ある日、疑問を感じた男は、相方であるスペアと問答を行っていた。
「そう言えばさぁ」
「何~」
それは、何故?人類に積極的に関わる事が危険なのかという。AL教という組織の脅威を含めても頭から離れない疑問の為であった。
「自分たちが勝手に人類を助けたり、味方するのは危険って言っていたけどどう言う事?」
「ああ、それは、この世界の大本…神様のボスがメインプレイヤーつまり、現在の人間達ねこれが苦しむ姿を見るのが大好きだからよ」
「それに従って配下の神々も願いを叶えるように動いているのよ…仮に私達が現在の魔王をどうにかしても空から雷でもふってきて直ぐに消滅させられるゼ!それこそ今の100倍強くなろうとね…」
どうしてそんな事をきくの?とスペアに言われると仮に、その話しを信じて女を諦めても他の楽しみである男の食事の資本は、人間基準であり虫や草を直接食べる様な種族がメインとなってもその文化を楽しめずに苦しむだけである。
ずれにずれているといっても男の感性は人間のものであり、他種族の思想を元にした技術や文化を楽しむ事は、難しいからであった。
つまる所何処までも男の都合である。そこに人類愛、正義など欠片も感じなかった。
「じゃあ、何も言われない力の使い方ってあるのか?」
「それは、簡単ね!それは…」
人類を苦しめる為に使う事…
そういうスペアの口調は、歪んでいたが表情は、寂しげであった。
「オリジナルー♪連れてきたよ」
「お邪魔します…」
無駄に良い声でドアを叩きながら、主人への声かけを行うもその扉から返事が返る事無く無言であった。
「留守?」
「あは~ん、どうやら緊張して嫌になったんだな」
「話しだけしてみるって約束したでしょ~一回だけでいいから開けてね~」
そういうと扉は、少しずつであるが開き始めた。
「…」
そこには、嫌そうな表情で此方を見つめる少女の様な存在がいた。
「貴方がオリジナル?」
「そうオリジナルです。質問は、なるべくゆっくり分りやすくしてあげてね~難しい質問とかされても答えてくれないよ~」
「どうも…」
その人型は、不機嫌とも興奮しているともとれる微妙な雰囲気を醸し出していた。
単純な脅威と聞くと目の前の少女の方が異質で分り辛く感じるが、コレは、何も感じない怖いとも強そうとも…それが不気味に感じてしまう。
「は~い、二人ともこれからもしかしたら一緒に暮すかもしれないんだから!明るくね」
この雰囲気を無理矢理どうにか出来るスペアが場にいなくては、いつまで経っても会話が始まる事は、無かったであろう。
「貴方は、人間?」
「一応、人型です?」
「なぜ?私を浚ったの?父と母は?」
「貴方を回収する際に確認しましたが、既に両親の息の根は止まっていました。」
「浚った理由は、そこのスペアから推薦を受けたからです。」
「したからです~」
「何を私に望むの?」
「分らないです」
「何がしたいの?」
「分らないです」
話しは、平行線を辿るばかりであった。どうも目の前の存在は、自身を厄介にも感じているとウスピラは、感じた。
「はい!ストップ!何でオリジナルさっきまで鼻の下伸ばしていたのに…そうツンとした態度をとるのかなぁ?ワサビかよ!」
「いやだって、他の人間に対する対応なんて知らない」
「この娘だって、どうせ腹の底では私の事を馬鹿にしているのだろうし…」
「…」
馬鹿にしていない…唯薄気味悪いだけ
口に出さないウスピラであった。懸命である。
「今だって、絶対に馬鹿にしている!」
このままでは、オリジナルに異性への対応を覚えさせる処か、より内に引きこもり他者を憎む悪癖を覚えさせかねない!そう思ったスペアは、視点を変えて説得を試みることにした。
「もしかして、集団ストーカーでも見えているの?」
「逆の立場なら、私達が彼女の心臓を握っているのも同然だって分るでしょ?もう帰る場所も頼る相手もいない所に化けものが自身を所有しようとしている」
説得の際に、男を過剰に持ち上げずある程度虚仮にする事も必要であるとスペアは、実感していた。現にこの場面で男を持ち上げる為に褒めても警戒して余計に他者を遠ざけようとする事が日々の暮らしから分っていた。それが必ずしも悪い結果に繋がるとは、言えないが目の前の少女程度こまして傍における程度でなくては、これから先の欲望を叶える事が出来ないのも同然である。
