ひぐらし@チラ裏   作:与末居

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???「これは、過去に他の場所に置いていたカケラの再編よ。タイトル失念したので新たに付けたわ。
廃棄するには惜しいから、ここに置いておくわね。

いつもと導入の仕方が違うから戸惑うかもしれないけれど。
祭囃しは通っているわ。あったかもしれない小此木と茜の、ほのぼの話よ。恋心? あるわけないわ。名前だけなら、お魎や葛西が出ているわよ。
一部の酔狂な人たちにとっては面白いかもしれないわね。少なくとも私は楽しめたわ」





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夏の暑い日に。

ギコギコと、ガリゴリと、リズミカルに枝を削る音。その大男は木の上に登って枝を剪定していた。額から汗を吹き出しながら枝を見栄え良く整えていく。上を見上げれば、雲ひとつ無い快晴。下を見下ろせば、妙齢の女性が縁側で茶をすすりながら大男の俺を眺めている。彼女の名前は園崎茜。

 

「もう少し掛かりますん、キリのいいとこで切り上げますんね」

 

太陽は真上、時刻は昼だろうと検討を付ける。大木に掛けてある梯子を降りる。ジリジリと地面からの熱気を受け、汗が吹き出してきた。その様子に見兼ねたのか濡れタオルを差し出された。

 

「悪ぃな、茜お嬢さん」

 

「お嬢さん、なんてもうそんな齢じゃないよ。でも、悪い気はしないねぇ」

 

タオルで頭や首を拭きながら上着についた木クズを払い落とす。庭は後で掃除すっから問題無ぇか。彼女に促されて縁側に腰掛ける。

 

「頼れるのがアンタで良かったよ。他の男どもは木登りすら出来ないからねぇ」

 

「へへへっ、頼りにしてくれてありがてぇですんね。仕事冥利につきますん」

 

造園は副業だったはずなんだが、今では本業になっちまった。人生、何があるか分からんな。初めは、やってた事を露呈されちまって、憎まれたり恨まれたり疎まれたりすんだろうなぁと思っていたんだが。

 

「私もね。昔は良く、ああやって木登りしてたもんだよ」

 

「葛西って男の話じゃあ、相当なお転婆だったと聞きましたんね」

 

「あの葛西…全く、世話ないねぇ」

 

彼女はこの家を勘当されたとはいえ魅音お嬢ちゃんや詩音お嬢ちゃんの母親だ。思うところもあるんだろう。誰かにこうやって見守られるってぇのは、こそばゆいな…俺にはオヤジやオフクロましてや兄弟なんぞ居ねぇ中で、富竹とかいう野郎の下で習い、生活してきた過去があったんでな。俺は、家族や家庭があるやつが羨ましいのかもしれん。

 

「いやぁ、いつも美味しいおはぎを頂いちまってるんでな」

 

お魎婆さん手作りのおはぎは程よく甘ぇんだよな。彼女も作るらしいんだが、甘さが違ぇのが分かる。どっちも美味ぇって事に変わりは無ぇが。

 

「なんだいなんだい、誉めても何も出ないよ」

 

何も出ねぇだろうし出さねぇのは分かってんだが、それでも誉めずにはいられんかった。

 

「あー、ったく…茜お嬢さんの旦那が羨ましいんね」

 

心に留め置くべきはずだってぇのに、つい口を吐いて出ちまってた。一瞬だったが彼女の目の色が紅くなったような気がした。

 

「へ? あははっ、違いないねぇ。でも、射止めたのは私だからね! そこは勘違いして欲しく無いねぇ」

 

すぐにいつもの表情に戻ったみてぇだが、俺には見覚えがある。ありゃあ、鬼だ…

彼女にはまだ“鬼”が住んでいるんだな…迂闊な事、言えなくなっちまった。自業自得か。

 

「悪かったんね…」

 

「何を謝る必要がおありで?」

 

肝が冷えるくらいの寒気に襲われる。俺は…深入りする事を辞めた。

 

「今日もまた暑くなるねぇ…ねぇ、■■■?」

 

 

 

 

 

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過去作再編なので、某鬼とは全く関係ないです。と、弁明しておく。
お魎婆さんの侍医の入江が、庭の整備についての相談を茜さんから受けていて、その際に小此木さんが適任ではないかと紹介したのだと思われます。(その過程をすっ飛ばしただけとも言う)
どう終わったらいいか悩んだ結果、茜さんに名前を呼ばせるような感じで■で伏せる事にしました。■だけ異質な感じなのは、耳がキーンと鳴ってひぐらしの鳴く声が聞こえてくるような雰囲気での終わりかたにしたかったので。うまくいってるかな?
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