巨神聖戦記 作:芹沢亀吉
「讃えよ、終焉の翼を。唱えよ、金色の御名を。そして求めよ、勝利と祝福を。」
「おお、神が降臨されました。3 本の首を持つ龍のお姿をされた神です。これで我が王国の勝利は確定しましたね。」
「違う!こいつじゃない!まだ供物を捧げてもいないのに降臨などあり得ない!君は何者だ?我々のゲマトロン演算でも君の出現は予知出来なかったぞ!答えろ!一体君は何者なんだ!?」
キングギドラは大司教メトフィエスの問いかけなど意に介さず、各首が一斉に引力光線を吐きエクシフを皆殺しにした。
この時アンラマンユ王国の主要人物もエクシフと共に全滅している。厳密には側近や家族を見捨てて1人で逃亡したアンラマンユ国王だけは引力光線の餌食にならずに済んだのだが、直後に倒壊した王宮に押し潰され即死したので結局は同じことだ。
ここ惑星マズダは地球からおよそ 10000 光年離れた場所にある。この星ではアンラマンユ王国が巨人達と戦争中で、メトフィエスら異星人集団エクシフはAI、即ち人工知能を贈与する形で王国の兵器を飛躍的に高性能化させていた。
なおアンラマンユ王国に贈与されたAIはゲマトロン演算なるエクシフ独自の数学体系を基軸とした未来予測演算技術によるコードで構成されている。
硬さが玄武岩級の岩石にも簡単に穴を開け内部から爆破する推進式削岩弾、小型原子炉と一体のパラボラ型放射機から1000℃の熱線を放射する原子熱線砲、出力 3000 万ボルトでメーサー光線(※誘導放出されたマイクロ波)をパラボラ型の砲身から照射するメーサー戦車等、エクシフがもたらした数々の超兵器でアンラマンユ王国の殺戮がより残忍でより大規模になったのは言うまでも無い。
この戦争は地下資源を狙うアンラマンユ王国が平和に暮らしていた巨人達の村を爆撃したことで始まったもので、早い話がアンラマンユ王国による一方的な侵略戦争だ。その上エクシフの軍事支援でアンラマンユ王国は兵器の大量生産に拍車をかけ、大気汚染や土壌汚染といった環境破壊がより一層酷くなった。
そんな中、惑星マズダに飛来したキングギドラが冒頭の記述通り王宮を襲撃し、言葉巧みにアンラマンユ国王らを騙し怪しげな儀式を行っていたメトフィエスらエクシフを皆殺しにして儀式自体を中断に追い込んだ。
「国王陛下の仇を取れ!あの龍を生きて帰すな!」
王宮を全壊させたキングギドラに王国軍残党が総攻撃を仕掛けるが、原子熱線砲もメーサー光線もまるで効果が無い。キングギドラの全身を覆う鱗や両翼の皮膜が頑丈過ぎて推進式削岩弾もかすり傷1つつけられない有様だ。当然だが王国軍の最終防衛線がキングギドラに呆気なく突破され兵力の過半数を失った時と同一の兵器でキングギドラに挑む時点で王国軍残党は詰んでいる。
「一歩も退くな!あの龍を血祭りに上げ偉大なるアンラマンユ王国を再興するのが我らの使命だ!」
無駄な抵抗を続ける王国軍残党は引力光線の餌食となり全滅し、アンラマンユ王国再興の夢は早々に打ち砕かれた。エクシフそしてアンラマンユ王国と、惑星マズダの自然環境を脅かす存在は文字通り消え去ったのである。
「殺される、全員殺される。あれほど強大な軍事力を誇る王国をあの龍は簡単に滅ぼした。だから我々も簡単に滅ぼされる。」
体長 4m 弱の巨人達も体長 160m 弱のキングギドラの前では小人同然だ。アンラマンユ王国やエクシフ同様に自分達も皆殺しにされると絶望していた巨人達だが、キングギドラは左の首が興味深げに巨人達を眺めただけで全く攻撃してこない。
予想外の展開に巨人達が唖然としていると、中央の首が左右の首に何かを伝えたキングギドラは両翼を大きく広げ大気圏外に飛び去っていく。
「あの龍は一体何故この星に来て、これからどこに行くのだろうか?」
「怪しげな布教を行っていたエクシフとかいう連中は、一体何をするつもりだったのだろうか?」
残された謎に首を傾げる巨人達だが、一方でアンラマンユ王国の侵略にも際限無き環境破壊の拡大にも怯える必要が無くなったため安堵している。
するとキングギドラ出現時に発生した暴風雨が突然消え去り、晴れ間が戻った空に虹がかかった。