???「例によって、イタズラにカケラを集めて遊んでみたものよ。
【祭囃子が鳴り響く頃に 1.0】(祟※し)から続く別編ではあるけれど、単独でも読めると思うわ。
小此木の独白がメインよ。
名前だけなら、鷹野、入江所長、野村、雲雀十三、富竹、R(梨花)、知恵……が出ているわね。
一部の酔狂な人たちにとっては面白いかもしれないわね。少なくとも私は楽しめたわ」
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鷹野三四の人生を破滅へと導く悪魔の計画は着々と進んでいたが、大きな誤算がありましてねえ。まァ、いずれ明るみになるだろうよ。今は‥‥コッチを先に片付けねぇとならんなァ‥‥
雛見沢村の顔である古手神社は診療所からさほど遠くない位置にある。もうじき<綿流し祭>が開催されるからか、神社の本殿から目と鼻の先にある社務所内で今も話し合いが行われている。<山狗>の俺も例に漏れず、設営の手伝いという名目で入江所長と連れ立って会合に招かれていた。
先日、鷹野の呼び出しで診療所に寄った際に懐具合が寂しいと誰に言うでもなくぼやいたら、それを聞いた所長に『祭りの手伝いで幾らか弾みますし、何でしたら店を出すのも良いですよ』と提案されてな。所長は祭りの実行委員も兼ねてっから、あれよと言う間に手続きが済んじまってましたんねえ。案外、所長もやり手だなァ‥‥
社務所から出た俺を見計らったのだろう。鳥居の入り口より端に停めていたワゴン車から<山狗>の仲間の一人が、電話の受話器のようなアンテナを付けた小型通信機器を持ってこちらに向かってくるのを視認した。オヤシロ様の信仰者かは知らんが律儀に真ん中を避けてひとつめの鳥居をくぐり石段を登ってくる。来るまで眺めて待つよりは俺も少し石段まで寄る事にした。向こう側から見れば二つ目の鳥居前、こちら側から見れば一つ目の鳥居前で交差する。
あまり重要ではないらしいが俺宛という事は<クライアント>からだろうと見当をつけて通信機器――無線機を受け取る。『<雛>の様子はどうですか』と聞かれたんで『何時も通り、変わりゃせんねぇ』と言っておいたが。『時期を逃さねぇように監視対象である<雛>から目を離すな』だとよ。分かりきっている事にヘイヘイと言葉を返しといた。<雛>である鷹野には悪いが、俺の上司は<東京>の<野村>なんでなァ‥‥交信を終えると、退屈そうに伸びをしていた男に無線機を返す。この様子だと交信内容を聞いてねぇな‥‥
「<雲雀十三>は戻っていいぞ。ご苦労さんだったな」
そそくさとワゴン車に戻っていく<雲雀十三>を眺めながら、俺は鳥居との境にある石段に座り込む。
胸ポケットからシケモクの入った箱を取り出し、指で吸い口をちょいと摘まんで出すとそのまま口許にもっていき唇で咥える。何度となく繰り返した動作。ライターも取り出そうと胸のポケットを探るも手には何も当たらない。チッ、社務所に置いてきちまったか。箱だけ胸ポケットに入れ直すが、ライターを取りに戻る気は起きなかった。
火を付けないまま一度は咥えたシケモクを、吸うでもなく吸い口を二本の指で摘まんで口から外すと、沈んだ面持ちのまま深い溜め息を吐く。考え込むつもりで座り込んだ石段と石段の合間を見つめて、先程の交信内容を脳内で復唱する。<野村>からの最終確認と、次で最後の報告にするとのお達しを受けたところで、俺は揺れていた。
<野村>の描くシナリオ内では、子供らに提供している営林署は老朽化で解体は決まっているが、その他に診療所は全面封鎖させ、造園業務や会社は跡形もなく解体し、富竹には真っ先に死んでもらい、首謀を入江に被せ、感付かれる前にケーサツを排除し、鷹野は最期まで踊らせ、俺はカタヅケを済ませてから<雲雀十三>と共にズラをかる。綿密に練られた計画の実行には<雛>の心的状況が欠かせ無ぇんでな。<東京>にとっての<雛見沢症候群の研究>は、政治を動かす交渉の一つでしか無ぇのは<野村>以外はマトモに知らんだろうよ。