全てを忘れて異界で生きていく選択肢もあるが、後で、あの時こうしておけば良かったと延々と後悔されるよりも、ここで異性になれて片っ端から、挑戦してくれれば駄目であろうと次に繋がるであろう。
この少女の籠絡が上手く性交…成功したのならば他の少女も機会があるのならば積極的に狙っていく事もできるであろう。それにこのまま二人だけでは、オリジナルの視野が狭くなり過ぎる。
「ええと…名前はまだ無いです」
「名無し…?両親はいないの」
「孤児でして…」
それに…オリジナルに特定の人間、人種に対する悪意を覚えさせては、危険だ。あの借金取り相手にオリジナルが対応をしていた場合、最悪ゼスと言う国が地図から抹消していた可能性がある。自身の悪意へは、強く気にする事が無くとも、欲しいと感じた者への悪意は、絶対に許せないであろうと言う事は、容易に分る。実際に、私が対応した時既に不穏な空気が場に漂い始めていた。強引に洗脳して場を切られねば、借金取りの首が宙を舞い、怒り収まらずにその場の人間を殺し尽くしていただろう。ゼスと言う国も普通魔人が一体程度進行したぐらいならば追い返せる実力がある。逆に言えば普通以上の魔人が進行してきた場合には、灰燼と帰すと言う事であり、私ですら3日もあれば住民を皆殺しに出来る。オリジナルが動けば一日もいらないであろう。
だが、それは…
(勇者の覚醒に繋がる…魔王ナイチサを半死半生に会わせた。勇者…トロスの記憶からもどれ程、強くなるか予測が出来ない)
そして、その力のブーストには、恐らく…
(人類が一定以上死んだら発動する事は、間違い無いでしょうね…)
(簡単に考えれば、お上の人類絶滅対策ってとこか…ジルには、意味が無いみたいだったけど)
確かに、勇者は特性も実力もハチャメチャであるが、覚醒さえさせなければトロスの血を引くオリジナルの相手に等ならないであろう事は、理解できた。
(もし、勇者が男ならば在任の期間は、ひたすら人類の保全に努める必要がある。女ならば…籠絡してしまえば良い、オリジナルがソコに至らなくても私がやれば良い…)
まぁ、大概の勇者は男である。これは、恐らく神の悪い趣味の影響であろう。男ならば沢山の異性と触れあえる。そして、そこに異性からモテモテの勇者の特性が発現して、勇者の期間が切れれば…無敵の勇者から不孝の坂を転げ落ちるピエロの完成と言う訳である。女だと性別の問題から、特定の異性にのめり込む可能性が高い…それは、それで見物であろうが、神は、多くの悲劇が好きなのであろう。
(でも、周期的に次に女がなる可能性も高いのねー後で、オリジナルに魔人作って貰って偵察にでも出しておくかー)
それに…
「御免なさい…」
「いえ…別に良いですよ」
不満を放っておいた場合は…言うまでもない魔王としての力を借金取りに実感させ、その騒ぎから、ゼスと言う国の嫌な情報のみを取得し、その悪意を無くす為に手っ取り早く殺しにかかる…だってまだ、リーザスもヘルマンも残っているのだ。
(別に一国くらい滅ぼしても良い!と感がるだろうなぁ~だから、ここら辺で私以外の執着できる存在を増やしておかないと…駄目ならかなみって言う娘も挑戦してみようかな…何かこの娘も放っておけないのよね…)
JAPANもこのままならば、魔人ザビエルが復活する時期である。
勇者も魔人の対抗策の剣二つも無く、相手も馬鹿では無い月餅の法と言う封印術への対策もしてくる事は、間違い無いそうなれば、JPANは、魔人の支配する国家となる。
そして人間を見下す魔人が統治する国にとって人間など換えが聞くおもちゃでしかない…かなみという少女の命も危ないであろう。それならば、先にオリジナルに融通して保護した方が良いと何故かこの少女が不幸な目に遭うのは、避けたいと強く感じていた。
(これも、私の中にある残照のせいかな~)
何故か分る。ちぎれた赤い糸、その意味を分る者は誰も居ない…
話し合いの結果、ウスピラと男はいきなり同棲を始めるのではなく、生活を援助しつつい週に何度か出合うと言う事で決まった。
援助と言っても、唯金を渡すだけで無く彼女の学校生活も中途で退学と言う結果になった為、カスタムにある魔法塾に転校出来る様にスペアが手続きを済ましており、その後の道のりも、冒険者を含めた様々な職業に進めるように金をばらまき、護衛用に新規に作成した魔人3体が送られる事となった。
