巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#6

全長約 2km の葉巻型 UFO が宇宙空間を漂っている。この UFO は数世紀前に惑星ラゴモから飛び立ったもので、乗っているのは戦争と環境破壊で死の星と化した母星を捨てたラゴモ人達だ。

地球人より遥かに寿命が長いラゴモ人達だが数世紀分の食料を船内に搭載は不可能なので全員冷凍睡眠状態で、UFO は時々巨大な帆を広げ恒星が発したプラズマをかき集めて動力としている。

 

「飛行物体接近。飛行物体接近。信号を直ちに確認せよ。」

 

船内放送が鳴り響く中冷凍睡眠から覚めたクルー達は操縦室に駆け込んだ。このUFOは自動操縦で、緊急事態に際してはクルー達の冷凍睡眠が解除され状況確認及び対応することになっている。信号を確認したクルー達はざわめきだした。

 

「信じられん、この信号は他の惑星の知的生命を採取しその場で実験を行うため飛ばした無人機のものと酷似している。飛ばした後すぐにあの最終戦争で無人機の行方を追うどころではなくなり、生き残った我々は今こうして宇宙を漂流しているが、無人機の方はプログラム通り数々の星を訪れ実験を続けていたのだろう。よし、信号を発している機を映し出せ。」

 

「妙です、映像をご覧下さい。この機は例の無人機と明らかに形が違います。」

 

操縦室中央に浮かぶ立体映像はあの MOGERA だ。宇宙空間をマッハ 50 以上の速度で 20 年以上飛び続けた MOGERA だが移動距離はまだ1光年にも満たない。

何を隠そうマミーロワを拉致したUFOは惑星ラゴモで製造された無人機であり、彼女がそのUFOの残骸を解析して得た技術で製造した MOGERA が元の無人機とよく似た信号を発するのは必然といえる。

「確かに違う。機体の素材は無人機のものとほぼ同じなのはスキャンで確定したが、この形状は明らかに別の星のもの。こちらが信号を送っても返事無し、即ち我々と話し合うつもりは無いということだから、やることは 1 つ、攻撃開始だ。」

 

葉巻型 UFO は機体側面の光線砲で MOGERA を一斉に砲撃した。ラゴモ人達は久しぶりの戦闘に高揚していて、戦争で惑星ラゴモ自体を死の星に変えたことへの反省はまるで無いようだ。

砲撃は MOGERA の全身に命中するが、大した効果は見られない。

 

「何故だ、何故効かない?あの機体の素材は我々のものとほぼ同一の筈。何故我々の攻撃が効かない?」

葉巻型 UFO は移動と冷凍睡眠装置の維持で機体のエネルギーの大半を使っていて、残りのエネルギーを光線砲に使ったところで大した威力にならないのは当たり前だ。

科学技術に関しては地球人を遥かに上回っているラゴモ人だが、この軽率さなら野放図な戦争と環境破壊で自分達が暮らす星を死の星に変えたのも納得である。

「機体損傷度0.018%。反撃開始。プラズマレーザー光線発射。」

 

宇宙空間飛行の間にすっかり無機質なAIと化したズメイは、MOGERA の両目と両腕からプラズマレーザー光線を発射した。

光線は葉巻型 UFO に大打撃を与え、大穴が開いた操縦室から次々とクルー達が宇宙空間に放り出されていく。MOGERA の光線の威力が全く低下していないのは、200 年間宇宙空間を飛び続けるエネルギーを生成可能なレーザー核融合炉の賜物に他ならない。

 

「敵艦戦闘不能。制圧開始。」

 

MOGERAはドリルで葉巻型UFOの機体側面に穴を開けた。惑星ラゴモから発った無人機が人体実験目的でマミーロワを拉致するも故障で墜落した結果、彼女は並外れた科学技術力を手にして MOGERA 及びズメイを完成させラゴモ人の葉巻型 UFO が制圧される事態に至ったのだ。

人体実験目的で他の星の人々を拉致する非道な行いの報いと言えばそれまでだが。

 

「ロケットエンジン換装及びエネルギー吸収ケーブル装備完了。」

 

ズメイにハッキングで遠隔操作されている作業用ロボット達は、ドリルで開けた穴から MOGERA の機体に移動しわずかな時間で改造作業を終えている。

改造後の MOGERA は秒速 210000km即ち亜光速で宇宙空間を飛行可能だ。

ズメイは宇宙空間を飛行中にも自己成長を続け、その科学技術はラゴモ人達でも到達し得なかった速さの境地に到達したのである。

 

「エネルギー吸収及び敵艦抹消完了。プラズマロケットエンジン起動。」

 

MOGERA は腹部の砲台から発射したプラズマメーサー光線で葉巻型 UFO を瞬時に消滅させ、亜光速移動を開始した。

エネルギー吸収ケーブルで UFO からエネルギーを奪った際死亡した冷凍睡眠状態のラゴモ人達は言うまでも無く全員粉々で、高威力のメーサー砲を開発とエクシフ製AI並みの性能にまで成長したズメイにより MOGERA の破壊がより残忍になったのは間違いない。

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