巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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天皇が変わったって莫大な税金がドブに捨てられ代替わりで天皇の罪がウヤムヤになるだけでいいことなど何も無いのですが、それで新しい時代が来ると勝手に思っている連中に冷水を浴びせる物語を今作って一人でも多くの人に見てもらうことに意味があるんです


時の支配の崩壊

 

【挿絵表示】

 

それは文字通りの馬鹿騒ぎであった。

次の天皇の即位を1ヵ月後に控え新元号が公表されると、 大勢の日本国民が狂喜乱舞したのである。

 

前の天皇は自分が戦犯になるのは嫌という身勝手過ぎる 動機から現憲法施行後にも関わらず内閣の助言も承認も得ずアメリカ軍がこのまま沖縄を占領し続けて欲しいというメッセージをホワイトハウスに送り、1970年代にも原爆投下は仕方なかったと記者会見で放言し国体護持のため無条件降伏を拒否し続け広島長崎への原爆投下をお膳立てした自分 の罪を全く認めない外道ぶりを発揮した。

 

今の天皇は日本政府及び報道機関により聖人君子である かのように報じられてはいるが、東日本大震災の被災者に寄り添うポーズをするだけで天皇制自体を廃止し天皇制の維持と皇族の生活のため使われている莫大な税金を震災復興のために使おうとは 一切言わないなど、天皇としての特権にしがみつく俗物ぶりを発揮し続けている。

 

そして、父である前の天皇がアメリカ軍に沖縄を差し出すなど、汚い手を使って守り抜いた天皇制を今後も存続させるため宮内庁の制止を振り切り記者会見で自分は退位し息子に天皇の地位を譲ると放言する有様だ。

 

今の政府与党に批判的な野党でさえ「退位のお気持ち」 なるものに共感し退位実現のため法整備に動くのは、天皇の下僕という意識が与野党の枠を超え、全国会議員に浸透している証だ。

 

そして政府与党と 報道機関の宣伝工作に飼い馴らされた大多数の日本国民は無意識のうちに天皇がこの国の頂点に君 臨しているものと思い込み、本来敗戦直後に廃止しておくべきだった天皇制が存続し君主による時 の支配を示す元号が使われ続けている現状に何の疑問も感じず新元号の公表に狂喜乱舞するのである。

 

なお元号は中国の王朝を真似して作られたものだが、その中国では既に人民の蜂起で王朝自体が打倒され、元号も廃止されて久しく、かつては中国王朝を真似て元号を使っていた他の東アジア諸国も今ではもう元号など使ってはいない。

 

新元号公表に伴う馬鹿騒ぎに水を差すかのように怪獣ムートーが2体東京に現れた。

1999年にアメリカの大企業がフィリピン炭鉱で掘り出したムートーは2体揃ってゴジラに葬られたが、別の 個体がいたのだ。

 

今回現れたムートーの雌はグアム沖海底で眠っていたところを原子力空母ロナル ド・レーガンが近くを通ったため覚醒し横須賀基地に停泊していたそのロナルド・レーガンを基地もろとも破壊して放射能を吸収し、雄はベーリング海の海底で眠っていたところを周囲の核廃棄物 に反応して覚醒。

羽化後は岐阜県土岐市に飛来して核融合実験炉を破壊しエコロケーションで呼び合いながら繁殖地にするため東京にやって来たのである。

 

日本政府が最初から原子力空母の停泊を 許さず原発も核融合実験も止めておけば日本にムートーが来ることもなかった。

象徴天皇制という 建前さえ無視し朝鮮戦争体戦後も在日アメリカ軍には駐留し続けて欲しいとアメリカ大使に訴えた前の天皇の暴挙がこんな所にまでとんでもない影響を与えているのである。

 

そして私達人類には一 切聞こえないムート同士の会話を何千kmも離れた場所から聞き取れるゴジラもまた泳ぎながら ムートーを追い東京に出現。 ゴジラ上陸時に発生した大波が東京湾沿岸部に甚大な被害を与えたの は言うまでもない。

 

先程まで新元号発表に伴う馬鹿騒ぎで浮かれきっていた東京だが今はもう阿鼻叫喚の渦と化している。

 

戦車の砲撃程度ではまともにダメージを与えられず電磁パルスの拡散で半径320km圏内の電子機器を無力化出来るムートー。数十回の核爆発の直撃に耐え抜く頑丈さを誇るゴジラが相手では自衛隊も在日アメリカ軍も活躍の場が無い。

 

ムート一側は同族がサンフランシスコでゴジラに葬られたことなど知らないが、 ゴジラは前回の戦いで放射熱線を吐くのに慣れていない上、ムートーに噛み付かれて体内の放射能をかなり吸われ弱体化したことで苦戦を強いられた経験から、世界各地の原子力施設や原潜などを襲撃して多量の放射能を吸収し放射熱線の威力と飛距離を 大幅に上昇させていた。

 

周囲を火の海に変えながらあっさりと雌のムートーを抹殺するゴジラの強大さに驚き、皇居方面に逃げ出した雄のムートーを、睨むゴジラの口と背びれが青白く光る。

 

直後にゴ ジラの口から放たれた放射熱線が雄のムートーもろとも皇居を焼き払う。

 

ゴジラは皇居には手を出さないと勝手に思い込んでいた天皇ら皇族は全滅。

生き残ったのは本能で危険を察知しゴジラとム ートーの出現前に皇居から逃げ去っていた動物達だけである。

 

勿論人類など一切眼中にないこのゴジラは天皇などどうでもよく、私達人類が無意識のうちに女王蟻を踏み潰すのと同じ感覚で天皇制を滅ぼしたというわけだ。

 

天皇制自体が滅んだことで新元号は幻の元号と化した。 こうして天皇による時の支配は人類を遥かに超越した存在である破壊神ゴジラにより崩壊させられたのである。

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