巨神聖戦記 作:芹沢亀吉
「あ、他の奴ら全員喰っていいから俺だけは見逃してね。俺は今喰われた世襲野郎の命令で仕方無く来ただけだから。」
「テメーもあの世襲野郎と同じで自分だけ助かればいいってか!テメーこそ喰われてしま、こら!俺を喰うな!うぎゃああああっ!」
外道自衛官連中は仲間割れの最中に次々とラドンに捕食されていく。必死で命乞いする民間人を標的に大量虐殺を楽しんでいた癖に、窮地に立たされるとラドンに命乞いし自分1 人だけ助かりたい一心で仲間割れと本当にどうしようも無い連中だ。
「なあ、あのゲロ吐き世襲野郎が化け物に喰われている隙に俺達だけで逃げようぜ。」
「あのゲロ吐き世襲野郎、俺達を機内に置き去りにして自分だけ逃げたんだから自業自得だ。墜落前はガンダルヴァとナーガを見捨てて瞬間移動しようとしていたし、どこまでも最低な野郎だな。喰われて当然だぜ。」
「よし、ここから出て振り向かずに走れば、って、お前まだいたのか!」
ガルーダ機内に取り残されていた自衛官連中は寺内が喰われている隙に逃げようとしたが、機体から出た途端にモスラが吐く糸で全員拘束された。
まだガルーダ機内から邪悪な気配がするのを察知していたモスラは飛び去ったフリをして気配の主が機体から出てくるのを待っていたのだ。
当然この連中はモスラの糸で束縛された直後に全員ラドンの餌食になっている。
突然ラドンの近くに駆け寄ってきたのは 2 頭のメキシコオオカミである。
寺内の血の臭いを嗅ぎつけたのだろう。よく見ると片方は大きなお腹を抱えた雌で、どちらもかなり瘦せている。なおメキシコオオカミは 1970年代半ばに絶滅の危機に瀕し、その後保護により個体数は増えたものの、まだ絶滅の危機を完全に脱したとは言えない状況だ。
ラドンがモスラの方を見て目で合図すると、モスラも小さく肯く。直後にラドンは捕食した寺内や自衛官連中の衣服や装備を吐き出した。肉食性の猛禽類が捕食した獲物の毛や骨を口から吐き出すのと同じようなものだが、今回ラドンはまだ生きている自衛官 2 人も一緒に吐き出したのである。2 人の全身を縛るモスラの糸はラドンが嘴の先端を器用に使い切断する。
「痛たたたた、あれ?俺まだ生きてる?ひえええええっ、助けてくれ!」
「おい待て!俺を置いていくな!」
意識が戻りラドンの咆哮に驚いて逃げ出した自衛官 2 人は直後にメキシコオオカミ2頭にそれぞれ喉を噛まれ絶命した。この2頭は夫婦であり、環境破壊の影響で狩りの機会に乏しく餓死寸前まで追い込まれていたのだ。絶命した自衛官 2 人のそれぞれの腹部に喰らいつき飢えを満たす狼夫婦をラドンとモスラが静かに眺めている。
世界文化遺産、法隆寺に安置されている玉虫厨子には薩埵太子が餓死寸前の虎の親子に自分自身を喰わせる様子
が描かれている。
自発的意思で虎の親子に我が身を捧げた薩埵太子はお釈迦様に転生したが、この自衛官 2 人は自発的に狼夫婦に喰われたわけではないため聖人への転生はまず無理だし、殺戮を楽しんだ大罪を反省しないまま死亡したので地獄行き確定だ。
野生の肉食動物は餌を貰うことに慣れてしまうと自分で獲物を捕食しなくなり結局餓死してしまう。そのことを知っていたラドンはメキシコオオカミ夫婦に生きた自衛官 2 人を捕食させ狩りのやり方を思い出させると同時に餓死の危機から救ったのである。
ラドンがモスラに目で合図したのはこの2頭を救うことを伝えるためで、モスラもラドンの自発的な善行を大歓迎している。
アメリカで大量殺戮を楽しんでいた寺内も外道自衛官連中も全員喰い殺された。「天網恢恢疎にして漏らさず」ということわざ通りの結末で、戦争という環境破壊、殺戮という悪逆非道を楽しんでいた腐れ外道連中に相応しい末路である。