この魔人は、ゴーレムタイプに近い外装を施しており、特別にいくつもの泥人形を合体させて強度をました特別仕様のスペシャルチェーンが施されており、さらに男の魔王の血が自動修復機能を兼ねており、致命傷以外ならば時間をおけば再起動可能とゴーレム使用の技能を持たない人間でも運用を簡易にしている。
頭部のツインアイ、頭のV字アンテナを装備し接近戦に特化した一号機、出力は、普通の魔人と同程度で、LVとしては、剣戦闘、銃、ガードを1Lと同等の技能を手にしている。
背面に装備した二対のサーベルは、魔人の魔力によって起動する魔力を刀身として実態させる機能が付属しており、技術的にも仮に世にだしたならば大国も求める安価で、高威力な兵器である。
そして左腕に装備された盾も相手の魔力に反応し疑似的な無敵結界能力を発現する。ピンポイントなバリアとしての機能を持っており、計算上ならば神に値する相手以外からの攻撃を完全に無力化が出来、尚且つ神相手にも通常の魔法バリアー程度には、機能する一品であった。無論上記の兵器は、全て極秘中の極秘であり世に出てAL教の目に止まらないように24時間で本拠地にて見張られている。
二号機は、一号機同様人型でありながら両肩に備えた砲で火力支援が行え、計算上は、上級魔人の一撃にも耐えられる装甲を塗布し、尚且つ3分程度で1分の冷却が必要であり継続的な使用が出来ないが無敵結界を張る事が出来る。技能LVとして銃LV2、ガード2に値する。
両手持ちとなっているライフル銃は、この世界に存在しない銃を前世の記憶からスペアがオリジナルに言葉で伝えて作成させた一品である。一発に10秒の冷却が必要な事と両手が塞がってしまうが、計算上ならば直撃すれば上級魔人までならば一撃で死滅させる事が出来る威力を誇り、四天王クラスでも無事では済まない。
両肩の砲台も高い威力を誇り、これによってライフルの冷却期間を稼ぐ腹づもりである。
そして、頭部の穴からは魔人本体からの魔力によって生成されるバルカン砲であり、牽制用、近距離用として使用予定である。
三号機は、本来ならばさらに長距離の射撃にて危険を一掃する装備を予定していたが、ウスピラ自身が魔法使いの後方職であり、それよりも相手の位置と護衛が欲しいとの事で、頭部が肥大化したが情報魔法を主体とし、瞬時に周囲の状況を把握出来る装備が施される事となった。正し、それらに用量を割きすぎたため、無敵結界とそれに準ずる装甲などは、持ち合わせていない情報魔法2、ガード1相当の技能を有する。
無論、これらの魔人全てが無敵結界も突破出来るが、最悪集団で来られた場合にウスピラに危害が来る事が考えられた為、上位存在への対処は防戦一方に設定されているが、赤ん坊程度の判断能力を持つ。
そして、本人は知らされていないがウスピラ本人にも魔人化の処置が既に施されている。これは、直ぐに発動するものでは無くゆっくりと身体に血が巡り10年の時間を得て魔人となる処置である。
当初は、施すつもりがなかったが、「あの娘、美人だけど20年も年をとったら、シワも見えてくるねぇ~オリジナルその時のありのままのウスピラを愛せる?さらに20年もたったら立派なおばさんだけど…幾ら化粧や整形じゃあ誤魔化せないよ?」その言葉に、反論を唱える事も出来ず。途中で拒絶された際には、血を引き上げれば良いとの浅考が頭に浮かびベッドで睡眠をとっている。ウスピラの元に忍び寄り、スペアの指示の元で男の血が注がれた。その血を受けたウスピラは、艶めかしい声を上げながら身体を抱きしめたので、経験の無い男も、目をそらし興奮を誤魔化した。
「それじゃあ…またね」
「ああ~中途半端な事に、オリジナル本当にここに住まわせなくて良かったの?」
「良いんです。私も彼女も互い人間像が分りませんから、ずっと一緒にいたら気負うだけでしょう。それなら時間をおいてから答えを出せば良いのです。」
その後、数日の後にウスピラと自由都市アイスにて再会し身のうちを話し合った。最初は、カスタムに住居を構えるつもりであったとの事であったが、女性にも住みやすい都市として政策を打ち出しているアイスで住居を構えてそれ以降は、男が協力してくれるのならば今後、魔法塾を卒業した際には自分の力で生きていく為に冒険者の道を選びたいとの事であった。
その道は、辛いものともあろうがゼスでの失った日常と比べれば道は、まだ曇りだが、確かに光明は見えた。無論、この築かれた道が目の前の男の情婦が終着点である事は、分っている。しかし…
