。棟梁の教えは拓野にとって根深く習慣付いている。
ヒカリ「えっと‥‥その人は去年、ヒカリと副将を目指して戦った人なんですが‥‥ヒカリが戦えなくなっちゃったので、その人がいなくなっちゃうと【サイバーズ・クラブ】の副将が居なくなっちゃうんです‥‥。ヒカリは辞めちゃったけど、お世話になった先輩たちに申し訳なくて‥‥‥」
拓野「古巣に未練があるのか?」
ヒカリ「‥‥‥いいえ。今のヒカリは
でも、卒業した先輩達に任せてもらった副将の位置に、せめて空きを作りたくないんです‥‥‥。」
拓野「‥‥‥‥‥‥‥‥‥世話になった人への恩‥か」
ヒカリ「その人が貴方の気を悪くするようなことをしてしまったんだと思います。
本当に、ごめんなさい。
でも、どうかお願いします‥‥‥その人を、許して上げて下さい。ヒカリが、代わりにお詫びしますから‥‥」
もう一度頭を下げる少女。
根蔵「さ‥彩華副将おぉ〜!!」
拓野「‥‥‥‥分かった。」
根暗に載せていた足を退けて、地べたに這いつくばる根蔵の制服の襟を掴んで強引に立ち上がらせる拓野。
拓野「次はない。(ボソッ)」
根蔵「(----ビクッ!???)」
拓野「他の奴らにも言っておけ。俺に喧嘩売るなら殺される覚悟で来いと。
社会人の癖してマジで短気だからよ俺」
殺気の籠もった目でガンをつけることも忘れずに、しっかり言い含めるのだった。
根蔵「は、はいいいいいいーーー!!!すみませんでしたああああああああーーー!!!!!!」
拓野「走り去る元気が残ってたか‥‥脅しが足りなかったな‥」
アネモネ「過剰だから‥‥絶対足りてるから‥‥」
ヒカリ「‥‥流石に反省はしたと思います。えっと、それで拓野さん。ヒカリは何をしたら良いですか?」
拓野「いや、別にいい。もう用は済んだ。
アンタも帰ってもらって構わない。」
ヒカリ「‥‥‥‥‥‥‥良いんですか?‥って聞くのは、失礼みたいですね。」
拓野「分かってるじゃねえか。彩華。」
ヒカリ「…‥‥貴方からは、マスターと同じ匂いがするので。
‥‥‥‥‥‥‥これ、良かったら差し上げますね。それじゃあ、失礼します。」
そう言って立ち去った彩華ヒカリが机に置いていったのは
拓野「‥‥‥三枚目の、パワー・ボンドか。」
アネモネ「……重くない?事故るよ手札?」
拓野「………………。」
目線だけでヒカリを見送った後、拓野はサイバー流デッキに3枚の『パワー・ボンド』を入れるのだった。
アネモネ「………ねえ、もしかして私あの5秒で遊ばれてた?」
拓野「遊んじゃいねえよ。下らないゴミの相手をするのが苛ついたから八つ当たりしただけだ。」
アネモネ「私もしかして不憫枠なのかな……?」
アネモネの正体が気になりますか?
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はい
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いいえ
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寧ろ棟梁が気になる