巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#4

 

太陽系から遠く離れた宇宙空間で数機の小型宇宙船が母船に運び込んだのは何とキングギドラの生首だ。

 

半円形状、所謂 UFO型の母船は直径約550km という途方も無い大きさで、底部には直径約24km の巨大円盤が数十機格納されている。

 

母船内に運び込まれた生首を管制室の窓越しにじっくりと観察しているのはエイリアンの女王である。

どうやらエイリアン達はこの生首を研究材料にするつもりのようだ。

 

なおこのエイリアン達は頭部が大きく細身と典型的なグレイ型で後頭部に平たい突起があり、戦闘員達が8本の触手を有する外骨格状の宇宙服を着ているのは脆弱な肉体を保護するためである。

 

このエイリアン達は数々の惑星を侵略し続けてきた凶悪極まりない種族で、地球人など遠く及ばない強大な軍事力を誇り、母船で侵略地に到着すると巨大円盤を各地に解き放ち武力制圧を行う。

 

母船や巨大円盤の主砲の威力は凄まじくキングギドラも 1 発で全身を粉々にされた。

 

こんな巨大円盤が地球に襲来すれば一瞬で各都市が壊滅するのは目に見えている。

突如生首の両目が動く。驚いた女王は攻撃指令を発するが、窓を突き破り管制室に突入したキングギドラの首に全身を噛み潰され即死した。

 

キングギドラの首の咆哮が母船内に響き渡ると内臓を取り除き宇宙服にするためクローン培養されていた生物達が一斉に培養槽から飛び出し暴れ始める。

 

軍事力は強大でも本体は脆弱なエイリアン達は次々と生物達の餌食になっていった。

 

エイリアン達の母船や円盤や小型宇宙船は核兵器でも突破出来ない頑丈な不可視のシールドで覆われているが、船内は当然無防備だ。

 

引力光線ではシールドを突破出来ないためキングギドラの中央の首はわざとやられて首だけになり、船内に運び込まれたところで中から破壊する作戦を立てていた。

 

古代インド神話の魔神ラーフ同様にキングギドラは首だけの状態で生存可能である。

エイリアンとクローン生物が殺し合う中、キングギドラの首は蛇のように船内を這い最深部の原子炉に辿り着く。

 

キングギドラの首が原子炉に噛みつきエネルギーを吸収するのに伴い首の付け根から半透明の羊膜で覆われた新しい身体が生えてきた。

その羊膜を突き破って出てきたのは左右の首、2 本の尾、そして蝙蝠に酷似した形状の巨大な翼だ。

船内に甲高いキングギドラの咆哮が響いた刹那、3 本の稲妻状の光線が母船の船体を割り宇宙空間を黄色く照らす。

キングギドラの各首が一斉に引力光線を吐いたのである。

 

シールドは極めて頑丈な母船だが船体自体は脆く、引力光線が一瞬で船内全域に拡散し格納されていた巨大円盤もろとも全壊した。

 

粉々になった母船と円盤の残骸に囲まれながらキングギドラが咆哮している。

ヴィシュヌ神に斬首されても首だけの状態で生きていた魔神ラーフはその後星になり、東洋占星術では羅睺星と呼ばれ凶星として恐れられている。

同じく首だけで生存可能なキングギドラも瞬く間に滅ぼされたエイリアン達からすれば恐るべき凶星であろう。

 

キングギドラの中央の首の作戦はエイリアン達が生首を母船の船内に運び込まなければまず成功しない。だが貪欲に各惑星の資源や科学技術を収奪するエイリアンの性質を見抜いていた中央の首は、エイリアン達が首だけの自分を船内に運び込み研究材料にすることを最初から読んでいた。

一見無謀な作戦も相手の性質を見抜いた上で綿密に練られたものだったのである。

 

キングギドラの全身に凄まじい力が漲った。直径約 550km の超巨大母船を動かす原子炉のエネルギーを吸い尽くしたのだから当然だ。並外れた再生能力で新しい身体を手に入れたキングギドラだが今度の身体は前の身体より数段強い。

既にエイリアン達は滅んだが、今後再びエイリアン達の主砲と同威力の攻撃を受けることがあっても今度の身体ならびくともしない。

 

キングギドラの左の首は蛇のような形状の舌でエイリアンやクローン生物の死骸を舐めている。頭部の角に軽く嚙みつく形で左の首に注意をした中央の首は、ここを早く離れて次の場所で暴れたいという右の首の要望に肯いた。

 

 

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