「へぇ~ラガールって人の所の志津香…っていう娘と競っているのかぁ」
「ええ、ゼスでもまず見かけない位に凄まじい才能を持っている娘よ。私も負けてられないわ」
「無理だけは、しないで下さいね?」
「抱く女が傷物になるのは嫌だから?」
「ノーコメントです」
誰とも分らぬ男の物になるくらいならば、こうも尽くしてくれる男の女になるのも悪く無い人生かもしれない。そう思いながら注文した料理に手をつけ始めた。その様子を見て男も食事に入った。食べながらも会話は止まらず。やれ、買って貰った家の住み心地はどうだのやれ、魔法塾で一番の成績となった。やれ、卒業後は、キースギルトという所へ就職する腹づもりである。と話しを続けた。
「どう?ピンチにならなかった?」
「………」
「………」
「………」
「うん?彼女も中々強いから大丈夫だった…そりゃあ、彼女も少し身体を弄られているからねぇ~(魔人化の処置が済んでいる事は、血が身体中に巡ってから本人に伝えれば騒ぎも起きないでしょ)」
その後ろで、スペアと急造された魔人達が近況の情報を伝えあっていた。チラチラと危ない話しも出ているが、実の所目での通信にて会話をしており、周囲からは、ゴレームと睨めっこをしている変人として見続けられた。無論、変人な事に変わりがない。
「で、良かった?」
「うん…思った以上に女と言う物は良い物でした…肝心の私が釣り合っていない事を覗けば」
そう言う男の声は、落ち着いており欲しい物を手に入れた事による落ち着きと安堵に包まれていた。もしあのとき怠惰な感情に合わせてウスピラを放逐していたらこれから先の生で何か不満を抱え続け、他の獲物も言い訳を続けて見ないふりを続けたのだろう。
改めて、理解者がいる事の大切さを男は感じる事が出来た。スペアという超常現象の様な不可解な存在であるが、自身も同じ様な存在のためかえってそれが、良い方向に回っている。この様な理解者がいて間違いを正してやりたい事に導いてくれる。これから先も、スペアの指示を受けつつ自分のしたい事を優先して行っていこう。自分は、それが出来るウスピラもとてもいい女だが、もっと欲しい…一度成功したのだ。これからも成功し続けてみせる。
「だから、これからもお願いしますねスペア…」
「へい、合点だ!オリジナル次の娘なんだけど…」
そういう手元には、以前うち捨てた用紙が握られており、その書かれている名前は…バーバラ・テオンと書かれており、まだ幼く自身達と同じ年頃の子供であろう事が分った。そして、同じく書かれたもう一つの紙には、ニーナ・ニルヴァーナと書かれていた。
「この二人の内、一人はねぇ…」
勇者だよ!
そう言うスペアの表情は、真剣であり瞳は、オリジナルを見つめていた。
ゼス王国の小さな農村、そこでは二人の少女が何か言い争いをしていた。
その近くには、イカマンの死体が転がっており大方の片方の少女がその手に持っている農具で仕留めたと言った所であろうか、子供の時点で最弱の一つと言われていてもモンスターを仕留める事は、難しく大の男であっても普通の人間ならば返り討ちにあっても何ら可笑しく無い。
それが行えている事から、少女の戦士としてのセンスの高さを理解出来ると言う物である。
「バーバラ!」
「うわぁニーナ何よ?」
「バーバラも女の子なんだから、そんな危険な事ばかりしてちゃ駄目だよ!」
そう言う。ニーナにの言う事は、バーバラも分っていた。
自分は、モンスターを仕留める事が出来ているが、このゼスで幾ら剣の腕があろうがそんな事なんの意味も無い、これが魔法の才能ならば今頃首都に家族事移住して、鬼才扱いだろう。それに、女として幾ら強かろうが結局この村を出なければ、何の保証にもならない。それなら、寧ろ男に賢く媚びている同年の娘達の方が、遙かに賢明であった。
「分っているわよ…危ないって事くらい」
でも、憧れは捨てられない昔、絵本で読んだ勇者の様に魔物を倒して皆から慕われる勇者の様になりたい!女の勇者なんて聞いたことが無いでも…
この後、バーバラちゃんがアリオスの代わりで、主人公の魔人となって勇者魔人になる予定で、そこからあんやかんやで道中出てくるヒロインを全て攻略する腹づもりの作品でしたが、書く度に作中ヒロイン達に罵倒される様な気分になり、ここで止めました。