考えれば考えるほど、頭痛の酷さが増している気がしてならない。だが、考えなければいけない事は山ほどある。
『<郭公>を実行せよ』と、<野村>に指示を出されちまったら俺は‥‥少なからず恩義のある鷹野を始末せにゃならん。できりゃあ避けてぇが、向こうさんの都合もあって最終連絡は直前になるんだとよ。ケッ、こっちの事情などお構いなしか。
それにだ。準備が整わねぇまま<番犬>が来ちまったら見えちゃならんものが露呈しちまう。信用信頼を築けていた奴らには忍びねぇが。
何とかする方法がありゃあいいんだがな。
手に持っていた事を忘れる位に拳を握り、フルフルと腕全体を震わせていたら吸い口が潰れてしまった。これでは火があっても吸うに吸えんだろう。チッ‥‥シケモクの先を摘まんで溢さねぇようにしながら、胸ポケットにし舞い込んだ箱を再度取り出し、箱の端へ区別がつくよう逆さにして収める。指先にまとわりついたシケモク本来の臭いが頭痛を加速させる。痛みをグッと堪えるも嗚咽は漏れ、気づいたら涙目になっている事に気づく。ここまで俺は涙脆かったか? らしくねぇ。こんなの、俺じゃねぇ‥‥
『小此木さん、貴方ひょっとして‥‥鷹野さんに‥‥? 私には、そのように見受けられますよ。ずっと見てきた私だから分かります』と、所長に指摘された事がある。実際、そうなんだろうよ。鷹野にゃあ、想い人の富竹が居る事は知っている。ここ雛見沢では周知の事実ではあるが、どうやら鷹野も富竹もお互いにその気らしい。監査で来ているだけじゃねぇ事は明白だ。
その富竹を差し置いて俺がその席に座ろうなどと、ましてや不在の時だけ富竹の代わりになろうなど思ってはいない。
堪えれば堪えるほど目尻から滲んだ涙が頬を伝って石段を濡らしていく。六月から輪唱し始めた蝉達は、いまも相変わらず飽きずに、俺のナキゴエを隠すように鳴き続けている。
一部を学校として提供した営林署の者共には感謝するしか無ぇな。子供らを‥‥鷹野の指示で監視対象の<R>をより監視しやすくなったからな。だが、俺の顔が怖ぇとよく泣かれちまうのがな。得意のウインクが子供らには効かん。時々、知恵とかいう先生を連れてきて『ごめんなさいね』と謝られ苦笑される。
己の涙で歪んだ視界で、濡れた石段を見つめながらハハッと笑って自虐する。
俺は座っていた石段から立ち上がると、神社から遠ざかるようにフラフラと裏の森の中へ入っていく。
その姿を咎める者は誰も居ない。いつからか社務所の喧騒は消えており、準備の進んでいた祭り会場も無い。鳥居の側に置かれたワゴン車が草葉の影に隠れるほど埋もれている事に誰も気付かない。
晩夏を迎えてからは身を隠すように、静かに羽根を震わせて生の終わりを迎えようとしている茅蜩が一羽。
【ひぐらしの鳴く声に。】では機器を背負って森の奥地に入っていくのに、こっちでは軽装で森に向かっていくのが矛盾してますが、キニシナイ
(・ε・)キニシナイ(だいじな事なので)
<雛>と言ったり鷹野と言ったり、せわしないです。鷹野を含め、それぞれの対象数人にフラグはあるものの相談するまでの仲ではない事もあり、混濁しているのと、やや発症気味です。
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こちらの台詞と言動からイマジネーションをし膨らませてみた次第です。画像にて失礼致します。
【挿絵表示】
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