巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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「美しい、この武骨さと優美さを両立させた形状、白銀に輝く機体。他の誰もが解析し得なかった UFO の残骸を解析し、レーザー核融合炉、プラズマレーザー光線、合成ブルーダイヤモンドコーティング等数々のオーバーテクノロジーを手に入れた私だからこそ完成出来たのだよ。UFO の機体とほぼ同一のものを地球上の金属で再現などノーベル賞ものではないか。」

全高120m、重量160000t の機体を目の前にしてマミーロワは有頂天だ。

 

マミーロワらが完成させた MOGERA は頭部の口に当たる部分と両腕の肘から先がドリル、両目が光線砲と「地球防衛軍」本編のモゲラの基本的な特徴を踏襲しつつ、全身の武装を増やし宇宙空間を飛行可能なロケットエンジンを搭載と性能が大幅に拡張されており、造形も遥かに洗練されている。

 

「博士、念願の兵器が完成してご満足ですか。それでは博士には死んでもらいます。」

直後にエンジニアの 1 人がマミーロワの右目にドライバーを深々と突き刺した。突然刺されたマミーロワは起爆ボタンを押す暇など勿論無い。床に落ちたリモコンを踏み潰したエンジニア達はマミーロワの全身を鉄パイプで殴打した。

 

このマッドサイエンティストの暴走を危惧し、また心底うんざりしていたエンジニア達は MOGERA 完成に喜ぶ隙を見計らってマミーロワ殺害を企てていたのだ。

「やっと忌々しい魔女を退治出来たぜ。俺達を奴隷扱いしやがったこの腐れ魔女は MOGERA で宇宙に旅立つのが夢だったようだが、結局あの世に旅立ったな。で、どうすんのよ、MOGERA?どっかに売っ払うのか?

「こんな超兵器は他にねえしイラクを全面降伏させたばかりで有頂天なアメリカなら言い値で買ってくれるさ。資本主義万歳だよ。」

惨殺死体と化したマッドサイエンティストの周囲で金の亡者と化したエンジニア達が騒いでいる。

 

「何だ!?いきなり MOGERA が動いたぞ!おい!止めろ!撃つな!ギャーッ!」

突然起動した MOGERA は両目からプラズマレーザー光線を発射しエンジニア達全員を抹殺した。既にマミーロワを殺し金の亡者と化しているエンジニア達ならMOGERA を売り大金を手にした途端に分け前を巡り殺し合いになるのは目に見えているが。

 

「残念だったな、裏切り者共、既に私は MOGERA そのものと化している。お陰で試し撃ちが出来たよ。計画通りだがな。」

 

UFOの残骸に含まれていた破損状態のAIの構造解析に成功したマミーロワは、自身の記憶と人格を持つAI、ズメイを密かに製造しMOGERAに搭載していたのだ。

 

なおズメイの名はロシアや東欧の神話に登場する三頭龍に由来する。マミーロワは蛇がズメイになる伝承に準え、自分自身が MOGERA となり用済みのエンジニア達を最初から全員始末するつもりだったのである。

 

「もうこの基地に用は無い。今すぐ消し去ってやろう。」

頭部と両腕のドリルで天井を破壊し地上に出た MOGERA は、自ら開けた大穴にプラズマレーザー光線を撃ち込み地下の基地を完全に破壊した。

 

マミーロワ改めズメイは念願の「身体」を手に入れた歓喜の余り興奮しMOGERA の首を 360 度回転させながらプラズマレーザー光線を撃ちまくりウラル山脈近くのタイガ即ち針葉樹林を火の海に変えていく。

 

「誰も私を止められない!この私が地球最きょ、え、何だ?何なんだ、貴様は!?」

 

浮かれるズメイに冷や水を浴びせるかのように突然地中から突き出てきたのは、巨神ゴジラの背びれである。

 

この地球最強の巨神は1954 年のアメリカ軍の原潜ノーチラスの潜行時に 10000 年の眠りから覚め活動を開始していた。

 

「そうか、貴様はゴジラだな。機密文書で読んだことがある。MOGERA よ、今すぐこの化け物を焼き払え!」

 

MOGERA の両目及び両腕から発射されたプラズマレーザー光線は真正面からゴジラに直撃したものの、ゴジラは無傷でびくともしない。

 

ちなみにこの地球最強の巨神は1950年代に数十回核攻撃された時も全く負傷せず、核を持つ自分達が最強という建前が根本から崩れるのを恐れた核兵器保有国はゴジラへの核攻撃を核実験と偽り、ゴジラの存在自体を隠蔽する道を選んだ。

「化け物め!何て頑丈な身体、うわっ!」

 

お返しと言わんばかりにゴジラが吐いた放射熱線の直撃で MOGERA の機体が仰向けに倒れ込んだ。

 

機体の合成ブルーダイヤモンドコーティングが放射熱線を四散させたとはいえ、高威力過ぎて防ぎきれない。1発限りの核攻撃に対しては特に何もせずその場を去っていたゴジラだが、今回は目の前に反撃対象があるため遠慮無く反撃する。ズメイは早くも絶望感に襲われた。

 

「強い、強過ぎる。どうやって勝てばいい?ええい!今日はこれまでだ!私はこれから宇宙に旅立つ。地球よりもっと優れた文明のある星を探しそこで MOGERA を改造強化して次は貴様を必ず葬ってやるからな!首を洗って待っていろ!さらばだ!」

 

流石のゴジラも宇宙空間に逃亡した MOGERA の追跡は出来ない。ゴジラは空を一睨みしそのまま北極海を目指して移動を開始した。

 

なおゴジラが地中にいたのはかつてソ連が地下に隠した核弾頭を探すためで、既に複数の核弾頭から核エネルギーの摂取を終えている。MOGERA の目の前に姿を現したのも偶然ではなく、遠方からただならぬ気配のようなものを感じたからだ。

 

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