巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#9

 

バトルフィールドの中央にはかつてラゴモ人達が築き上げ現在は廃墟と化している高さ 1200m のタワーがある。

そのタワーが多量の宇宙エネルギーを帯びていることに気付いたキングギドラの中央の首はタワーを狙い単独で引力光線を吐く。するとスペースゴジラはわざわざ引力光線の前に立ちはだかり結晶体シールドで遮断という奇妙な行動に出た。

 

キングギドラの周囲の結晶体が宙に浮かび上がり一斉に襲い掛かる。スペースゴジラの超能力だ。両翼で結晶体を振り払うキングギドラにスペースゴジラがコロナビームを浴びせて追い討ちをかけた。

キングギドラの中央の首はこの執拗な攻撃はタワーに注意を向けさせないためのものではないかと考え始める。

 

左右の首は必死に引力光線を吐きスペースゴジラの猛攻に抗っている。 先程のスペースゴジラの奇妙な行動を踏まえ、キングギドラの中央の首は引力光線でタワーを狙うよう左右の首に指示した。中央の首の意図に気付いたスペースゴジラは、最大出力でコロナビームを吐きタワーを狙うキングギドラを妨害する。

 

コロナビームはエイリアン達の母船や巨大円盤の主砲ほど広範囲の破壊は出来ないが、一点に打撃を与える破壊力に関してはエイリアン達の主砲を遥かに凌駕している。

そのエイリアン達の主砲の直撃に余裕で耐える程頑丈な今のキングギドラも最大出力のコロナビームの直撃には耐えられず、左右の首が簡単にちぎれた。

スペースゴジラは空高く飛翔したキングギドラの両翼をコロナビームで焼き払って撃ち落とし、間髪入れずに重力波を浴びせ一度宙に浮かせて再び地面に叩きつける。

 

左右の首だけでなく両翼も失ったキングギドラはうつ伏せ状態で虫の息突然スペースゴジラの右かかとに先程ちぎれたばかりのキングギドラの右の首が噛みついた。

 

右の首は結晶体の隙間を蛇のように這いながら密かにスペースゴジラに接近していたのだ。

 

右かかとの強い痛みでバランスを崩したスペースゴジラの巨体が左方向に転倒した。横倒しのスペースゴジラの身体を這い素早く首元に到着した右の首が喉に噛みつき、スペースゴジラの悲鳴が周囲に響く。

 

起き上がったスペースゴジラはキングギドラの右の首を両手で掴み、爪先から放出するエネルギーで粉砕する。するとスペースゴジラの背後で轟音が響いた。

首だけの状態の左の首が体当たりでタワーを倒壊させたのだ。右の首は自発的に囮を買って出て、左の首が這ってタワーに到着し倒壊させる時間稼ぎをしていたのである。

 

タワーの倒壊で宇宙エネルギー受信量が激減したスペースゴジラは弱体化を余儀無くされた。一方左右の首と両翼を即座に再生させたキングギドラは、中央の首が足元の結晶体に噛みつき宇宙エネルギーを吸っている。

 

起き上がったキングギドラは再生したばかりの両翼を広げ再び 3 本揃った各首が一斉に咆哮する。キングギドラに一杯食わされたスペースゴジラは怒りに任せてコロナビームを吐いた。

だがコロナビームは威力が低下していて、キングギドラの2発の引力光線で相殺出来る程度である。これでも最初の引力光線1 発と相殺していた頃よりはまだ高威力なのだが。

 

キングギドラの左右の首が引力光線を吐いている間も中央の首は足元の結晶体から宇宙エネルギーを吸い続けている。スペースゴジラは再び重力波を放射するが弱体化が著しくキングギドラの巨体はびくともしない。

 

宇宙エネルギーをたっぷりと吸収したキングギドラは当然引力光線の威力が急上昇し、コロナビームをかき消しスペースゴジラの両肩の結晶体を粉砕する程になっていた。

スペースゴジラが吐く最高出力のコロナビームの直撃でキングギドラの左右の首がちぎれた

時とは完全に形勢が逆転している。キングギドラは畳みかけるように更に引力光線を吐いた。

宇宙エネルギーを受信する役割を持つ両肩の結晶体を破壊され、スペースゴジラの弱体化に拍車がかかる。最早結晶体シールドを張る力も無いスペースゴジラは、引力光線の直撃で仰向けに倒れ込んだ。

 

キングギドラが接近するのを見計らって突然スペースゴジラが起き上がり、尾先の結晶体にエネルギーを集中させ槍のように突き刺そうとする。その攻撃を読んでいたキングギドラはひらりと攻撃をかわすが、直後にコロナビームが直撃した。

 

実は尾の一撃は囮であり、キングギドラがその一撃をかわした隙に至近距離からコロナビームを撃ち込む作戦だったのだ。急速に追い詰められた状況で瞬時にこの作戦を練るスペースゴジラはなかなかの戦略家で、コロナビーム自体威力が低下しているとはいえまだキングギドラを転倒させるだけの力はある。

とはいえそれも結局悪あがきに過ぎず戦況の逆転には繋がらない。

 

起き上がったキングギドラは今までに無い高威力の引力光線を吐く。勿論この引力光線には先程吸収した宇宙エネルギーが多量に含まれているのだが、両肩の結晶体を破壊されたことに伴う弱体化で宇宙エネルギー許容量が急激に低下したところを宇宙エネルギー過多になったものだから、スペースゴジラの肉体は多量の宇宙エネルギーに耐えられず大爆発した。

 

スペースゴジラは宇宙空間に飛散したゴジラ細胞が謎の結晶生物と融合したことで誕生した存在であり、宇宙空間にゴジラ細胞が飛散したのはキングギドラが10000年前ゴジラと激闘を繰り広げた際にゴジラの肉片が付着したことに気付かないまま宇宙に行ったのが原因だ。

キングギドラがスペースゴジラに挑んだのは自分自身が生み出してしまった怪物を倒すためだったのである。

スペースゴジラは赤く光る粒子と化し宇宙への逃亡を企てたが、自身の生み出した怪物をこれ以上放置する気は一切無いキングギドラは粒子を吸い尽くす形で完全に抹殺した。ゴジラ細胞が宇宙に飛散し結晶生物と融合するのを予測するのはまず無理なのでキングギドラが責任を感じる必要は全く無いが、それでも中央の首は責任を感じずにはいられなかったのだ。

キングギドラの中央の首は無茶な戦いを指示したことを左右の首に詫びるが、ゴジラ細胞と結晶生物の融合体という唯一無二の存在を見ることが出来た左の首も、宇宙エネルギーの吸収で更なる自己強化が出来た右の首もそれぞれ満足していて中央の首を責める気は一切無い。

既に星全体が荒廃している惑星ラゴモにもう用は無いキングギドラは、そのまま宇宙空間に飛び去って行く。

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