巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#2

「速報です。中国遼寧省の紅沿河原発がゴジラにより破壊されました。中国政府の発表によりますと付近への放射能漏れは確認されていないとのことです。」

 

このニュースが報じられると日本国内では「中国の欠陥原発をゴジラが処分してくれた」「ゴジラは悪い中国に罰を与えた神」「ゴジラに倣い俺達も在日中国人を処分しよう」等と中国を腐す風潮に拍車がかかった。

ワシントン D.C.陥落で浮かれた腐れ外道共が日本は凄い国で近隣諸国は駄目な国と決めつけ、中国だけでなく韓国朝鮮を腐す差別的風潮にも拍車がかかったのは言うまでも無い。

 

一ノ瀬がニュースを観ながら外国人差別の激化を懸念していると、アパートのインターホンが鳴った。

 

「由衣ちゃん、私今日からここで寝泊まりしていいかな?」

 

「アイちゃんなら 24 時間365 日いつでも大歓迎。今ドア開けるからね。」

 

一ノ瀬がドアを開けると半泣き顔のアイリーンが立っている。一ノ瀬は優しくアイリーンを抱きしめてそっと部屋に招き入れた。ソファーに寝そべっていたペロが鼻を鳴らしながらアイリーンを凝視する。

「アイちゃん、何も言わなくていいからね。」

 

一ノ瀬はすすり泣くアイリーンが身の危険を感じてここに来たのはすぐにわかった。アイリーンに限らず、ワシントン D.C.陥落のニュースで舞い上がった日本国民からの嫌がらせの標的にされている在日外国人は少なくない。

考えの浅い人は嫌なら日本から出て行けと言い放つだろうが、それは自分の学級のいじめを放置しいじめの被害者に転校しろと言い放つクズ教師と何一つ変わらない。

 

国会議事堂内の衆議院本会議場では与野党の討論が行われている。

 

「総理、我が国の原発もゴジラに襲撃される危険性を鑑みるべきと思われますがいかがでしょう。」

 

「中国の原発と違い我が国の原発は汚染水対策が万全でゴジラの標的になることはありません。」

 

「総理は以前震災による原発の全電源喪失はあり得ないと答弁されましたが、実際はあの東日本大震災で福島第一原発の全電源が喪失しました。根拠も無く憶測だけでゴジラの標的にならないと断言されるのはいささか乱暴です。」

 

「うるさいよ!君!森羅万象を担当している私が日本の原発はゴジラの標的にならないと言ったらならないんだ!」

 

門長は野党議員の指摘が図星過ぎて狼狽し、言うに事欠いて自分自身が森羅万象を担当していると放言した。

 

毎度のことだが相手を指差しながら逆上と門長の振る舞いは無礼千万そのものだ。内閣総理大臣といっても自然界からすればサル目ヒト科の一生物に過ぎず森羅万象を担当出来る筈無いのだが、人類こそ地球の支配者と自惚れる門長はついついそう口にしたのである。

 

 

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