巨神聖戦記 作:芹沢亀吉
「うわああっ! まだ死にたくないいいいっ! 俺は優子と結婚するんだあああっ!」
絶叫する榊原晴夫を乗せたまま失速した戦闘機「雷燕」は、同じく操縦不能に陥り一足先に梅田スカイビルに突っ込み爆発炎上した江夏優子隊長の雷燕の後を追う。
ゴジラを倒した後結婚する約束をしていた2人だが、倒されたのはゴジラではなく自分達だ。
二機の戦闘機が突っ込んだ梅田スカイビルは、 2001年9月11にハイジャックされた二機の旅客機が突っ込んだNY のツインタワ 一同様に崩れ去った。
ゴジラが放射熱線を吐くため背びれを発光させた際に広範囲に拡散した放射能と電磁波を浴び電子機器を無力化された言葉には落以外に選択肢が無い。
なおペルム紀から悠久の時を経てきたこのゴジラは榊原や江夏など一切眼中になく、自身のまがい物を爆砕するため放射熱線を吐く際のとばっちりで二人は死亡したのである。
2014年にムートーとの闘いの巻き添えでハワイ及びサンフランシスコを壊滅させた時同様に、この破壊神は人類など歯牙にもかけない。
少し時を遡ると大阪湾に出現し大阪市内に上陸したどことなくゴジラに似た外見の醜悪な巨大生物を打倒するため空母「機龍」が大阪湾に到着。
本来、空母は主に海外に出撃するため使用されるもので あり、憲法で戦争放棄を明言している日本が保有してはいけないのだが、憲法無視が常態化しモラ ルハザードを起こしている日本政府はまた日本が侵略戦争を始めるのではないかという近隣諸国の懸念を無視して堂々と国産空母を建造するほど身勝手で傲慢になっていた。
何故かゴジラと呼ばれているその醜悪な巨大生物を倒すため、榊原や江夏らが雷燕に乗り込み、空母「機龍」の甲板から出撃した瞬間、 大阪湾全体がめくれ上がるような大波が空母機龍をはじめとする艦隊を一斉に飲み込む。
そのまま大波は大阪府及び兵庫県の沿岸に押し寄せ甚大な被害を与えた。
大波に押し流された空母機龍はのろのろと大阪市内を徘徊していたゴジラのまがい物の足元に衝突して大破。
ゴジラのまがい物が転倒するその無様な姿は安物のコントそのものだ。
そして大波の中から姿を現した本物のゴジ ラはまがい物を睨んで激しく咆哮した。
その瞳は自身のまがい物に対する憎悪と侮蔑の念で満ちている。
よろよろと起き上がるまがい物の右腕に本物のゴジラの曲が食い込んだ。
右腕を食いちぎられ悲鳴を上げるまがい物に対しゴジラは攻撃の手を緩めず、自身の足でまがい物の腹を殴打し内臓を損傷させ、 まがい物の尾を掴み遠くに放り投げる。
意味もなく乱雑な生え方でまともにものを噛めない牙、ものを掴めず意味もなく上向きの掌、浮かせたまま歩くため身体自体が転倒しやすくなっている踵、 そして太くて長い割に段打攻撃には一切使用しない尾と、「完全生物」 と称される割に 無駄が多過ぎるまがい物と違い、 本物のゴジラは噛む力も尾で殴打する力も両でものを放り投げる力も桁違いだ。
勿論まがい物と違い本物のゴジラはきちんと踵を地面に着けて歩く。
「この期を逃すな! 地中貫通爆弾を投下し両者を殲滅せよ!」
江夏の指揮で榊原たち雷燕部隊が一斉投下した地中貫通爆弾は まがい物の皮膚を貫通し大量出血させたが、数十回の核爆発の直撃に耐え抜いた本物のゴジラの皮膚にはかすり傷一つつけられない。
部隊がばら撒いた地中貫通爆弾のうち何発かは地下に避難していた一般人を多数殺害したのだが、敵と見做した存在の打倒しか頭にない暴力主義者達にとって一般人の犠牲は些細な問題のようだ。
再度、よろめきながら起き上がったまがい物はこれまた意味もなく下顎を左右に広げ、 何故か黒煙や火を吐いた後紫色の光線を放つ。
このまがい物は背中や尾先からも紫色の光線を放ち、周囲を旋回飛行する燕を榊原と江夏が操縦している2機以外墜落させている。
だがこの意味不明な光線も肝心のゴジラには一切通用しない。
そして意味不明な光線で周囲の大気中の放射能濃度が急上昇し、その放射能を全て吸収した本物のゴジラの放射熱線の威力はムートーと戦った頃とは比べ物にならないくらい上昇していた
愚かにもまがい物は本物のゴジラの強化をお膳立てしたのである。
自ら強化した放射熱線の直撃でまがい物の肉体は大爆発しちぎれた首が宙を舞う。
上半身と尾の大半が消し飛んだまがい物の亡骸は原爆の犠牲者同様に灰と化し崩れ去った。
地面に落ちてきた首及び先程食いちぎった右腕にも放射熱線を撃ち込み粉々にするゴジラの姿は、まるで自身のまがい物を跡形もなく現世から消し去りたいかのようだ。
そして冒頭で述べた通り榊原も江夏も帰らぬ人となり、日本政府が結成した対ゴジラ部隊「Gグラスパー」は全滅。
ゴジラ打倒を口実に軍備強化という 日本政府の薄汚い目論見はそのゴジラによって打ち砕かれたのである。